式場サイトの挙式実例は新着順より人数帯別に並べる条件
式場の公式サイトには、「挙式実例」や「Wedding Report」のページがあるところが多いです。僕が見る範囲では、新しく撮れたものから順に並べている式場が目立ちます。更新した感じが出て、運用も楽だからです。
この記事で言いたいのは、新着順のままだと、二人が「自分たちの人数の実例」に出会えないことがある、という話です。実例は写真の見本ではなく、「うちの人数でも、この会場でちゃんと形になるのか」を確かめる材料として見られている、と僕は考えています。人数帯で分けて並べるかどうかは、会場の人数の幅と、実例の偏りで決まります。その条件を、仮置きの数字で順番に見ていきます。
先に断っておくと、調査の数字として使うのは、ゼクシィ結婚トレンド調査2024の招待客人数の分布だけです。実例の件数や、一覧を見る二人の行動の数字は、僕が置いた仮のものです。自分の会場の数字に置き換えて読んでください。
二人が実例ページで探しているもの
見学を迷っている二人が実例ページを開くとき、新しい順に眺めたいわけではありません。聞きたいのは、次のような問いです。
- うちと同じくらいの人数で、この会場はどう見えるのか
- 人数が少ないと、広い会場でがらんとしないか
- 人数が多いと、席の間隔や動線は窮屈にならないか
つまり、実例を読んで確かめたいのは「自分たちの条件でも成り立つか」です。写真がきれいかどうかの前に、人数が近いかどうかで、見る価値が決まります。
ここで、新着順の一覧がどうなるかを考えます。直近の半年に撮れた実例が、たまたま80人規模の披露宴ばかりだったとします。30人の二人が一覧を開くと、並んでいるのは大きな宴会場に大きなテーブルを並べた写真ばかりです。30人だとどうなるのか、一覧のどこを見ても分からない。スクロールを続ける二人もいれば、そこで閉じて次の式場のページを開く二人もいるはずです。
この離脱は、式場側からは見えません。問い合わせフォームに到達しなかっただけで、アクセス解析では「実例ページの離脱」の1件に埋もれます。
全国の人数の分布は、3つの帯に分けられる
人数帯をどう切るかが、最初の判断です。ゼクシィ結婚トレンド調査2024(リクルートブライダル総研)によると、披露宴・ウエディングパーティーの招待客人数の平均は52.0人です。分布を見ると、1つの山ではなく、かなり広く散らばっています。
2024年調査の全国の推計値から、帯ごとの割合を足し上げると、次のようになります(人数の無回答3.8%を除く)。
| 人数帯 | 全国の割合 | 内訳(調査の刻み) |
|---|---|---|
| 40人未満 | 32.3% | 10人未満4.3%、10〜20人9.5%、20〜30人8.8%、30〜40人9.7% |
| 40〜70人未満 | 37.1% | 40〜50人11.1%、50〜60人11.9%、60〜70人14.1% |
| 70人以上 | 26.9% | 70〜80人9.6%、80〜90人7.4%、90〜100人3.1%、100人以上は合わせて6.8% |
40人未満が3割強、40〜70人が4割弱、70人以上が3割弱。つまり、どの帯にも二人が一定数います。平均の52人に近い実例だけを並べても、全体の3分の1にしか合いません。
2020年調査(コロナ前)の平均は66.3人で、2021年は42.8人まで下がり、2024年は52.0人まで戻っています。ただ、戻ったとはいえ、人数の分布が元に戻ったわけではなく、20人未満の割合は2021年調査の23.5%から2024年調査の13.9%に下がった一方、80人以上は9.7%から17.1%に増えています。式場に来る二人の人数の幅は、数年前より広いまま動いている、と見るのが自然です。
モデル計算:新着順だと、1画面に自分の帯が出る確率
ここから仮置きの計算です。ある式場の実例が30件あり、人数帯の内訳が次のとおりだとします。
- 40人未満:3件
- 40〜70人未満:9件
- 70人以上:18件
直近で大きな披露宴が続いた式場は、こうなることがあります。この30件が、帯と関係なく並んでいる(新着順なので、実質ランダム)とします。スマホで開いた一覧の1画面に、6件が見えるとします。このとき、二人の人数帯の実例が1画面に1件以上入る確率は、次のとおりです。
| 二人の人数帯 | 掲載件数 | 1画面(6件)に1件以上出る確率 |
|---|---|---|
| 40人未満 | 3件 | 約50% |
| 40〜70人未満 | 9件 | 約91% |
| 70人以上 | 18件 | 約99.8% |
全国の割合(32.3%・37.1%・26.9%)で重み付けして平均すると、約80%です。数字だけ見ると、8割の二人は1画面で自分の帯に出会えるので、悪くなさそうに見えます。
ただ、表の見方は帯別です。40人未満の二人は、2回に1回は1画面目に自分の帯が出ません。しかも、この帯の二人は、家族だけの小さな披露宴を考えていて、「大きな会場に自分たちが入って浮かないか」をいちばん気にしている人たちです。実例で不安を解消できないと、その気持ちを持ったまま別の式場の、小さな会場の写真に流れます。
