式場名の検索候補に出る言葉を、公式サイトの見出しにする
自分の式場の名前を、検索窓に打ってみたことはありますか。名前のあとに半角スペースを入れると、候補が何個か出てきます。「料金」「口コミ」「評判」「ドレス持ち込み」「アクセス」。式場によって並びは違いますが、ここに出てくる言葉は、二人が式場名を調べるときに、実際に続けて打っている言葉です。
この記事の結論を先に書きます。式場名の検索候補に出る言葉は、二人が気にしている順番の写しです。月に一度それを書き出して、公式サイトに答えのある見出しがあるかを確かめる。無ければ、その言葉をそのまま見出しにして答えを書く。これは、広告費もかけず、ツールも要らず、1時間で始められる作業です。
先に断っておくと、この記事に出てくる検索候補や数字は、僕が置いた例です。どこかの式場の実際の画面ではありません。自分の式場の画面で、実際に見てください。
検索候補とは何か
検索窓に文字を入れると、入力の途中で候補の言葉が出ます。サジェストと呼ばれる機能です。どの言葉を候補に出すかは検索サービス側が決めていて、仕組みの細部は公開されていません。ただ、検索サービスは、よく検索されている言葉の組み合わせを候補に出す、と説明しています。つまり、式場名の後ろに出る言葉は、その名前で検索した人が続けて調べた言葉の多いものだと考えられます。
ここで押さえておきたいのは、次の3つです。
- 候補は、検索する人の端末や場所、時期によって変わることがあります。自分のスマホで見た並びが、すべての二人に出ている並びとは限りません
- 候補に出ない言葉が、調べられていないとは限りません。件数が少なければ出ません
- 候補は、式場名を知っている二人が打つ言葉です。式場を知る前の二人が打つ言葉(エリア名と結婚式場、など)は、ここには出てきません
つまり、これは「式場名を知った二人が、次に何を調べているか」を見る道具です。式場を見つけてもらう前の話ではなく、候補に入ったあと、見学予約の画面に進むかどうかを分ける段階の話です。
なぜ公式サイトの見出しに関わるのか
式場名を知った二人は、公式サイトを見る前後に、名前で検索します。公式サイトを見て疑問が残ったとき、その疑問をそのまま検索窓に打ちます。たとえば、サイトに料金の目安が書いてあれば、「料金」と打つ必要はありません。でも、書いていなければ、「式場名 料金」と打ちます。
そこで候補に出た言葉の中に、公式サイトで答えを出していないものがあれば、二人は公式サイト以外のページに答えを探しに行きます。結婚情報サイトの口コミ、個人のブログ、SNSの投稿。そこにある答えは、式場が書いたものではありません。古い情報かもしれませんし、他の会場の話が混ざっているかもしれません。
公式サイトに答えがあれば、二人は検索結果の上のほうで公式サイトの該当箇所を見つけられるかもしれません。少なくとも、「公式に書いてなかったから、よそで調べた」という流れは減らせます。この流れを減らすのが、見出しにする目的です。
月に1回、1時間でやる作業
やることは単純です。手順にすると、次のとおりです。
- ブラウザの履歴やログインを切った状態(シークレットウィンドウなど)で、検索窓に式場名と半角スペースを入れる。出てきた候補を全部書き出す
- 式場名のあとに、「あ」「い」「う」など、ひらがなを1文字ずつ足して、出てくる候補も書き出す。思わぬ言葉が出てくることがあります
- スマホとパソコンの両方で見る。並びが違うことがあります
- 書き出した言葉ごとに、公式サイトで答えのあるページを探す。見つかれば、そのURLを横に書く
- 答えが見つからない言葉、見つかっても二人が探しにくい場所にある言葉に、印を付ける
表にすると、こうなります。以下は例です。
| 候補に出た言葉 | 公式サイトの答え | 判断 |
|---|---|---|
| 料金 | 料金ページに総額の帯がある | 残す。見出しに「料金」の言葉があるか確認 |
| 口コミ | 公式サイトには口コミの掲載がない | 見出しを足すか、足さないかを決める |
| ドレス持ち込み | よくある質問の4番目の中に書いてある | 独立した見出しにして、上に出す |
| 駐車場 | アクセスページにある | 残す |
