来館・成約

式場の見学予約フォームは、誰と来るかを聞くと接客が変わる

式場の見学予約フォームに、「当日ご一緒に来られる方」を聞く欄はあるでしょうか。名前、連絡先、希望日、挙式の予定時期までは必ずあるのに、誰と来るのかは当日の受付で初めて分かる。そういう式場は、思っているより多いはずです。

先に結論を書きます。この欄は選択式で1つ足して、必須にはしない。それだけで、当日の最初の一言、席、手元の資料、試食の数を前日までに決められます。同伴者が分かっていれば、接客の最初の5分が変わります。

この記事に出典はありません。数字は僕が置いた仮の数字で、式場ごとに違います。判断の条件と段取りを中心に、どこを自分の会場の数字に替えればよいかが分かるように書きます。

当日の受付で初めて分かると何が困るか

見学の受付に、二人と一緒に新婦の母が立っていたとします。予約は二人の名前で入っていて、席は2人分。資料も2部。試食も2人前。案内役のプランナーは、二人に向けて話す準備をしてきています。

ここで起きることは、地味ですが積み重なります。

  • 席を足すために、案内の最初の数分が止まる
  • 資料が足りず、親の手元だけ何も無い状態で説明が始まる
  • 試食の数が合わず、厨房に追加を頼むか、親の分は出さないかを、その場で決めることになる
  • 最初の説明が、誰に向けた話なのか決まらないまま始まる

いちばん大きいのは最後です。親が来ていると分かっていれば、冒頭の挨拶から「今日はお母さまもご一緒で心強いですね」と、親を客として迎える入り方ができます。分からないまま始まると、親は付き添いの扱いになり、二人だけを見て話すことになりやすい。親のほうは、自分は呼ばれていない人のような気持ちで座ることになります。

見学の途中で親が質問を始めたときも、同じです。想定して来ている担当と、想定していない担当では、答え方の落ち着きが違います。

聞くのは人数ではなく、立場

欄の作り方で、最初に決めたいのは「人数」ではなく「立場」を聞くことです。人数だけ聞くと、「3名」と書かれても、その3人目が親なのか友人なのか、小さな子どもなのかが分かりません。準備が変わるのは、立場のほうです。

選択肢は、次の6つくらいで足りると思います。

  • 二人だけで行く
  • どちらかの親が来る
  • 両家の親が来る
  • きょうだい・友人など、親以外が来る
  • お子さまを連れていく
  • まだ決まっていない

「お子さまを連れていく」は、他の項目と重ねて選べるように複数選択にします。親と子どもの両方が来る二人は、ふつうにいるからです。

人数を聞きたいなら、選択肢のあとに任意の数字欄を1つ置きます。ここは空欄でも予約を通します。人数は、予約確認の連絡で聞き直せます。

「まだ決まっていない」を入れるのは、実際にそういう二人がいるからです。選択肢にこれが無いと、決まっていない二人は空欄のまま送るか、とりあえず「二人だけ」を選びます。後者は、当日に親が来たときに、いちばん準備が外れるパターンです。

答え別に、前日までに決めておくこと

回答が取れたら、それを誰が見て、何を変えるのかを先に決めておきます。決めないまま欄だけ足すと、聞いただけで終わります。

回答 前日までに決めること
二人だけ 通常どおり。席・資料・試食は2人分
どちらかの親 席と資料と試食を1人分足す。冒頭の挨拶に親の分を入れる
両家の親 4人が座れる席に替える。両家に同じ分量で話しかける順番を担当内で決める
親以外 付き添いの立場を二人に確認する。決める人なのか、意見を言う人なのか
お子さま連れ 席、飲み物、待つ間の過ごし方。案内の動線で段差や階段を避けられるか
まだ決まっていない 前日の連絡で聞き直す。それでも決まらなければ、予備の席と資料を1人分

「両家の親」の行は、少し補足します。両家の親が来るときは、どちらの親に先に話しかけるかで、場の空気が変わります。式場側が決めておかないと、受付で目の合った側に先に話すことになります。席の位置と、最初の質問の宛先を、両側に同じ回数にする。担当が2人以上いるなら、二人の側に付く担当を左右で分ける。この程度の取り決めで十分です。

「親以外」の行は、聞き方に気をつけます。友人が一緒に来る二人は、友人に決めてもらいたい場合と、意見だけもらいたい場合があります。ここは予約の時点では聞かず、当日の最初の5分で、二人に「今日はどなたが一緒に見る方ですか」と確かめるくらいが穏当です。フォームの時点では、立場を決めつけない。

フォームの項目が増える問題をどうするか

欄を足すと、入力項目が増えます。見学予約フォームは、項目が増えるほど途中で離れる二人が出る、というのは多くの式場が気にしているところです。この点は、別の記事(見学予約フォームの項目数を減らす損益)で、仮置きの数字を使って整理しました。

だから結論は、足すなら何かを削る、です。削る候補を挙げます。

  • 予算を書かせる欄。見学の前に、予算を数字で書ける二人は少数です。書けない二人は空欄か、適当な数字を入れます。どちらにしても、当日の最初の5分で聞くほうが正確です
  • 「きっかけ」の自由記入。媒体別の効果を測りたいなら、流入元の計測をフォーム側で自動で取れるようにするほうが、二人の手間もなく正確です
  • 備考欄。長い自由記入は、書く二人が少なく、書かれた内容も読むのに時間がかかります

