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式場サイトは会場タイプの紹介より先に、タイプ別の疑問に答える

自分の式場の公式サイトを、結婚式を調べ始めたばかりの二人になったつもりで開いてみてください。最初の1画面に「ゲストハウスウェディング」や「ホテルウェディング」という言葉が出てきます。二人はその言葉を読みながら、もう頭の中で何かを思っています。ゲストハウスなら「貸切って、どこまで本当なんだろう」。ホテルなら「高そう」。専門式場なら「少し古い感じがしないかな」。

この記事の結論を先に書きます。会場タイプの名乗りは、二人にとって説明ではなく、疑問の入口です。だから、タイプの紹介文を磨くより先に、そのタイプにつきまとう疑問への答えを、同じ画面の近くに置く。それだけで、見学を決める前に二人が抱えていた引っかかりを、1つ減らせます。

先に断っておきます。この記事に出てくる「二人が思うこと」は、調査の結果ではなく、僕が置いた仮説です。会場タイプごとに二人が何を思うかを、統計で言い切れる材料を僕は持っていません。だから、自分の式場で確かめる手順まで含めて書きます。

会場タイプの名前は、二人の頭に疑問を連れてくる

会場タイプの言葉には、二人の頭の中で、あらかじめ貼られているイメージがあります。式場側は「うちの特徴です」と思って書いていますが、読む側は「この言葉の裏にある、よくある不安」を一緒に思い出します。

僕が仮に置いている、よくある連想は次のとおりです。式場によって当てはまり方は違います。

  • ゲストハウス:貸切と書いてあっても、同じ日に別の組が入るのではないか。ゲストの控え室や動線は、本当に二人専用なのか。
  • ホテル:宿泊や他の宴会と同じ建物だから、特別感が薄いのではないか。料金が高いのではないか。
  • 専門式場:施設が古いのではないか。決まった型の挙式しかできないのではないか。
  • レストラン:料理はよさそうだが、挙式はどこでするのか。人数が多いと入るのか。

これは全部、僕の想像です。大事なのは当たっているかどうかより、読み手が会場タイプの言葉から何かを連想して、そのまま答えを探さずに、次の式場の画面へ移ってしまうことがある、という構造のほうです。公式サイトは、二人が質問する前に離れてしまうので、疑問があっても聞いてもらえません。

見学の予約フォームまで来てくれた二人は、質問を持ったまま来てくれた二人です。その手前で、疑問を抱えたまま閉じられたページは、数にも数えられません。ここが、会場タイプの名乗りを疑問の入口として扱う理由です。

名乗る言葉と、答えの置き場所を並べて書き出す

やることは、表を1枚書くだけです。式場の担当者と、30分あれば足ります。

  1. 公式サイトとパンフレットで、自分の式場が名乗っている会場タイプの言葉を全部書き出す(「ゲストハウス」「プライベート」「貸切」「邸宅」など)
  2. 言葉ごとに、二人が思いそうな疑問を1つずつ書く(予約フォームの自由記入欄や、見学で実際に聞かれた質問から拾う)
  3. その疑問への答えが、サイトのどこに書いてあるかを調べる(ページ名と、そのページの何画面目か)
  4. 答えが「別のページ」「3画面目以降」「どこにも無い」のものに印をつける

印のついた行が、直す対象です。多くの式場では、名乗りは1画面目にあり、答えは見学のときに口頭で出す、という並びになっているのではないかと思います。これは僕の見立てで、数えたわけではありません。ただ、表にすれば、自分の式場がどの並びになっているかは、すぐ分かります。

疑問に答えるときは、言い切れる範囲だけを書く

答えを置くときに、いちばん気をつけたいのは、言い過ぎることです。

たとえば「貸切」と名乗る式場なら、疑問は「本当に他の組と重ならないのか」です。ここで「完全貸切です」と書くと、読んだ二人は、挙式から披露宴、控え室、お見送りまで、すべて重ならないと受け取ります。実際には、同じ日の午前と午後に別の組が入る式場もあります。その場合は、重なる場所と重ならない場所を、そのまま書いたほうが信用されます。

  • 重ならない場所:挙式会場、披露宴会場、ゲストの控え室など
  • 重なることがある場所:受付ロビー、駐車場、お手洗いなど
  • 同じ日に入る他の組の数:最大何組か、時間はどれくらいずらすか

これは書き方の見本で、数字は僕が置いたものではなく、各式場が自分の運用で埋める欄です。僕が言いたいのは、答えを書くなら、疑問を持った人が自分で確かめられる粒度まで書く、ということです。粒度が粗いと、疑問は残ったままになります。

同じ構造は、他のタイプにも言えます。

  • ホテルタイプ:宴会場の階と、他の宴会との動線がどう分かれるか。宿泊の費用は、見積もりのどの行に入るか
  • 専門式場タイプ:いつ内装を直したか、直していないなら、どこを使い続けているか。挙式の形で選べるものは何か
  • レストランタイプ:挙式の場所、最大の人数、人数が変わったときの席の組み方

