式場サイトのURLがLINEに貼られたとき見える画像と一文を決める
式場を探している二人は、気になった式場のURLをLINEに貼って、お互いに送り合います。親や友人に「ここどう思う?」と見せることもあります。このとき、相手の画面に出るのはサイトそのものではなく、小さな画像と数行の文字を載せたカードです。
僕は、式場サイトの設定で見落とされやすいのが、このカードだと考えています。トップページのデザインにはお金をかけているのに、URLを貼った瞬間に出る画像が、ロゴの小さな切れ端だったり、真っ白だったりする。二人の間で式場が初めて「人に見せられる」場面で、いちばん弱い姿を見せていることになります。
この記事では、カードの見え方がどう決まるのか、確かめる手順、画像と一文に何を入れるか、効いたかどうかをどう測るかを整理します。出典があるのは、リンクカードの仕組みを定めたOpen Graph protocolの公式サイトの内容だけです。数字は、考え方を見るための想定として置いています。
リンクカードは、サイトの設定から作られる
URLをLINEやメッセージアプリに貼ると、タイトル、画像、説明文のカードが出ます。これは、アプリが勝手に作っているわけではありません。ページのHTMLの中に書かれた情報を読み取って作っています。
その書き方の約束事として広く使われているのが、Open Graph protocol(ogp.me)です。公式サイトには、ページに追加のmetaタグを書くことで、そのページをソーシャルグラフ上のリッチなオブジェクトとして扱えるようにする、という趣旨の説明があります。必須とされているのは4つです。og:title(タイトル)、og:type(種類)、og:image(画像のURL)、og:url(正規のURL)です。説明文を表すog:descriptionは任意項目として挙げられています。
ここで確認しておきたいのは、アプリごとに表示の細かいルールが違うことです。LINEがどの項目をどう使うか、画像をどのサイズで切り抜くかは、公式サイトの仕様書には書かれていません。だからこの記事では、「og:imageを入れておけば必ずこう見える」とは書きません。確かなのは、サイト側が何も指定しないと、アプリが本文や最初に見つけた画像から推測して作るため、意図しないカードになりうる、という点です。
意図しないカードとは、たとえば次のようなものです。
- 画像がロゴだけで、会場の雰囲気がまったく分からない
- 画像が横長に切り取られて、チャペルの端だけが写っている
- タイトルが「トップページ」や「HOME」のまま
- 説明文が空で、本文のメニューの文字が並んでいる
- 画像が見つからず、画像なしの文字だけのカードになっている
どれも、サイトを作った制作会社が初期設定のまま納品して、そのまま運用されていれば起こります。見学予約ページや、フェアの個別ページでも同じです。ページごとに設定を持たせていないサイトでは、すべてのページが同じカードになります。
貼られた先の二人は、何を見ているのか
カードが出る場面を、二人の側から見てみます。
ひとつは、パートナーに送る場面です。気になった式場を見つけたほうが、LINEで「ここ良さそう」と送る。受け取ったほうは、仕事の合間や移動中に、通知からそのカードを見ます。タップして開くかどうかは、カードを見た数秒で決まります。ここで開かれなければ、サイトのトップページにどれだけ良い写真があっても、見られません。
もうひとつは、親や友人に相談する場面です。親は、二人ほど式場の情報に慣れていません。カードに式場名だけが書いてあって、画像が何も言っていなければ、「どんなところ?」という返事が返ってきて、説明の手間が二人に回ります。二人はその手間を面倒に感じて、その式場を後回しにするかもしれません。
もうひとつは、複数の式場を比べるために、二人が自分たちのトーク画面に候補をまとめて貼っておく場面です。ここでは、カードが並びます。5軒、6軒と貼られたカードを見比べて、どれを見学に回すかを決める。並んだときに区別がつかないカード、つまり全部がロゴだけの式場は、思い出されにくくなります。
この3つの場面に共通するのは、サイトを開く前の判断です。式場側が普段計測しているのは、サイトを開いたあとの行動です。開く前に落ちた二人は、アクセス解析のどこにも残りません。「どのページで離脱したか」という分析では見えない場所に、取りこぼしがあります。
