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10人未満の少人数プランは、仮の式場だと1組の粗利が63万円で、通常の披露宴の4割。年12組売っても、通常の客の4割が下りてくると利益が消える

少人数のプランを作ると、空いている日が埋まる。家族だけで挙げたい二人も受けられる。理由はもっともなので、検討する会場は多いと思います。ただ、作ったあとに「利益が増えた」と言える会場と、「通常の客が下りてきて売上が減った」と言う会場に分かれます。

結論を先に書きます。ゼクシィの調査で、ゲスト10人未満の結婚式の総額は平均157.9万円です。この単価で少人数プランを売ると、僕が置いた仮の式場では、1組の粗利が約63万円。通常の披露宴の148万円の、4割ほどです。年に12組売れても、その12組のうち4割にあたる約5組が、本来は通常の披露宴を選んだ二人だった場合、利益は消えます。

つまり、少人数プランの損益を決めるのは、売れる組数ではありません。通常の客が何割、少人数に下りてくるかです。この記事では、その線を計算して、下りてこさせないために会場側が引ける線を考えます。

数字は、出典のあるものとないものを分けて書きます。出典があるのは、ゼクシィの人数別の費用とご祝儀の平均だけです。粗利率、組数、準備費用は、すべて僕が置いた仮の数字です。自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

ゼクシィの人数別データ。少人数ほど二人の持ち出しが小さい

先に、出典のある数字を並べます。ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国推計値)をもとにした、ゼクシィの記事にある人数別の平均です。

ゲスト人数 総額の平均 ご祝儀総額の平均 二人の持ち出し
10人未満 157.9万円 116.2万円 41.7万円
10〜20人未満 192.3万円 111.4万円 80.9万円
20〜30人未満 244.4万円 130.7万円 113.7万円

右端の持ち出しは、総額からご祝儀を引いた僕の計算です。二人が手元の貯金から出す額の目安になります。

ここで目につくのは、10人未満の総額が157.9万円もあることです。人数が少なくても、会場費、衣装、写真、装花のような人数に比例しないものは残るので、総額は人数ほどには下がりません。ご祝儀のカバー率も、10人未満は73.6%と高く、持ち出しは41.7万円で済んでいます。

もう1つ、同じ表から分かることがあります。20人台の二人と10人未満の二人では、持ち出しが約72万円違います。この差が、通常の披露宴を考えている二人が少人数に傾く理由になります。値段の差が、二人の目に見えるからです。

なお、この表はゼクシィの会員が答えた調査の推計で、全国の結婚式の平均ではありません。会場の地域やグレードで、数字は大きく動きます。

仮の式場を置く。少人数の粗利は通常の4割

計算のために、仮の式場を置きます。ここから先の数字は、出典のない仮置きです。

  • 通常の披露宴は、1組の売上が330万円、粗利率が45%。粗利は約148万円です
  • 少人数プランは、1組の売上を157.9万円とします。ゼクシィの10人未満の平均に合わせました
  • 少人数の粗利率は40%と置きます。通常より低く見たのは、人数が少なくても会場の準備と担当者の手間は同じようにかかり、売上に対する原価と人件費の割合が上がりやすいからです
  • すると、少人数1組の粗利は63.2万円。通常の148.5万円の、約43%です
  • 少人数プランを作る初期費用は30万円。プラン表、写真の撮影、公式サイトへの掲載です
  • 毎年の運用費は24万円。サイトの更新と、見学の対応の手間を、月2万円と置きました

少人数1組の粗利が、通常の4割強しかない。ここがこの計算の出発点です。少人数が通常の枠を1つ奪うと、そのたびに85万円ほど粗利が減ります。148.5万円から63.2万円を引いた額です。

空き枠にだけ入るなら、年12組で約700万円

少人数プランが、本当に空いている枠にだけ入るなら、話は簡単です。

たとえば、平日や、土日でも埋まらなかった枠に、年12組が入るとします。12組の粗利は758万円。ここから初期費用30万円と運用費24万円を引いて、初年度は約704万円の黒字です。

組数が半分の年6組でも、379万円から54万円を引いて、約325万円の黒字になります。

ここだけ見ると、少人数プランは、作らない理由がありません。ただ、前提を確かめる必要があります。その12組は、本当に「少人数がなければ入らなかった」二人でしょうか。

通常の客が下りてくると、1組ごとに85万円を失う

少人数プランをサイトに出すと、見学に来た二人の中に、こう考える人が出てきます。「60人で呼ぶつもりだったけど、10人の家族婚なら持ち出しが小さい。そちらにしよう」。

この二人は、少人数プランがなければ、通常の披露宴を契約した人です。少人数に下りると、会場の粗利は148.5万円から63.2万円に減ります。1組あたり85.3万円の損です。

この「下りてくる割合」をβと置いて、年12組のうちβの割合が、元は通常の客だったとして計算します。純増の組は+63.2万円、下りてきた組は−85.3万円で、そこから準備費用を引きます。

12組のうち、元は通常の客だった割合 初年度の損益
0%(全員が純増) +704万円
20%(約2.4組) +348万円
40%(約4.8組) −8万円
60%(約7.2組) −365万円

線は、約40%です。12組のうち5組弱が、本来は通常の客だったら、初年度の損益はゼロになります。年6組の場合の線は約37%、年18組の場合は約41%で、組数が増えても線はほとんど動きません。組数を増やしても、下りてくる割合が同じなら、救われないということです。

