集客

式場の公式ブログは、更新頻度でなく見学前の疑問から書く

式場の公式ブログを、週に1回更新している。スタッフの日常、装花の写真、先週の挙式の様子。毎週ちゃんと続けているのに、問い合わせの数字は動かない。そういう会場は少なくないと思います。

僕はこの原因を、書く量や頻度に置いていません。ブログが答えている相手が、すでにその式場を知っている人になっていることのほうが大きいと考えています。まだ見学していない二人が検索窓に打つのは、式場の日常ではなく、自分の疑問です。

この記事では、見学前の二人の疑問から書くブログの作り方を、疑問の集め方、1本の型、書かないほうがいいもの、効果の測り方の順に書きます。出典になる調査は用意していません。公式ブログの効果を数字で示した調査を、この記事を書いた時点で確認できなかったからです。そのため数字は、前提を置いた計算だけにします。

ブログが日記になる理由

スタッフブログが日記になるのは、書く側にとって一番ラクだからです。今日あったこと、撮った写真、担当した挙式の感想は、調べなくても書けます。更新の担当者が兼務で忙しいほど、この方向に流れます。

ただ、日記に反応するのは誰かを考えると、読み手はほぼ決まります。すでに予約を入れた二人、SNSでフォロー済みの二人、卒花嫁、同業者です。見学前の二人は、そもそも検索で日記にたどり着きません。「〇〇会館 スタッフブログ」と打つのは、会館の名前を知っている人だけだからです。

つまり日記型のブログは、集客の入口ではなく、すでに入口を通った人への案内になっています。これ自体は悪くありません。成約後の安心には効きます。ただ、新しい二人に見つけてもらうという目的で更新時間を使っているなら、その時間は目的に届いていないことになります。

見学前の二人が検索する問い

見学前の二人が打つ言葉は、だいたい次の3つの種類に分けられます。

1つ目は、場所と日取りに関する問いです。「〇〇駅から行ける結婚式場」「仏滅は安くなるのか」「午前の挙式はあり得るのか」。2つ目は、お金に関する問いです。「見積もりが最初より上がる理由」「ご祝儀で足りるのか」「持ち込み料はいくらか」。3つ目は、自分たちの場合に当てはまるかという問いです。「親族だけで20人でもできるか」「再婚でも式を挙げられるか」「車いすの祖母が出席できるか」。

どれも、式場の名前が入っていません。ここが大事なところで、名前の入っていない検索は、どの式場にも見つかるチャンスがあるということです。ポータルサイトの検索結果や口コミサイトが答えにくい細かい条件ほど、公式ブログが答えを置ける余地があります。

もちろん、これらすべてで上位に出るという話ではありません。検索結果に出るかどうかは、競合の数や地域によって大きく違うので、僕には保証できません。言えるのは、この種類の問いに答える記事は、日記型の記事より見学前の二人の目に入る確率が高いという構造だけです。日記型の記事が悪いのではなく、届く相手が違うということです。

疑問の集め方

疑問を考えるために、会議室でアイデア出しをする必要はありません。答えは、会場の中にもう溜まっています。集める場所は4つあります。

  • 問い合わせフォームとLINEの最初のメッセージ。二人がいちばん率直に聞いてくる場所です
  • 見学の予約電話で、受付の人が答えているやり取り
  • 見学アンケートの自由記述欄にある、聞きたかったこと
  • 見学後の見積もりを見て、二人が首をかしげた項目

集めるときのコツは、プランナーの言葉に直さず、二人が書いた言葉のまま貼ることです。たとえば社内では「式次第の調整」と呼んでいる作業も、二人は「当日の流れって自分たちで決められるんですか」と聞いてきます。ブログのタイトルと小見出しには、この聞き方をそのまま使うほうが、検索の言葉に近くなります。

最初に集める量は、20件もあれば十分です。そこから同じ意味のものをまとめていくと、仮に20件で重なりが半分あるなら、テーマは10本前後に絞られます。これは僕の想定で、実際の会場で何本になるかは、集めてみないと分かりません。

1本の型

見学前の疑問に答える記事は、次の順に書くと、読む側も書く側も迷いません。

最初の3行で、問いに対する答えを言い切ります。たとえば「仏滅は、料金が下がる会場と下がらない会場があります。当会場は下がります。下がる幅は見積もりの何割かで決まります」のように、結論を先に置きます。

次に、その答えになる理由と条件を書きます。「下がる」と言うなら、どの料金が、どの日取りで、どんな条件のときに下がるのか。ここで自会場の実際の運用を書きます。例外や、逆に下がらないケースも書きます。下がらないケースを書くのは、一見損に見えますが、これを書いていない記事は、見学で期待がずれたときに信用を失います。

最後に、見学で確認できることを1つだけ書きます。「見学のときに、〇月〇日の仏滅の見積もりを出してもらえます」のように、次の行動が見えるところで終えます。申し込みを急がせる書き方はしません。

