来館・成約

式場の定休日明けの問い合わせは、古い順でなく予約を急ぐ二人から返す

結婚式場の多くは、週に1日の定休日があります。その定休日の間も、公式サイトの問い合わせフォームには、問い合わせが入り続けます。休み明けの朝に受信箱を開くと、数件がまとめて溜まっています。

結論から書きます。休み明けの朝は、受信した順に返さないほうがいいです。見学の予約を急いでいる二人から先に返して、資料請求や質問だけの人は後にします。同じ人数に同じ時間で返しても、順番を変えるだけで、見学予約を取り逃がす組数が変わるからです。

この記事の数字は、出典のある統計ではありません。定休日明けの返信順と成約の関係を調べた調査を、僕は見つけられていません。以下の数字は全部、僕が置いた前提です。自分の会場の数字に入れ替えて読んでください。

休み明けの朝に溜まっているのは、同じ種類の問い合わせではない

受信箱に8件の問い合わせが溜まっているとします。件数は、会場によって2件のところも、20件のところもあります。ここでは8件で考えます。

この8件は、同じ種類ではありません。大きく4つに分かれます。

一つめは、希望日つきで見学を予約したい人です。「来週の土曜日の午後に見学したい」のように、日付を書いています。日付が近いほど、他の式場にも同じ日に問い合わせている可能性があります。

二つめは、見学はしたいけれど、日程が決まっていない人です。「検討しているので、空いている日を教えてください」といった内容です。

三つめは、資料請求だけの人です。まず資料を見てから決めたい、という段階です。

四つめは、質問だけの人です。料金のこと、持ち込みのこと、人数のこと、のような個別の質問です。見学の意思が書かれていません。

受信した順に並べると、この4種類が混ざります。夜中に届いた資料請求が一番上にあって、その下に、前日の夕方に届いた希望日つきの見学予約が埋もれている、ということが起こります。受信箱は、時刻の順にしか並んでくれないからです。

古い順に返すと、何が起きるか

古い順に返すのは、公平に見えます。先に問い合わせた人を、先に返す。順番待ちの列と同じ考え方です。

ただ、問い合わせた二人は、順番待ちの列に並んでいるつもりではありません。同じ時期に、3軒ほど別の式場にも問い合わせていることが多いです。最初に返事が来た式場に、見学の枠を押さえて、あとから来た返事には、すでに日程が埋まっている、という動き方をします。

だから、返信が遅れたときに失うものは、4種類で違います。希望日つきの見学予約は、遅れるほど、他の式場で日程が埋まります。日程未定の見学希望は、遅れても少し冷める程度です。資料請求だけの人は、数時間の遅れでは、ほとんど動きません。質問だけの人は、遅れても、回答の中身が合っていれば、あまり変わりません。

遅れの損が違うのに、順番は受信の時刻で決まる。ここにずれがあります。

仮の数字で、順番による差を見る

ここから先は、全部仮置きの数字です。

休み明けの朝に、8件が溜まっているとします。内訳は、希望日つきの見学予約が2件、日程未定の見学希望が3件、資料請求が2件、質問だけが1件です。

返信にかかる時間は、種類で違うと置きます。希望日つきの予約は、空き枠を確認して候補を返せばいいので、1件5分。日程未定は、候補日を3つ出すので、1件10分。資料請求は、定型文に宛名を入れるだけなので、1件5分。質問だけは、調べて答えるので、1件15分です。合計は65分になります。

遅れの損も置きます。返信が1時間遅れるごとに、見学の予約につながる確率が、種類ごとに次のように下がると置きます。

  • 希望日つきの見学予約:3ポイント
  • 日程未定の見学希望:1.5ポイント
  • 資料請求:0.5ポイント
  • 質問だけ:0.5ポイント

返信が終わる時刻で損を数えます。4種類が受信箱にランダムに混ざっているとして、8件の並びを全部試して平均を出しました。計算は Python で行っています。

受信の順に返すと、損の合計は、平均で約7.2ポイント・時間になります。損の大きい種類を先にして、1分あたりの損が大きい順に返すと、約4.3ポイント・時間です。差は約2.9ポイントです。

2.9ポイントは、1回の休み明けの朝に、見学予約が0.029組ぶん減るという意味です。見学1組あたりの粗利を、成約率30%、成約1組の粗利120万円と置くと、見学予約1組の価値は36万円です。0.029組なら、約1万円です。

1回あたりの1万円は、小さく見えます。ただ、定休日は週に1回あります。52回なら、約54万円です。この計算は、毎週8件が溜まるという前提です。件数が半分なら、差は小さくなります。20件溜まる会場なら、もっと大きくなります。

この数字が正しいと言いたいわけではありません。言いたいのは、構造です。返信の時間は同じでも、順番を入れ替えるだけで、損が小さくなります。足す作業は、順番をつける5分だけです。

順番を決める3つの質問

順番は、受信箱を開いたら、1件ずつ次の3つを確かめて決めます。

一つめは、希望日が1週間以内かどうかです。日付が近い見学予約ほど、他の式場との取り合いになりやすいです。日付が近い順に、上に置きます。

二つめは、他の式場にも問い合わせていると書いてあるかどうかです。フォームに「比較検討中です」「他の会場も見ています」と書いた二人は、返信の速さを見て比べています。書いてあれば、種類にかかわらず上げます。

三つめは、見学の意思が文面にあるかどうかです。「見学したい」「予約したい」と書いてあるか、「資料がほしい」「質問がある」だけかを見ます。意思があれば上、無ければ下です。

この3つで、おおまかに4つの束に分かれます。束の中では、受信の古い順で構いません。細かく順位をつけようとすると、振り分けに時間がかかって、本末転倒になります。振り分けは1件あたり数秒で終わる程度に留めます。

