来館・成約

式場見学で見られない場所は、披露宴が入る日ほど予約前に伝える

土日に式場見学を予約した二人が、当日の案内で「ただいま披露宴の最中なので、会場の中はご覧いただけません」と言われる。式場の側からすると、よくある話です。本番の婚礼を止めるわけにはいきません。

ただ、二人の側から見るとどうでしょうか。わざわざ休みの日に、時間をつくって来ています。いちばん見たかったのは、たぶん披露宴会場です。そこが見られないまま、写真と図面で説明されて帰ることになります。

僕は、この「見られなかった」は、案内がうまいかどうか以前に、予約の時点で決まっていると考えています。見られない場所があるなら、予約の前に、見られない場所と見られる時間を言っておく。それだけで、見学の質がかなり変わります。

この記事では、婚礼が入っている日の見学で何が起きるかを、仮の時間割で確かめます。そのうえで、予約ページにどう書くか、枠をどう出すか、案内の当日に何を渡すかを整理します。出典のある数字は出てきません。数字はすべて、考え方を見るための仮の想定です。

婚礼が入る土日に起きること

見学を受ける土日は、式場にとって本番の日でもあります。チャペルでは挙式があり、披露宴会場ではパーティーが開かれ、控室もキッチンも動いています。見学は、その合間に案内の動線を縫って行うものです。

二人の側は、そこまで想像していません。式場のホームページで会場の写真を見て、気に入って、予約している。写真に写っていた場所は全部見られると思っています。ここにずれがあります。

ずれは、見学の日に初めて表面に出ます。案内の担当者が「ここは入れません」と言った瞬間に、二人の頭の中で、その式場の評価が一段下がります。会場そのものの評価ではなく、段取りの評価です。「ちゃんと分かっている式場なら、先に言ってくれたはずなのに」という受け取り方になります。

見られなかったこと自体より、聞いていなかったことのほうが、後に残ります。これが、予約前に伝える理由の中心です。

仮の時間割で枠ごとの見え方を確かめる

実際に、どの枠でどこが見られないのかを、仮の時間割で数えてみます。数字はすべて、説明のための想定です。

想定は次のとおりです。

  • 1つの会場で、1日に挙式が2回、披露宴が2回
  • 挙式は10時と15時の開始で、どちらも40分
  • 披露宴は11時開宴の14時30分終了と、16時開宴の19時30分終了
  • 見学は1組90分で、10時、11時30分、13時、14時30分、16時、17時30分の6枠

この想定で、各枠にチャペルと披露宴会場が使われているかどうかを、Pythonで機械的に数えました。使われている時間帯と見学の90分が少しでも重なれば、その枠では見られない場所として数えています。

結果は次のとおりです。

見学の枠 チャペル 披露宴会場
10:00〜11:30 挙式中で見られない 準備から開宴で見られない
11:30〜13:00 見られる 披露宴中で見られない
13:00〜14:30 見られる 披露宴中で見られない
14:30〜16:00 挙式の準備で見られない 見られる
16:00〜17:30 見られる 披露宴中で見られない
17:30〜19:00 見られる 披露宴中で見られない

6枠のうち、チャペルが見られるのは4枠です。披露宴会場が見られるのは、14時30分の1枠だけです。

この会場の場合、披露宴会場をじっくり見てもらえるのは、土日の6枠のうち1枠だけということになります。この想定のとおりの会場は少ないと思いますが、婚礼を1日に2回回している会場なら、形はこれに近くなるはずです。

もちろん、実際には「披露宴中でも、扉の前から中をのぞける」「開宴前の準備中なら入れる」など、会場ごとに運用が違います。大事なのは、自分の会場で同じ表をつくってみることです。つくってみて初めて、どの枠が「会場が見られる枠」で、どの枠が「見られない枠」なのかが分かります。

見られない枠を黙って売ると何が起きるか

では、この表を見ないまま、6枠すべてを同じ顔で予約に出すとどうなるでしょうか。

披露宴会場が見られない枠を、見られる枠と同じ書き方で出す。二人は披露宴会場が見られると思って予約する。当日、見られない。ここまでが、さきほどの「ずれ」です。

一方で、二人にとっていちばん見たいのが披露宴会場だとすると、14時30分の枠に予約が集中します。ところが、式場の側は、6枠を均等に埋めたいと考えています。結果として、14時30分は早く満席になり、ほかの枠は余ります。余った枠に入った二人は、見られない場所がある状態で案内を受けます。

つまり、見られない枠を黙って売ることは、二つの損を重ねます。一つは、見られない枠に入った二人の評価が下がること。もう一つは、見られる枠が早く埋まって、ほかの二人の機会がなくなること。どちらも、枠を一律に扱ったことから来ています。

