式場のGoogle営業時間は、見学の空振りを防ぐ祝日と臨時休業から直す
式場名をGoogleマップで検索すると、会場の写真や口コミの横に「営業中」「営業時間外」と出ます。電話ボタンも、予約リンクも、その下にあります。二人が最初に目にする、公式サイトより前の入り口です。
この表示が実際とずれている会場は、思っているより多いのではないかと僕は考えています。定休日が変わったのに直していない。祝日の三連休に見学を受けているのに「休み」と出ている。臨時で休業したのに「営業中」のままになっている。どれも、会場の中にいる人は気づきません。外から検索した二人だけが当たります。
この記事では、営業時間の表示がずれたときに何が起きるかを仕組みで整理し、前提を置いたモデル計算で損の大きさを見積もります。そのうえで、直す順番と月1回の点検の手順を書きます。結論を先に言うと、直す順番は通常の曜日より、祝日と臨時休業が先です。
出典として使えるのは、Googleビジネスプロフィールのヘルプにある特別営業時間の説明です。会場の営業時間表示のずれと来館数の関係を数字で示した調査は、この記事を書いた時点で確認できませんでした。そのため、数字は前提を置いた計算だけにして、想定だと分かるように書きます。
営業時間の表示は、見学の予約より前に二人を選別します
式場探しの二人は、気になった会場を一度に何か所も見ます。ブライダルフェアの予約は、候補が絞れてからです。その前の段階、つまり「ここ、見学できるのかな」と調べる段階で、Googleの表示は判断材料になります。
営業時間の表示がずれていると、起きることは3つに分かれます。
1つ目は、「営業時間外」と出ているのに実際は開いている場合です。二人は電話をかけずに閉じます。会場には何も記録が残りません。損をしたことに、誰も気づけない形です。
2つ目は、「営業中」と出ているのに実際は休みの場合です。電話をかけて、誰も出ない。呼び出し音が鳴り続ける。二人は、そのまま次の会場に電話します。後から折り返しの電話が入っても、すでに別の会場の予約が入っていることがあります。
3つ目は、来館当日の空振りです。見学の予約を取った二人が会場まで来たら、臨時休業の貼り紙があった。これは予約が取れていた分、損が一番大きい形です。口コミに書かれる可能性もあります。
この3つのうち、1つ目だけは、会場側の記録に何も残りません。電話のログにも、予約フォームにも出ません。だから、点検は「問い合わせの数」を見ても分からず、Googleの表示を自分の目で見に行くしかありません。
ずれが生まれる場所は、通常の曜日より祝日と臨時休業です
通常の曜日の営業時間は、一度設定すれば変わりません。ずれが出るのは、例外のほうです。
- 祝日と連休(ゴールデンウィーク、お盆、年末年始、シルバーウィーク)
- 館内の工事や点検による臨時休業
- 大きな披露宴が入った日の見学受付の短縮
- 会場の定休日の変更(水曜休みから火水休みへ、など)
ここで大事なのは、結婚式場の休みが一般の店舗とずれやすい点です。式場は、土日祝に挙式と披露宴が入ります。見学とフェアも土日祝が中心です。多くの店が休みになる連休に、会場は一番忙しい。逆に、平日の特定の曜日は会場の休みにして、スタッフを交代で休ませる運用も多いです。つまり、Googleが自動で提案する「祝日は休み」という前提と、会場の実際の動きが逆になりやすい。
Googleのヘルプには、祝日や特別なイベントなど、通常と違う営業時間を「特別営業時間」として日付ごとに設定できると書かれています。祝日は、通常と同じ営業時間であっても、一度確認しておくことが勧められています。自動で出る祝日の候補を、見ないまま放置すると、実際は営業しているのに休業扱いのまま、という状態が起こりえます。この点は、会場の運用とずれやすい箇所です。
もうひとつ、ヘルプには、変更はすぐに反映されないことがあるとも書かれています。Googleが内容を確認してから公開するためです。反映までの所要時間は明示されていません。だから、連休や工事の予定が決まった時点で、早めに入れておく必要があります。直前に気づいても間に合わないことがあります。
前提を置いて、損の大きさを見積もります