字数は、1,500〜2,500字くらいが書きやすい範囲だと思います。短すぎると、答えの根拠が書けません。長すぎると、読み手が探している答えが埋もれます。

書かないほうがいいもの

見学前の疑問に答えるといっても、書かないほうがいいことがあります。

1つは、他会場との比較です。「A会場より安い」「ホテルと違って自由」と書くのは、事実でも、読み手には自慢に聞こえます。比較は二人が自分でやるので、こちらは自会場の条件を正確に書くだけにします。

もう1つは、料金を書かない記事です。仏滅の話をしながら、金額を書かずに終わる記事は、答えになっていません。出せる範囲の幅でも書いたほうがいい。正確な数字が出せない理由があるなら、その理由を書きます。たとえば、季節や曜日で変わるので、見積もりのときに日取りごとに出す、と説明します。

3つめは、確かめていない数字です。「平均的なご予算は〇〇万円」と書きたくなりますが、自会場の実績でないものは書きません。書くなら、出典の調査名と発表時期をそのまま添えます。出せないなら、数字は使わず、条件の説明で厚くします。

記事数のモデル計算

仮の前提で、日記型と疑問型で、半年の作業量がどう違うか見てみます。以下はすべて僕が置いた想定で、実績の数字ではありません。

  • 1本の執筆と公開にかかる時間:2時間
  • 日記型:週1本、半年で26週
  • 疑問型:最初の6か月で、集めたテーマ10本を書く。その後は月1回、新しい疑問を拾って1〜2本足す

日記型は、26本×2時間で、52時間になります。疑問型は、まず10本×2時間で20時間。半年のうち残りの月に1本ずつ足して5本として10時間、合計30時間です。

時間は日記型のほうが多くかかり、記事の数も26本と15本で日記型のほうが多いです。それでも、見学前の二人の検索に引っかかる可能性があるのは、疑問型の15本のほうです。日記型の26本は、会場の名前を知っている人にしか届きません。

この計算が示しているのは、疑問型は楽だということではなく、同じ時間をかけるなら、書く先を変えたほうがいいという点です。更新頻度を落としても、1本の対象は広がります。

効果の測り方

ブログが集客に効いたかどうかは、見るところを決めておかないと分かりません。難しい設定は不要です。次の3つで足ります。

1つ目は、Search Consoleで、記事ごとの表示回数とクリック数を見ることです。見学前の疑問に答える記事は、会場の名前が入らない検索で表示されているはずです。名前入りの検索ばかりなら、疑問型になっていません。

2つ目は、記事から予約ページへの導線に、記事ごとの目印をつけることです。リンクにパラメータをつければ、アクセス解析で、どの記事から見学予約に進んだかが分かります。設定の手順は、使っている予約ツールやアクセス解析によって違います。

3つ目は、見学アンケートに「最初に見たページ」を聞く欄を足すことです。ブログから来た二人は、見学の席で「あのページを読んで」と話すことがあります。これが拾えると、数字には出ない効きが分かります。

最初の3か月は、予約数の増減よりも、会場の名前が入らない検索での表示が出ているかどうかだけを見るといいと思います。予約につながるまでには、検索で見つけてもらい、記事を読み、さらに見学の予約まで進むという段階があります。すぐには数字が動かなくて当然です。

運用の決め方

続けるための決めごとは、2つだけで足ります。

担当者を1人決めること。兼務でかまいませんが、疑問を拾う作業と書く作業は、同じ人が持ったほうが早いです。拾った疑問の言葉を、そのまま使えるからです。

月に1回、疑問の棚卸しをすること。新しい問い合わせの質問を見て、すでに書いた記事で答えているものがないか見ます。あるなら、その記事を書き足します。新しい問いなら、次の記事のネタにします。

書き足す作業は、新規の記事を書くより軽いのに、検索では古い記事のほうが読まれやすいことがあります。僕は、1年たった記事を月に1本見直すほうが、新規を1本書くより効くことが多いと考えています。ただ、これは僕の見立てで、会場の規模や地域によって変わります。

まとめ

  • スタッフ日記型のブログは、すでに会場を知っている人に向いている。新しい二人に見つけてもらう入口にはなりにくい
  • 見学前の二人は、会場の名前を入れずに、自分の疑問を検索する
  • 疑問は、問い合わせフォーム、LINE、予約電話、見学アンケート、見積もりへの反応にすでに溜まっている。二人の言葉のまま集める
  • 1本の型は、結論を先に、理由と条件を次に、見学で確かめられることを最後に置く
  • 他会場との比較と、確かめていない数字は書かない。料金は幅だけでも出す
  • 効果は、名前を含まない検索での表示、記事ごとの予約導線、見学アンケートの3つで見る
  • 担当者を1人決め、月1回の棚卸しで、書き足しを新規と同じくらい大事にする