予約ページに書くこと

では、何をどう書けばいいか。僕は、次の3点を、枠を選ぶ画面か、その直前に書くのがいいと考えています。

1つめは、その日に婚礼が入っていること。「この日は挙式・披露宴が入っています」とだけで十分です。

2つめは、枠ごとの見える範囲です。表のような形で、「この枠は披露宴会場を見られます」「この枠は披露宴会場の外観と写真でのご説明になります」と書き分けます。長い文章にする必要はありません。枠の横に、見える範囲を一言添えるだけです。

3つめは、見られない場合の代わりです。たとえば、同じ形で空いている日の写真、前日までにレイアウトを組んだ状態の写真、空いている平日の見学の案内などです。見られないことを伝えるときに、代わりに見られるものも一緒に出せば、断る印象にはなりません。

やってはいけないのは、小さな文字で「婚礼の状況により、ご覧いただけない場合があります」とだけ書いて済ませることです。二人はこの一文を、自分の枠のことだと受け取りません。たいてい、読み飛ばされます。

見られる枠をどう出すか

見られる枠を、先に出すか、同じ並びで出すかは、迷うところです。

僕は、同じ並びのまま、見える範囲を書き分けるのがいいと思っています。見られる枠だけを特別に出すと、見られない枠が「劣った枠」に見えて、そちらの予約が入りにくくなります。

ただ、枠ごとの差は正直に出します。披露宴会場が見られる枠には「披露宴会場をご覧いただけます」と書く。見られない枠には「披露宴会場は写真でのご説明です。ご覧になりたい方は〇時の枠が向いています」と書く。後者の一文を入れておくと、二人は自分で枠を選び直せます。

先の仮の時間割だと、14時30分の枠に集中する分は、式場の側で何かしらの対策が必要になるかもしれません。それは別の話です。ここでは、枠の差を隠さないことだけを決めておけば足ります。

当日の案内で渡すもの

予約ページで伝えても、当日は忘れられます。案内の最初に、もう一度、見える範囲を一言で伝えます。

「今日は披露宴が入っているので、会場の中はこちらの写真でご案内します。そのかわり、チャペルは中までご覧いただけます」

これくらいの長さで十分です。見られない理由を長く説明すると、言い訳に聞こえます。

もう一つ、見られなかった場所の写真と動画は、その場で渡せる状態にしておきます。そのためには、会場を何パターンかの状態で撮っておく必要があります。空の状態、テーブルを組んだ状態、キャンドルや装花を入れた状態。見学の日に会場が使えなくても、写真で見せられる素材が手元にあれば、二人が持ち帰る情報は大きく減りません。

帰りに、見られなかった場所を見る別の機会を一つだけ示します。平日の見学、婚礼の入っていない土日の枠、次のフェア。ここで「また来てください」と言うのではなく、見られる日と枠を具体的に出します。

数えておくこと

最後に、見られない枠を伝え始めたあと、何を数えるかです。

  • 枠ごとの予約件数が偏っていないか。見られる枠に集中するのか、それとも分散したままか
  • 見られなかった枠に入った二人の成約率と、見られた枠の成約率に差があるか
  • 見学後の感想や口コミで、「見られなかった」という言葉が出てくるか

2つめの比較には注意が必要です。見られる枠は、もともと会場に強い関心を持つ二人が選ぶ枠でもあります。成約率に差が出ても、それが「見られたから」なのか、「もともと決める気が強い二人だったから」なのかは、この数字だけでは分かりません。差を見たら、すぐ結論にせず、1〜2か月は同じ数え方で続けます。

数える前に、会場側が決めておくことが一つあります。「見られる」の定義です。扉の外から見えるのは「見られる」に入れるのか、中に入って座れて初めて「見られる」とするのか。定義が人によって違うと、数字は後で読めなくなります。

まとめ

  • 婚礼が入る土日の見学では、チャペルや披露宴会場が見られない枠が出る。仮の時間割では、披露宴会場が見られるのは6枠のうち1枠だった
  • 二人は写真の場所を全部見られると思って来る。見られなかったことより、聞いていなかったことのほうが評価に響く
  • 見られない枠を同じ顔で売ると、見られない枠に入った二人の評価が下がり、見られる枠は早く埋まって他の二人の機会を削る
  • 予約ページには、婚礼が入っていること、枠ごとの見える範囲、見られない場合の代わりの3点を、枠を選ぶ画面の近くに書く
  • 見られる枠と見られない枠は同じ並びで出し、差は隠さない。見られない枠にも、見たい人が向く枠を一文添える
  • 当日は案内の最初に見える範囲を一言で伝え、見られない場所の写真をその場で渡せるようにしておく
  • 枠ごとの予約件数、成約率、口コミの言葉を数える。ただし、見られる枠の成約率の高さは、もともと関心の強い二人が選んだ結果かもしれない