確かめる手順は、自分たちのLINEに貼るだけ
見え方の確認は、難しくありません。次の手順で、15分もあれば終わります。
- 自社の公式サイトのトップ、フェア一覧、見学予約ページ、料金のページ、挙式実例のページのURLを用意する
- 自分しかいないLINEのトークに、それぞれ貼って、カードを見る
- スマホで見た画像、タイトル、説明文をスクリーンショットで残す
- 同じことを、家族や、式場と関係のない知人のスマホでもやってもらう
- 競合の式場のURLも貼って、並べて見る
ポイントは、貼る前に一度、そのページを開き直すのではなく、新しい状態で貼ることです。アプリはカードの情報を一度読み取ると、しばらく覚えていることがあります。設定を直したのに前のカードが出る場合は、別のURL(末尾に適当な文字を付けた形など)で試すと、新しい状態で確認できます。この挙動はアプリによって違うので、直したあとは必ず自分の目で確かめます。
撮ったスクリーンショットを、社内で並べて見てください。見るのは、次の3点です。
- 画像だけで、どんな会場か想像できるか
- タイトルを読んだだけで、そのページの中身が分かるか
- 説明文の最初の数十字に、二人が知りたいことが入っているか
多くの式場で、トップページだけが整っていて、フェア個別ページや見学予約ページはトップと同じカードが出る、という状態が見つかると思います。見学予約のページは、二人が「ここ予約してみない?」と最も貼りたいページです。ここがトップと同じカードだと、貼られた先で何のページか分かりません。
画像に入れるもの
og:imageに指定する画像は、1枚です。ここに何を使うかで、カードの印象は決まります。
僕なら、次の考え方で選びます。
会場を一目で伝える写真を使う
候補は、チャペルの全景か、披露宴会場の全景です。二人が最初に知りたいのは、広さと雰囲気です。ロゴ入りのバナー画像より、実際の会場の写真のほうが、判断の材料になります。ただし、挙式実例の写真を使うときは、掲載の許諾が取れているものに限ります。
小さく表示されても潰れない構図にする
カードは、スマホの画面の中で小さく表示されます。画像の端のほうに大事なものを置くと、切り取られたときに見えなくなります。被写体を中央に寄せて、周りに余白がある写真を選ぶと、切り取り方が違うアプリでも崩れにくくなります。画像の比率は、Facebookが案内している横長(おおむね1.91対1、1200×630ピクセル前後)が、多くの場面で無難な目安として使われています。これはogp.meの仕様ではなく、各サービスの案内に基づく慣例なので、実機で確かめるのが前提です。
文字を画像に焼き込みすぎない
「ブライダルフェア開催中!」のような文字を画像に載せると、小さな画面では読めません。期限つきの文言は、終わったあとも画像として残り続けて、古い情報になります。画像は会場の写真に絞って、伝えたい文言はタイトルと説明文に回します。
ページごとに画像を変える
トップは会場の全景、フェア一覧は試食の写真、見学予約ページは見学の風景、といった具合に、ページごとに違う写真を割り当てます。トークに複数のカードが並んだときに、同じ式場でも、ページが違うと分かるからです。
タイトルと一文に入れるもの
画像の次に読まれるのが、タイトルと説明文です。
タイトルは、サイト名だけで終わらせず、そのページで分かることを添えます。たとえば、フェアのページなら「ブライダルフェア|試食と見学の流れ・所要時間(〇〇ホール)」のように、中身が分かる形にします。前に置く言葉が大事で、アプリの画面では後ろが切れることがあります。
説明文は、og:descriptionとして書きます。前の記事で扱った検索結果の説明文と近い考え方ですが、読む場面が違います。検索結果は知らない式場の中から選ぶ場面で、リンクカードは、すでに誰かが「見て」と言って送ってきた場面です。送った側は、そのページが自分たちに合いそうだと思って貼っています。受け取る側が知りたいのは、「これを開くと何が分かるのか」と「行ったら何をするのか」です。
入れるなら、この順番です。
- そのページで分かること(料金の目安、所要時間、空き状況など)
- 見学やフェアの内容(試食の有無、何時間か)
- 二人の不安に先に答える一言(その場での契約は求めない、など。実際にそう運用している場合に限る)
3つ目は、事実と違うことは書けません。運用の実態がそうでないのに書くと、見学の場で落差が出ます。書けないなら、1と2だけにします。