ここからは、モデル計算です。数字はすべて仮定で、実際の会場の数字ではありません。自分の会場の数字に置き換えて使ってください。
仮に、次のように置きます。
- Googleマップや検索結果から、月に60件の電話がかかってくる
- そのうち10%が、営業時間の表示がずれている日に当たる(6件)
- 表示のずれで、その半分(3件)は、電話が通じない、または電話をかけずに離脱して、別の会場へ移る
- 電話をかけた人のうち、来館に至るのは40%
- 来館した組のうち、成約するのは30%
- 成約1組あたりの粗利は80万円
この前提だと、失う成約は月に、60件 × 10% × 50% × 40% × 30% で、0.36組です。年に直すと約4.3組。粗利にすると、年に約346万円です。
「ずれる日に当たる割合」を5%にすると、年に約2.2組、約173万円。20%にすると、年に約8.6組、約691万円です。
この計算には、はっきりした弱さがあります。電話をかけずに離脱した人は、数えようがありません。ここでは電話をかけた件数を土台にしているので、かけずに閉じた人の分は、実際にはもっと大きいかもしれません。逆に、表示のずれがある日に当たる割合は、10%も無い会場のほうが多いかもしれません。
それでも、この計算が言えることは1つです。営業時間の表示を直す作業は、1日あたり数分で終わるのに、損の大きさは広告の改善と同じ桁にまで届く可能性があります。 広告費を増やして月に60件の電話を70件にするより、すでにかかってきている60件を逃さないほうが、手間もお金も小さい。この順番の話です。
直す順番は、日付のある例外から
では、どこから直すか。僕は次の順番を勧めます。
1. 今後90日分の祝日と連休を確認する。
Googleの管理画面で、特別営業時間の一覧を開きます。自動で出ている祝日の候補が、会場の実際の動きと合っているかを見ます。見学を受ける日は、通常の営業時間として確認します。休む日は、休業として入れます。
2. 決まっている臨時休業を入れる。
館内の点検、空調の工事、スタッフの研修で見学を止める日があれば、決まった時点で入れます。反映に時間がかかる可能性があるので、少なくとも2週間前には入れておきたいところです。
3. 通常の曜日の営業時間を、実際の運用と見比べる。
通常の曜日は、設定した人が忘れているだけで、変わっていることがあります。定休日を変えた記憶がある会場は、ここを見直します。
4. 見学の最終受付時間を、営業時間とそろえる。
営業時間は18時までなのに、見学の最終受付は16時、という会場は多いです。この場合、Googleの表示は18時まで営業中なので、17時に電話した二人は「今日はもう見学できない」と言われます。表示を最終受付にそろえるか、説明文に「見学のご案内は16時まで」と書きます。
この順番にした理由は、損の大きさが日付のある例外のほうに偏っているからです。通常の曜日は年に300日あるので、ずれていれば日数は多い。ただ、通常の曜日は定休日の変更ぐらいしか動かないので、ずれている確率が低い。一方、祝日と臨時休業は、年に数日から十数日ですが、ずれる確率が高い。そのうえ、連休は二人が見学の下調べをする時間が多い日でもあります。
月1回の点検は、3か所を自分の目で見ます
直したあとも、ずれは起きます。担当が替わる、外の誰かがGoogleに修正を提案する、会場の運用が変わる。だから月1回、次の3か所を見ます。
① スマホでGoogleマップを開いて、会場名を検索する。
管理画面ではなく、二人と同じ画面で見ます。「営業中」「営業時間外」の表示が、いまの実際と合っているかを確かめます。休日の昼間にやると、祝日のずれにも気づけます。
② 向こう1か月の祝日と休業日を、画面の「営業時間」から展開して確認する。
営業時間の欄を押すと、曜日ごとの時間が出ます。特別営業時間を入れた日は、ここに出ます。入れたはずの日が出ていなければ、反映されていません。
③ 電話ボタンを押して、つながる番号か確かめる。
営業時間の表示が正しくても、電話番号が昔のままでは意味がありません。ここは年に数回で十分ですが、月1回の点検に入れておくと忘れません。
