式場のAppleマップは、登録の有無より表示内容を月1回見直す
式場の地図表示を、Googleマップだけ見て「ちゃんと出ているから大丈夫」と終わらせていないでしょうか。
結婚式の二人は、20代後半から30代が中心です。この年代はiPhoneを使う人が多く、iPhoneにはAppleマップが最初から入っています。式場名を地図アプリで探す二人の一部は、Appleマップを開いているはずです。
ここで怖いのは、載っていないことより、載っているのに中身が古い、または空のままになっていることです。入口のピンが敷地のはるか手前を指していたり、電話番号が旧番号だったり、リンク先が閉鎖したフェアページだったり。二人は何も言わずに、次の式場の画面に移ります。
この記事では、Appleマップの表示を、登録しているかどうかではなく表示内容で点検する話をします。僕の結論は、月1回15分で足りる、です。大きな投資はいりません。ただし、見る場所と順番は決めておいたほうがいいです。
まず、どれくらいの二人がiPhoneなのか
地図の話の前に、土台の数字を置きます。ただし、ここは調査によって開きがあります。
- dime.jpが2026年の年代別推移として伝えるところでは、20代のiPhone比率は2025年・2026年とも約7割で、30代はおおむね半々です(調査対象は全国15〜79歳)
- オールコネクトマガジンの2025年4月調査(20〜60代のスマホ利用者500名、各年代100名)では、20代が68%、30代が57%でした。サンプルは小さい調査です
- 一方、MMD研究所の2026年8月調査(18〜79歳、4万人)では、全体ではAndroidが54.1%、iPhoneが45.6%と伝えられています。年代別の内訳は確認できていません
調査ごとに数字は揺れます。それでも、結婚式を考える年代でiPhoneが半分から7割という幅は、どの調査でも大きくは外れません。式場の来館者の約半分以上はiPhoneだと見ておいて、まず間違いではないと思います。
一方で、iPhoneの二人がどれくらいAppleマップを使うかは、僕は信頼できる数字を見つけられていません。Googleマップを入れて使っている人も多いからです。だから、この記事ではAppleマップが主流だとは言いません。「一部の二人は確実に見ている。そして点検の手間が小さい」という前提で話を進めます。
登録は無料で、事業者側が内容を直せます
Appleは、事業者が自分の店舗や施設の情報を管理できる無料のツール「Apple Business Connect」を出しています。Appleマップなどに出るプレイスカードの写真やロゴを足したり、更新したりできる仕組みです。2024年10月のアップデートで、物理的な店舗を持たない事業者も含めて、表示の管理ができる範囲が広がったと、Appleの日本向けニュースルームが案内しています。
Appleによる事業者の確認が入るので、登録には少し手続きがあります。ここは公式の案内に沿って進めてください。僕がこの記事で扱うのは、登録手順そのものではありません。登録したあとに、誰がいつ何を見るかです。
地図の表示は、一度整えると放っておかれがちです。ところが式場は、次のようなことが年に何度も起きます。
- 営業時間や定休日が変わる
- 電話の窓口や番号が変わる
- フェア専用ページが閉じて、リンク切れになる
- 改装や増築で、入口や駐車場の位置が変わる
- 旧名のまま、略称のまま、別の施設名と混ざったまま
どれも、式場の中の人は「もう直したつもり」になりやすい項目です。
月1回15分の点検は、4つだけ見る
点検の項目を絞ります。多いと続きません。僕なら次の4つにします。
1. 入口のピンの位置
スマホで式場名を検索して、ピンを押し、案内を開始してみます。見るのは、案内の終点が、二人が車や徒歩で実際に入る入口になっているかです。ピンが建物の裏手や、隣の敷地を指している式場は、実はけっこうあります。
とくに、駐車場の入口が建物の正面と別の道にある式場、送迎バスの乗り場が別にある式場は、ピンを複数の見方で確認してください。見学当日の遅刻や迷いは、予約をした後の話に見えます。でも、式場に「たどり着きにくい」と最初に感じた二人は、見学に来る前に別の式場を選んでいることもあります。
2. 電話番号
表示された番号に、スマホから発信してみます(かけるのは繋がるところまでで構いません)。確かめたいのは、誰が出るのか、営業時間外はどうなるのか、です。見学中で出られない電話の折り返しの決め方は、別の記事で書きました。地図に出ている番号が、その運用と同じ窓口につながっているかを見ます。
3. リンク先
式場の公式サイトのURLが入っていれば、タップして開きます。見るのは3つです。
- ページが開くか(閉鎖したページや旧ドメインではないか)
- スマホで見やすいか
- 二人が「見学を予約したい」と思ったとき、最短で予約に行けるか
トップページに飛ばすのか、フェア予約ページに飛ばすのかは、判断が分かれます。どちらが予約に近いかは、式場サイトの作りしだいです。迷ったら、まず一度、トップに飛ばして、予約までのタップ数を数えてください。
4. 写真と案内文
