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式場サイトの料理ページは、フェア試食と披露宴の違いを書く

式場の公式サイトに、料理のページはありますか。あるとしたら、そこには何が載っていますか。多いのは、コース料理の名前、きれいに盛り付けられた皿の写真、「シェフ自慢の」「旬の食材を使った」といった説明文です。写真は美しく、不足はなさそうに見えます。

ただ、このページには、二人が見学の前にいちばん知りたいことが書かれていないことがあります。それは、ブライダルフェアで食べる試食と、自分たちの披露宴で出る料理は、同じものなのかという点です。この記事では、料理ページにその違いを書くべきかを、来館が減る損と、見学後の離脱が減る得を並べて考えます。

先に言っておくと、今回は式場サイトの料理ページの書き方と成約の関係を示す、全国で通用する公開の数字を、僕は見つけていません。使う数字は2種類です。1つはゼクシィ結婚トレンド調査2024の試食の評価、もう1つは僕が置いた仮の数字です。仮の数字は、実在のデータではないと分かる形で書きます。

二人は試食で何を確かめているのか

まず、試食が二人にとってどういう場なのかを確認します。ゼクシィ結婚トレンド調査2024(全国版)では、ブライダルフェアに参加した人が「役に立った」と答えた体験で、会場見学と並んで試食が81.1%に入っています。模擬挙式などの体験より、はるかに高い数字です。フェアの中で、試食は二人が「ここで決めてよいか」を判断する材料として、かなり重く使われていると読めます。

では、二人は試食で何を確かめているのでしょうか。おいしいかどうかは、もちろん見ています。ただ、それと同じくらい大きいのは、次の問いです。

  • 当日、ゲストにこの料理が出るのか
  • 量は足りるのか。ゲストが帰りにお腹を空かせたりしないか
  • 温かいものは温かいうちに、冷たいものは冷たいうちに出るのか
  • 自分たちの予算の範囲で、このレベルの料理になるのか

つまり、試食は「味見」であると同時に、披露宴の料理の見本として見られています。見本が実物と違えば、二人は後から気づきます。契約したあとの試食や打ち合わせで、「あのとき食べたものと違う」と感じたとき、それは料理への不満にとどまらず、式場への不信になります。

式場側にも、事情はあります。フェアの試食は、少人数分を厨房が丁寧に仕上げた特別な皿であることが多く、披露宴で何十人分を同時に出す皿とは、作り方も、盛り付けも、提供のタイミングも違います。この違いは、悪意があるわけではなく、仕組みとして必ず出ます。問題は、違いがあること自体より、違いを二人に伝えていないことです。

違いを書くと、何が起きるのか

料理ページに、たとえば次のような一文を足したとします。

「フェアの試食は、披露宴のコースから主な料理を一人分ずつ仕上げたものです。当日は人数分を同時に出すため、盛り付けは少し簡素になり、デザートは別の皿になることがあります」

読んだ二人は、2通りに分かれます。

  • 「正直に書いてある」と感じ、試食に来る二人。見本と実物の差を最初から知っているので、試食でも「これより少し簡素なんだな」と読み替えて見てくれます
  • 「それなら、写真のような料理は出ないのか」と感じ、予約を迷う二人

後者の二人は、写真だけを見て期待を高めていたぶん、がっかりして離れます。ここで来館が減ります。これが、違いを書く損です。

得は、見学のあとに出ます。違いを知ったうえで来て、試食を食べて、「思っていたとおりだ」と感じた二人は、契約後に「聞いていない」と言い出しにくくなります。それ以前に、見学の途中で「やっぱり違う」と感じて離れる二人が減ります。成約までの途中で消える二人が減る、という形の得です。

大事なのは、損が先に来て、得が後から来ることです。ページを変えた翌週に、予約が減ったことだけが目に入ります。得の側は、見学後の成約率というもっと遅い数字に出るので、気づきにくくなります。この時間差があるので、先に損得の分かれ目を計算しておく意味があります。

仮の数字で、分かれ目を計算する

置く前提は次のとおりです。すべて想定の数字で、実在のデータではありません。

  • 月のフェア来場は100組
  • いまの成約率は25%(月25件)
  • 違いを書くと、予約をやめる二人が一定の割合(d)で出る
  • 違いを書いた版では、来場した二人の成約率が上がる

回収の条件は、来場が(1−d)に減ったあとでも、成約件数が月25件を下回らないことです。式にすると、新しい成約率は 25% ÷ (1−d) 以上になれば元が取れます。

  • d=3%(予約をやめる二人が3組): 成約率が25.8%以上(+0.8ポイント)なら回収
  • d=5%(5組): 26.3%以上(+1.3ポイント)
  • d=10%(10組): 27.8%以上(+2.8ポイント)
  • d=15%(15組): 29.4%以上(+4.4ポイント)
  • d=20%(20組): 31.3%以上(+6.3ポイント)

読み取れることは2つです。

1つ目は、予約をやめる二人が数組なら、成約率が1ポイント前後上がれば元が取れるということです。成約率の1ポイントは、来場100組で成約が1件増えるかどうかの差です。見学後に「違う」と感じて消える二人が、月に1〜2組減れば届く範囲です。

2つ目は、予約をやめる二人が2割にもなると、成約率を6ポイント以上上げないと元が取れないということです。このときは、書き方が強すぎるか、書いている内容が実態より厳しすぎる可能性があります。次の章で、書き方を見直します。

もちろん、3%や5%という割合も、僕が置いた想定です。実際の式場では、料理ページを見て予約する二人の割合も、違いを知って離れる二人の割合も違います。この計算で見てほしいのは数字そのものではなく、予約が1割減るなら、成約率を約3ポイント上げる必要がある、という釣り合いです。