ここで、この表の読み方を1つ。βは、会場側がほぼ測れない数字です。少人数を選んだ二人に「通常も考えていましたか」と聞けば、ある程度は拾えますが、答えは本人の記憶に頼ります。測れないからこそ、線の引き方で下りてくる割合を抑える設計が要ります。

下りてこさせない線は、日と人数と内容で引く

下りてくる割合を抑えるために、会場が引ける線は、おおむね3つあります。

1つ目は、日です。少人数プランは、平日と、土日の特定の枠だけに限ります。人気の土日の昼を少人数に開けると、通常の披露宴が入る枠を食います。空いている枠だけを出すなら、下りてくる二人も、自然に平日を選べる二人に限られます。ただし、日を限るほど、少人数を選ぶ二人の総数は減ります。年12組の想定が、年6組に下がるかもしれません。そのぶん、先の表の黒字は小さくなります。

2つ目は、人数です。「20人まで」と上限を置きます。上限があると、30人、40人で考えていた二人は、少人数を選べません。20人を境に、通常のプランとの違いがはっきりします。逆に、上限を30人に広げると、通常の小さめの披露宴を考えていた二人が下りてきます。ゼクシィの表で、20〜30人未満の総額は244.4万円です。少人数プランの157.9万円と、86万円ほど開きます。この開きのぶん、粗利も大きく違います。

3つ目は、内容です。少人数プランには、通常に付いているものを外すか、選べなくします。たとえば、演出のオプション、衣装の選択肢、挙式後の二次会の会場の併用などです。内容を外せば、通常の客にとっての魅力は下がります。ただ、少人数を選ぶ二人が本当に欲しいものまで外すと、売れなくなります。外すのは「家族だけの食事会に要らないもの」に絞るのが現実的です。

この3つを、すべて引く必要はありません。ただ、1つも引かずに少人数プランを出すと、下りてくる割合は設計の外で決まってしまいます。

見学の導線でも、下りてくる割合は動く

線は、プランの中だけでなく、見学の流れにも引けます。

少人数プランを公式サイトの上のほうに大きく載せると、60人で考えていた二人も、そのページを見ます。逆に、問い合わせの段階で「何人くらいをお考えですか」と聞いて、人数に合った案内に分ける形なら、通常の二人には通常の見積もりが先に出ます。

どちらがよいかは、会場の事情で変わります。空き枠が多くて、まず来館を増やしたい会場なら、少人数を前に出すほうが得です。土日がほぼ埋まっている会場なら、少人数は後ろに回すほうが安全です。

ここで注意したいのは、見学に来た二人に、少人数の見積もりを先に出さないことです。二人は最初に見た金額を基準にします。157.9万円の見積もりを先に見た二人に、330万円の見積もりを出すと、高く感じます。逆の順番なら、安く感じます。

少人数を選ぶ二人の多くは、通常を選ばない二人かもしれない

ここまでは、少人数プランが通常の客を食うリスクを書きました。反対側も確かめておきます。

少人数を選ぶ二人の中には、そもそも通常の披露宴を選ばない二人がいます。親族が少ない、呼びたい人が限られる、大きな会を望まない、体調や家庭の事情で大勢は難しい。この二人は、少人数のプランがなければ、結婚式を挙げないか、フォトウェディングで済ませる人です。

この二人は、先の表の「純増」にあたります。会場から見れば、63万円の粗利が新しく入る客です。βが低い、つまり下りてくる割合が低いほど、この純増の部分が大きくなります。

それぞれの会場で、純増と下りてくる客の比率はどちらに寄るのか。ここは、僕にも分かりません。少人数を出した会場のデータを、一般に確かめられる形で見たことがないからです。ただ、下りてくる割合が4割を超えない設計なら、少なくとも赤字にはなりません。計算で見ると、そこが線です。

試すなら、半年の期間と見る数字を先に決める

不確かなものを、年単位で決めるのは重いので、期間を区切って試すのが現実的です。

  • 期間は半年、対象は平日と土日の空き枠、人数は20人までに絞る
  • 見るのは、少人数プランの契約組数と、同じ期間の通常の契約組数の推移。前年の同じ期間と比べます
  • 少人数の契約者に、見学のときに「最初に考えていた人数」を聞いておく

半年で少人数が6組入り、そのうち元は通常を考えていた二人が2組以下なら、先の計算のとおり黒字の側です。3組を超えたら、線の引き方を見直します。数字は、どれも仮の式場のもので、自分の会場の粗利率で割り直す必要があります。

まとめ

  • ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、ゲスト10人未満の結婚式の総額は平均157.9万円、ご祝儀を引いた持ち出しは約41.7万円です
  • 仮の式場では、少人数1組の粗利は63万円で、通常の披露宴148万円の約4割です
  • 空き枠だけに12組入れば、初年度は約704万円の黒字です
  • 12組のうち4割にあたる約5組が、元は通常を選ぶ二人だと、利益は消えます。組数を増やしても、この線はほぼ動きません
  • 下りてくる割合を抑えるには、日、人数の上限、内容の3つで線を引きます
  • 判断は、半年の試行で、少人数の契約者が最初に考えていた人数を見て決めます