式場名の検索候補は、公式サイトに足りないページを教えてくれる
式場名をGoogleの検索窓に打つと、名前のあとに言葉が足されて候補が並びます。「料金」「口コミ」「アクセス」「評判」「ドレス持ち込み」。この並びを、会場の方は普段どれくらい見ているでしょうか。
僕は、この候補の一覧を、見学前の二人が知りたがっていることのメモだと考えています。しかも、自分たちで聞き取りをしなくても、毎月ただで手に入る。それなのに、記録している会場はあまり見かけません。
この記事では、式場名の検索候補を月1回記録する手順と、出てきた言葉を4つに分けて「公式サイトに足りないページ」を決める方法を書きます。出典になる調査は用意していません。式場名の検索候補と成約の関係を数字で示した調査を、この記事を書いた時点で確認できなかったからです。そのため、数字は前提を置いた計算だけにします。
検索候補は、二人が打った言葉の寄せ集めです
検索候補は、広告枠ではありません。Googleの検索窓で入力の途中に出てくる予測で、多くの人が実際に検索した言葉が材料になっていると説明されています。会場側がお金を払って特定の言葉を載せる仕組みではありません。
ここから言えることは、1つだけです。式場名のあとに「料金」が出てくるなら、その式場の名前を打った人のうち、料金を知りたい人が一定数いる。「口コミ」が出るなら、口コミを確かめたい人がいる。仕組みとして、そう読めます。
逆に、僕が言い切らないことも決めておきます。候補の並び順が、そのまま検索した人の多さの順位だとは限りません。表示は時期や端末、検索した人の環境で変わることがあります。順位を数字のように扱うのはやめて、「出ているか、出ていないか」と「前の月から入れ替わったか」だけを見ます。
記録の取り方は、月1回・同じ条件・10分です
特別なツールは要りません。次の条件をそろえて、同じ日に記録します。
- 月の初めの平日に1回だけ取る(毎週取ると、揺れを変化と読み違えます)
- ログインしていない状態のブラウザ(シークレットウィンドウ)で、スマホとパソコンの両方から取る
- 式場名を正式名称で打ち、続けて半角スペースを1つ入れた状態の候補を記録する
- 式場名だけでなく、「式場名 あ」から「式場名 わ」まで、読みの頭文字を足した候補も取る(ここは多いので、気になった10個ほどで足ります)
- 記録するのは、候補の言葉・日付・端末の3つだけ
表計算ソフトの1枚のシートで足ります。列は「月」「言葉」「端末」「分類」「公式サイトで答えているページのURL」の5つ。最後の2列は、次の節で埋めます。
自分の式場名だけでなく、同じ商圏の2〜3会場の名前でも取ります。他社を研究するためではなく、自社の候補が地域の中で珍しいのかを見るためです。他社の候補の中身を真似することはしません。
出てきた言葉は、4つに分けます
候補の言葉は、二人がどの段階にいるかで4つに分かれます。
1. 値段を知りたい言葉(料金、見積もり、平均、費用、安い) 二人がその式場を候補に入れるかどうかを決めかけている段階です。ここに公式サイトが答えていないと、答えている媒体のページを見て判断されます。
2. 評判を確かめたい言葉(口コミ、評判、悪い、やめた方がいい) 候補に入れたあとで、落とす理由を探している段階です。「やめた方がいい」のような言葉が出ていても、反応しすぎないでください。二人は、悪い話を探しているのではなく、悪い話が見つからないことを確かめたいのが普通だと僕は見ています。
3. 行ってみる前の不安の言葉(アクセス、駐車場、持ち込み、人数、子連れ) 予約の直前にある疑問です。答えが見つからないと、予約を後回しにされます。
4. 名前のゆれの言葉(旧名称、略称、別の読み、似た名前の別会場) 式場の名前が、二人の頭の中で別の綴りや別の会場と混ざっている状態です。
この4つのうち、公式サイトで答えを用意しやすいのは1・3・4です。2は、公式サイトだけで答えを出せません。口コミサイトの掲載内容と、返信の書き方で答えることになります。
分類のあとに、答えているページを探します
言葉を4つに分けたら、1つずつ「公式サイトのどのページがこの言葉に答えているか」を探して、URLを5列目に書きます。見つからなければ空欄のままにします。
空欄が残った言葉が、足りないページです。ここで決めるのは、新しいページを作るかどうかではなく、次の3つのどれにするかです。
- 既存のページに1段落足す:料金のページに、見積もりの内訳を足すなど
- 新しいページを1本作る:「ドレス持ち込み」のように、1つの疑問で1ページ必要なもの
- 作らない:自社が答えを持っていない、または答えを出すと嘘になるもの
3つ目を選ぶのが、いちばん大事です。たとえば「持ち込み」が候補に出ていても、会場としては持ち込みを認めていないのなら、「できません」と書くページは作れます。ただ、「できません」の一言だけでは、二人は去ってしまう。代わりにできることを書けるかどうかで、作る・作らないを決めます。
モデル計算で、1ページの重さを確かめます
ここからは、出典のある数字ではなく、仮の数字での計算です。自社の数字に置き換えて使ってください。
仮に、次のような会場を考えます。
- 月の来館予約は40組
- 来館した二人の成約率は35%
- 検索候補に「料金」が出ているが、公式サイトの料金ページは「個別にご案内します」の一文だけ
ここで、料金ページに内訳を書いたことで、来館予約が月に2組増えたと仮定します。実際に増える保証はありません。ただ、2組という数字は、40組のうちの5%にあたります。「それくらいなら動くかもしれない」と思える大きさで置いた仮定です。
計算します。
増える来館予約 2組
成約率 35%
増える成約 2 × 0.35 = 0.7組 / 月
