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なぜ式場サイトの予約数は、解析ツールと受付台帳で食い違うのか

式場サイトの見学予約が、解析ツールでは月60件。受付台帳に書いてあるのは42件。こういう食い違いは、どちらかが壊れているというより、二つの数字が別のものを数えているために起きます。

僕の考えは、予約数の正本は受付台帳に置く、というものです。解析ツールの数字は捨てずに、台帳に近づける補正係数として使います。この記事では、解析の数が台帳より多くなる理由、少なくなる理由、そして差を放っておくと広告費の判断がどうずれるかを、判断の条件として整理します。

なお、出てくる件数と金額は、説明のために僕が置いた仮の前提です。調査から引いた数字ではありません。自分の式場の数字に置き換えて読んでください。

解析ツールが数えているもの

まず、二つの数字が何を数えているかをはっきりさせます。

解析ツールが数えているのは、ブラウザの上で起きた出来事です。多くの式場サイトでは、予約フォームを送信したあとに表示される完了ページが開かれたことを、予約1件として数える設定にしています。つまり解析の1件は「完了ページが開かれた回数」です。

受付台帳が数えているのは、式場のスタッフが受け取って、日程と二人の名前を押さえた予約です。電話で入った予約、LINEで入った予約、媒体経由で入った予約も、同じ台帳に書かれます。台帳の1件は「実際に迎える予定の二人の組数」に近い数字です。

ブラウザの出来事と、迎える二人の組数。ここが同じ数字になる保証は、最初からありません。

解析のほうが多くなる理由

解析の数が台帳より多くなる原因は、だいたい次の4つに分かれます。

一つ目は、完了ページの再表示です。二人が完了ページを開いたまま、あとでブラウザの更新ボタンを押す。ブックマークに入れて、翌日また開く。メールのリンクから完了ページに戻れる作りになっている。どれも予約は1件なのに、解析は2件、3件と数えます。完了ページのアドレスが単独で開ける作りだと、起きやすくなります。

二つ目は、同じ二人の重複予約です。新郎と新婦が別々に同じフェアを予約する。パートナーに「ここ、予約しておいて」と送ったら、二人とも入れてしまった。台帳の側では、同じ二人だと気づいて1件にまとめます。解析はまとめません。複数の媒体から入った二重予約の扱いは、別の記事で書いたとおりです。

三つ目は、予約として扱わない送信です。営業メールや広告の売り込みがフォームから届く。式場の側が試しに送ったテスト送信。業者のチェック。これらも完了ページまで進むので、解析は予約として数えます。台帳には載りません。

四つ目は、予約のあとのキャンセルや日程変更です。フォームから入れた予約が、翌日の電話で別の日に移る。台帳は移った先の1件だけを残し、解析は最初の送信を1件として残したままです。キャンセルされた予約を台帳から消している式場なら、差はさらに開きます。

解析のほうが少なくなる理由

反対に、解析が台帳より少なくなることもあります。こちらは見落とされやすいので、先に挙げておきます。

一つ目は、計測が届かないブラウザです。二人が使っているスマホのブラウザの設定や、広告を避ける拡張機能、サイトの閲覧データの取得を断る操作によって、完了ページを開いても解析に記録されないことがあります。最近は、閲覧データの取得に同意を求める画面を出す式場サイトも増えています。同意されなかった二人の分は、解析に残りません。

二つ目は、フォームを通らない予約です。電話、LINE、媒体の予約窓口、来館中のその場の予約は、サイトの完了ページを開きません。解析から見れば、存在しない予約です。

三つ目は、サイトの外で完了する予約です。媒体の予約フォームや、外部の予約システムに飛ぶ作りだと、完了ページは別のドメインにあります。式場サイトの解析には、そこまで進んだ記録が残りません。

四つ目は、計測の設定そのものが壊れた期間です。サイトを作り替えた日、フォームの項目を変えた日、タグの貼り直しをした日から、完了ページの計測が止まっていることがあります。数字が急に落ちて、集客の問題だと思い込んだら、計測の切れだった、という話は現場でよく聞きます。