書き方で、損を小さくする

予約をやめる二人を増やさずに、違いを伝えるには、書き方に条件があります。

1. 違いを「劣る点」でなく「条件」として書く

「当日は簡素になります」と書くと、劣る話に読まれます。「人数分を同時に出すため、温かいものを温かいうちに出す工夫をしています。そのかわり、フェアの試食より皿数が一部減ります」のように、違いと、違いの理由と、式場がしている工夫を、ひとかたまりで書きます。

二人が知りたいのは、違いがあるかどうかより、違いがあっても納得できるかどうかです。理由を添えると、納得できる二人が増えます。

2. 同じところも書く

違いだけを書くと、不安を煽る形になります。同じところも並べます。

  • 食材と調理法は、フェアの試食と披露宴のコースで同じ
  • ソースやスープの味つけは同じ
  • 量は、フェアは一人分のお試しサイズ、披露宴は大人一人あたりのコースの量

こうして同じところを先に出せば、違いの部分が小さく見えます。「少し違うのは盛り付けと皿数だけ」と読める書き方です。

3. 変えられる部分を書く

試食で気に入った料理を、披露宴でどこまで再現できるか。ここを書けると、二人は安心します。たとえば「試食で気に入った一品は、コースの中の同じ位置に入れられます」「アレルギーや食べられない食材は、前もって代替の皿に変えます」のように、二人の希望がどこまで通るかを書きます。

これは、料理ページが「見せる場」から「約束する場」に変わる部分です。写真は、見せるだけで約束にはなりません。変えられる範囲を書いた文章は、約束になります。

4. 数字の約束は、確実に守れるものだけにする

「量はゲスト一人あたり〇〇グラム」「皿数は7皿」のような数字は、書けば強い約束になります。同時に、守れなかったときの傷も大きくなります。料理長と事前に確認して、季節や食材の入荷で変わる部分は幅を持たせて書きます。「7皿前後」「季節の食材により入れ替わります」のような書き方です。

書く前に、自分の式場で確かめる3つのこと

違いを書くと決める前に、自分の式場の実態を確認します。広告費はかかりません。

1. フェアの試食と披露宴の料理は、実際にどこが違うのか

厨房に確認します。皿数、量、盛り付け、提供の温度、デザートの出し方。項目ごとに、同じか違うかを表にします。違いが少ないなら、書くことは「同じです」という強い約束になります。違いが多いなら、書く前に、違いを減らせないかを料理長と話します。

2. 契約後の試食やゲストの声で、料理について何と言われているか

契約後の2回目の試食や、披露宴後のアンケートに、料理についてのコメントがあるなら読みます。「フェアで食べたものと違った」「量が思ったより少なかった」といった声が出ているなら、違いを先に書く価値があります。逆に、そうした声がほとんど出ていないなら、すでに期待どおりの料理が出ていて、書く必要は小さいかもしれません。

3. 見学当日の試食のあとの二人の反応

見学の担当者に、試食のあとに二人がどんなことを聞くかを書き出してもらいます。「これは当日も同じですか」「量は、もう少し多いですか」といった質問が出ているなら、それは二人がサイトで答えを見つけられなかった問いです。質問の多い順に、料理ページに書く項目を決められます。

どこに書くのか

違いを書く場所は、料理ページの中でも、置き方で効果が変わります。

  • 料理の写真のすぐ下に、小さな注記として置く。写真を見て期待した二人に、その場で伝えられます
  • 試食付きフェアの予約ページにも、一文だけ置く。予約する前に知っていてもらえます
  • 見学当日の試食の席で、スタッフが口頭でも伝える。サイトで読んだ二人にも、読んでいない二人にも届きます

書く場所を絞るなら、いちばん効くのは写真の直下です。写真が期待を作る場所で、期待の置き場所を整える形になります。

変えたあとに、どう確かめるか

変えたら、見るのは3つです。

  • 試食付きフェアの予約数。損の側の数字です。変える前の4週間と、変えたあとの4週間で比べます
  • 見学後の成約率。得の側の数字です。ただし、成約までには数週間かかるので、少なくとも2か月は追います
  • 契約後の「聞いていない」の件数。料理についての問い合わせ・クレームがどう動くかを、変える前の2か月と比べます

予約数は、月に100組の来場でも、1週間に20〜25件です。1週間の増減で動かさず、4週間で比べます。変える日に、戻す基準も決めておきます。たとえば、予約が2割以上減って、2か月たっても成約率が上がらないなら戻す。基準を先に置かないと、数字が少し下がっただけで元に戻して、何も分からなかったということになります。

まとめ

  • ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、フェアで役に立った体験として試食が81.1%。試食は、披露宴の料理の見本として見られている
  • フェアの試食と披露宴の料理は、仕組みとして必ず違いが出る。違いそのものより、伝えていないことが不信のもとになる
  • 違いを書くと、予約をやめる二人が出る損が先に来て、見学後の離脱や契約後の「聞いていない」が減る得が後から来る
  • 仮の数字では、月100組・成約率25%で、予約をやめる二人が5組なら成約率が約1.3ポイント、10組なら約2.8ポイント上がれば元が取れる
  • 書き方は、劣る点でなく条件として、同じところも並べ、変えられる範囲を書き、数字の約束は守れるものだけにする
  • 書く前に、厨房で違いを表にし、契約後の声と見学当日の質問を確かめる
  • 場所は、写真の直下と、試食付きフェアの予約ページが効く。4週間で予約数、2か月で成約率、契約後の「聞いていない」を追う