式場のフェア一覧は日付順か体験別か|予約ページの並べ方の決め方
公式サイトのフェア一覧を、日付の早い順に並べている式場は多いです。カレンダー形式にしている会場もあります。一方で、「試食つき」「模擬挙式つき」「ドレス試着つき」と、体験の種類ごとにカードを並べる会場もあります。
どちらが正しいかは、会場の事情では決まりません。決めるのは、そのページを開く二人が、何から探しているかです。「行ける日」から探す二人には日付順が効き、「見たい体験」から探す二人には体験別が効きます。結論から書くと、自社の来訪者がどちらに偏っているかを数えてから並べ方を決めるのがいいと思っています。
この記事の数字は、会場も人数も予約率も、すべて僕が置いた仮のものです。業界の平均ではありません。自分の会場の数字に置き換えて読んでください。
一覧の並べ方で、二人の最初の動作が変わる
フェア一覧を開いた二人が最初にやることは、並べ方によって違います。
日付順の一覧では、二人はまず上から日付を目で追います。自分の休みの日を探し、その日のフェアを開き、中身を見て、よければ予約します。日付が出発点です。
体験別の一覧では、二人はまずカードの題名を読みます。「試食フルコース」「模擬挙式」と書かれたカードのなかから気になるものを選び、そのカードの開催日を見て、都合が合えば予約します。体験が出発点です。
出発点が違うと、取りこぼす人も変わります。日付順に並べたとき、取りこぼしやすいのは「どれに行くかをまだ決めていない」二人です。日付の列を見ても、中身の違いが分からないからです。体験別に並べたとき、取りこぼしやすいのは「この週末しか空いていない」二人です。カードごとに日付を確かめて回る手間がかかります。
つまり、どちらの並べ方も、ある探し方の人には親切で、別の探し方の人には少し不親切になります。会場側にできるのは、親切にしたい側を選ぶことと、両方に最低限の逃げ道を作ることです。
来訪者の偏りは、自社のデータで見分けられる
「うちの来訪者はどちら寄りか」は、感覚で決めると外れます。見分ける材料は、手元にあります。
予約フォームの希望日が先に決まっているか
予約の入口を調べます。予約フォームに「希望日」だけを入れてくる人が多いか、「フェアの種類」を選んでから日付を入れる人が多いか。フォームの入力順と、ログの記録を見れば分かります。予約システムにフェア種別の項目があれば、種別を選んだ順番がそのまま探し方の記録になります。
流入元の違いを見る
検索から来る人と、SNSから来る人では、探し方が違う傾向にあります。ただしこれは僕の見立てで、確かめた数字はありません。たとえば、検索で「会場名 フェア 土日」のように日付に近い言葉で来る人は、日付から探していると読めます。「会場名 試食」「会場名 模擬挙式」で来る人は、体験から探していると読めます。Search Consoleで、フェアのページに入ってきた検索語を見てください。言葉の側に日付が多いか、体験が多いか。それだけで、おおまかな偏りは分かります。
問い合わせの文面を読む
電話やLINEの最初の一言も材料です。「今度の土日に行けるフェアはありますか」で始まる問い合わせが多いのか、「試食ができるフェアはありますか」で始まるのか。月に20件ほど読めば、偏りはかなり見えます。数字にこだわらなくて構いません。件数の多い側を、親切にしたい側に選びます。
仮の数字で、並べ方による予約数の違いを見る
並べ方で予約数がどれだけ変わりうるかを、仮の数字で確かめます。置いた前提は次のとおりです。
- 月に1,000人が、フェア一覧のページを開く
- そのうち6割が、日付から探す二人。残りの4割が、体験から探す二人
- 一覧の並べ方ごとに、二人が予約まで進む割合は下の表のとおり(すべて仮)
- 予約した二人の7割が来館し、来館した二人の25%が成約する
| 一覧の並べ方 | 日付から探す人の予約率 | 体験から探す人の予約率 |
|---|---|---|
| 日付順だけ | 12% | 6% |
| 体験別だけ | 8% | 10% |
| 日付順と体験別を切り替えられる | 11% | 9% |
この前提で、日付から探す人が6割のとき、1,000人からの予約は次のようになります。
- 日付順だけ:96件。来館が約67件、成約が約16.8組
- 体験別だけ:88件。来館が約62件、成約が約15.4組
- 切り替え型:102件。来館が約71件、成約が約17.9組
日付から探す人が4割に減ると、順位が入れ替わります。
- 日付順だけ:84件。成約が約14.7組
- 体験別だけ:92件。成約が約16.1組
- 切り替え型:98件。成約が約17.2組
この計算で見てほしいのは、二つあります。
一つ目。偏りが6割か4割かで、日付順と体験別の優劣が逆になります。差は1.4組から1.5組ほどで、小さいように見えますが、これは1か月の数字です。1年続けると、17組から18組の差になります。1組の粗利が数十万円なら、並べ方だけで年に数百万円の違いが出る計算です。もちろん、予約率の差を僕が仮に置いているので、実際にこの差が出るとは限りません。差が出るかどうかを、自社で確かめる価値がある、という話です。