点検は、3か所とも合わせて10分で終わります。担当は、見学の予約を受けている人がよいと思います。電話をかけてくる二人と一番近い場所にいて、いまの営業の実態を知っているからです。
外の誰かが書き換える可能性も、先に知っておきます
ひとつ、補足があります。Googleビジネスプロフィールは、会場の管理者以外でも、情報の修正を提案できる仕組みがあります。提案は、Googleの確認を経て反映されることがあります。だから、管理画面で直したはずの営業時間が、いつのまにか変わっていることもありえます。
この仕組みがあるので、管理画面を見るだけでなく、二人と同じ画面を見る点検が必要です。月1回の点検の①は、そのためです。
さらに、通知のメールを受け取る先が、退職した担当のアドレスになっていないかも見ておきます。管理者の登録が古いと、修正の提案が届いても誰も気づきません。ここは、担当が替わるときに引き継ぎの項目に入れるのが確実です。
営業時間を直したら、何を見れば効いたと言えるか
直したあとに効果を確かめるには、数字が必要です。ただ、営業時間の表示を直した効果だけを取り出して測るのは、むずかしいです。月の問い合わせは、季節や広告の動きでも変わるからです。
そこで、僕は測る場所を絞ります。見るのは次の2つです。
- Googleビジネスプロフィールの管理画面に出る、電話をかけた回数。祝日や連休の週と、それ以外の週で比べる
- 電話の着信ログのうち、不在着信の数。祝日と連休に、不在が増えていないか
前者は、直したあとに連休の電話が増えているかを見ます。後者は、不在着信が増えているなら、まだ表示と実際がずれているか、そもそも人が足りていないかのどちらかです。後者の場合は、営業時間の表示以前に、電話に出る担当の決め方の話になります。
どちらも、1回の連休では判断できません。2回か3回の連休を見て、ようやく傾向が出ます。ここは気長に見る部分です。
見学の空振りを防ぐ仕組みは、営業時間の外にもあります
最後に、営業時間の表示を直しても残る、空振りの仕組みを2つ書いておきます。
ひとつは、見学の予約を取った時点で、前日の確認メッセージを自動で送ることです。予約日の前日に、会場の住所、集合時間、当日の連絡先を送ります。臨時休業は予約を取った時点で分かっていることが多いので、この確認が入る前に、別日に変更の連絡を入れられます。
もうひとつは、予約ページに「当日に会場の事情で変更になる場合の連絡方法」を書いておくことです。たとえば、電話番号やLINEの連絡先を載せておく。二人が来館前に変更に気づける経路を、ひとつ作っておきます。
ただ、この2つは、営業時間の表示を直したあとに足す順番です。営業時間の表示は、二人が予約を取る前の段階で効きます。予約後の連絡は、すでに接点ができた二人への手当てです。損の大きさは前者のほうが見えにくく、後者のほうが見えやすい。だから、見えやすいほうだけ直して終わりにしやすい点に、気をつけたいところです。
まとめ
- Googleに出る営業時間は、公式サイトより前に二人が見る入り口で、ずれると電話をかける前に離脱される。離脱は会場側の記録に残らない
- ずれが出やすいのは、通常の曜日より、祝日・連休・臨時休業・定休日の変更。式場は土日祝が最も忙しいため、自動で出る祝日の候補と実態が逆になりやすい
- 前提を置いたモデル計算(月60件の電話、ずれの日に当たる割合10%)では、失う成約は年に約4.3組、粗利で約346万円。ずれの割合が5%なら約173万円、20%なら約691万円。数字は仮定で、自分の会場の数字に置き換えて使う
- 直す順番は、今後90日の祝日と連休、決まっている臨時休業、通常の曜日、見学の最終受付時間の順
- 月1回の点検は、スマホでGoogleマップを開く、向こう1か月の営業時間を展開する、電話ボタンを押す、の3か所。担当は見学の予約を受けている人
- 外の誰かが営業時間の修正を提案できる仕組みがあるので、管理画面だけでなく、二人と同じ画面で確認する
- 効果は、連休の週の電話回数と不在着信の数を、2〜3回の連休にわたって見る
営業時間の表示は、広告費をかけずに直せる、数少ない入り口の改善です。
