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式場の掲載情報は、媒体ごとに直さず1枚の台帳で揃える

式場の情報は、いろいろな場所に載っています。結婚情報サイト、公式サイト、Googleマップ、Instagramのプロフィール、地元のフリーペーパー。二人はこれらを並べて見ます。そして、場所によって書いてあることが違うと、候補から外します。

結論から書きます。掲載情報の食い違いは、媒体ごとに気づいたときに直すやり方では減りません。元になる数字を1枚の台帳に決めておいて、そこから各媒体に写す形にしたほうが、直す回数も、食い違いも減ります。

この記事の数字は、出典のある統計ではありません。食い違いに気づいた二人が何割いるかを示す調査を、僕は見つけられていません。以下の数字は全部、僕が置いた前提です。自分の会場の数字に入れ替えて読んでください。

二人は媒体をまたいで見ている

式場を探す二人は、1つの媒体だけで決めません。結婚情報サイトで気になった会場を、公式サイトで確かめて、Googleマップで場所と口コミを見て、Instagramで雰囲気を見る、という順番で動くのがふつうです。

このとき、二人の頭の中では、4つの画面が1つの会場にまとめられています。だから、どこかの画面だけ違うことが書いてあると、目につきます。

たとえば、結婚情報サイトには「最大120名」と書いてあって、公式サイトには「最大100名」と書いてある。二人は、どちらが本当かを考えます。電話で聞く二人もいるでしょう。でも、多くの二人は、聞かずに「ちゃんと管理されていない会場なのかな」と思って、次の会場のタブを開きます。聞く手間をかけるほど、まだ会場に興味を持っていないからです。

食い違いが起きる場所は、だいたい決まっています。

  • 収容人数。改装で増減した、立食と着席で数え方が違う
  • 料金の書き方。税込か税別か、サービス料を含むか
  • 営業時間と定休日。平日の見学を始めたのに、地図には出ていない
  • 見学の所要時間とフェアの内容
  • 住所と最寄り駅からの徒歩分数。駅の出口が複数ある

どれも、書いた時点では正しかった情報です。問題は、変わったときに全部の場所で同時に変えられないことです。

食い違いが生まれる流れ

なぜ食い違うのかを考えると、原因は人の怠慢ではなく、仕組みです。

各媒体に、別々の担当者が、別々の時期に入力しています。結婚情報サイトは営業担当の窓口、公式サイトは制作会社、Googleマップは支配人の個人アカウント、Instagramはマーケの担当者。誰も、全体の台帳を持っていません。

そこで、改装で収容人数が変わったとします。気づいた人が、自分の持ち場だけ直します。公式サイトは制作会社に依頼したので2週間後に反映されます。結婚情報サイトは次の契約更新まで直せません。Googleマップは誰も気づきません。こうして、3か月ほど、4つの数字が並びます。

直す側から見ると、「全部直したつもり」になります。そして半年後に、また別の変更が起きます。

食い違いのコストを仮に置く

ここから先は、全部仮置きの数字です。

月に100組の二人が、複数の媒体を見比べて検討に入るとします。そのうち5%が、食い違いに気づくと置きます。5組です。気づいた5組のうち半分が、確かめずに候補から外すと置きます。2.5組です。

外れた2.5組のうち、本来なら来館する率が30%、来館後に成約する率が40%だとします。2.5組 × 0.3 × 0.4 = 0.3組。月に0.3組の成約が減ります。1成約の粗利を120万円と置くと、36万円です。

気づく割合が10%なら、72万円です。割合が1%なら、7万円ほどです。

0.3組という数字は、小さく見えます。ただ、この損は広告費をかけずに起きています。そして、食い違いを直す作業は、媒体を1周するだけで終わります。広告で月0.3組を増やすのと比べると、直す作業のほうが先に手を付けやすい種類の仕事です。

この計算が合っていると言いたいわけではありません。構造として、「気づく二人の割合」が0%の会場はありません。割合が1%でも5%でもある、という前提に立てば、台帳を作る手間とは釣り合います。

台帳に書く項目は、8つに絞る

台帳は、表計算ソフトの1枚で足ります。項目を増やしすぎると、更新されなくなります。絞る基準は、「二人が媒体をまたいで見比べる項目」です。

  1. 収容人数(着席の最大と最小の人数。立食は別の行にする)
  2. 料金の表示ルール(税込か税別か、サービス料を含むか、いつ時点の料金か)
  3. 営業時間と定休日(見学の受付時間は、営業時間と別の行にする)
  4. 住所と最寄り駅からの徒歩分数(駅の出口と、車で来る場合の入口)
  5. 見学とフェアの所要時間
  6. 駐車場の台数
  7. 挙式スタイルの種類(チャペル、神前、人前、会食のみ、のうち何ができるか)
  8. 問い合わせ先(電話番号、LINE、フォームのURL)

どの行にも、「正の値」と「いつ決めたか」と「誰が決めたか」を並べます。3列です。

この8つ以外、たとえば料理の内容や装花の写真は、媒体ごとに違っていても問題になりません。むしろ、媒体の性格に合わせて変えるものです。台帳に入れないと決めることが、台帳を長持ちさせます。