二つ目。切り替え型は、どちらの偏りでも最も高く出ています。これは、偏りを間違えたときの保険になるからです。ただし、この予約率も仮です。切り替え型は画面が複雑になり、スマホで迷う人が増えて、かえって予約率が下がる会場もあるはずです。そこは次の節で扱います。
切り替え型にすると崩れる場面
日付順と体験別を両方出す切り替え型は、保険としては強いです。でも、作り方を間違えると、どちらにも効かない一覧になります。
崩れやすいのは、フェアの数が少ない会場です。月に4回しか開かないのに、切り替えタブを付けても、体験別に並べる中身がありません。カードが2枚、3枚しか出ないなら、体験別の画面は日付順の画面と見分けがつきません。この規模なら、日付順に一本化して、各日のカードに体験の見出しを大きく添えるほうが分かりやすいです。
もう一つ、スマホで切り替えボタンが小さく、気づかれない場合もあります。二人の多くはスマホで見ています。タブの存在に気づかなければ、最初に表示された並べ方が、そのまま唯一の並べ方になります。切り替え型にするなら、最初に表示する側を、偏りの大きい側に合わせます。
迷ったときは、スマホの実機で自分の会場の一覧を開いてみてください。画面を一度もスクロールせずに、直近のフェアが2件見えるか。切り替えのタブが親指で押せる大きさか。パソコンの管理画面で見ているだけでは、ここは分かりません。僕の見る限り、一覧の最初の画面に何が出るかで、二人が次に押すボタンはほぼ決まります。
どちらの並べ方でも、カードに載せるもの
並べ方を決めても、カードの中身が薄ければ予約は動きません。日付順でも体験別でも、カードには次の四つを、開かなくても読める位置に置きます。
開催日と開始時刻。所要時間。その回で体験できること。残りの枠が少ないかどうか。
所要時間は、とくに抜けやすい項目です。二人は、見学のあとに別の式場を予約していたり、昼ごはんの予定を入れていたりします。「約2時間」と書いてあれば、午前に入れるか午後に入れるかをその場で決められます。書いていなければ、カードを開いて探すか、諦めるかです。
残り枠は、煽りにならない範囲で出します。「残り2組」と事実を書くのは構いませんが、毎回同じ数字を出し続けると、嘘に見えます。実際の予約数と連動させられないなら、枠の表示は出さないほうが安全です。
並べ方を決める手順
ここまでの話を、会場の規模ごとの手順にします。
月のフェア開催が4回以下の会場は、日付順に一本化します。そのうえで、各日のカードの先頭に、その日の体験を一言で書きます。「試食フルコースつき」のように、カードを開かなくても中身が分かる書き方にします。体験から探す人も、これで日付の列から選べます。
月に8回以上開く会場は、偏りを数えてから決めます。日付から探す人が多いなら日付順を最初に出し、体験の絞り込みを上に置きます。体験から探す人が多いなら体験別を最初に出し、各カードの下に直近3日分の開催日を並べて、予約ボタンを日付ごとに置きます。どちらも、もう一方の探し方の逃げ道になります。
偏りが分からない会場は、まず切り替え型で始めて、タブごとの予約数を2か月数えます。どちらかが2倍以上多ければ、少ないほうのタブを残しつつ、最初の表示を多いほうに変えます。
並べ方を変えたら、見るのは予約数だけではない
並べ方を変えたとき、予約数が増えたかどうかだけ見て、安心するのは早いです。見るべき数字が、あと二つあります。
一つは来場率です。体験別に並べると、予約はしたけれど日付を急いで選んだ二人が増えて、当日に来ない人も増えることがあります。予約数が10%増えても、来場率が下がって来館数が変わらないなら、効果は出ていません。
もう一つは、フェア種別ごとの成約率です。体験別にしたことで、試食だけを目当てにした二人が増え、成約率が下がることがあります。ブライダルフェアの試食を無料にするかどうかは別の記事で書きました。体験を目当てに集まる二人は、会場を選ぶ理由が試食だけになりやすいので、成約まで追いかける数字は、予約数ではなく成約数にします。
測るのは、変更前の4週間と変更後の4週間です。季節が変われば来訪者の質も変わるので、同じ月の前年と比べられるなら、それも併せて見ます。ここでも、偏りが小さいなら差は出ません。差が出なかった場合は、並べ方より、カードの題名や写真に原因があると考えます。
まとめ
- フェア一覧の並べ方は、二人が最初に何から探すかで決める。日付から探す人には日付順、体験から探す人には体験別が効く
- 来訪者の偏りは、予約フォームの入力順、フェアのページに入ってきた検索語、問い合わせの最初の一言で見分けられる
- 月のフェア開催が4回以下なら日付順に一本化し、各日のカードに体験を一言で書く
- 月に8回以上なら、偏りを数えてから最初に出す側を決め、もう一方に逃げ道を置く
- 並べ方を変えたら、予約数に加えて来場率とフェア種別ごとの成約率を、4週間ずつ比べる
- 一覧の並べ方は、予約の入口で最初に二人を迎える作業になる。会場の都合ではなく、来訪者の探し方に合わせる
