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式場サイトを見て離れた二人への再表示広告は、予約フォームまで来た人に絞る

公式サイトを見たのに、予約しないまま離れていく二人がいます。その二人に、別のサイトやSNSを見ているときにもう一度広告を出す。再表示広告(リターゲティング広告)と呼ばれる手法です。

結論から書きます。式場がこれを使うなら、サイトを見た全員ではなく、予約フォームまで来て完了しなかった二人に絞るのがいいと僕は考えています。配信する人数が小さくなるぶん、成果の数も小さくなりますが、1人を呼び戻すのにかかる費用は大きく下がるからです。

この記事に出てくる数字は、すべて僕が置いた仮のものです。業界の平均値ではありません。再表示広告で式場の訪問者がどれだけ戻るかを示した公開調査は、僕が探した範囲では見つけられませんでした。だから数字で言い切るのではなく、仕組みとして何が起きるかを書きます。自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

再表示広告は「誰に出すか」で費用対効果が決まる

再表示広告の基本の仕組みは単純です。サイトを訪れた人を、広告の管理画面でリストにして、そのリストの人にだけ広告を出します。

ここで式場が最初に決めるのは、リストの作り方です。作り方は大きく2つあります。

1つ目は、サイトの訪問者全員を入れるやり方。設定が簡単で、リストの人数も大きくなります。2つ目は、予約フォームのページを開いた人だけを入れるやり方。リストは小さくなりますが、予約を考えた人だけが残ります。

広告の費用は、おおまかに言えば、広告を見せる人数と回数に比例して増えます。リストが大きければ、その分お金がかかります。一方、戻ってくる確率は、サイトを軽く見ただけの人と、予約フォームまで開いた人とで、同じではないはずです。

仮の数字で、全員に出す場合と絞る場合を比べる

仮に、公式サイトの月間訪問者を3,000人とします。そのうち予約フォームのページまで進む人が6%で、180人。フォームを最後まで入力して予約を完了する人が、その4割で72人。完了しなかった人は108人です。

広告の費用は、リストの1人あたり月に20円かかると置きます。この20円も仮の値です。

  • 全訪問者に出す場合:3,000人 × 20円 = 月6万円
  • 予約フォームで離れた人に絞る場合:108人 × 20円 = 月2,160円

次に、広告を見て戻ってくる割合を置きます。サイトを軽く見ただけの人は、まだ検討の入口にいる人が多いので、戻る割合を1%とします。予約フォームまで来て離れた人は、その会場を具体的に考えた人なので、10%とします。この差も仮です。

  • 全訪問者:3,000人 × 1% = 30人が戻る。1人あたり6万円 ÷ 30人 = 2,000円
  • 絞った場合:108人 × 10% = 10.8人が戻る。1人あたり2,160円 ÷ 10.8人 = 200円

絞ると、戻る人の数は30人から約11人に減ります。それでも1人を呼び戻す費用は、2,000円から200円に下がります。

絞ったときの弱点は、数が少ないこと

ただし、この計算は、仮の戻る割合に強く依存しています。戻る割合の差が小さければ、結論は変わります。

仮に、全訪問者の戻る割合が3%、フォームで離れた人が4%だったとします。全訪問者は90人が戻って、1人あたり約667円。絞った場合は約4.3人が戻って、1人あたり約500円です。差は小さくなり、広く出したほうが、戻る人の総数は多くなります。

つまり、判断の分かれ目は、2つのグループの戻る割合の差が、費用の比(この例では約28倍:3,000人÷108人)に届くかどうかです。差が大きく開くなら絞る。差が小さいなら広げる余地がある。どちらになるかは、自分の会場で測らないと分かりません。

もう1つ注意したいのは、広告を見せなくても戻ってきた人が混ざっていることです。予約フォームまで来た二人は、もともと自分で戻ってくる可能性があります。広告が戻した人数と、広告がなくても戻った人数は、同じではありません。この差は、一定の期間、リストの一部に広告を出さないでおく比較(配信しない対照群を残す方法)でしか確かめられません。

除外を先に作る

絞るかどうか以前に、やっておきたいのが除外です。再表示広告で最もよくある失敗は、すでに予約した二人に広告が出続けることです。

予約を完了した二人、すでに来館した二人、契約した二人には、広告を出す理由がありません。契約した二人に「見学のご予約はこちら」と出続けると、会場への印象を下げます。

そのため、リストは次のように作ります。

  • 入れる:予約フォームのページを開いた人
  • 外す:予約の完了ページを開いた人

この「外す」は、予約完了のあとに表示されるページを、広告の管理画面の計測タグで拾って作ります。予約システムが別のドメインにある場合は、完了ページの計測を入れる作業が要ります。ここが設定の山場で、できていないうちは配信を始めないほうが安全です。

契約済みの二人を外す作業は、より手間がかかります。契約者の連絡先を広告のリストと突き合わせる方法がありますが、個人情報の扱いになります。同意の取り方と、利用目的の説明を、会場の規約で決めてから行います。そこまでの準備が難しい場合は、配信期間を短く区切って、契約まで進む二人が出る前に止めるのが現実的です。