| 閉館 | 公式サイトには何も書いていない | 慎重に。あとで説明します |
この作業の肝は、4番と5番です。言葉を書き出すだけなら、誰でもできます。そのうえで、答えのある場所が「二人が探せる場所か」を見ます。よくある質問の4番目にある答えは、書いてあるとは言えますが、探せるとは言えません。
言葉をそのまま見出しにする理由
見つからない言葉に印を付けたら、次はその言葉を見出しにして、答えを書きます。ここで大事なのは、言葉を言い換えないことです。
たとえば、候補に「ドレス持ち込み」と出ているのに、公式サイトの見出しが「衣裳についてのご案内」になっているとします。式場の側から見れば、衣裳という言葉のほうが正しいかもしれません。でも、二人が打っているのは、ドレス持ち込みという言葉です。その言葉を見出しに入れておけば、二人がページを開いたときに、探している言葉が目に入ります。検索結果の抜粋にも、見出しの言葉が出ることがあります。
言葉をそのまま使うことの利点を、整理します。
- 二人がページを開いて、探している言葉を見つけるまでの時間が短くなる
- 検索サービスが、ページの内容と検索した言葉の関係を読み取りやすくなる(これは仕組みの細部が公開されていないので、確実とは言えません。ただ、見出しが検索した言葉と合っていて、困ることはありません)
- 社内で「あの質問には、このページ」と共有しやすくなる
答えの書き方
見出しを置いたら、中身を書きます。このときのルールを2つ置きます。
1つ目は、見出しの直後に答えを書くことです。「ドレス持ち込み」という見出しの直後が「当館では、お客様の大切な一日のために」と始まると、二人は読み飛ばします。直後に「持ち込みできます。ただし、持ち込み料と、事前の確認が要ります」と、結論を書きます。そのあとに条件を書きます。
2つ目は、条件と数字を一緒に書くことです。持ち込み料があるなら金額を。事前確認が要るなら、いつまでに誰に確認するのかを。公式サイトでここまで書くのは、勇気が要ります。でも、二人が知りたいのは、できるかどうかより、その条件です。条件を隠すと、二人は問い合わせフォームか、電話か、別のサイトで確かめます。式場が答えを出さなかったことで、確かめる手間が二人に回ります。
書きにくい言葉が出てきたとき
候補には、式場として書きにくい言葉が出ることがあります。「評判」「口コミ」「閉館」「やばい」「後悔」のような言葉です。これらはどう扱えばいいか。
結論から言うと、すべてに答えを書く必要はありません。ただ、書かない場合でも、書かないと決めた理由は持っておきます。次の3つに分けて考えると、整理しやすいです。
事実で答えられる言葉
「閉館」と出ているのに、実際には営業している場合は、事実で答えられます。ただ、公式サイトに「閉館していません」と書くと、かえって気にさせるかもしれません。この場合は、営業時間と、直近の営業の実績を、ふつうのページに載せておく程度で足ります。見出しにする必要はありません。
二人の不安の言葉
「後悔」「やばい」のような言葉は、事実の問いではなく、不安の言葉です。ここに直接答えようとすると、言い訳に見えます。かわりに、候補に出た不安の中身を想像します。後悔するとしたら、契約したあとに追加費用が出る場合か、思っていた雰囲気と違った場合か。そう考えると、答えは「総額の見積もりにどこまで含まれているか」「見学のときに確かめられること」のページになります。言葉は見出しにせず、答えだけを、見積もりや見学のページに足します。
式場では答えられない言葉
「評判」「口コミ」は、式場が自分で答えるものではありません。この場合の答えは、口コミサイトの掲載ページへの案内か、成約した二人が許可した声の掲載です。許可なく声を載せることは避け、掲載には必ず許諾を取ります。
候補を集計して順位を付けないこと
検索候補を集めると、数えたくなります。上から3番目の候補は、どのくらいの件数なのか。でも、候補の並びは、実際の検索件数の順位とは限りません。検索サービスは、並びの決め方を公開していません。ですから、「3番目だから優先度は3位」と決めると、根拠のない順位になります。
僕は、順位ではなく、「公式サイトに答えがあるか」「二人が探せる場所にあるか」の2つで分けることを勧めます。答えが無い言葉から先に手を付ける。それだけで、順位は要りません。
