来館・成約

式場見学では、会場の弱みを聞かれる前に1つ自分から伝える

見学の案内では、会場の良いところを順に見せていきます。チャペルの光、庭の広さ、料理の評判。弱みは、聞かれるまで言わない。多くの式場がそうしていると思いますし、僕も最初はそれが普通だと考えていました。

ただ、二人は見学のあと、帰りの車の中や、夜のLINEで話し合います。そこで出てくるのは、「良かったところ」より「ちょっと気になったところ」です。駅から遠かった、控室が狭そうだった、階段が多かった。式場が言わなかった弱みは、二人が自分で見つけて、自分で重さを決めます。

この記事の結論を先に書きます。見学では、会場の弱みを1つだけ、聞かれる前に自分から伝えるほうがいいです。全部を並べる必要はありません。1つで十分です。ただし、どの弱みを選ぶか、どう言うか、そして言ってはいけない弱みがどれか。この3つを決めておかないと、ただの自爆になります。

出典のある調査の数字は、この記事では使っていません。判断の分かれ目と、現場での言い方の整理だけで書きます。断定は、仕組みとしてこうなる、と言える範囲に留めます。

弱みを隠すと、二人の頭の中で何が起きるか

見学中の二人は、案内された順に会場を見ています。気になる点があっても、その場では口に出さないことが多いです。聞きにくい、失礼かもしれない、あとで考えよう。そう思って、飲み込みます。

飲み込んだ違和感は、消えずに残ります。帰ってから二人で話すとき、違和感は「あの式場、〇〇が気になったよね」という形で出てきます。このとき、その場にいない式場の担当者は、何も言えません。説明の機会がないまま、気になった点だけが、判断材料として残ります。

もう一つ、見学の途中で二人が気づく場合があります。弱みに気づいた二人は、「この式場は、言わなかった」と受け取ります。弱みそのものより、言わなかったことが、信頼を下げます。弱みのない会場は存在しないと二人も分かっているので、隠されると、他にも隠していることがあるのではと疑います。

逆に、聞く前に弱みを言われた二人は、その弱みを「確認済みの事実」として受け取ります。確認済みの事実は、不安になりにくいです。同じ弱みでも、先に聞いたか、自分で見つけたかで、重さが変わります。ここが、先に伝える意味です。

伝える弱みは、三つに分けて選ぶ

会場の弱みは、性質で三つに分けられます。どれを先に伝えるかは、この分類で決めます。

変えられない弱み

駅からの距離、建物の築年数、階段の数、敷地の広さ、天井の高さ。会場の構造に由来するもので、式場が努力しても変わりません。

これは、先に伝える候補の本命です。二人が自分で見つけてしまう弱みの多くは、ここに入ります。変えられない弱みは、隠しても二人の目に入りますし、後から対処の話もできません。

変えられる弱み

控室の備品の古さ、案内表示の分かりにくさ、待合のスペースの狭さ。手を入れれば直る弱みです。

これは、先に伝えるより、直す予定を決めるほうが先です。「直す予定です」と言えるなら伝えてよいです。予定がないなら、言い方に困ります。見学の日までに直せるものは、直しておきます。

二人によっては弱みでない弱み

駐車場が少ない、というのは、電車で来る二人には関係がありません。庭が狭い、というのは、屋内で完結したい二人には気になりません。

これは、先に伝えるかどうかを、二人の話を聞いてから決めます。見学の冒頭で二人の希望を聞いておくと、その二人にとって重い弱みが分かります。重い弱みに当たるときだけ、先に言います。当たらないものまで言うと、不安を作るだけです。

三つのうち、先に伝える1つは、変えられない弱みのうち、その二人にとって重くなりそうなものを選びます。選び方は、見学の冒頭に聞いた希望から逆算します。

たとえば、「親も遠方から来るので、駅から近いところがいい」と聞いたなら、駅からの距離が重い弱みです。「小さい子どもを連れたゲストが多い」と聞いたなら、階段の数が重い弱みです。

言い方の型

弱みを言うときは、型を決めておくと、毎回ぶれません。僕がおすすめするのは、次の三つを順に言う形です。

  1. 事実を、短く言う
  2. その弱みで困る二人の条件を言う
  3. 対処できることを言う。対処がなければ、言わない

たとえば、駅から徒歩で15分かかる会場なら、こうなります。

「駅からは歩くと15分ほどかかります。ご年配のゲストが多い場合は、少し大変かもしれません。当日は駅からの送迎を出せますので、人数が決まった段階で、一緒に考えられます」

事実を言い、困る条件を言い、対処を言う。対処が実際にあることが大事です。送迎バスを出していないのに「送迎できます」と言うのは、嘘になります。対処がなければ、3番目は省いて、2番目で終えます。

避けたい言い方もあります。

  • 「実は〜なんです」と打ち明け話の調子で言う:重く聞こえます
  • 弱みのあとに「でも」と長い言い訳を続ける:弱みが際立ちます
  • 他の式場と比べて、うちだけが悪くないと言う:事故リストに入る言い方です
  • 冗談にして流す:二人は笑っても、気にしたまま帰ります