配信する期間は、検討期間に合わせて切る

リストに入った人を、いつまで追うか。無期限に追うと、費用がかかり、二人にとっても煩わしくなります。

仮に、予約フォームで離れた二人が戻ってくるのは、多くが30日以内だと置きます。それなら、リストの有効期間は30日にします。30日を過ぎた人は、自動でリストから外れます。

期間は、自分の会場の予約データで決められます。予約フォームの初回訪問から、実際に予約するまでの日数を集めて、その分布を見ます。多くが2週間以内に予約しているなら、有効期間は2週間で足ります。見学のあとの追客でも、材料がなければ送らないのと同じで、戻る見込みが薄れた人に広告を出し続ける理由はありません。

広告の中身は、割引ではなく予約の続き

広告に何を載せるかも決めておきます。値引きや特典で追いかけると、これまで見学に来た二人との公平さが崩れますし、広告を見て予約した二人にだけ得があることになってしまいます。

僕なら、予約の続きをしやすくする内容にします。

  • 見学できる日の空きを具体的に出す(直近の2〜3日分)
  • 予約が1分で終わる、と入力の手間を減らす言葉を添える
  • 見学で見られるものを1つだけ示す(挙式会場、試食など)

空きの日を出す場合は、実際の空きと必ず合わせます。広告を出した時点では空いていても、二人が見たときには埋まっている、というずれが起きるからです。残りの枠が分からないなら、日付は出さず、「今月の見学日を見る」とだけ書くほうが安全です。

少ない人数を相手にする運用の注意

リストが小さくなると、広告の配信側の仕組みに引っかかることがあります。管理画面は、配信するのに必要な最低人数を決めている場合があります。この人数は広告サービスごとに違い、変わることもあるので、設定前に公式の案内で確認してください。

リストが小さくて足りない場合は、予約フォームのページを開いた人に加えて、料金ページや会場写真のページを開いた人も含めるのが一つの手です。広げすぎると全訪問者に近づくので、「具体的に検討したときに見るページ」だけを選びます。

式場では「二人」で見るので、端末の数え方がずれる

再表示広告のリストは、基本的にスマホやパソコンのブラウザ単位で作られます。ところが、結婚式場を探す二人は、それぞれ別のスマホで同じ会場のサイトを見ることがよくあります。

新郎のスマホで予約フォームを開き、入力をやめた。その後、新婦のスマホから同じ会場の予約を完了した。この場合、新郎の端末のリストには、予約を完了した記録が残りません。新郎のスマホには、予約済みなのに広告が出続けます。

この問題を完全に防ぐ方法はありません。減らす方法は、予約の完了から数日のうちに、広告の配信を止める設定を入れることです。リストの有効期間を短めにして、予約のないまま長く追わない設計と組み合わせると、ずれの影響は小さくなります。また、予約の完了ページで計測するだけでなく、予約システム側の予約一覧と週に一度照らして、広告費が予約済みの二人に使われていないかを目で確かめます。

広告を止める基準も、先に決めておく

配信を始める前に、止める基準を決めておきます。決めないまま始めると、成果が分かりにくい施策を、なんとなく続けてしまうからです。

僕なら、3か月を1区切りにします。最初の1か月はリストが小さくて数が出ないので、判断しません。3か月分を足して、1組あたりの広告費が、他の広告の1予約あたりの費用より高いままなら止めます。安ければ、予算を少し増やして、もう3か月続けます。

予算を増やすときは、リストが小さいことを思い出してください。リストの人数が増えない限り、同じ人に何度も広告が出るだけになります。増やすなら、リストの条件を広げる(料金ページを開いた人も入れるなど)ほうが先です。

数えるのは3つ

  • リストに入った人数(月ごと)
  • 広告を見たあとに、予約を完了した人数
  • 広告費の合計 ÷ 予約を完了した人数

3つ目が、広告で呼び戻した1組あたりの費用です。ここで比べる相手は、他の広告の1予約あたりの費用です。ポータルサイトの掲載費や、検索広告の費用と並べて、安いか高いかを見ます。

再表示広告は、新しい二人を連れてくる広告ではありません。一度来た二人の背中を、もう一度だけ押す広告です。その前提で、予算の中での位置づけを決めてください。

まとめ

  • 再表示広告は、サイトを見て離れた二人にもう一度広告を出す手法で、費用はリストの大きさに比例する
  • 全訪問者に出すより、予約フォームまで来て完了しなかった二人に絞るほうが、1人を戻す費用は下がりやすい
  • ただし結論は、2つのグループの戻る割合の差が、リストの人数比に届くかで変わる
  • 予約を完了した二人と、契約した二人は、先にリストから外す
  • 配信期間は、予約データの初回訪問から予約までの日数で切る
  • 広告の中身は、割引ではなく、予約の続きをしやすくする内容にする
  • 数えるのは、リストの人数、予約完了の人数、1組あたりの広告費。広告なしで戻る人は、配信しない対照群を残して確かめる