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式場のYouTubeは、会場紹介より見学前の質問に答える動画から作る

式場でYouTubeチャンネルを作ろう、という話になると、最初に決まるのはたいてい「まず会場紹介の動画を撮ろう」です。チャペル、バンケット、庭、料理。いちばん見せたいものから順に撮っていく流れは、自然に思えます。

でも僕は、最初の数本は会場紹介ではなく、見学の席で何度も聞かれる質問に答える短い動画にしたほうがいいと考えています。会場の見た目は、写真と既存の紹介動画で十分に伝わっています。二人が見学の前にまだ知らないのは、見た目ではなく、「見積もりはどこまで上がるのか」「持ち込みはできるのか」のような、聞きにくいことの答えです。

この記事では、質問に答える動画を最初に作る理由、作る質問の集め方、置く場所、続けるかどうかの決め方を整理します。数字の出典はありません。仕組みとして言えることと、仮の前提を置いたモデル計算だけで書いています。実際の数字は会場ごとに違うので、自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

会場紹介の動画は、見学前の迷いに答えていない

先に、会場紹介の動画が悪いと言いたいわけではありません。あれば役に立ちます。ただ、YouTubeを新しく始める最初の動画としては、順番が違うと考えています。

理由は三つあります。

一つ目は、会場の見た目を伝える手段が、すでにたくさんあることです。結婚情報サイトの写真、公式サイトのギャラリー、Instagramの投稿。二人は式場を探す段階で、これらをすでに見ています。同じ見た目を動画でもう一度見せても、新しく分かることは多くありません。

二つ目は、会場紹介の動画は、他の式場と似た形になりやすいことです。広い映像で入って、チャペルを見せて、バンケットを見せて、料理で終わる。どの式場の動画も、並べると区別がつきにくくなります。迷っている二人にとって、比べる材料が増えたことにはなりません。

三つ目は、作るのに手間がかかり、続けにくいことです。撮影の日程を取り、ライトを入れて、編集して、というやり方だと、1本作るのに何日もかかります。1本目で疲れてしまい、2本目が出ないチャンネルは珍しくありません。

質問に答える動画は、この三つの逆になります。二人がまだ知らないことに答えるので、新しい材料になります。答えは式場ごとに違うので、他と似た形になりません。そして、1本が短いので、続けられます。

質問に答える動画は、1本1問で30秒から2分

質問に答える動画の形を、先に決めておきます。僕が考えているのは、次の形です。

  • 1本で答える質問は1つだけ
  • 長さは30秒から2分くらい
  • 冒頭の1文で、質問をそのまま読み上げる(「見積もりは契約後に上がりますか」)
  • 次の1文で、結論を言う(「上がる項目と、上がらない項目があります」)
  • そのあとに、理由と具体例を言う
  • 最後に、確認の仕方を一言添える

飾りは要りません。担当者が見学の席で話すときの様子に近いほうが、二人も実際の見学のイメージを持てます。立派な撮影機材より、声がはっきり聞こえることのほうが大事です。

結論を先に言うのは、見ている二人が離れる場所を作らないためです。質問に答える動画を開く二人は、答えが知りたくて来ています。前置きが長いと、答えにたどり着く前に閉じられます。

質問は、見学の席と問い合わせから集める

では、どの質問を動画にするのか。ここを間違えると、誰も見ない動画が増えます。

質問は、想像で作らず、実際に聞かれたものから集めます。集める場所は三つです。

  • 見学の席で二人が聞いたこと(見学メモ)
  • 公式サイトの問い合わせフォームや、LINEで届いた質問
  • Instagramの質問スタンプやDMで届いた質問

見学メモに「聞かれた質問」を書く欄がなければ、1か月だけ付けてみてください。月末に質問を書き出して、同じ質問を数えます。多くの会場で、上位に来る質問は意外なほど似ているはずです。

数えるときは、次の分け方が使いやすいと思います。

  1. お金の質問(見積もりが上がる条件、内金、支払い方法、キャンセル料)
  2. 持ち込みの質問(衣装、写真、引出物、お酒)
  3. 当日の質問(人数の増減、雨の日、控室、送迎)
  4. 会場の質問(広さ、段差、駐車場、授乳室)

お金の質問が上位に来る会場が多いと思いますが、これも会場による違いがあるので、自分の会場で数えてください。大事なのは、いちばん多く聞かれた質問から順に動画にすることです。多く聞かれた質問は、二人がいちばん知りたがっていることだからです。

動画にしないほうがいい質問もあります。金額が頻繁に変わるものや、条件が個別に違って一言で言えないものです。たとえば「見積もりはいくらですか」は、動画では答えられません。そのかわり、「見積もりが上がりやすい項目はどれですか」のように、仕組みで答えられる形に直します。

置く場所は、迷いが出る場所のすぐ近く

動画を作っても、見てもらえなければ意味がありません。YouTubeにあげただけでは、見つけてもらえるまでに時間がかかります。そこで、動画は迷いが出る場所に直接置きます。

置く場所を三つ挙げます。

一つ目は、見学の予約ページです。「見学の前によくある質問」の見出しの下に、動画のリンクを2〜3本並べます。予約ボタンを押す直前に、不安が解ける位置です。

二つ目は、問い合わせへの返信です。たとえば「持ち込みはできますか」という問い合わせが来たら、返信の中で文章の答えを書いたうえで、「動画でも説明しています」とリンクを付けます。文章だけで足りる人はそれで済みますし、もっと知りたい人は動画を見ます。

三つ目は、見学の最後に二人に渡すお礼の連絡です。見学で話した内容のうち、二人がもう一度確かめたくなりそうなものを、動画のリンクで送ります。持ち帰った二人が、家で見返せます。