人数帯別に並べて、各帯の先頭に2件ずつ出す設計にすると、どの帯の二人も、1画面目に自分の帯の実例が必ず出ます(確率は100%)。この場合でも、全体の件数は変わりません。変わるのは、並べ方だけです。
人数帯別にするかどうかを決める3つの条件
ここまでの計算は、実例の偏りが大きい式場を想定していました。全部の式場が人数帯別にすべきだ、という話ではありません。次の3つで決めます。
条件1:会場が受けられる人数の幅
宴会場が1つで、受けられるのが50〜70人だけの会場は、人数帯を分ける意味がありません。実例のほとんどが同じ帯に入るからです。
逆に、小さな会場と大きな会場を併設していて、20人から100人まで受けられる式場は、帯で分ける効果が出やすいです。二人にとって、「この式場は自分の人数を受けられるのか」が最初の関門になるためです。
条件2:実例の偏り
次に、掲載している実例の人数帯を数えます。30件のうち、ある帯が1割(3件)を切っているなら、新着順では埋もれます。逆に、どの帯も3割前後ずつ入っていれば、新着順のままで大きな問題は出ません。
数え方は簡単です。実例ページの一覧を開いて、人数を3つの帯に仕分けして、件数を書き出すだけです。10分もかかりません。
条件3:その帯の実例が足りているか
人数帯別に並べると、足りない帯が一覧の上にそのまま見えるようになります。たとえば、40人未満の実例が1件しかないのに、見出しに「40人未満の実例」と書いたら、逆に「ほとんど受けていない式場だ」と思わせてしまいます。
実例が足りない帯は、見出しを立てずに、次のような扱いにするほうが安全です。
- 実例が3件に満たない帯は、見出しを立てず、一覧の中に混ぜる
- 小規模の実例を増やしたいなら、次の1〜2か月の撮影の優先順位に入れる
- 過去の実例のうち、写真掲載の許諾が取れているものから、該当する帯を探し直す
実例そのものが不足しているときは、並べ方を直しても解決しません。並べ替えるより前に、載せる件数を足すほうが先です。
並べ方の具体策:3つのタブより「人数で絞る」
並べ方には、いくつか選択肢があります。
① 人数帯ごとの見出しを立てて縦に並べる。 1画面目に3つの見出しが並ぶので、二人は自分の帯に飛べます。実例が各帯に最低3件あるときに向いています。
② 人数で絞り込むボタンを置く。 「〜40人」「40〜70人」「70人〜」のボタンを一覧の上に置きます。全件を見たい二人は、そのままスクロールできます。実例が多い式場、たとえば50件以上あるところは、こちらが向いています。
③ 各実例のカードに、人数を大きく書く。 写真の下に「62名」と表示します。並べ方を変えなくても、二人が一覧の中から自分の帯を目で拾えるようになります。最も手軽で、見出しや絞り込みの前に、まずやる価値があります。
僕のおすすめは、③をやったうえで、実例が30件を超えたら①か②に進む順番です。③は写真の説明文の1行を直すだけなので、新着順を崩さずにできます。
「人数」と一緒に書いておくとよい2つの情報
人数だけでなく、次の2つも併記すると、二人の「自分たちの場合」の確かめやすさが上がります。
- 使った会場の名前(大きい会場と小さい会場がある式場の場合)
- 挙式の季節や時間帯(夕方からの挙式は、写真の雰囲気が昼と違うため)
この2つは、二人が「うちと近い」と判断する材料になります。長い説明文は要りません。カードの端に、1行で添える程度で足ります。
実例ページを見直したあと、何を見るか
並べ方を変えたら、効果を見るための数字を1つ決めておきます。僕のおすすめは、実例ページから見学予約ページに進んだ割合です。アクセス解析で、実例ページを見たセッションのうち、予約ページまで進んだ割合を、変更の前後で比べます。
見るときの注意が2つあります。
- 変更の前後で、広告やSNSの出し方が同じ時期に変わっていないか。流入の質が変わると、割合も動きます
- 最低でも4週間は同じ状態で見る。1週間では、予約ページへ進む二人が数十人程度しか集まらず、割合が数ポイント動くのは普通にあることです
月の流入が少ない式場は、割合の変化がノイズに埋もれやすいです。その場合は、比べる数字を1つに絞ります。「実例ページの次に、見学予約ページを開いたかどうか」だけで十分です。成約まで追いかけると、数字が集まる前に判断の時期が来てしまいます。
まとめ
- 式場の挙式実例は、二人が「自分たちの人数でも成り立つか」を確かめる材料になる(僕の見立て)
- 全国の招待客人数は、40人未満が約32%、40〜70人未満が約37%、70人以上が約27%(ゼクシィ結婚トレンド調査2024)。平均の52人に近い実例だけでは、3分の1にしか合わない
- 仮置きのモデルでは、実例の偏りが大きいと、小さい帯の二人は1画面目の約半分で自分の帯に会えない
- 人数帯別にするかどうかは、会場が受けられる人数の幅、実例の偏り、各帯の件数の3つで決める
- 最初にやるのは、各実例のカードに人数を書くこと。実例が30件を超えたら、見出しか絞り込みに進む
- 効果は、実例ページから見学予約ページに進んだ割合を、4週間以上の同じ条件で前後比較する
実例は、載せた枚数ではなく、二人が自分の場合を見つけられたかで効きます。