効いたかどうかの測り方
見学予約の件数が増えたかどうかだけで見ると、他の要因が混ざります。段階に分けて見るほうが確かです。
仮に、あるページの月間アクセスが2,000で、そのうち、LINEなどのメッセージアプリ経由が200だとします(この数字は想定です)。メッセージアプリ経由は、アクセス解析で流入元がメッセージアプリや「ダイレクト」として分類されることが多く、見分けにくい場合があります。そこで、共有用のリンクに、計測用のパラメータを付けた別のURLを用意する方法があります。見学予約ページの「友人に送る」「パートナーに送る」ボタンを置き、そのボタンから送られるURLにだけパラメータを付けます。
この仕組みを作ると、次の数字が取れます。
- 共有ボタンが押された回数
- そのURLが開かれた回数
- 開いた人のうち、予約まで進んだ人の割合
設定を直す前後で、「共有されたURLが開かれた割合」を比べます。ここで注意したいのは、共有ボタンが押された回数と、実際にLINEに貼られて開かれた回数は一致しないことです。押しただけで送られない場合もあれば、開かれなかった場合もあります。ボタン経由の分しか測れないので、貼られたすべてのURLの動きではない、という限界は覚えておきます。
仮に、前の期間に共有ボタンから送られたURLの開封が40%で、設定を直した後に55%になったとします。開封した人が予約に進む割合が変わらなければ、予約数は開封の増え方と同じだけ増えます。そのくらいの見積もりで、直す手間とのバランスを見ます。もちろん、実際の数字は式場ごとに違うので、想定の数字を目標にしないでください。
ボタンを置けない場合は、ページごとに、LINEのトークでの見え方を月に一度スクリーンショットで残すだけでも十分です。サイトを改修したあとや、制作会社がテーマを更新したあとに、設定が初期化されてカードが壊れることがあるからです。
制作会社に頼むときの伝え方
設定そのものは、制作会社やサイトの管理画面で直すことになります。伝えるときは、専門用語を並べるより、貼ったときの見え方を見せたほうが早く伝わります。
- 現状のカードのスクリーンショットを添える
- 直したいページを、トップ、フェア一覧、見学予約、料金、挙式実例の5つに絞る
- ページごとに画像・タイトル・説明文を別々に設定できる形にしてほしい、と伝える
- 納品の確認は、LINEに貼った見え方で行う、と先に決めておく
ページごとに設定できる管理画面が無い場合は、見学予約ページとフェア一覧だけでも先に直します。二人が最も貼りたいページだからです。
直さなくてよい場合
全部の式場にこの修正が要るわけではありません。次のような場合は、後回しで構いません。
- すでに、ページごとに画像とタイトルが設定されていて、貼って確認したら会場の写真が出ている
- そもそも公式サイトへの流入がとても少なく、他に直すべき導線が多い(予約フォームが壊れている、スマホで表示が崩れている、など)
- サイトの全面リニューアルが数か月以内に決まっている(このときは、リニューアルの要件に入れる)
優先順位は、予約を取りこぼしている場所の大きさで決めます。リンクカードの修正は、費用が小さいわりに、貼られた先の最初の一瞬を変えられる施策です。ただし、効果の大きさは、式場の今の状態と、二人がどれだけURLを共有しているかで変わります。「やれば必ず予約が増える」と言い切れる種類の話ではありません。
まとめ
- 式場のURLは、LINEなどで共有されると、画像・タイトル・説明文のカードとして相手に届く。その中身はサイト側のmetaタグで決まる(Open Graph protocol)
- 設定が無いと、アプリが推測してカードを作る。ロゴだけの画像や、タイトルが「トップページ」のカードになりうる
- 確認は、自分のLINEに主要5ページのURLを貼ってスクリーンショットを残すだけでできる。直した後は、別のURLで貼り直して確かめる
- 画像は会場の写真1枚に絞り、被写体を中央に寄せ、文字は載せすぎない。ページごとに変える
- タイトルは中身が分かる形に、説明文は分かること、内容、不安への一言の順に書く。実態と違うことは書かない
- 効果は、共有ボタン経由のURLに計測用パラメータを付けて、開封率と予約への進み方で見る。測れない場合は、見え方を月に一度記録する
- 先に直すのは、見学予約ページとフェア一覧。リニューアルが近い場合は要件に入れる