こうして置いておくと、動画の再生回数が少なくても、必要な二人には届きます。再生回数はたくさんの人に見られた数であって、見学予約に近い人に届いた数ではありません。このあと測り方のところで触れますが、僕は再生回数より、置いた場所から見られた数を重く見ています。

仮の前提で、元が取れる本数を計算してみる

ここで、モデル計算をします。次の数字はすべて僕が置いた想定で、実績ではありません。

  • 質問動画1本の制作にかかる時間を、撮影と編集で合わせて3時間とする
  • 担当者の1時間あたりの人件費を、仮に3,000円とする
  • 1本あたりの制作費は、3時間 × 3,000円 = 9,000円
  • 10本作ると、9万円
  • その10本が、月に合計で見学予約1件分の迷いを解いて、予約を1件増やすとする

見学予約1件が、成約まで進む率は会場によって違います。仮に成約率を3割とすると、予約3.3件で1組が成約する計算です。月に1件の見学予約増は、3か月で約1組の成約に相当します。1組の粗利が会場の平均で数十万円以上あるなら、9万円の制作費は、数か月で回収できる可能性があります。

ここで大事なのは、結果の数字ではなく、計算の形です。回収できるかどうかは、次の三つの数字で決まります。

  • 1本の制作時間(短いほど有利)
  • 動画が予約に結びつく件数(質問が実際に多いほど有利)
  • 1組あたりの粗利

制作時間が1本あたり3時間を大きく超える場合や、動画経由の予約がほとんど見込めない場合は、元が取れません。反対に、質問の選び方が正しければ、手間のわりに効きやすい取り組みだと僕は考えています。

続けるかどうかは、見学の席で一問聞いて決める

動画を作り始めたら、続けるかどうかを決める基準が必要です。再生回数やチャンネル登録者数は、見やすい数字ですが、見学予約との関係が分かりません。

僕が使いやすいと考えている基準は、見学の冒頭で二人に一問聞くことです。

「この会場の動画を、見学の前にご覧になりましたか。」

答えは「見た」「見ていない」の二択で、「見た」と答えた二人には、どの動画だったかを聞きます。担当者は見学メモに、見た・見ていないと動画のタイトルを記録します。

これを2か月続けると、次のことが分かります。

  • 見学に来た二人のうち、動画を見て来た二人が何割いるか
  • どの動画が、よく見られているか
  • 動画を見て来た二人と、見ていない二人で、成約率に差があるか

最後の差を見るときは、注意が必要です。動画を見て来る二人は、もともと熱心な二人かもしれないので、差が出ても動画の効果とは言い切れません。それでも、動画を見て来た二人の成約率が、見ていない二人より低くなっていなければ、少なくとも害にはなっていません。見ていない二人の成約率より高ければ、続ける理由になります。

2か月たっても、見て来たと答える二人がほとんどいなければ、置く場所を変えてみます。それでも変わらなければ、動画のテーマが二人の迷いに合っていない可能性が高いので、質問の集め方に戻ります。

作るときに気をつけること

質問に答える動画は簡単に作れますが、気をつける点がいくつかあります。

まず、金額や条件が変わったときに、古い動画が残ることです。「見積もりが上がる項目」のような仕組みの話は長持ちしますが、「今月のフェア特典」のような話はすぐ古くなります。動画の冒頭か概要欄に、収録した年月を書いておきます。条件が変わったら、動画を差し替えるか、非公開にします。

次に、出演するスタッフの許諾です。退職したあとも動画に残ることを、本人が了承しているかを確かめます。出演を依頼するときに、公開期間と、退職後の扱いを書面で確認しておくと、後から困りません。

そして、二人の質問を取り上げるときは、個人が特定できる形にしないことです。「先日の見学で〇〇様から伺った質問ですが」とは言いません。「よく聞かれる質問です」とだけ言います。

最後に、答えにくい質問を避けないことです。「見積もりが上がる」「キャンセル料はいくらか」のように、聞きにくく、答えにくい質問ほど、二人が知りたがっています。そこを避けて当たり障りのない質問ばかりを選ぶと、動画は誰の迷いも解きません。

会場紹介の動画は、質問動画のあとに足せばいい

最後に、会場紹介の動画をどうするかです。作らなくていいと言っているわけではありません。順番を後ろにするだけです。

質問に答える動画を5本から10本作ってから、会場紹介の動画を足します。そのとき会場紹介の動画は、質問動画を作る過程で見えた「二人が気にする場所」を中心に撮ります。たとえば、段差を気にする質問が多かったなら、段差のある場所と、ない場所を順に歩く動画にします。会場の見せ方が、二人の質問から決まります。

こうして作った会場紹介は、単なる広い映像の紹介より、見る二人の迷いに近い内容になります。他の式場の動画と似た形にならないのも、利点です。

まとめ

  • 式場のYouTubeは、会場紹介より先に、見学の席で何度も聞かれる質問に答える動画から作る
  • 会場の見た目は写真や既存の動画で伝わっているが、聞きにくいことの答えは二人がまだ知らない
  • 形は1本1問、30秒から2分。冒頭で質問を読み上げ、次の1文で結論を言う
  • 質問は見学メモ・問い合わせ・DMから1か月数えて集め、多く聞かれた順に作る
  • 置く場所は、見学の予約ページ、問い合わせへの返信、見学後のお礼連絡。迷いが出る場所の近くに置く
  • 元が取れるかは、1本の制作時間、動画で増える予約の件数、1組の粗利の三つで決まる(本文の数字は仮の想定)
  • 続けるかは再生回数でなく、見学の冒頭で「動画を見たか」を聞いて、2か月分を見て決める
  • 古くなる条件の話は収録年月を書き、出演者の許諾と、個人が特定できる形の質問は避ける