Appleマップに出る写真が、現在の会場の姿かを見ます。改装前の写真、古い料理写真、解像度の低い画像が残っていないかです。実物と写真の差が見学での落胆につながる話は、Googleマップの写真の記事で書いています。Appleマップも同じ理屈です。
案内文を足せる場合は、駐車場の台数、最寄り駅からの送迎の有無、見学の予約方法の一文を置けると親切です。ただし、数字や条件を書くなら、式場の実際の運用と一致させてください。載せた数字が古くなるのが、いちばんの事故です。
仮に、点検の効果をどう見積もるか
ここからは、実績のない仮の計算です。「仮に〜とすると」の数字なので、自分の式場の数字に置き換えて使ってください。
地図アプリで式場名を検索した二人が、月に100組いたとします。
- iPhoneの比率:57%と68%の2通り(前のセクションの2つの調査の、30代と20代の値)
- そのうちAppleマップを使う比率:不明なので、4分の1と半分の2通り
- 表示の誤りで、予約に進まない二人の割合:仮に3%
この3つを掛けると、予約に進まない二人の数は、月に0.4組から1.0組になります。
| iPhone比率 | Appleマップを使う比率 | 逃す二人(月・仮) |
|---|---|---|
| 57% | 25% | 約0.4組 |
| 57% | 50% | 約0.9組 |
| 68% | 25% | 約0.5組 |
| 68% | 50% | 約1.0組 |
「月に1組足らず」と見ると、小さく感じます。ただ、その二人は式場名を自分で検索しています。つまり、すでに興味を持って式場名を打ち込んだ人です。媒体に費用を払って来てもらう二人と違って、探しに来たのに、表示で取りこぼす二人です。月15分の点検で、この1組が戻るなら、割に合うと僕は見ます。
もちろん、地図検索が月100組の式場もあれば、30組の式場もあるでしょう。3%の取りこぼしも、仮の置き方です。大事なのは、数字そのものではなく、取りこぼしがゼロではないことと、点検のコストが小さいことの2点です。
効いたかどうかは、地図からの来館予約で見る
点検をしても、効果が見えないと続きません。測るなら、予約フォームの「どこで知りましたか」の選択肢に、地図アプリを入れておくのが簡単です。
- 選択肢を「Googleマップ」「Appleマップ」「その他の地図」と分けるか、まとめて「地図アプリ」にするか
- 公式サイトのリンクにパラメータを付けて、アクセス解析で地図経由の流入を見るか
どちらも、完璧にはなりません。「地図アプリ」と答えた二人が、実際は検索経由だったということもあります。ですから、増えた減ったに一喜一憂せず、点検の前後3か月で、地図経由の予約の数が極端に動いていないかを見る程度にとどめてください。
数字が見えにくいことは、点検を止める理由にはなりません。ピンがずれていた、電話が旧番号だった、というのは、数字を見なくても直すべき誤りだからです。
誰がやるか、どこに残すか
月1回の点検が続かない理由は、たいてい「誰の仕事か決まっていない」ことです。
- 担当は、集客・マーケを見ている人がいればその人、いなければ見学の予約対応をしている人が自然です
- 日付は、毎月の同じ日に固定します(月初の営業会議の前、など)
- 結果は、4項目の確認欄だけの簡単な表に、日付と直した内容を残します。次の月に「前回何を直したか」が分かれば十分です
- 営業時間・電話・ロゴなどの変更が起きたときは、地図の表示を直すタスクを、変更の連絡と同時に作ります。月1回の点検は、その取りこぼしを拾う網です
担当者が代わったときのために、ログイン情報の保管場所と、管理者を2人にしておくことも決めておいてください。アカウントを作った人が辞めて、誰も内容を直せなくなる、というのは、地図に限らず起きがちな事故です。
Googleマップと分けて考えすぎない
ここまでAppleマップの話をしてきました。ただ、Googleのビジネスプロフィールと別の作業を増やしたい、という話ではありません。
大事なのは、二人が使う窓口ごとに、同じ情報が出ているかです。式場名、住所、電話、営業時間、予約リンク、写真。この6つは、公式サイト、Googleマップ、Appleマップ、結婚情報サイト、SNSのプロフィールで、そろっているのが理想です。
実際には、どこかが古くなります。だから、月1回の点検で見るのはAppleマップだけにせず、「6つの情報が、主な窓口でそろっているか」を、同じ15分で見ていきます。Appleマップを足す、というより、点検の表に1列足すくらいの感覚で十分です。
まとめ
- 結婚式の年代はiPhoneが半分から7割という調査が多く、Appleマップで式場名を探す二人は一定数いると見ていい。ただしAppleマップの利用率そのものは、信頼できる数字を確認できていない
- Appleの事業者向けツール(Apple Business Connect)は無料で、地図に出る表示を事業者が直せる
- 点検は月1回15分、入口のピン・電話番号・リンク先・写真と案内文の4点だけ見る
- 仮の計算では、地図の表示の誤りで月に0.4〜1.0組を逃す。式場名を自分で検索した二人なので、取りこぼしの重みは大きい
- 効果は、予約フォームの選択肢と流入のパラメータで、点検の前後3か月の動きとして見る
- 担当・日付・記録・管理者2人を決めておけば、点検は続く