多くなる理由と少なくなる理由は、同じ月の中で同時に起きます。だから「解析は多めに出るもの」と決めつけて一律に割り引くのも、危ないです。

仮の数字で、判断のずれを見る

差を放っておくと何が起きるかを、仮の数字で見てみます。

仮に、ある式場が月30万円の検索広告を出しているとします。解析ツールでは、広告から来たサイト訪問のうち、完了ページまで進んだ数が25件でした。このまま割ると、予約1件あたりの広告費は12,000円です。

ところが、受付台帳で「広告経由」と確かめられた予約は15件でした。差の10件は、完了ページの再表示、重複、テスト送信などでした。台帳の数で割り直すと、予約1件あたりの広告費は20,000円になります。同じ広告で、単価が1.7倍近く変わります。

もう少し先まで追います。台帳の15件のうち、実際に来館したのは12組で、来館率は80%。そのうち契約したのが3組で、来館からの成約率は25%です。成約1組あたりの広告費は、30万円を3組で割って10万円。これは、解析の数が25でも15でも変わりません。

ここが大事なところです。最終的な成約1組あたりの費用は、解析の予約数がどうであっても動きません。でも、途中の指標は動きます。解析の数で見ていると、予約から来館への移り方は「25件のうち12組」で48%と見えます。台帳で見れば「15件のうち12組」で80%です。同じ現場なのに、前者は「予約は取れているのに来館につながらない」と読めますし、後者は「予約したらほぼ来てくれている」と読めます。

前者の読み方をすれば、来館を増やすために確認の電話を足そうか、という手を打ちたくなります。後者の読み方なら、打つべき手は予約そのものを増やすことです。台帳の数ではなく解析の数で見ていたために、手の向きが逆になる。差を放っておく怖さは、これだと思います。

差を見つけるための週次の確認

では、どうやって差を小さくするか。大きなシステムを入れる必要はありません。僕が勧めるのは、週に1回、10分で終わる突き合わせです。

やることは三つです。

  1. 先週の解析上の予約数を、日付ごとに書き出す
  2. 先週の受付台帳の予約数を、同じ日付ごとに書き出す
  3. 日付ごとの差が大きい日だけ、個別に中身を見る

差が大きい日の中身を見ると、原因の見当がつきます。同じ時刻に近い間隔で完了ページが何度も開かれていれば、再表示です。同じ名前や同じメールアドレスの予約が並んでいれば、重複です。意味の通らない文面の送信があれば、テスト送信や売り込みです。

一方で、解析が台帳より少ない日は、電話やLINEの予約が多かった日かもしれませんし、計測が切れていた日かもしれません。この見分けは、サイトの変更履歴を見ればつきます。更新作業をした日の前後で、解析がゼロに近い日が続いていないかを確かめます。

週次で突き合わせる利点は、原因を覚えているうちに直せることです。月末にまとめて見ると、何が起きた日だったのか、誰も思い出せません。

台帳の側にも、決めておくことがある

ここまで解析の側の話をしましたが、台帳の側にも決めておくことがあります。台帳が正本になるのは、台帳の数え方が決まっているときだけだからです。

決めておきたいのは、次の3点です。

一つ目は、1件の定義です。同じ二人が日程を変えたら、1件のままにするのか、新しい1件にするのか。僕は、二人の組を単位にして、日程が変わっても1件のまま、変更の履歴だけ残すやり方が扱いやすいと考えています。

二つ目は、流入経路の書き方です。「広告」「検索」「媒体」「紹介」のような選択肢を決めて、受け付けた担当者が迷わない形にしておきます。自由記述にすると、同じ経路が「ネット」「HP」「サイト」と別の書き方で並んで、集計できなくなります。

