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式場サイトのトップは、最初の1画面で誰に向けた式場かを言い切る

式場サイトのトップページを開くと、画面いっぱいの写真があって、その上に「想いをつなぐ、特別な一日を。」のようなコピーが載っている。多くの式場サイトが、この形をしています。

結論から書きます。二人がトップページで最初に見る1画面は、その式場が「自分たちのための式場かどうか」を判断する場所です。理念のコピーはその判断の役に立たないことが多く、代わりに必要なのは、誰に向けた式場かを言い切る一文と、写真が示す場面、押せるボタン一つの3つです。

この記事に出典のある統計は出てきません。トップページの最初の画面の中身で予約率がどれだけ変わるかを示す調査を、僕は見つけられていません。数字は全部、僕が置いた前提です。自分の会場の数字に入れ替えて読んでください。

二人は最初の1画面で何を決めているのか

式場を探している二人は、一つの式場サイトに長く居続けません。検索で出てきた式場、媒体で見つけた式場、SNSで気になった式場を、いくつも並べて見ています。1つの式場にかける時間は、最初のうちは短いです。

その短い時間に、二人が決めているのは「もう少し見るか、閉じるか」です。料金の詳細や設備の説明を読む前の段階で、ここは自分たちの探している式場なのか、という大まかな判断をしています。

この判断の材料は、最初の1画面に出ているものだけです。スクロールして下の方を見る前に、閉じる二人がいます。ここで「自分たち向けだ」と感じられなければ、下の方にどれだけ丁寧な情報を置いても、読まれません。

つまり最初の1画面は、サイト全体の中で、一番読まれる場所であり、一番短く判断される場所です。

よくある1画面と、そこで起きること

多くの式場サイトのトップは、次の形をしています。

大きな会場写真。その上に、理念や想いを表すコピー。右上に、フェア予約や資料請求のボタンがいくつか。メニューには、会場、料理、プラン、実例、アクセスが並びます。

この形のどこが問題かというと、二人にとって知りたいことが、1画面の中に一つも答えとして出ていない点です。写真は美しいですが、どんな人数の式なのか、どんな二人に向いているのかは、写真だけでは分かりません。コピーは気持ちを表していますが、他の式場のコピーと入れ替えても通じる言葉です。

ボタンが複数あることも、判断を遅らせます。フェア予約、資料請求、見積もり相談、LINE、電話が並んでいると、二人は何を押せばいいか決められず、何も押さずに閉じます。

僕が見直すときに最初に疑うのは、理念のコピーです。「想いをつなぐ」「かけがえのない一日」といった言葉は、式場の姿勢を表すには良い言葉です。ただ、二人が最初に知りたいことには答えていません。

置くのは3つです

最初の1画面に置くものを、僕は次の3つに絞ります。

一つ目 誰に向けた式場かを言い切る一文

写真の上に、会場の姿勢ではなく、どんな二人に向いているかを書きます。

たとえば、「家族と友人60人までの、顔が見える披露宴の式場です」。「駅から歩ける街なかで、ふたりのペースで進めるウェディング」。「親族中心の少人数で、食事をゆっくり楽しむ会場」。

書き方のポイントは、数や場面などの具体的な言葉を一つ入れることです。人数、場所、式のスタイル、時間の使い方。どれか一つで足ります。具体的な言葉が入っていれば、合わない二人は閉じ、合う二人は続きを読みます。

ここで、合わない二人が閉じることを怖がらないでください。誰にでも合うように書いた文は、誰にも刺さりません。言い切ることで予約率が下がるように見えても、見学に来る二人の中身が揃うので、来館後の成約率に効きます。

二つ目 写真が示す場面

写真は、会場の外観や装飾の華やかさだけでなく、その一文の約束を裏づける場面を選びます。

「顔が見える披露宴」と書くなら、60人が着席している写真ではなく、新郎新婦が各テーブルを回って話している場面です。「少人数で食事をゆっくり」と書くなら、長いテーブルを囲んで会話している場面です。

言葉と写真が別のことを言っていると、二人は写真のほうを信じます。一文を書き換えたのに写真がそのままだと、効果が出ません。文と写真は、必ずセットで直します。

三つ目 押すボタンは一つ

最初の1画面に置くボタンは、一つにします。

何を押してもらうかは、サイトの目的で決まります。見学の予約が目的なら、「見学の日程を見る」です。まだ決めきれていない二人向けなら、「料金の目安を見る」でもかまいません。大事なのは、二人が迷わずに押せる一つに絞ることです。

フェア予約、資料請求、LINE、電話を全部並べたい気持ちは分かります。ただ、最初の1画面で全部並べると、どれも押されません。他のボタンは、2画面目以降や、メニューの中に置きます。ボタンの名前は、フェアの名称ではなく、二人がすることで書きます。ボタンの名づけは、別の記事で書きました。