「古いのではないか」という疑問に、「歴史があります」と答えるのは、質問への答えになっていません。内装の更新年や、更新した場所を書くほうが、疑問に近い答えです。更新していない場所があれば、そこも書きます。書くことを恐れて濁した式場より、書いた式場のほうが、見学に来る二人の期待が実物に近くなります。

置く場所は、名乗りのすぐ近くから3か所

答えは、書いたら終わりではありません。置き場所で、読まれるかどうかが変わります。僕が優先する順番は、次の3か所です。

1. 会場タイプを名乗っている画面の、すぐ下。 名乗りが1画面目なら、疑問への答えも1画面目か、スクロール1回の範囲に置きます。「貸切です」の次の行に、「重なる場所は受付だけです」と書くイメージです。

2. 見学予約のページ。 予約フォームの手前に、「当日、一緒に確かめられること」として疑問を3つほど並べます。見学の理由を二人に作ってあげる、という役割です。疑問が残っている二人ほど、現物を見る価値を感じてくれます。

3. 検索やAIが引用しやすい、短い問いと答えの形。 「このゲストハウスは、他の組と重なりますか」という見出しで、2〜3行の答えを置きます。二人は式場名や会場タイプで検索したあと、こういう形の文章を探します。長い紹介文の中にある答えより、問いと答えがセットになった文章のほうが、拾われやすいと考えています。拾われる仕組みを僕が確かめたわけではないので、効いたかどうかは、あとで数えます。

効いたかどうかは、疑問を口にする二人の数で数える

直したあと、手応えを確かめる方法は簡単です。見学の冒頭か終わりに、「今日の見学の前に、気になっていたことはありますか」と聞いて、返ってきた疑問を、会場タイプにつきまとう疑問と同じ分類で記録します。

  • 直す前の月:同じ疑問を口にした二人は、何組中何組か
  • 直した後の月:同じ疑問を口にした二人は、何組中何組か

見学の件数が少ない式場では、1か月で差を言い切れません。月に10組しか来館が無い式場で、同じ疑問が4組から2組に減っても、偶然の幅の中にあります。2〜3か月ためて、傾向として見ます。数字が小さいうちは、「減った」と断定せず、「減っているように見える」と書いておくのが誠実です。

もう1つ数えたいのは、予約の手前で離れた二人の数です。これは、公式サイトのアクセス解析で、会場タイプを名乗ったページの離脱率を見ます。疑問への答えを足したあとで、そのページから見学予約のページへ進む割合が上がったかを見ます。ただし、直した時期に広告や掲載媒体の変更が重なると、効果が混ざります。直す月は、他の施策をいじらないようにします。

この考え方が合わない場面

全部の式場に、この手順が合うわけではありません。

会場タイプを名乗っていない式場。 「〇〇邸」のように固有の名前だけで勝負している式場は、タイプの連想に頼れません。この場合は、会場の特徴そのものに対する疑問を、同じ手順で書き出せば足ります。

疑問を聞き出す材料が、まだ無い式場。 開業直後で、見学の件数が少ない式場は、疑問を拾う材料が足りません。その間は、見学の冒頭に「気になっていたこと」を聞く習慣だけ先に作ります。サイトに答えを置くのは、疑問が10個ほどたまってからでいいと思います。

答えが、自社の弱みにしかならない場合。 たとえば「内装が古い」ことを書くと、見学に来る二人が減る可能性があります。それでも僕は、書く前提で考えます。見学に来て、期待と実物のずれに気づいた二人が、契約まで進むのは難しいからです。ただし、これは考え方の違いがありうるところです。サイトに弱みをどこまで出すかは、経営者の判断です。僕は、見学の予約前に出せる範囲を、「聞かれたら隠さずに答えること」までと置いています。

担当者と社長で、30分で決める段取り

最後に、段取りを書いておきます。

  1. 名乗りの言葉と、疑問の対応表を作る(担当者、30分)
  2. 印のついた行から、答えを書く。1行3文まで(担当者)
  3. 弱みになる答えは、書くかどうかを社長が決める。決めた理由を1行残す
  4. 名乗りの画面の下、見学予約のページ、問いと答えの形の3か所に置く
  5. 2〜3か月、見学の冒頭で「気になっていたこと」を聞いて、同じ分類で数える

ここまでで、新しく作るものは、表が1枚と、短い文章が数本です。広告費もツールも要りません。

まとめ

  • 会場タイプの名乗りは、二人にとって説明というより、疑問の入口になる。名乗った瞬間に、そのタイプにつきまとう疑問も一緒に思い出される(これは僕の仮説で、自分の式場で確かめる)
  • 名乗りの言葉と、疑問への答えの置き場所を、表にして並べる。答えが別ページや3画面目以降にあるものが、直す対象
  • 答えは、言い切れる範囲を、確かめられる粒度で書く。「完全貸切」ではなく、重なる場所と重ならない場所を分けて書く
  • 置き場所は、名乗りのすぐ下、見学予約のページ、問いと答えの形の3か所
  • 効果は、見学の冒頭で聞いた「気になっていたこと」の件数で数える。件数が少ないうちは、2〜3か月ためてから傾向として読む
  • 弱みになる答えをどこまで出すかは、社長が決める。決めた理由を1行残しておく