月に1回の記録の残し方
作業は一度やって終わりではありません。検索候補は変わります。結婚情報サイトの特集、SNSで話題になった投稿、他の式場の閉館のニュース、法律の変更。そうしたことで、候補に出る言葉が増えたり消えたりします。
月に一度、同じ作業をして、前の月との差を見ます。記録は、表計算ソフトで1枚あれば足ります。
- 日付
- 候補に出た言葉の一覧
- 前月から増えた言葉、消えた言葉
- 増えた言葉の答えを置いたページ、置かなかった理由
増えた言葉は、二人の関心が動いたことの兆しです。たとえば、ある月に「会費制」が候補に増えたとします。そのとき、式場に会費制のプランが無くても、「会費制は対応していません。理由は」と答えるページを置く価値はあります。答えを置かないと、「対応しているかどうか」を、二人は別のところで確かめます。
仮の計算で、手間と効果の釣り合いを見る
この作業が、手間に見合うかどうかを、仮の前提で考えます。全部、僕が置いた数字です。
- 作業は月に1時間、担当は1人
- 1回の作業で、答えのない言葉が2つ見つかる
- 見出しを足して答えを書くのに、1つあたり30分
月に2時間。年にすると24時間です。担当者の時間に値段を付けるのは式場によって違うので、ここでは金額にしません。見たいのは、この2時間で何を得るかです。
得るのは、答えを出していなかった言葉が、年に24個減ることです。仮に、そのうちの1つに答えを置いた結果、見学予約に進む二人が、年にたった1組増えたとします。1組の成約が、式場にとってどれだけの売上になるかは、式場の客単価をご存じの経営者のほうが、僕より正確に計算できます。広告の運用で、同じ1組を増やすのにかかる費用と並べてみてください。答えを置く作業は、広告費と違って、置いたあとも残ります。
ただし、これは仮の話です。1組も増えない可能性もあります。それでも、この作業のいちばん確実な成果は、増減ではなく、「二人が何を気にしているか」を、毎月、式場が自分の目で見られることです。広告の数字や予約の数字では、この「なぜ」は見えません。
担当者の分担
この作業を回すときに、よく起きる失敗が2つあります。
1つ目は、集める人と、答えを書く人が別で、間が空くことです。マーケ担当が言葉を集めて、プランナーが答えを持っている場合、集めた言葉がメモのまま止まります。書き出した表を、月1回の短い打ち合わせで、プランナーに渡して、その場で答えを口頭で聞き出す形にします。聞いた答えを、そのまま文章にするだけです。
2つ目は、答えが社内で揃っていないことです。「ドレス持ち込み」に対する答えが、プランナーによって違う。この場合、サイトに書く前に、社内で答えを1つにします。これは手間ですが、ここで揃えておくと、見学のときの答えも揃います。サイトに書く作業が、接客の答えを揃える作業にもなります。
やらないほうがいいこと
最後に、やらないほうがいいことを挙げておきます。
- 候補に出た言葉を、答えもなく、ページの下にキーワードとして並べること。二人が読むページではなくなります
- 検索候補に自分の式場の名前と好ましい言葉を出すために、人に頼んで検索させること。検索サービスの規約に触れる可能性がありますし、そもそも二人の本当の関心とは別のものになります
- 他の式場の名前を入れて、候補を調べて、その式場の弱みを自分のサイトに書くこと。他社を持ち出して比べる書き方は避けます
自分の式場の名前の検索候補だけを、自分の式場のための材料として使います。
まとめ
- 式場名の後ろに出る検索候補は、式場名を知った二人が、次に調べている言葉の写し。月に一度、1時間で書き出せる
- 見るのは、公式サイトに答えがあるか、二人が探せる場所にあるか。候補の並び順で優先度を決めない
- 答えのない言葉は、言い換えずにそのまま見出しにして、見出しの直後に結論と条件を書く
- 「閉館」「後悔」「評判」のような書きにくい言葉は、事実で答える・不安の中身に答える・式場では答えない、の3つに分けて扱う
- 前の月との差を記録して、増えた言葉を二人の関心の動きとして読む
- 集める人と答えを持つ人を、月1回の短い打ち合わせでつなぐ
