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結婚式場の成果報酬型媒体は、成約の定義で支払いが変わる

成果報酬型の媒体は、掲載費の固定費がなく、成果が出たときだけ払えばいい仕組みに見えます。リスクが小さいので、掲載を増やす式場も多いと思います。

ただ、成果報酬の「成果」を何で数えるかは、媒体と契約によって違います。来館した時点で課金されるものもあれば、契約の時点で課金されるものもあります。さらに、契約後のキャンセルで返金されるのか、他の経路で先に知っていた二人まで媒体の成果に数えるのかも、契約書の書き方で変わります。

この記事では、成果報酬の「成果」の定義によって、式場が実質いくら払うことになるのかを、仮の式場の数字で計算します。結論から言うと、来館課金と成約課金のどちらが安いかは、式場の成約率で決まります。そして、成約課金のほうが安全に見えるのは、返金と帰属の条件が整っているときだけです。

なお、媒体ごとの具体的な料率や契約条件は、僕には確認できていません。料率は公開されていないことが多く、式場ごとの交渉でも変わるはずです。ここでは数字をすべて仮に置いた計算で進め、実際の契約で何を確かめればよいかに話を寄せます。

成果報酬の「成果」には、少なくとも3つの点がある

媒体が成果として数える点は、ざっくり3つに分けられます。

  • 問い合わせ・資料請求の時点
  • 来館(見学・フェアの参加)の時点
  • 成約(契約・申込金の入金)の時点

後ろの点ほど、式場が払う単価は高くなり、払う回数は少なくなります。前の点ほど単価は低く、回数は多くなります。

式場にとって大事なのは、単価の高低ではありません。最終的に契約1組あたりにいくらの媒体費がかかっているかです。これを集客コスト(成約1組あたりの媒体費)と呼ぶことにします。この数字は、課金の点が違っても、同じ物差しで比べられます。

同じ媒体でも、課金の点が違えば、式場が負うリスクの種類が変わります。

  • 来館課金:来館した二人が契約しなかったときのリスクは、式場が負う
  • 成約課金:媒体の側が、契約に至らなかったときのリスクを負う

ここまでは、多くの式場がすでに知っていることだと思います。問題は、この先です。

仮の式場で、来館課金と成約課金を比べる

仮の式場を置きます。実在の式場ではなく、計算のための設定です。

  • 媒体経由の来館は月40組
  • 来館から契約までの成約率は25%(月10組)
  • 来館課金の場合の単価は1組1.5万円
  • 成約課金の場合の単価は1組8万円

この単価は僕が置いた仮の数字です。ここでは、成約率25%のとき、どちらの課金でも月の支払いが近くなる程度の水準に置きました。

月の支払いは次のとおりです。

来館課金 成約課金
計算 40組 × 1.5万円 10組 × 8万円
月の支払い 60万円 80万円
成約1組あたり 6万円 8万円

この条件では、来館課金のほうが安くなります。成約課金は、契約を取るところまで媒体が責任を持つ分、単価が上がっているからです。

ところが、成約率が変わると、この順位が入れ替わります。

成約率が19%を切ると、来館課金のほうが高くなる

来館課金の集客コストは「来館単価 ÷ 成約率」で決まります。成約課金は、成約率に関係なく、単価の8万円のままです。

来館からの成約率 来館課金の成約1組あたり 成約課金の成約1組あたり
10% 15万円 8万円
15% 10万円 8万円
18.75% 8万円 8万円
25% 6万円 8万円
30% 5万円 8万円

分かれ目は、成約率が18.75%(1.5万円 ÷ 8万円)のところです。これより成約率が高い式場は来館課金のほうが得で、低い式場は成約課金のほうが得になります。

ここから言えることは2つあります。

1つ目は、成約率の高い式場ほど、来館課金のほうが得になるということです。接客が強く、媒体経由の来館をよく決められる式場が成約課金を選ぶと、自分の強さの分を媒体に払い続けることになります。

2つ目は、成約率が落ちてきた式場は、成約課金に寄せるとリスクを減らせるということです。ただし、これは単価が先の計算のとおりに設定されている場合の話です。実際の成約課金の単価は、媒体が式場の平均的な成約率を見込んで決めているはずなので、自分の成約率が平均より高いか低いかで、有利不利が変わります。

自分の式場の「媒体経由の来館から成約まで」の成約率は、月ごとにぶれます。分母の来館が少ないうちは、1組の差で数ポイント動きます。分かれ目の近くにいる式場は、半年ほどの累計で見たほうが安全です。

来館数が増えると、課金の差は広がる

来館の数が変わると、月の支払いの差は次のように動きます(成約率25%のまま)。

媒体経由の来館 来館課金 成約課金
月20組 30万円 40万円
月40組 60万円 80万円
月60組 90万円 120万円

単価の比が変わらないので、来館が増えても順位は入れ替わりません。差の絶対額だけが開きます。来館が増えると、課金の点の選び方で月に数十万円の差が出ることがあります。

成約課金が安全に見えて、そうでなくなる2つの条件

成約課金は「契約が取れなければ払わなくていい」ので、安全に見えます。ただ、この安全は、契約書の細かい条件に支えられています。次の2つが崩れると、見かけほど安全ではなくなります。

条件1:契約後のキャンセルで、成果報酬が戻るか

結婚式の契約は、契約したあとに取り消されることがあります。成約課金では、契約の時点で成果報酬が発生します。後日キャンセルになったとき、すでに払った報酬が戻るのかどうかを、契約で確かめておく必要があります。