1年では、0.7 × 12 = 8.4組です。成約1組あたりの粗利を仮に120万円とすると、8.4 × 120万円で約1,008万円になります。
この計算の使い方は、「1,008万円が増える」と読むことではありません。「来館予約が月に2組増える」という仮定が外れて、半分の月1組だったとしても、年に約500万円の動きがある。つまり、料金ページを書き直す作業に、数日かける価値があるかどうかの判断が、粗い計算でもつく、ということです。
逆に、仮定を月0.2組にしても、年約100万円です。ページを1本書く手間と比べて、割に合うかを見られます。
数字を決める順番も、書いておきます。
- 成約1組あたりの粗利は、会場の実績から置く
- 成約率は、直近の実績から置く
- 来館予約の増え方は、「何組なら動いたと言えるか」から逆算して置く(根拠のない大きな数字を置かない)
3つ目だけが仮定で、1と2は会場が自分で確かめられる数字です。仮定を1つに絞ると、計算の外れ方も読みやすくなります。
候補が消えたら、そのほうが警戒信号です
月1回の記録を3か月続けると、新しく出た言葉と、消えた言葉が見えてきます。
新しく出た言葉は、そのとき世の中で起きたことと結びつけて読みます。たとえば、式場のリニューアルがあった月に「リニューアル」「新館」が出たなら、二人は見学前に何が変わったかを知りたがっています。公式サイトのトップに、変わった点を1画面で見せるページがあるかを確かめます。
消えた言葉は、次の2通りに分けて読みます。
- 答えるページを作ったあとに消えた:二人の疑問が減った可能性があります。ただ、因果は確かめられません。同じ時期に別の要因があったかもしれないからです
- 何もしていないのに消えた:他の言葉に押し出された、検索のされ方が変わった、のどちらかです。慌てず、翌月も同じ手順で記録します
どちらの読み方でも、「このページを作ったから消えた」とは書きません。記録の目的は、効果の証明ではなく、次に何を直すかを決めることです。
「名前のゆれ」の言葉は、早めに直します
4つの分類の中で、4つ目の「名前のゆれ」は、見落とされやすく、直しやすいものです。
たとえば、旧名称が候補に残っている会場は、二人が検索したときに、古い情報を載せたページが先に出てくることがあります。この場合に会場ができることは、次のことに限られます。
- 公式サイトの会場紹介に、旧名称と新名称の両方を、1回ずつ書く
- 結婚情報サイトや地図の掲載情報に、旧名称のままの表記が残っていないかを確かめ、直せるところは直す
- Googleのビジネスプロフィールの名称欄を、実際の看板と同じにそろえる
候補そのものを、会場の側で消したり、順位を動かしたりすることはできません。人為的に検索を繰り返して候補を作ろうとする行為は、Googleのポリシーで禁止されていると説明されています。やらないでください。会場ができるのは、答えるページを整えるところまでです。
他社の名前が候補に混ざるときの扱い
自社の式場名のあとに、他の会場の名前が出ることがあります。「〇〇 △△ 比較」のような形です。
これは、二人が2つの会場を並べて見ている、という事実を示しています。ここで他社を名指しした比較ページを作ることは、僕はおすすめしません。他社の情報を会場が自分で並べて書くと、更新が止まった時点で古い情報になるうえ、読み手にも不誠実に映るからです。
代わりにできるのは、比べられたときに自社が答える材料を、自社のページの中に用意することです。たとえば、「見学の所要時間」「当日の見積もりの出し方」「仮予約の期限」。二人が比べるのは、会場の優劣ではなく、自分たちが決めるまでに必要な情報が手に入るかどうかだと僕は見ています。
月1回の記録を、会議の議題に落とします
記録は、取るだけでは意味がありません。毎月の集客の会議で、次の3つだけを確認します。
- 新しく出た言葉は何か。4つのどれか
- 空欄の言葉はどれか。足す・作る・作らないのどれにするか
- 先月に決めたことは、終わったか
議題が3つだけなら、10分で終わります。10分で終わらない会議は、翌月から開かれなくなります。
担当は、マーケティングの担当者でなくても構いません。予約の電話を受けているスタッフや、見学を案内しているプランナーのほうが、「この言葉の裏にある疑問」を実際の会話で聞いています。記録の係と、読み解く係を分けると、続きます。
候補を読むときの3つの注意
最後に、読み間違えやすい点を3つだけ書きます。
候補の言葉を、そのまま見出しにしない。 「やめた方がいい」を見出しにしたページを作ると、会場のサイトがその言葉を肯定しているように見えます。答える内容は同じでも、見出しは「ご契約前に確認していただきたいこと」のように、二人の疑問を落ち着いて受ける言い方にします。
候補の数が多いことを、成果と呼ばない。 候補が多いのは、名前を打った人が多いか、打った人の疑問が散らばっているかのどちらかで、良し悪しは決まりません。見るのは、答えられている疑問の割合です。
1か月の変化で結論を出さない。 検索候補は揺れます。結論は、3か月以上の記録を並べてから出します。
まとめ
- 式場名の検索候補は、見学前の二人が知りたがっていることの一覧として読める
- 取り方は、月1回・同じ条件・スマホとパソコンの両方・10分
- 言葉は「値段」「評判」「不安」「名前のゆれ」の4つに分ける
- 公式サイトで答えているページを探し、空欄が足りないページになる
- 空欄は「1段落足す」「1本作る」「作らない」のどれかを決める
- 効果は仮の数字で粗く計算し、仮定は来館予約の増え方の1つだけにする
- 候補の順位や表示を動かそうとせず、会場ができるのは答えるページを整えるところまで
- 結論は3か月以上の記録を並べてから出す
