来館・成約

式場の見学予約は、希望日を3つ聞くより空き枠を見せる

式場の見学予約フォームを見ていると、希望日時の欄が「第1希望・第2希望・第3希望」になっているものがよくあります。担当者が空きを確認して、あとから返信する前提の作りです。昔から使われてきた形で、間違いではありません。ただ、この形には、二人にも式場にも見えにくいコストがあると僕は考えています。

二人は式場の空きを知らないまま、自分たちの都合だけで希望を書きます。式場は、その希望を空きと突き合わせて、合わなければ「その日は埋まっているので、別の日はいかがでしょうか」と返します。この往復の数が、予約が確定するまでの日数になり、離脱の機会になります。この記事は、希望日を聞く方式と、空き枠を先に見せて選んでもらう方式のどちらを選ぶかの、判断の分かれ目の話です。

今回は出典のある統計は使いません。予約フォームの方式と予約の確定率を、全国で比べた公開の数字を僕は見つけていないからです。そのかわり、仕組みとして何が起きるかの整理と、仮の数字を置いたモデル計算で書きます。数字は全部、想定だと分かる形で書きます。

「希望日を聞く」方式で、二人と式場に起きていること

まず、希望日を3つ聞く方式の流れを順に書きます。

  1. 二人がフォームに第1〜第3希望を書いて送る
  2. 式場の担当者が、予約管理の画面で空きを確認する
  3. 空いていれば確定の連絡、空いていなければ代わりの候補を返す
  4. 二人が返信を読み、都合が合えば確定、合わなければまた候補を返す

この流れで問題になるのは、手順2と3の間にある待ち時間と、手順4での再調整です。

二人は、式場に見学を申し込んだ直後が、いちばん気持ちが動いている時間です。このとき、画面には「送信しました。担当者から改めてご連絡します」と出るだけになります。見学が確定したのかどうかが、二人には分かりません。手元には、他の式場のフォームも開いているかもしれません。確定の連絡が来るまでの数時間から1日が、他の式場に予約を入れられてしまう時間になります。

式場の側にも負担があります。夜や週末に届いたフォームは、翌営業日まで返信できないことがあります。返信するときも、空き状況の確認、日程の提案、文面の作成と、一件ずつ手がかかります。繁忙期で見学の枠が埋まっているときほど、再調整が増えます。

もう一つ見落とされやすいのが、二人の「希望」の中身です。第1〜第3希望として書かれる日は、二人が「ここなら空いている」と思った日です。式場の側の空き状況とは関係なく選ばれています。人気の土日の午前に希望が集まれば、第3希望まで全部埋まっている、という事態が普通に起きます。

「空き枠を見せる」方式で変わること

空き枠を見せる方式では、フォームの日時欄が、選べるカレンダーや時間帯のボタンになります。二人は、空いている枠の中から選びます。送信した時点で、見学が確定します。

変わることを整理すると、次のとおりです。

  • 二人は、送信した直後に「予約が取れた」と分かる
  • 式場は、空きがない日を二人に選ばれることがなくなる
  • 再調整の連絡が、原則として要らなくなる
  • 確認メールやLINEは、確定の通知として自動で出せる

代わりに、式場が引き受けることもあります。

  • 予約管理の空き状況を、常に最新に保つ必要がある(電話で受けた予約や、別の窓口で受けた予約を、すぐ反映できていないと二重に埋まる)
  • 見学の枠をどう作るかを、先に決める必要がある(何時から何時まで、1枠何分、1枠に何組入れるか)
  • 枠を出していない時間帯の希望を、取りこぼす可能性がある

つまり、空き枠を見せる方式は、手間が消えるのではなく、手間の置き場所が「問い合わせのたび」から「枠を作るとき」に移る方式です。この移し替えが得になるかどうかが、判断の中心です。

仮の数字で比べる

ここから、想定の数字を置いて計算します。実際の式場の数字ではありません。前提を全部書くので、読む方の会場の数字に置き換えて使ってください。

前提は次のとおりです。

  • 月に100件、見学予約のフォームが送られてくる
  • 希望日を聞く方式では、最初の返信で確定できるのが70件、再調整が必要なのが30件
  • 再調整になった二人のうち、20%が確定前に離脱する(他の式場で決めた、返信が来るまでに気持ちが冷めた、など)
  • 空き枠を見せる方式では、再調整は0件。ただし、出している枠に希望の時間が無く、フォームを閉じる二人が5%いる
  • 再調整1件あたりの式場側の手間は、往復で2通、1通5分とする

計算すると、次のようになります。

  • 希望日を聞く方式:再調整30件のうち6件が離脱し、確定は94件。再調整の手間は30件×2通×5分で、月に300分(5時間)
  • 空き枠を見せる方式:5件がフォームを閉じ、確定は95件。再調整の手間は0

この想定では、確定の件数はほぼ同じ(94件と95件)です。差が出るのは、式場の手間です。月に5時間の再調整が、枠の管理に置き換わります。

ここで大事なのは、この結果が前提に強く左右されることです。同じ計算で、再調整になる割合を30%から10%に変えてみます。

  • 再調整10件、離脱2件、確定は98件
  • 再調整の手間は月に100分

この場合は、希望日を聞く方式でも確定は98件で、空き枠を見せる方式の95件を上回ります。つまり、式場がふだんから素早く、的確な候補を返せていて、再調整になる割合が低いなら、空き枠を見せる方式にして枠に合わない5%を取りこぼすほうが損、という結果になります。

結局、この比較で決まるのは、次の二つの数字の大小です。

  • 希望日方式で、再調整になって離脱する割合(再調整の割合×離脱率)
  • 空き枠方式で、枠が合わずにフォームを閉じる割合

前者は、予約管理のログと、返信にかかった時間から数えられます。後者は、フォームの送信前に離れた数を測らないと出ません。どちらも会場で数えていなければ、この比較は想定のままです。