先の仮の式場で、契約10組のうち、のちにキャンセルになるのが0.8組(8%)だったと仮に置きます。この8%も僕が置いた数字です。

返金なし 全額返金あり
月の支払い 80万円 約73.6万円
実際に残った成約 9.2組 9.2組
残った成約1組あたり 約8.7万円 8万円

返金がないと、実質の集客コストは8万円ではなく約8.7万円になります。キャンセルの割合が高い時期や、キャンセルの多い層を集める媒体では、この差が広がります。

どこまでの期間のキャンセルが返金の対象になるのか(契約から何日以内か、挙式の何か月前までか)、一部返金なのか全額返金なのかも、確かめたい点です。

条件2:他の経路で先に知っていた二人も、媒体の成果に数えられるか

成約課金では、契約した二人がどの経路から来たかで、媒体の成果かどうかが決まります。この「どの経路」をどう決めるのかが、揉めやすい点です。

次のような二人は、よくいます。

  • 先に式場の公式サイトを見て気に入っていたが、媒体の予約ページから見学予約を入れた
  • 友人の式に参列して式場を知っていたが、フェアの予約は媒体のほうが特典が付いたので、そこから入れた
  • 媒体の掲載を見て知ったが、見学の予約は電話で入れた

この3つの二人を、媒体の成果に数えるかどうかは、媒体の契約によって違います。多くの契約では、予約が媒体の画面を通して入ったかどうかが基準になるはずです。ただ、そうなると、式場がすでに獲得していた二人まで、媒体の成果として報酬を払うことになります。

仮に、媒体経由の成約10組のうち、媒体がなくても来ていた二人が3組(30%)いたとします。この30%も仮の数字です。

  • 実質の集客コスト:80万円 ÷ 媒体がなければ来なかった7組 ≒ 約11.4万円

見かけは8万円でも、媒体の純粋な貢献分に絞ると、約11.4万円まで上がります。これは契約違反でも不正でもありません。媒体経由という数え方に、すでに式場を知っていた二人が混ざる、という構造的な問題です。

この「媒体がなくても来ていた二人」の割合は、式場ごとに違います。知名度が高く、公式サイトや紹介だけで来る二人が多い式場ほど、高くなります。逆に、新しくできた式場や、地元での認知が低い式場では、低くなります。

自分の式場の割合は、見学の予約時に「どこで式場を知ったか」を聞く質問で、おおよその見当がつきます。見学の最初と最後の2問に分けて聞くやり方は、別の記事で書いています。

契約前に確かめたい5点

ここまでを、媒体と成果報酬の契約を結ぶ前に確かめたい5点にまとめます。

  1. 課金の点はどこか:問い合わせ・来館・成約のどの時点か。来館はどの状態を指すか(予約の時点か、実際に来た時点か)
  2. 成約の定義:契約書への署名か、申込金の入金か。どちらの時点で報酬が発生するか
  3. キャンセル時の返金:対象の期間、返金の割合、返金が確定するまでの日数
  4. 帰属のルール:媒体の画面から予約が入った二人だけか、媒体の掲載を見たと申告した二人も含むか。同じ二人が複数の媒体を使ったときの扱い
  5. 確認の手段:媒体が数えた成約の一覧を、式場が照合できるか。照合の期限はいつまでか

5つのうち、結果に効きやすいのは3と4だと僕は考えています。1と2は契約書に明記されているので、読めば分かります。3と4は、契約書の細則や運用ルールに書かれていることが多く、見落とすと請求のときに初めて気づくことになります。

毎月の請求書で見る3つの数字

契約したあとは、請求書が来るたびに、次の3つを式場側の記録と照らします。

  • 媒体が成約と数えた組数と、式場の契約台帳の組数が合っているか
  • そのうち、のちにキャンセルになった組が、返金の対象に入っているか
  • 帰属が曖昧な二人(予約は媒体、きっかけは別)が何組いたか

特に3つ目は、記録を残していないと後から出せません。見学の予約時の質問と、契約時のアンケートで、二人が式場を知った経路を毎回残しておくと、請求の確認がしやすくなります。

固定費型の媒体との比べ方

固定の掲載費を払う媒体と、成果報酬型の媒体を比べるときも、物差しは同じ「成約1組あたりの媒体費」です。

  • 固定費型:月の掲載費 ÷ その媒体経由の成約組数
  • 成果報酬型:月の支払い ÷ その媒体経由の成約組数(返金・帰属の調整後)

固定費型は、成約が出ない月でも掲載費が出ていきます。成果報酬型は、出ない月は支払いがほぼ出ません。ただ、成約までの期間は数か月にわたるので、月ごとの比較はずれます。比べるなら、問い合わせから成約までの時間差を見込んだ期間で見ます。この時間差の見方は、別の記事で仮の分布を置いて書いています。

成果報酬型は、リスクが小さいぶん、単価が高めに設定されていることがあります。固定費型より安いか高いかは、式場の成約率と、媒体の貢献度合いで決まります。「成果が出たときだけ払う」という言葉は、安さを意味しません。

まとめ

  • 成果報酬の「成果」は、問い合わせ・来館・成約のどの点かで、式場の負うリスクが変わる
  • 来館課金と成約課金の分かれ目は成約率で決まる。仮の単価(来館1.5万円、成約8万円)では18.75%が分かれ目で、これより成約率が高い式場は来館課金が得になる
  • 成約課金は、キャンセル時の返金がないと実質の単価が上がる。仮に8%がキャンセルになる場合、成約1組あたりは8万円から約8.7万円になる
  • 媒体がなくても来ていた二人を成果に数えると、純粋な貢献分に絞った集客コストはさらに上がる。仮に30%なら約11.4万円
  • 契約前に確かめるのは、課金の点、成約の定義、返金、帰属のルール、照合の手段の5点
  • 比べるときの物差しは、課金の形によらず「成約1組あたりの媒体費」にそろえる