各媒体は、台帳を写すだけにする

台帳ができたら、各媒体の入力欄は「台帳の写し」と位置づけます。

媒体ごとに、台帳のどの行をどう写すかを、台帳の右側に書きます。結婚情報サイトには、人数の欄が「最大人数」だけなら、台帳の着席最大を入れる。Googleマップには、営業時間の欄に、見学の受付時間でなく営業時間を入れる。こうして、ルールを決めておきます。

誰かが数字を変えたいときは、媒体の入力欄ではなく、先に台帳を直します。台帳を直した日付を書いて、各媒体を直す。この順番を守ると、「どの数字が本当か」で迷う場面が減ります。

制作会社に依頼している公式サイトも同じです。修正依頼の連絡に、台帳の該当行をそのまま貼ります。口頭で「人数を変えてください」と頼むより、行を貼ったほうが、書き間違いが起きません。

月に1回、媒体を1周する

台帳を作っただけでは、食い違いは減りません。媒体のほうが勝手に変わるからです。

結婚情報サイトの管理画面は、運営会社の仕様変更で項目が増えたり、入力された値が自動で補われたりします。Googleマップは、利用者からの修正提案で、営業時間や電話番号が書き換わることがあります。更新を担当者が止めていても、画面の中身は動きます。

そこで、月に1回、台帳と各媒体を見比べる作業を、予定に入れます。かかる時間は、媒体5つ、項目8つなら、40か所を確かめる作業です。慣れれば、30分から1時間で終わります。

見比べるときは、自分の会場のアカウントでなく、ログアウトした状態か、スマートフォンで、二人と同じ画面を見ます。管理画面の値と、公開されている画面の値が違うことがあるからです。

食い違いを見つけたら、見つけた日と、直した日を台帳の隅に1行残します。半年たつと、どの媒体が一番ずれやすいかが分かります。ずれやすい媒体は、月1回より短い間隔で見るか、台帳の写しを自動化できないかを考えます。

責任者を1人決める

この仕事で一番失敗しやすいのは、全員が見ているのに誰も直さない状態です。

台帳の持ち主は、1人にします。肩書きは問いません。マーケの担当者でも、支配人でも、事務の方でもかまいません。大事なのは、「数字を変えるとき、その人に聞く」と全員が知っていることです。

持ち主は、数字を決める人ではありません。決まった数字を台帳に書いて、各媒体に写る状態を保つ人です。人数を変えるかどうかは、経営者か支配人が決めます。決まったら、持ち主に伝える。この流れだけで、台帳は動きます。

持ち主が休んだり、退職したりしたときのために、台帳の置き場所と、更新のルール(先に台帳、次に媒体)を1行にして、共有しておきます。

食い違いを、わざと残していい場合

すべての食い違いを消す必要はありません。残してよいものがあります。

1つは、媒体の仕様で同じ形式を入力できない場合です。たとえば、結婚情報サイトの人数欄が10名刻みで、実際の最大人数が118名なら、110名か120名のどちらかを入れるしかありません。この場合は、台帳の写しのルールに「この媒体は切り上げて120名」と書いて、公式サイトのほうに「最大118名」と書きます。食い違いはありますが、理由は説明できます。

もう1つは、期間限定の情報です。フェアの特典や、キャンペーン料金は、媒体ごとに掲載期間が違うことがあります。この場合は、各媒体に終了日を書いておきます。終了日が書いてあれば、古い情報だと分かるので、食い違いとは受け取られにくいです。

反対に、台帳に入れても残してはいけない食い違いは、二人の選択に直接関わるものです。収容人数、料金の税の扱い、問い合わせ先。ここがずれていると、二人は会場を信頼できなくなります。

効果の見方

効果は、成約率では測れません。成約は半年先に決まることもあって、1か月分の組数が少なすぎます。

見るのは、2つです。

1つめは、食い違いを見つけた件数です。月1回の見比べで、何か所ずれていたかを数えます。台帳を作る前の月が6か所で、作った後の月が1か所なら、仕組みが効いています。

2つめは、二人から「サイトには〇〇と書いてありましたが」と聞かれた回数です。見学の最初に、媒体の情報の違いを指摘される件数を、受付ノートに線で残します。0に近づけば、成功です。

どちらも動かないなら、台帳は作ったが、各媒体を台帳から写していない状態です。その場合は、台帳に書いた値と、媒体の実際の画面を、画面写真で並べて持ち主に見せるのが早いです。

まとめ

  • 二人は結婚情報サイト、公式サイト、Googleマップ、Instagramを並べて見る。人数や料金や営業時間が違うと、聞かずに候補から外す二人がいる
  • 食い違いは人の怠慢でなく、媒体ごとに別の担当者が別の時期に入力する仕組みから生まれる
  • 月100組、気づく割合5%、半分が離脱、来館率30%、成約率40%、粗利120万円と置くと、月36万円の損。気づく割合が10%なら72万円。数字はすべて仮置き
  • 台帳は1枚で、項目は二人が見比べる8つに絞る。収容人数、料金の表示ルール、営業時間、住所と徒歩分数、所要時間、駐車場、挙式スタイル、問い合わせ先
  • 数字を変えるときは、媒体より先に台帳を直す。各媒体は台帳の写しにする
  • 月に1回、ログアウトした状態の画面で、台帳と各媒体を見比べる。持ち主は1人に決める
  • 仕様で書き分けられない食い違いと、終了日のある情報は残してよい。人数、税の扱い、問い合わせ先の食い違いは残さない