返信のテンプレートは、種類ごとに別に用意しておく

順番を決めても、返信に手間がかかれば、意味が薄れます。種類ごとのテンプレートを用意しておくと、休み明けの朝の65分が短くなります。

希望日つきの見学予約のテンプレートには、確認した日の空き枠を入れる欄だけを残します。希望日が埋まっていたら、前後の日の候補を2つ出します。ここは、問い合わせへの初回返信を、予約リンクにするか候補日にするかを分ける別の記事に、判断の条件を書きました。

日程未定のテンプレートには、候補日を3つ入れる欄を作ります。資料請求のテンプレートは、資料の送付日と、見学の案内を1行添えた形にします。質問だけの場合は、個別に答えることになりますが、よく聞かれる質問の答えを手元の一覧に置いておくと、15分が半分になります。

テンプレートは、文面を固定するための道具ではありません。宛名と日付の入れ忘れを防ぐための道具です。最後に、二人の文面に合わせた一文を足してから送ります。

定休日の前に、できることがある

休み明けの朝の負担は、定休日の前に減らせます。2つの方法があります。

一つめは、定休日に入る前に、自動返信の文面を直しておくことです。「定休日のため、返信は○曜日の○時以降になります」と、再開の曜日と時刻を書きます。二人は、返事がいつ来るかを知っていれば、待てます。時刻が書いていない自動返信は、いつまで待てばいいのか分からないので、他の式場に気持ちが動きます。年末年始の自動返信については、別の記事で扱いました。定休日は、その短い版と考えれば足ります。

二つめは、フォームの項目に「見学の希望日」を入れることです。希望日が項目として分かれていれば、受信箱を開いた瞬間に、日付が近い順に並べ替えられます。本文のなかに日付が埋もれていると、1件ずつ読むことになります。

どちらも、定休日に誰かが出勤する必要はありません。定休日に働かせないことは、前提にします。担当者の休みを削って返信の速さを買う、という選択は、長くは続かないからです。

休み明けの朝に、最初の10分でやること

休み明けの朝の流れを、順番に書きます。

受信箱を開いたら、まず返信を書かずに、10分で振り分けます。3つの質問に沿って、4つの束に分け、付箋かフラグで印をつけます。8件なら、10分は余ります。

次に、希望日つきの見学予約の束から返します。空き枠を確認して、予約リンクか候補日を返します。その次に、日程未定、資料請求、質問だけ、の順です。

質問だけの束は、時間がかかるので、午前中の最後か、午後に回して構いません。その場合、返信が遅れることを、一言添えます。「ご質問を確認しています。本日の午後に改めてお返事します」のように、時刻つきで書きます。時刻を決めて伝えるほうが、何も送らないより、待たせる負担が軽くなります。

効果の測り方

効果は、見学の予約数では測りにくいです。件数が少ない会場ほど、週ごとのばらつきが大きいからです。

見るのは、二つの数字です。

一つめは、希望日つきの見学予約への返信が、休み明けの何時に終わっているかです。返信を送った時刻を、予約管理の台帳か、メールの送信時刻で拾います。順番を変える前の1か月と、変えた後の1か月を並べます。

二つめは、返信した時点で、希望日の枠がすでに埋まっていた件数です。「申し訳ありません、その日は満席です」と返さざるをえなかった件数を、1行で数えます。これが減れば、順番の入れ替えが効いています。他の式場に押さえられたのではなく、自分の会場の枠が先に埋まったことが分かるので、取り逃がしの手がかりになります。

どちらも動かないなら、そもそも休み明けに溜まる件数が少なかったか、希望日つきの予約が少なかったということです。その場合は、この施策に手をかけるのは、そこで止めます。

足さなくていい会場の条件

すべての会場に必要なわけではありません。次の条件に当てはまる会場では、受信順のままで構いません。

  • 休み明けの朝に溜まる問い合わせが、1日に2〜3件以下
  • 定休日中も、予約システムが空き枠を自動で確定させ、人の返信を待たない
  • 定休日中に入る問い合わせの多くが、資料請求か質問で、希望日つきの予約が少ない

反対に、休み明けの朝に5件以上溜まる会場、問い合わせフォームの返信を人が書く会場、希望日つきの見学予約が定休日中に入る会場では、順番をつけたほうがいいです。

判断に迷うなら、先月の休み明けの朝の受信箱を見直します。溜まっていた件数と、その中の希望日つきの予約の件数を数えます。それが月に数件ならこの記事の出番で、ゼロに近ければ、別の課題に手をかけたほうがいいです。

まとめ

  • 定休日の間も問い合わせは入り続け、休み明けの朝に数件がまとめて溜まる。溜まった中身は、希望日つきの見学予約、日程未定の見学希望、資料請求、質問だけ、の4種類に分かれる
  • 受信順に返すのは公平に見えるが、二人は列に並んでいるつもりではない。他の式場にも問い合わせているので、遅れて失うものは種類によって違う
  • 8件・合計65分・種類ごとの損を仮置きすると、受信順は約7.2、損の大きい順は約4.3ポイント・時間。差は約2.9ポイントで、週1回の定休日なら年に約54万円。数字はすべて仮置き
  • 順番は3つの質問で決める。希望日が1週間以内か、他の式場にも問い合わせているか、見学の意思が文面にあるか。束の中は受信順でよい
  • 返信の準備は種類ごとのテンプレートで減らす。定休日の前には、再開の曜日と時刻を自動返信に書き、フォームに希望日の項目を分けておく
  • 休み明けの最初の10分は返信を書かず、振り分けに使う。時間のかかる質問への返事は、時刻を伝えて後に回す
  • 効果は、希望日つきの予約への返信が終わる時刻と、返信した時点で希望日の枠が埋まっていた件数で見る