式場のTikTokを始める前に、式場名で検索した画面を整える
式場がTikTokなどのショート動画を始めるとき、最初に相談されるのは企画です。何を撮るか、誰が出るか、週に何本出すか。どれも大事ですが、僕はその前に一つだけ確かめてほしいことがあります。動画を見た二人が、式場の名前を検索窓に打ったとき、どんな画面が出るかです。
結論から書きます。ショート動画は、見た二人をその場で見学予約まで連れていくものではありません。動画の役目は「この式場、ちょっと気になる」を作るところまでで、そこから先は二人が式場名を検索して、自分で確かめにいきます。だから、動画を増やす前に、検索した先の画面を整えるほうが先です。順番を逆にすると、せっかく気になった二人が、検索した画面で閉じてしまいます。
この記事に出典のある統計は出てきません。ショート動画を見た二人のうち、何割が式場名を検索するのかを示す調査は、僕が探した範囲では見つかりませんでした。数字が出てくる箇所は、すべて「仮に」と置いた計算です。実際の割合は、式場ごとに違います。自分の会場の数字は、記事の後半で書く方法で測ってください。
ショート動画は、予約の入口にならないことが多い
ショート動画のアプリは、基本的に次々と動画が流れてくる作りです。見ている二人は、式場を探しているというより、暇な時間に流れてきたものを見ています。
そこで式場の動画が流れてきて、「いい雰囲気だな」と思ったとします。このとき二人が、動画の途中で予約ページを開くことは、あまりありません。動画から出ていくための導線が少ないからです。プロフィールにリンクを置いていても、そこまでたどる二人は一部です。
では、気になった二人はどうするか。多くの場合は、あとで式場の名前を検索します。覚えていなければ、動画の投稿者名や会場名をスクリーンショットで残しておいて、あとで探します。つまり、動画の成果は予約フォームの前に、「式場名の検索」という段階を一つはさんで現れます。
この前提を置くと、動画の評価の仕方も変わります。動画の再生数や、プロフィールのリンクのクリック数だけを見ていると、検索に回った二人が数えられません。この数え方の問題は、別の記事でも扱っています。この記事で扱うのは、数えるより前の話です。検索に回った二人を、受け止められる状態になっているかどうかです。
動画を見た二人が次に開く、3つの画面
式場名で検索したとき、二人が開く画面は、おおよそ3つに分かれます。
一つ目は、検索結果の1ページ目です。式場の公式サイト、Googleマップの表示、結婚情報サイトの掲載ページ、口コミ、SNSの投稿が並びます。
二つ目は、Googleマップの会場ページです。写真、星の数、口コミ、営業時間、電話番号が出ます。スマホで検索した場合、検索結果の上のほうにこの枠が出るので、公式サイトより先に見られることがあります。
三つ目は、公式サイトです。動画で見た雰囲気と、サイトの雰囲気がつながっているか。ここで「あの動画の式場だ」と分かるかどうかが、次に進むかの分かれ目になります。
動画を作る前に、この3つを自分のスマホで開いてみてください。二人と同じ目線で、動画を見た直後の気分のまま、順番に見ていきます。
検索結果の1ページ目で、点検する3つのこと
式場名で検索して、公式サイトが一番上に出るか
式場名で検索したのに、結婚情報サイトの掲載ページや広告の枠が上に出て、公式サイトが下がっている会場があります。媒体の掲載ページから見学予約をすると、媒体に費用が発生する契約の会場もあるので、二人が公式サイトに行けないことは、費用の面でも見逃せません。
ここで確かめるのは、公式サイトが1画面目に見えるかどうかです。スマホで検索して、スクロールしなくても公式サイトが見えているか。見えていなければ、サイトのタイトルや、式場名の表記を見直す余地があります。
式場名の表記が、動画とそろっているか
動画では「○○ガーデン」と呼んでいるのに、サイトの正式名称は「○○ガーデンウェディング」で、媒体では「ホテル○○ 婚礼サロン」になっている。こういう呼び名のばらつきは、よくあります。
動画を見た二人が覚えているのは、動画の中で見た呼び名です。その呼び名で検索したときに、同じ会場だと分かる画面が出なければ、二人は別の会場だと思って閉じます。動画の字幕やプロフィールに書く式場名は、公式サイトの名称に合わせるか、サイト側に動画で使う呼び名を一度載せておきます。