三つ目は、経路を聞くタイミングです。予約を受けた直後に聞くのと、来館したときに聞くのとでは、答えが変わります。二人は予約したときの経路を、時間がたつと忘れます。経路の聞き方そのものは、別の記事で書いたとおり、最初と最後の2問に分ける形が使えます。

補正係数として使う

台帳を正本にしたとして、解析ツールを捨てる必要はありません。解析は、台帳にはない情報を持っています。どのページを見て、どの広告から来て、どこで離れたか、という動きです。

そこで、解析の数を台帳に近づける補正係数を、自分の式場の数字から作っておきます。作り方は単純です。直近の数か月について、解析の予約数を台帳の予約数で割ります。仮に4か月の平均が1.4倍なら、解析で見る予約数を1.4で割って、台帳の数に寄せて読みます。

この係数には、守るべき条件がいくつかあります。

  • 計測の設定やフォームを変えたら、係数は作り直します。変更前の係数は使えません
  • 広告ごと、経路ごとに係数は違います。再表示が起きやすい経路もあれば、重複が多い経路もあります。全体で一つの係数にまとめず、広告費をかけている経路は個別に出します
  • 係数が月ごとに大きく揺れるなら、補正ではなく原因の確認に戻ります。揺れている状態で割り引いても、数字は当たりません

補正係数はあくまで、解析のグラフを日々眺めるときの目安です。広告費を増やすか減らすかを決める日には、台帳の数で割り直します。

完了ページ側でできる小さな直し

計測の側にも、手の入れどころがあります。大きな作り替えは要りません。

一つ目は、完了ページを単独で開けない作りにすることです。フォームを送信した直後にだけ表示され、アドレスを直接開いたり、更新ボタンを押したりしても予約として数えない設定にできるかを、サイトの制作者に聞いてみてください。実装の可否は、使っているフォームの仕組みによって変わります。

二つ目は、テスト送信をする人の目印を決めておくことです。式場の側でフォームを確かめるときは、名前の欄に決まった言葉を入れる。台帳の集計から除く条件にしておけば、解析との突き合わせでも説明がつきます。

三つ目は、電話とLINEの予約を、別の名前で解析に足すかどうかを決めることです。電話番号の押下、LINEの友だち追加ボタンの押下を、フォーム完了とは別の指標として数えれば、サイト由来の動きがより見えます。ただし押下は予約ではありません。台帳の予約数とは別の指標として、分けて読みます。

突き合わせるときに、やってはいけないこと

最後に、突き合わせでやりがちな失敗を一つだけ挙げます。

差が出たからといって、解析の数字を台帳の数字に手で合わせてしまうことです。数が合った気になりますが、差の原因は消えていません。差が出た理由を一度でも言葉にしておくと、次に同じ差が出たとき、早く片づきます。逆に、合わせて見なかったことにすると、広告の費用対効果を読むときに、同じ誤差を何度も踏みます。

差は小さくなくていい、というのが僕の考えです。差の理由が説明できればいい。説明できない差が残っているときだけ、広告費の増減を決めずに待つ。それだけで、予約数を根拠にした判断の外れ方は、だいぶ減るはずです。

まとめ

  • 解析の予約数は完了ページが開かれた回数で、受付台帳は迎える二人の組数です。別のものを数えているので、食い違うのが普通です
  • 解析が多くなる理由は、完了ページの再表示、同じ二人の重複、テスト送信や売り込み、予約後の変更とキャンセルです
  • 解析が少なくなる理由は、計測が届かないブラウザ、電話やLINEなどフォームを通らない予約、外部サイトで完了する予約、計測設定の切れです
  • 仮の前提では、広告費30万円で解析25件・台帳15件だと、予約1件あたりの単価が12,000円と20,000円に分かれ、来館への移り方の読みも逆になります
  • 正本は台帳に置き、週に1回、日付ごとの差が大きい日だけ中身を見ます
  • 解析は、台帳に寄せる補正係数として使います。計測やフォームを変えたら作り直し、広告費をかけた経路は個別に出します
  • 広告費を増減させる日は、必ず台帳の数で割り直します