弱みの伝え方は、事実を短く言って、それ以上飾らないことです。短く言えば、二人も短く受け取ります。

言ってはいけない弱み

先に伝える弱みには、線引きが必要です。次のものは、先に伝える弱みに入れません。

一つ目は、安全に関わること。避難経路、耐震、バリアフリーの不備。これは弱みではなく、説明の義務や法令の話です。必要な説明は、見学の流れの中で正確にします。弱みとして軽く触れる話ではありません。

二つ目は、契約や費用に関わること。追加費用が出やすい項目、キャンセル規定、持ち込み料。これは弱みではなく、契約の説明の話です。見積書の側で、先に分かる形にします。ここで「実は」と言う形にしてはいけません。

三つ目は、スタッフに関すること。担当者が忙しい、人手が足りない。二人の不安をあおるだけで、対処がありません。

つまり、先に伝える弱みは、会場の物理的な特徴のうち、変えられないもので、二人が自分で判断できるものに限ります。判断の材料になる事実だけを渡す、と考えれば迷いません。

見学の流れのどこで言うか

伝えるタイミングは、見学の冒頭ではなく、会場を見終わったあとの、席に戻ったタイミングが向いています。

冒頭で弱みから入ると、二人は最初から身構えます。会場を見ている間は、良いところに目が向いています。見終わって席に着き、二人が全体を振り返るあたりで、「ひとつ、先にお伝えしておきたいことがあります」と切り出します。

案内の途中で、その場所に来たときに言う方法もあります。階段の前で「ここは階段が15段あります。ゲストに年配の方が多い場合は、エレベーターのご案内もできます」と言う。見ている最中に言えば、二人は実物を見ながら受け取れます。この形は、物理的な弱みに向いています。

どちらの場合も、言うのは1回だけです。繰り返すと、弱みを強調することになります。

弱みを伝えたあとに、二人の反応で見ること

伝えたあとの二人の反応は、判断材料になります。

軽く頷いて、次の話題に移る二人は、その弱みが重くない二人です。そのまま進めて構いません。

黙って考え込む二人、質問が続く二人は、その弱みが重い二人です。この場合、対処の話をもう少し深めます。ここで対処が弱いと分かったら、無理に押さない判断も必要です。合わない二人に契約を勧めても、後で不満になり、キャンセルや口コミに表れます。

「それは難しそうですね」と言う二人もいます。そのときは、反論せず、「そう感じる方もいらっしゃいます」と受け止めて、他の式場を見てもらって構いません。弱みを正直に伝えて離れる二人は、式場にとって合わない二人だったと考えます。

公式サイトや資料にも、同じ弱みを書いておく

見学で弱みを言うなら、公式サイトや資料の側にも、同じ内容を書いておくほうが一貫します。見学では言うのに、サイトには書かない、という状態だと、二人は見学前に弱みを知らずに来て、見学で初めて聞きます。

書く場所は、アクセス案内や会場ページの端で十分です。「駅から徒歩15分。送迎の相談ができます」と書く。事実と、対処を一緒に置きます。

サイトに書くと、弱みで合わない二人は、見学の前に離れます。それは損ではなく、見学の枠を、合う二人のために使える、ということです。

弱みの一覧を、先に作っておく

見学の場で、その場の思いつきで弱みを選ぶのは難しいです。先に、会場の弱みを一覧にしておきます。

作り方は簡単です。担当者が数人集まって、「二人が見学のあとで気にしそうな点」を、思いつくだけ書き出します。次に、それぞれを、さきほどの三つ(変えられない、変えられる、二人によっては弱みでない)に振り分けます。変えられる弱みは、直す担当と期限を決めます。変えられない弱みは、一つずつ、言い方の型に当てはめた文章を作っておきます。

もう一つ、この一覧に入れたいのが、「実際に二人から聞かれた弱み」です。見学のあとのアンケートや、見学中の質問の記録から拾います。自分たちが弱みだと思っているものと、二人が気にしているものは、ずれていることがよくあります。式場の側が気にしていた階段より、二人は更衣室までの距離を気にしていた、といったずれです。ずれが見つかったら、一覧の優先順位を入れ替えます。

一覧は担当者の間で共有します。担当によって言う弱みがばらばらだと、二人が複数回来館したときに、話が食い違います。同じ弱みを、同じ言い方で伝えるために、一覧と文章を揃えておくことが大事です。

まとめ

  • 弱みを隠すと、二人は帰ってから自分で見つけ、他の式場と比べて重さを決める。言わなかったこと自体が信頼を下げる
  • 見学では、会場の弱みを1つだけ、聞かれる前に自分から伝える
  • 選ぶのは、変えられない弱みのうち、見学の冒頭で聞いた希望に照らして、その二人に重くなりそうなもの
  • 言い方は、事実、困る条件、対処の順。対処がなければ3つ目は言わない
  • 安全に関わること、費用や契約に関わること、スタッフのことは、弱みとして伝える対象に入れない
  • 言うのは会場を見終わって席に戻ったとき、または該当の場所に来たとき。1回だけ言う
  • 公式サイトや資料にも同じ弱みを書いておくと、見学前に合わない二人が離れ、枠が合う二人のために使える