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結婚式の満足度は、披露宴まである組が88.7%、挙式だけの組が81.0%。後悔の中身はスタイルで違う

結婚式のスタイルが小さくなるほど、挙げた人の満足度も下がっていく。そう読める調査があります。

互助会事業と結婚式場を運営するベルコが、2024年に実施した「結婚式に関するアンケート調査」です。全国の20〜49歳の既婚者のうち、過去5年以内に結婚式を挙げた1,094人に「挙げて良かったか」を聞いています。「どちらかと言えば」を含めて良かったと答えた割合は、挙式と披露宴・ウェディングパーティー(以下、披露宴等)をした人で88.7%、挙式のみで81.0%、親族中心の食事会のみで65.0%、フォトウェディングのみで43.7%でした。

少人数化や簡素化の流れの中で、式場は「規模を落とした提案」を受ける場面が増えています。その提案を受けた新郎新婦が、あとでどう感じているのか。この調査は、その手がかりになります。ただし読み方には条件があります。数字と一緒に、その条件も書いていきます。

スタイルが小さいほど、「挙げて良かった」は下がっていた

まず調査の概要です。

  • 調査:ベルコ「結婚式に関するアンケート調査結果 第1弾:既婚者編」(2024年8月27日公表)
  • 方法:インターネット調査。調査会社はジャストシステム
  • 期間:2024年6月24日〜7月7日
  • 対象:全国の20〜49歳。既婚者2,170人のうち、過去5年以内に結婚式を挙げた1,094人と、挙げなかった1,076人に分けて質問
  • 結婚式の定義:挙式、披露宴、ウェディングパーティーに加えて、親族中心の食事会のみ、フォトウェディングのみも含む

挙げた1,094人のスタイルの内訳は、次のとおりです。

  • 挙式と披露宴等:774人(70.7%)
  • 挙式のみ:221人(20.2%)
  • 親族中心の食事会のみ:80人(7.3%)
  • フォトウェディングのみ:16人(1.5%)
  • その他:3人(0.3%)

この4つのスタイルごとに、結婚式を挙げた感想を聞いた結果が次です。

スタイル 回答数 挙げて良かった どちらかと言えば良かった 良かった合計 挙げない方が良かった(どちらかと言えばを含む)
挙式と披露宴等 774人 60.1% 28.6% 88.7% 8.3%
挙式のみ 221人 37.1% 43.9% 81.0% 15.4%
親族中心の食事会のみ 80人 27.5% 37.5% 65.0% 28.7%
フォトウェディングのみ 16人 12.5% 31.2% 43.7% 37.5%

最後の列は、調査の「どちらかと言えば挙げなくて良かった」と「挙げない方が良かった」を足したもので、僕が計算しました。

合計の88.7%と81.0%を比べると、差は7.7ポイントです。この差だけなら、どちらも8割を超える高い満足度です。ただ、「挙げて良かった」と強く言い切った割合で並べると、様子が変わります。披露宴等は60.1%、挙式のみは37.1%で、差は約1.6倍に開きます。「どちらかと言えば」に逃がさない人の割合は、披露宴等のほうがかなり高いわけです。

反対側も同じ向きです。「挙げない方が良かった」側は、披露宴等で8.3%、挙式のみで15.4%、食事会のみで28.7%と、スタイルが小さくなるほど増えていきます。

読む前に知っておく条件が3つある

この表をそのまま「披露宴をつければ満足度が上がる」と読むのは危険です。条件が3つあります。

1. 回答数に大きな差がある

フォトウェディングのみは16人、食事会のみは80人です。16人の43.7%は、7人分の回答です。1人違えば6ポイントほど動きます。この2つの数字は、見出しにできる精度ではありません。僕がこの記事で信頼して使うのは、774人と221人で比べた、披露宴等と挙式のみの差までです。食事会とフォトは、「同じ向きに並んでいる」という参考にとどめます。