空き枠方式に向く会場、向かない会場

数字を数える前でも、構造から、どちらに寄るかの見当はつきます。

空き枠方式に向くのは、次のような会場です。

  • 見学の枠が、曜日と時間帯で決まっている(毎週土日の10時・13時・16時、など)
  • 予約管理が一本化されていて、空き状況が即座に更新される
  • 繁忙期に、希望が集中して再調整が増える
  • 夜や休日に届くフォームが多く、返信が翌営業日になりがち

希望日方式が残るのは、次のような会場です。

  • 見学の日時が、担当者の予定やチャペルの使用状況で毎回変わり、固定の枠が作れない
  • 電話・来店・紹介など、フォーム以外の入口が多く、空き状況をリアルタイムでそろえられない
  • 少人数のスタッフで運営していて、枠を細かく管理する手間のほうが大きい
  • 見学の前に、式の希望や人数を聞いた上で、日時を相談したい

どちらにも当てはまる会場は、空き枠方式を土日の通常枠だけに限る形が現実的です。通常枠は選べるカレンダーで即確定にして、その枠に合わない二人のために、フォームの下に「ご希望の日時が見つからない方はこちら」の入口を置きます。ここから先は希望日方式で受けます。

この形なら、枠に合わない5%を取りこぼさず、通常枠の再調整はなくせます。

空き枠を見せるときに決めておくこと

空き枠方式に寄せるなら、フォームを作る前に、次のことを決めます。

1. 枠の長さ

見学の所要時間は、案内、見積もり、質問への回答を含めて、会場によって違います。枠は、所要時間に余裕を足した長さで切ります。ぎりぎりの長さで枠を作ると、前の組が延びたときに、次の組を待たせることになります。

2. 1枠に入れる組数

同じ時間に何組まで受けられるかは、案内できる担当者の数と、見学の動線で決まります。枠が埋まるのを早めたくなりますが、組数を詰めすぎると、一組あたりの接客が薄くなります。

3. 枠を開ける期間

何週先まで枠を見せるかは、予約が埋まるスピードで決まります。先の枠を開けすぎると、直前にキャンセルが出て空きが目立ちます。短すぎると、先の予定を立てたい二人が予約できません。

4. 直前の締め切り

当日の朝に予約が入ると、担当者が準備できません。「前日の何時まで」のように、予約を締める時刻を決めておきます。

5. 変更とキャンセルの導線

即確定にすると、二人は気軽に予約するぶん、変更やキャンセルも気軽に出てきます。確定のメールに、変更のリンクを置いておけば、連絡を待たずに二人が自分で枠を空けられます。空いた枠は、次の二人が選べます。

6. 確定後の連絡

予約が確定した直後に、日時、場所、所要時間、持ち物を一通で届けます。見学の前日にも、確認の連絡を出します。これは、予約を取りやすくするのと同じくらい、見学当日に来てもらうために効きます。

どちらの方式でも、先に直せること

方式を変える前に、今のフォームのままでも直せる点があります。

  • 送信後の画面に、「確定ではありません。○時間以内にご連絡します」と、いつ連絡が来るかを書く。何も書かないより、二人の不安が減る
  • 夜に届いたフォームに、自動で「受け付けました」と返す。確定ではなくても、受け付けたことが分かれば、他の式場に流れる前に待ってもらえる
  • 第1〜第3希望を、必ず3つ書かせない。第1希望だけでも送れるようにする。入力の手間は、送信前の離脱につながる
  • 返信の文面に、代わりの候補を最初から2〜3つ入れる。「別の日はいかがですか」と聞き返すのではなく、候補を渡す

返信にかかる時間を測り始めるだけでも、「再調整になる割合」が分かります。方式を替えるかどうかは、その数字を見てからでも遅くありません。

数えるときの注意

比較を実際の数字で行うときは、次の点に気をつけます。

  • 再調整になった件数は、「最初の返信で確定しなかった件数」で数える。後から二人の都合で変更になったものは、別に数える
  • 離脱は、「確定前に連絡が途絶えた件数」で数える。ただし、返信を待たずに他で決めた二人は、離脱の理由が分からないことが多い。理由は推測になる
  • 空き枠方式を試すときは、期間を区切って比べる。繁忙期と閑散期をまたぐと、枠の埋まり方が違うので、比較にならない
  • 数週間では、件数が少なくて差が出ないことがある。少ないときは、「再調整の手間」と「確定までの日数」だけを見る

件数が少ない会場ほど、確定率の差は偶然でも動きます。そのときは、確定率ではなく、確定までにかかった時間のほうが、方式の違いをはっきり映します。

まとめ

  • 見学予約フォームで希望日を3つ聞く方式は、確定までに返信の往復が入り、その間に二人が他の式場に流れる機会がある
  • 空き枠を見せる方式は、送信した時点で確定でき、再調整がなくなる。そのかわり、枠の管理と、枠に合わない二人の取りこぼしを引き受ける
  • 仮の数字では、再調整になる割合が30%なら空き枠方式が得、10%なら希望日方式が勝つ結果になった。決め手は、再調整で離脱する割合と、枠が合わずに閉じる割合の大小
  • 枠が固定できて予約管理が一本化されている会場は空き枠方式に向く。日時が毎回変わる会場は希望日方式が残る
  • 迷う会場は、通常枠だけ即確定にして、合わない二人用に希望日の入口を残す
  • 方式を替える前に、送信後の画面で連絡時刻を書く、夜の自動返信を入れる、候補を最初から返す、の三つが先に直せる
  • 見学予約は、二人が「取れた」と分かる瞬間を、どれだけ早く作れるかの勝負です