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式場サイトの電話ボタンは、タップ数でなく通話成立数で数える

結婚式場の公式サイトには、たいてい電話ボタンがあります。スマホで押すと、そのまま発信できるボタンです。広告やSEOの成果報告に「電話ボタンのタップ数」が載っている会場も多いと思います。

僕は、このタップ数を「問い合わせの数」として読むのは危ないと考えています。押された数と、実際に会場の誰かが出た数は、別の数字だからです。この差を見ずに広告費の判断をすると、費用対効果をよく見せすぎたり、逆に悪く見せすぎたりします。

この記事では、電話ボタンの数え方を「押された」「つながった」「予約になった」の3段階に分けて、広告費の判断がどう変わるかを整理します。なお、本文の数字は説明のために僕が置いた仮のものです。業界の平均値ではないので、自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

電話ボタンのタップ数は、問い合わせ数ではない

公式サイトの電話ボタンは、押されると端末の発信画面が開きます。解析ツールは、このボタンが押されたことを数えます。数えているのは「押された」という動作までで、そのあとに電話がつながったかどうかは、解析ツールからは見えません。

押されたのに、つながらないことはいくつかの形で起きます。

  • 営業時間外や定休日に押された。誰も出ない
  • 見学の対応中で、電話に出られなかった
  • 発信画面が開いたところで、押した本人がやめた
  • 間違えて押した。ページをスクロール中に当たった

どれも、押した側に悪気はありません。ただ、会場側の数字には「電話の問い合わせが1件増えた」と見えます。

逆の見落としもあります。サイトを見てから、ボタンを使わずに番号を打って電話する人もいます。紙のパンフレットで番号を見た人や、地図アプリの番号から発信する人もいます。この電話は、ボタンのタップ数には入りません。つまり、タップ数は多く出る要因と少なく出る要因の両方を持っています。

3段階に分けると、何が見えるか

僕がおすすめするのは、電話の数え方を3段階に分けることです。

  1. 押された数:電話ボタンのタップ数。解析ツールで分かる
  2. つながった数:会場の誰かが出て、会話になった電話の数。電話機の着信履歴か、通話ログで分かる
  3. 予約になった数:その電話から見学の予約が入った数。受付台帳で分かる

この3つを並べると、どの段階で何が減っているかが見えます。1から2の間で減っているなら、電話に出られていないことが課題です。2から3の間で減っているなら、電話での案内のしかたが課題です。タップ数しか見ていないと、この区別がつきません。

仮の数字で、広告費の判断を比べる

簡単なモデルで確かめます。数字はすべて仮定です。

  • 月の広告費:30万円
  • この広告経由で、電話ボタンが押された数:200回
  • つながった電話の割合:60%
  • つながった電話のうち、見学予約になる割合:35%

これで計算すると、次のようになります。

段階 件数 1件あたりの広告費
押された 200件 1,500円
つながった 120件 2,500円
予約になった 42件 約7,100円

タップ数で見ると、1件1,500円で問い合わせが取れているように見えます。予約で見ると、1件あたり約7,100円です。同じ広告でも、どの数字を分母にするかで、費用対効果の見え方が4倍以上変わります。

ここで、媒体Aと媒体Bを比べる場面を考えます。媒体Aは平日昼間の閲覧が多く、電話がつながりやすい。媒体Bは夜に見られることが多く、押されても会場が閉まっている時間が長い。仮に媒体Aのつながる割合を80%、媒体Bを40%、押された数はどちらも200回とします。広告費が同じなら、タップ数ではAとBは並びます。しかし、つながった数はAが160件、Bが80件で、2倍の差がつきます。タップ数だけで媒体を比べると、Bを過大評価します。

逆の誤りもあります。タップ数が少ない媒体を「効果がない」と判断して止めたところ、実はその媒体の電話は、つながった割合が高く、予約になる割合も高かった、という場合です。押された数が少なくても、つながって予約になる数が多ければ、その媒体は効いています。

つながらなかった電話は、いちばん取りこぼしが大きい

押されたのにつながらなかった電話は、数字上は「問い合わせ」ですが、実際には何も起きていません。二人は、つながらなければ、かけ直す手間を考えて、別の式場に当たります。かけ直してくれる二人は少ないと考えたほうが安全です。

先ほどの仮の数字で、つながった割合が60%から80%に上がるとどうなるか。押された数が同じ200回なら、つながる電話は120件から160件に増えます。予約になる割合が同じ35%なら、予約は42件から56件です。広告費は変わらないまま、予約が14件増えます。1件あたりの広告費は約7,100円から約5,400円に下がります。