似た名前の別会場が上に出ていないか
名前が似た会場が近くにあると、検索結果で取り違えが起きます。これは動画が当たるほど起きやすくなります。見た二人の数が増えるぶん、取り違える二人も増えるからです。
月に何組くらい取り違えが起きているかは、見学の予約時に「どちらの会場と間違えていたか」を聞くと見えてきます。取り違えが起きる会場の場合は、動画の中で所在地の駅名や、地域名を一言入れておくと、二人が検索で迷いにくくなります。
Googleマップの会場ページで、点検する3つのこと
写真の1枚目が、動画で見た雰囲気とつながっているか
動画を見て気になった二人が、Googleマップで最初に目にするのは、写真の1枚目です。そこに、10年前の外観写真や、何を写したのか分からない暗い写真が出ていると、動画で作った期待が一度下がります。
動画のサムネイルになった場面と同じ種類の写真を、マップの写真の先頭近くに置きます。写真の運用については、別の記事で損益を整理しているので、ここでは「動画の雰囲気とそろえる」という一点だけ覚えておいてください。
口コミが、動画の約束と食い違っていないか
動画で「家族みんなで話せる、あたたかい披露宴」と見せているのに、口コミの最近の投稿が「進行が慌ただしかった」ばかりだったら、二人は口コミのほうを信じます。動画は式場が作ったもので、口コミは他人が書いたものだからです。
動画の企画を決める前に、直近の口コミを30件ほど読んでみてください。よく褒められている点と、よく指摘されている点が見えます。動画で見せるなら、褒められている点です。指摘されている点を隠すのではなく、口コミへの返信で事実を書いておくと、動画との食い違いが小さくなります。
見学予約へ進むボタンが、スマホで押せるか
マップの会場ページには、電話や公式サイトへのリンク、予約へのリンクを置けます。リンク先が古いフェアのページになっていないか、電話番号が営業時間外にもつながらない番号ではないかを確かめます。
動画を見て、夜に検索する二人は多いはずです。夜に押したボタンが「ただいま営業時間外です」で終わると、そこで止まります。夜でも、公式サイトのフォームか、LINEか、どれか一つは入口が開いている状態にしておきます。
公式サイトで、点検する3つのこと
動画の次に見る1画面が、動画の続きに見えるか
動画で見た雰囲気から、公式サイトの最初の1画面に移ったとき、同じ会場だと感じられるか。ここは、実際にやってみるのが一番早いです。動画を一本見て、そのまま式場名で検索し、サイトを開く。10秒で、違和感が分かります。
サイトのトップの最初の1画面に何を置くかは、別の記事で書いています。この記事で足すのは、動画で出てきた場面を、サイトにも1枚置くという考え方です。動画の中でいちばん反応が多かった場面の写真を、トップの近くに置いておくと、二人は「あの動画の会場だ」とつながります。
動画で触れた疑問の答えが、サイトにあるか
動画の中で「少人数でもできます」と言ったなら、サイトにも少人数の人数帯と、その目安の総額があるか。「雨の日も安心です」と言ったなら、雨の日の写真と動線の案内があるか。
動画は短いので、一つの疑問にしか触れられません。その続きを知りたくなった二人が開くのが、サイトです。動画で触れた疑問の数だけ、サイトの中に答えがあるかを一覧にして、足りないものから書き足します。
見学予約のボタンが、最初から最後まで同じ名前か
動画から来た二人は、まだ「見学に行く」と決めていないことがほとんどです。「フェア予約」というボタンより、「会場を見てみる」「まず話だけ聞く」のような、軽い言い方のほうが押しやすい二人もいます。名前の付け方は別の記事で扱っているので、ここでは詳しく書きませんが、動画の言葉とボタンの言葉の温度がそろっているかだけは確かめてください。
仮の数字で、点検の順番を決める
ここから、仮の数字で計算します。実績ではなく、考え方を見るための数字です。
仮に、動画を見て気になった二人が、ある月に100組いたとします。そのうち式場名を検索する二人が30組だったとします。検索した二人のうち、受け皿の画面(検索結果、マップ、公式サイト)で閉じずに見学予約まで進む二人の割合を、仮に20%としたら、予約は6組です。