同伴者欄は選択式で、押すだけです。自由記入の欄1つと、選択式の欄1つでは、二人の手間が違います。1つ足して2つ削るなら、体感の項目数は減ります。

仮置きで、手間の変化を見てみる

出典の無い仮の計算で、手間がどう変わるかを見てみます。

月に40組の見学予約がある式場を考えます。そのうち3割、12組が、親や友人と一緒に来るとします。同伴者が当日まで分からない場合、受付で席と資料を足し、試食の数を調整するのに、1組あたり5分かかると置きます。

12組×5分で、月に60分です。

これは、フォームに欄を足さなかった場合の、受付と厨房の手間の合計です。1時間は、数字としては小さい。欄を足して準備が済んでいれば、この60分は、ほぼ消えます。ただ、消える手間そのものが、この施策の価値のすべてではありません。

見るべきは、60分の手間より、冒頭の5分の質です。親を客として迎える入り方ができた見学と、できなかった見学で、その後の「家族で相談してから決めます」の出方が変わるかもしれません。ここは僕には、数字で言える根拠がありません。式場ごとに試して見るしかない部分です。次の節で、その見方を書きます。

1か月試すときの見方

欄を足したら、1か月、次の3つを数えます。

  1. 同伴者欄の回答率と、回答の内訳。「まだ決まっていない」が多いなら、選択肢の見直しか、確認メールでの聞き直しが要ります
  2. 回答と当日の実際の同伴者が合っていた割合。ずれが多いなら、その回答は準備に使えません
  3. 同伴者の立場別に見た、その場で決まった割合(契約か、仮予約か)と、再来館の割合

3つ目は、1か月では数が足りないことが多いと思います。月に12組の同伴者付き見学があったとして、立場別に分けると、1行あたり数組です。ここから「親が来ると成約率が上がる」とは言えません。数か月ためて、傾向を見る程度にとどめます。

1と2は、1か月で見られます。ここで合っていなければ、そもそも欄を使えていません。

予約確認の連絡に一文を足す

欄を足しても、当日に同伴者が変わることはあります。前の晩に親が行けなくなった。逆に、行くつもりのなかった友人が付いてくることになった。

予約確認のメールや、前日の連絡に、次の一文を入れておきます。

「当日ご一緒に来られる方が変わった場合は、このメールに一言返信いただければ、席と資料をご用意しておきます。」

変更の連絡が来なくても、構いません。この一文の役目は、変わってもいいと伝えることと、変更を連絡する手段を渡すことです。連絡が来なかった分は、当日に受付で対応するだけで、今と同じです。

このメールは、二人から相手のパートナーや親に転送されることがあります。転送されて読む親が、「自分も来ていい人」として扱われていると感じる文面にしておくと、当日の空気が違います。

回答を誰が見るか

欄を足して一番ありがちな失敗は、回答が予約管理の画面に入るだけで、当日の担当が見ていないことです。フォームの回答は、予約を受けた人のところにしか届かず、案内する担当と、試食を用意する厨房には届かない。式場の中で情報が止まる場所は、だいたいここです。

対策は単純で、前日の準備メモに、同伴者の行を1つ作ります。担当者名、時間、同伴者の立場、試食の数。この4つが並んでいれば、厨房も受付も同じ紙を見て動けます。新しい仕組みは要りません。今ある前日メモに1行足すだけです。

もう1つ、メモの同伴者の行に「親」と書くか、「母」と書くかで迷うことがあります。フォームで聞いた立場のまま、「どちらかの親」と書いておけば十分です。誰の親なのかは、当日に聞けば分かります。聞く前に決めつけて「新婦の母」と書くと、違ったときに気まずくなります。

この欄がうまくいかない式場

向かない式場もあります。

  • 見学予約の大半が電話で入る式場。フォームの回答が少なすぎて、欄を足す意味が薄い。電話の受付でも、同じ質問を1つ足せば同じ効果があります
  • 1日の見学組数が少なく、毎回プランナーが予約内容を読み込んで準備している式場。受付時の確認で足りているので、欄の増える手間のほうが大きくなります
  • 同伴者の変更が非常に多い式場。回答が当日の実態と合わないので、準備に使えません

逆に向いているのは、土日に見学が集中して、前日の準備を限られた時間で済ませる式場です。当日に席や資料を組み替える余裕が無い日ほど、前日に分かっている情報の価値が上がります。

まとめ

  • 見学予約フォームに「当日ご一緒に来られる方」の欄を、選択式で1つ足す
  • 聞くのは人数より立場。親、親以外、お子さま連れ、決まっていない、を分ける
  • 回答別に、席・資料・試食・最初の挨拶をどう変えるかを、欄を足す前に決めておく
  • 項目が増えるぶん、予算欄、きっかけの自由記入、備考欄から削る
  • 手間の差は仮置きで月60分ほど。本当に見るのは、冒頭の5分で親を客として迎えられるか
  • 1か月で見るのは、回答率と、回答と当日のずれ。成約率との関係は数か月ためてから
  • 予約確認の連絡に、変更しても構わないという一文を入れておく