つまり、広告の配分を変えなくても、電話に出られる体制を整えるだけで、費用対効果は変わります。つながった割合は、広告の成果ではなく、会場側の体制の成果です。タップ数と一緒に数えないと、この改善の余地が見えません。

つながらなかった電話への対応は、別の記事(見学中に取れなかった電話の折り返し)で扱いました。ここで言いたいのは、折り返しの前に、つながらなかった電話の数そのものを数えているか、という点です。

月1回の数え方

ここからは、実際の数え方です。月に1回、次の手順で十分だと思います。

1. 押された数を出す

解析ツールで、電話ボタンのタップ数を、流入元(広告、検索、SNS、媒体など)ごとに出します。流入元で分けないと、媒体別の判断に使えません。

2. つながった数を出す

電話機の着信履歴を、同じ月で出します。通話の長さが短すぎるもの(5秒未満など)は、つながったとは数えず、別に分けます。着信履歴に、どの流入元かは残りません。そこで、受付で「サイトをご覧になってお電話いただきましたか」と聞く1問を決めて、台帳に記録しておきます。この1問が、電話を流入元に結びつける唯一の手がかりになります。

3. 予約になった数を出す

受付台帳から、電話で入った見学予約を数えます。台帳の備考に、流入元の1問の答えが残っていれば、媒体別に出せます。

4. 並べて、差を見る

3つの数字を、流入元ごとに表にして並べます。見るのは、次の2つの比率です。

  • 押された数に対する、つながった数の割合
  • つながった数に対する、予約になった数の割合

前者が低い流入元は、電話に出られない時間帯に押されている可能性が高いと言えます。後者が低い流入元は、電話の案内の質か、見学で聞きたいことが違っている可能性があります。

よくある読み違い

数え方を変えたときに、起きやすい読み違いが3つあります。

着信履歴の数は、押された数と必ずしも比べられない

押された数と着信履歴の数は、数え方の起点が違います。ボタンを使わずに番号を打った電話は、着信履歴には入るのにタップ数には入りません。パンフレット経由や地図アプリ経由の電話も同様です。着信履歴の数が押された数より多くても、おかしくはありません。

この場合は、比率で見るのではなく、受付の1問で「サイト経由」と答えた電話に絞って比べます。そうしないと、つながった割合が100%を超えるような数字が出て、解釈できなくなります。

1か月だけで、結論を出さない

月のタップ数が200回程度だと、1か月の増減は偶然でも大きく動きます。つながった割合が60%から70%に変わっても、それが体制の改善なのか、たまたま平日の昼に押された数が多かっただけなのかは、1か月では判断できません。3か月くらいは同じ数え方を続けて、傾向で見ます。

数えること自体が目的になる

3段階で数える目的は、電話の体制と広告の配分を、実際の予約に結びつけて判断することです。表を作ることが仕事になってしまうと、続きません。受付の1問は、1日の電話の数が少ない会場では、全員に聞けます。多い会場では、聞くタイミングを決めて、聞けた分だけで構いません。完全な数字を目指すより、毎月同じ方法で数えるほうが、比較には役立ちます。

数えたあとに、何を動かすか

数字が並んだら、動かすものを1つだけ決めます。

  • 押された数に対するつながった割合が低い。営業時間外の発信が多いなら、時間外の案内(予約フォームへの誘導、営業時間の表示)を電話ボタンの近くに出す。日中に出られていないなら、出る人と時間帯を決める
  • つながった数に対する予約の割合が低い。電話で案内するときに、見学の日程を2つ出すところまで進めているかを確かめる
  • 流入元によって、つながった割合が大きく違う。広告の配信時間帯を、会場が電話に出られる時間に寄せる

一度に全部は動かしません。動かすのは1つで、結果は次の月の3つの数字で確かめます。

まとめ

  • 電話ボタンのタップ数は「押された」という動作の数で、問い合わせ数ではない。営業時間外や不在で、つながらなかった分が混ざる
  • ボタンを使わずに番号を打った電話は、タップ数に入らない。タップ数は、多く出る要因と少なく出る要因の両方を持つ
  • 電話は「押された」「つながった」「予約になった」の3段階で数える。減っている段階で、課題が分かれる
  • 仮の計算では、同じ広告費でも、分母をタップ数にするか予約数にするかで、1件あたりの費用が4倍以上違って見える
  • タップ数が同じでも、つながる割合が違えば、媒体の評価は入れ替わる。タップ数だけで媒体を止めたり増やしたりしない
  • つながった割合は、会場側の体制の成果。広告の配分を変えなくても、電話に出られる体制で費用対効果は変わる
  • 流入元を知る手がかりは、受付の1問。月1回、3段階を流入元ごとに並べ、動かすものを1つだけ決める