2. スタイルは、満足度の原因とは限らない

この調査は、結婚式を挙げた人にあとから感想を聞いたものです。披露宴をしたから満足したのか、もともと満足しやすい人が披露宴まで挙げたのかは、この数字だけでは分かりません。予算や日程、親族の意向でスタイルを絞った人は、その事情を抱えたまま「挙げて良かったか」に答えているはずです。ですから、式場が提案を変えれば満足度が上がる、とまでは言えません。

3. 調査主体が式場を運営している

ベルコは結婚式場も運営する企業です。調査の設計や質問文に偏りがあるとまでは言いません。ただ、披露宴を含めた婚礼を扱う会社が出した数字だという点は、頭に置いて読むほうが安全です。この記事では、ほかの調査とは突き合わせていません。出典はこの1本です。

3つの条件を踏まえたうえで、それでも使える読み方があります。「スタイルごとに、満足の中身と後悔の中身が違う」という見方です。次の章からその中身を見ます。

披露宴を挙げた組は「親への感謝」で、挙式のみは「自分たちの楽しみ」で挙げている

結婚式を挙げた理由も、スタイル別に聞いています。複数回答です。

  • 親・親族に感謝し、喜んでもらうため:全体51.0%。披露宴等では59.8%、挙式のみでは30.8%、食事会のみでは28.7%、フォトのみでは18.8%
  • 親族・友人に配偶者を紹介するため:披露宴等35.0%、挙式のみ30.3%、食事会のみ27.5%
  • 自分たちが楽しむため:全体30.1%。披露宴等30.2%、挙式のみ32.6%、フォトのみ43.8%

「親・親族に感謝し、喜んでもらうため」は、披露宴等と挙式のみで約1.9倍の開きです。一方、「自分たちが楽しむため」は、スタイルによってほとんど変わりません。

つまり、披露宴まで挙げた組の理由に、親や親族といった「他人に向けた動機」が上乗せされています。披露宴の満足度が高い理由の一部は、ここにありそうです。「挙げて良かった」と答えた人に理由を聞いた設問でも、全体の1位は「良い記念・思い出になった」の59.8%、2位は「親孝行・祖父母孝行ができた」の50.2%でした。親族に感謝を伝える場として機能した、という感想が、披露宴等の満足度を支えているのだと読めます。

ここから、提案の仕方に使える問いが出てきます。新郎新婦が結婚式に求めているものが、「自分たちの楽しみ」だけなのか、「親への感謝」も入っているのか。後者が入っているのに、披露宴を省く提案をすると、省いた部分に当たる満足を取りにいけなくなる可能性があります。

後悔の内容は、スタイルで違う。小さくしても「費用がかかりすぎた」は消えない

同じ調査では、挙げた結婚式で後悔している点も聞いています。複数回答で、全体の1位は「後悔している点は特にない」の39.4%、2位は「結婚式費用が掛かりすぎた」の25.8%でした。

スタイル別に見ると、次のようになります。

後悔の内容 披露宴等(774人) 挙式のみ(221人) 食事会のみ(80人)
後悔している点は特にない 42.2% 32.1% 32.5%
別の結婚式スタイルが良かった 16.0% 27.6% 16.2%
結婚式費用が掛かりすぎた 27.4% 23.5% 16.2%

ここで目に留まるのは2点です。

1つ目は、挙式のみの組の27.6%が「別の結婚式スタイルが良かった」と答えていること。披露宴等の16.0%の約1.7倍です。221人のうち約61人にあたります。挙式のみを選んだ人の4人に1人以上が、「違う形にすればよかった」と感じています。

2つ目は、「費用が掛かりすぎた」が、スタイルを小さくしても消えていないことです。披露宴等は27.4%、挙式のみは23.5%で、差は3.9ポイントしかありません。費用を抑えるために挙式のみを選んでも、費用への後悔がほとんど変わらず、その上で「別のスタイルが良かった」が上乗せされているわけです。食事会のみは16.2%と低めですが、80人の回答ですから、これも慎重に読む数字です。