もし受け皿を直して、この20%が40%になったとしたら、予約は12組になります。動画の本数を増やさなくても、予約は倍になる計算です。
では、動画を2倍に増やしたらどうか。気になった二人が200組に増え、検索する割合が同じ30%、受け皿が20%のままなら、予約は12組です。結果は同じ12組ですが、動画を2倍作る工数がかかっています。
これは、仮の数字で置いた計算なので、実際には、受け皿の改善で倍になることも、ほとんど動かないこともあります。ここから言えるのは、「動画を増やす」と「受け皿を直す」は、別々の打ち手で、どちらが安く効くかは、いまの受け皿の状態で決まる、ということです。受け皿に穴がたくさんある会場は、直すほうが安く済みます。穴がほとんどない会場は、動画を増やすほうに回ってよい。それだけの話です。
自分の会場の数字を測る方法
仮の数字を、自分の数字に置き換えるには、次の二つを見ます。
一つ目は、式場名の検索回数です。Googleのサーチコンソールで、式場名を含む検索語の表示回数と、クリック数を見られます。動画を出した週の前後で、この数字がどう動くかを見ます。動画を出していない週と比べて、式場名の検索が増えていれば、動画が検索を生んでいます。
二つ目は、見学予約のフォームで聞く「このページに来る前に、何で当会場を知りましたか」の選択肢です。ここに「動画(TikTokなど)」を一つ入れておくと、動画で知った二人の予約数が、直接数えられます。選択肢の作り方は、リール動画の記事で書いたものと同じ考え方でよいです。
この二つを3か月ほど見て、検索が増えているのに予約が増えていなければ、受け皿に穴があります。検索も増えていなければ、動画のほうに手を入れます。この見分け方があるだけで、次に何を直すかを迷わなくなります。
点検は、月1回のスマホ確認で足ります
ここまでの点検は、特別な道具を使いません。月に1回、担当者のスマホで、次の順に見るだけです。
- 式場名で検索して、公式サイトが1画面目に出ているか
- 動画で使っている呼び名で検索して、同じ会場が出るか
- Googleマップを開いて、写真の1枚目、最近の口コミ、ボタンのリンク先を見る
- 公式サイトを開いて、動画の場面とつながる写真があるか
- 夜の時間帯に、予約の入口が一つ開いているか
5項目を見るのに、30分もかかりません。見るのは、動画を企画する人ではなく、できれば見学予約の対応をしている人にしてください。二人から「動画を見ました」と言われた経験のある人は、どこで迷う二人が多いかを知っています。
受け皿が整っていないときの、動画の始め方
受け皿に穴が多く、すぐには直せないときもあります。その場合は、動画を始めてもよいのですが、次の二つを守ります。
一つは、動画の本数を決めて少なく始めることです。週1本、3か月で12本、のように上限を決めます。受け皿に穴があるまま本数を増やすと、気になった二人を取りこぼす数も増えていきます。
もう一つは、動画の内容を、受け皿に答えがあるものに限ることです。いまのサイトに料金の帯が載っているなら、料金の疑問に触れる動画を。会場の人数の目安が載っているなら、人数の疑問に触れる動画を。サイトにない答えを動画で約束すると、検索した二人が答えを見つけられません。
まとめ
- ショート動画は、見た二人をその場で予約まで運ぶより、式場名の検索を生む役目になりやすい
- 動画を見た二人が次に開くのは、検索結果の1ページ目、Googleマップの会場ページ、公式サイトの3つ
- 検索結果では、公式サイトが1画面目に出るか、動画で使う呼び名とそろっているか、似た名前の別会場に取り違えられていないかを見る
- マップでは、写真の1枚目、口コミと動画の約束の食い違い、夜でも押せる入口を見る
- 公式サイトでは、動画の場面とつながる写真、動画で触れた疑問の答え、ボタンの言葉の温度を見る
- 仮の数字では、受け皿を直すほうが、動画を2倍にするより安く予約を増やせる場合がある。どちらが効くかは受け皿の穴の数で決まる
- 動画を始める前に、月1回のスマホ確認を習慣にしておけば、動画が当たったときに取りこぼさない