最初の1画面を作る順番

実際に直すときは、写真から選びたくなりますが、順番は逆です。

まず、誰に向けた式場かを決めます。これは、デザインの話ではなく、営業の話です。ここ数か月に成約した二人を思い浮かべて、一番多かった人数帯、年齢層、探し始めた時期の共通点を拾います。数字を取る時間がなければ、担当者に「成約した二人に共通していたことは何か」と聞いて、出てきた言葉を並べるだけでも足ります。

次に、その二人に向けた一文を、3案書きます。3案のうち、他の式場のサイトにそのまま貼れてしまう案は捨てます。貼れてしまう案は、言い切れていません。

その一文が決まってから、約束を裏づける写真を選びます。すでにある写真の中から選び直すだけで済むことが多いです。撮り直しが要るのは、約束を裏づける写真が一枚もないときだけで、その場合は一文のほうを現実に合わせます。

最後に、ボタンを一つ決めます。サイトの目的が複数あるなら、いまいちばん取りたい成果を選びます。

スマホで見たときの確認

二人がトップページを見るのは、スマホが中心です。パソコンで作ったデザインは、スマホで見ると、一文が写真の下に落ちたり、ボタンが画面の外に出たりします。

直したあとは、実際のスマホで、スクロールせずに見える範囲を確かめます。一文、写真の場面、ボタンの3つが、スクロールなしで見えているかどうかが基準です。見えていなければ、写真の高さを下げるか、一文を短くします。

機種によって見える範囲は違うので、手元のスマホを2〜3台で確かめます。社内の誰かに見せて、「5秒見て、ここはどんな人向けの式場だと思いますか」と聞くのも有効です。答えが想定と違っていれば、一文か写真のどちらかが約束を果たせていません。

月3,000訪問の仮置きモデル

ここからは、全部仮置きの数字です。

公式サイトのトップページに、月に3,000の訪問があるとします。そのうち見学を予約する割合が、いまは1.0%だとします。予約は月に30組です。来館するのは80%の24組、来館後の成約率が18%で、契約は約4.3組。粗利を1組120万円と置くと、月に約518万円です。

最初の1画面を直して、予約する割合が1.0%から1.2%に上がったとします。予約は36組、来館は28.8組、契約は約5.2組で、粗利は約622万円です。差は月に約104万円です。

1.5%まで上がるなら、予約は45組、来館は36組、契約は約6.5組、粗利は約778万円です。差は月に約260万円です。

この計算が教えてくれるのは、最初の1画面の直しに、どこまで手間をかけていいかの上限です。文章と写真の差し替えは、数日で済む作業です。

ただし、1.0%から1.2%に上がるという前提は、僕が置いたものです。上がらなかった場合の損は、一文と写真を差し戻すだけの手間に収まります。一方、言い切った一文によって、来館する二人の顔ぶれが揃うという効果は、予約率とは別に残ります。

向かない式場もあります

この直しが効きにくい式場もあります。

一つは、サイトへの訪問がほとんど媒体の掲載ページ経由で、公式サイトのトップを経由しない式場です。この場合、二人が最初に見るのは媒体のページなので、媒体側の掲載文を先に直します。

もう一つは、複数の会場を持っていて、会場ごとに向いている二人が違う式場です。トップページで一文に絞ろうとすると無理が出ます。その場合は、トップでは会場ごとの入口を並べ、会場ごとのページの最初の1画面に同じ考え方を当てます。

三つ目は、そもそも誰に向けた式場かが社内で決まっていない式場です。この場合は、デザインを触る前に、決める話をします。決まっていないまま一文を書くと、結局誰にでも通じる言葉になります。

直した後に見る数字

直す前に、現状の数字を取っておきます。

一つ目は、トップページの訪問に対する、見学予約の割合です。直す前の3か月分を取ります。季節による揺れが見えます。

二つ目は、トップページに来た訪問のうち、他のページに進まず離れた割合です。最初の1画面が約束を果たせていないと、この割合が高くなります。直したあとに下がっているかを見ます。

三つ目は、来館した二人に「最初にこのサイトを開いたとき、どんな式場だと思いましたか」と聞くことです。一文に書いた言葉が返ってくれば、約束が伝わっています。想定と違う言葉が返ってくれば、一文か写真を直します。

三つとも、直す前後で数え方をそろえます。同じ時期に広告や媒体の掲載を動かすと、どれが効いたのか分からなくなります。

まとめ

  • 式場サイトのトップの最初の1画面は、二人が「自分たち向けか」を短い時間で判断する場所です
  • 理念のコピーと複数のボタンで埋めず、誰に向けた式場かの一文、その約束を裏づける写真の場面、押すボタン一つの3つを置きます
  • 一文には、人数・場所・式のスタイルのような具体的な言葉を一つ入れ、他の式場に貼れてしまう案は捨てます
  • 直す順番は、誰に向けた式場かを決める、一文を書く、写真を選ぶ、ボタンを決めるの順です
  • 仮置きの月3,000訪問では、予約する割合が1.0%から1.2%に上がると、粗利が月に約104万円増えます
  • 媒体経由が中心の式場、会場ごとに客層が違う式場、客層が決まっていない式場は、先にそこを整えます