フォトウェディングのみでは、16人のうち31.2%が「費用が掛かりすぎた」と答えています。5人です。この数字は、小さすぎて結論を出せません。ただ「小さくすれば後悔が減る」という単純な図式は、少なくとも挙式のみの221人では成り立っていません。

式場の提案に引き寄せると、何が言えるか

数字を式場の経営に引き寄せます。ここで書くのは調査から導ける範囲に限ります。調査にない話は、僕が考えたことだと分けて書きます。

調査から言えること

  • 挙げた人の主流は、いまも「挙式と披露宴等」(70.7%)。2020年は挙式のみが46.9%で披露宴等の42.2%を上回りましたが、2023年以降は披露宴等が76.0%(100人)と、コロナ禍前の2019年の79.7%(634人)に近い水準に戻っています
  • 披露宴まで挙げた組の満足度は高く、「強く良かった」の割合は、挙式のみより約1.6倍高い
  • 規模を落としても、「費用が掛かりすぎた」という後悔は同じ程度に残る。挙式のみは、さらに「別のスタイルが良かった」が加わる

ここからは僕の考えです

規模を落とす提案は、新郎新婦の予算に合わせる親切な提案です。でもその提案が、費用の後悔を減らさず、スタイルの後悔を増やすことがある。これを知っていると、提案の組み立て方が変わります。

たとえば、予算が足りないときに「披露宴を省く」だけを案にしないことです。人数を絞って披露宴を残す、時間を短くする、料理や演出に優先順位をつけるなど、披露宴という形は残して中身を調整する案も並べる。調査の数字は、披露宴の有無が満足の分かれ目になっている可能性を示しています。形を残す案を並べておく意味はあります。

もう1つは、披露宴を省く場合に、親族への感謝を伝える場を別に作れるか、という点です。披露宴等の理由の中心が「親・親族への感謝」(59.8%)なので、それに代わる場面を提案に入れると、省いたことの穴を埋められる可能性があります。これは調査から確かめた効果ではなく、数字の構造から考えた仮説です。自社の成約後アンケートなどで、確かめる価値があります。

自社のデータで確かめたいこと

この調査は、全国の既婚者を対象にした平均の姿です。自社の新郎新婦が同じ傾向かは分かりません。確かめるなら、次の3つが取れます。

  • 成約したスタイル別の、挙式後アンケートの満足度。回答数が少ないスタイルは、複数年分をまとめる
  • 縮小の提案をしたとき、新郎新婦がどのスタイルを選んだかの内訳
  • 挙式後の口コミの評価と、スタイルの関係

どれも新しい調査は要りません。すでにある挙式後アンケートや口コミの集計を、スタイル別に切り直すだけです。回答数が20を切るなら、割合を見出しにしない。この調査の食事会とフォトから学べる教訓は、それです。

まとめ

  • ベルコの調査(既婚者1,094人)では、結婚式を挙げて良かった割合は、挙式と披露宴等で88.7%、挙式のみで81.0%、親族中心の食事会のみで65.0%、フォトのみで43.7%だった
  • 「挙げて良かった」と強く言い切った割合は、披露宴等60.1%に対し挙式のみ37.1%で、約1.6倍の差があった
  • 食事会(80人)とフォト(16人)は回答数が少なく、割合を見出しにはできない。確かに言えるのは、774人と221人を比べた、披露宴等と挙式のみの差まで
  • スタイルが満足度の原因かどうかは、この調査では分からない。調査主体は式場も運営する企業で、出典はこの1本
  • 披露宴等を選んだ理由の中心は「親・親族に感謝し、喜んでもらうため」(59.8%)。挙式のみは30.8%で、約1.9倍の開きがある
  • 規模を落としても「費用が掛かりすぎた」は27.4%と23.5%でほぼ同じ。挙式のみは「別のスタイルが良かった」が27.6%と、披露宴等の約1.7倍