来館・成約

式場LINEの返信が止まった二人には、催促でなく二択の質問を送る

式場の公式LINEで問い合わせを受けていると、やり取りが3通目あたりで止まる二人が出てきます。最初の質問には答えてくれたのに、こちらが日程や見学の案内を送った後、既読のまま動かなくなる。

このとき多くの式場が送るのは、「その後、ご検討状況はいかがでしょうか」という一通です。丁寧で、角も立ちません。ただ、僕はこの一通が、返信が止まった二人にいちばん答えにくい質問になっていると考えています。

この記事の結論は、返信が止まった二人に送る次の一通は、催促ではなく、5秒で答えられる二択の質問に替えた方がいい、ということです。理由と、替えるときの段取りを順に整理します。

数字は出典のあるものを使っていません。後半のモデル計算はすべて仮置きなので、自分の会場の数字に置き換えて読んでください。

返信が止まるのは、興味が消えたからとは限らない

返信が止まった二人を「興味を失った人」と読むと、次の一通は「まだ興味がありますか」という確認になります。ただ、LINEが止まる理由は、興味が消えた以外にもたくさんあります。

  • 返事を考えるのに時間がかかる質問が来て、後で返そうと思ったまま忘れた
  • 相手の都合(仕事、家族の予定)が分からず、日程を返せない
  • 二人のうち片方が窓口で、もう片方に確認しないと答えられない
  • 見学に行くかどうかの前に、他の式場と比べる段階にいる
  • 単に通知が流れた

このうち、式場の側の質問の作りで動かせるのは、先頭の3つです。「後で返そう」と思わせる質問、答えるのに相手の予定の確認が要る質問、二人で相談しないと返せない質問は、LINEの上では止まりやすい質問です。

つまり、止まった理由の多くは、二人の気持ちではなく、質問の重さにあります。そう読めば、次の一通でやることは、気持ちを確かめることではなく、質問を軽くすることになります。

「ご検討状況はいかがですか」が重い理由

この一文は、答える側に次の作業を求めます。

  1. 自分たちの検討状況を、自分で言葉にする
  2. それを、式場の担当者に失礼がないように丁寧な文面にする
  3. 「まだ決めていません」「他も見ています」のように、少し言いにくいことを含めて返す

LINEは、気軽に返せることが良さのはずです。メールより短く、電話より軽いからこそ、二人はLINEを選んでいます。そこへ、メールの返信と同じ重さの質問が来ると、返すのが後回しになります。

もう1つの理由は、「ご検討状況」という言い方が、断る返事を書く場所になってしまうことです。決めていない二人にとって、一番書きやすい返事は「また連絡します」です。この返事が来ると、式場の側は次の手が打てなくなります。待つしかなくなります。

二択に替えるときの3つの条件

二択の質問は、何を聞いても効くわけではありません。止まった二人に送る二択には、条件が3つあります。

条件1:どちらを選んでも、次の一歩になる

「見学に来ますか/来ませんか」は二択ですが、「来ません」の返事に次がありません。選択肢の両方が、式場から次の連絡ができる形になっている必要があります。

たとえば、こうです。

  • 「まず雰囲気を見るだけの見学と、見積もりまで出す見学、どちらが近いですか」
  • 「平日の夕方と、土日の午前、動きやすいのはどちらですか」
  • 「写真で先に会場を見たいですか、先に総額の目安を知りたいですか」

どれを選んでも、式場は次に送るものが決まります。選ばれた側に合わせた案内を1通送れば、会話が続きます。

条件2:選ぶのに、相手の予定の確認がいらない

「来週のどの日が空いていますか」は、カレンダーを開かないと答えられません。二択を作るときは、予定ではなく、好みや優先順位を聞きます。好みは、その場で答えられます。予定は、後で確認してからになります。

日程を決めたいときも、まずは「平日と土日、どちらが動きやすいか」と聞き、返事をもらってから、候補日を送る。この2段階にした方が、返信が止まりにくくなります。

条件3:二人のうち、LINEをしている一人で答えられる

窓口の一人が、もう片方に確認しないと答えられない質問は、止まります。「ご両家のご都合は」のような質問が、これにあたります。二択の中身は、LINEをしている本人の感覚で選べるものにします。

二択の文面の作り方

文面の形は、次の4つの順で作ります。

  1. 前の連絡のお礼を、一言だけ
  2. 「進めやすいように、1つだけ教えてください」と、質問が1つであることを先に言う
  3. 二択を、1行ずつに分けて書く
  4. 「どちらも違えば、そのままお知らせください」と、逃げ道を置く

たとえば、次のような文面です。

ご連絡ありがとうございました。 次の案内を送りやすくするために、1つだけ教えてください。 A:写真で会場の雰囲気を先に見たい B:総額の目安を先に知りたい どちらも違えば、そのままお知らせください。

ポイントは、「ご検討状況」という言葉を使わないことと、質問の数が1つだと先に言うことです。質問が1つだと分かると、読む前の負担が下がります。

選択肢の記号は、AとBでなく「①②」や、返信しやすい一文字にしても構いません。相手がスタンプで返せる形にすると、さらに軽くなります。

送るタイミングは、止まった日数でなく、前の質問の重さで決める

「3日止まったら送る」「1週間待つ」のように、日数だけで決めている式場は多いと思います。僕は、前に送った質問の重さで決めた方がいいと考えています。

  • 前の質問が軽い(日程の好みなど)のに止まった → 1〜2日で二択を送ってよい
  • 前の質問が重い(予算や人数の確認など)で止まった → 重さを疑って、少し間を置く。その間も、二択で軽くした質問を送る前提は同じ
  • 前に二択を送って、それにも返事が無い → 3通目を送らず、手紙やメールなど別の入口に切り替える

最後の項目が大事です。二択でも返事が無い二人に、LINEをもう1通送っても、同じことが起きる可能性が高いです。LINEは、止まったら、別の入口に切り替えるのが基本です。これは、二人がLINEを見ていない可能性があるからです。

何通まで送るかは、先に決めておく

返信が止まった二人に送る回数は、担当者の気分で決めると、担当者ごとにばらつきます。送りすぎる担当者もいれば、1通で諦める担当者もいます。式場として、先に決めておくといいことは次の3つです。

  • 止まった二人に送る二択は、何通までか(僕は1通を基本にして、2通までを上限に置きます)
  • 二択に返事が無かったとき、次に使う別の入口は何か(メール、手紙、電話のどれか)
  • それでも動かなかった二人を、いつ、どの形で閉じるか

3つ目は、閉じ方の話です。LINEのブロックや配信停止を、止まった二人に一方的にしないことです。最後に「また必要になったら、ここに声をかけてください」と一言残して閉じると、数か月後に二人から動くことがあります。これは、見学したきり契約しなかった二人への連絡と同じ考え方です。

前提を置いて、効果を見積もる

二択に替えると、どのくらい効くのか。出典のある数字は持っていないので、すべて仮置きの数字で計算します。

  • 月に60組が、公式LINEでやり取りを始める(仮置き)
  • そのうち40%(24組)が、途中で返信が止まる(仮置き)
  • 止まった二人に、催促の文面を送ったときの返信率を10%とする(仮置き)
  • 二択の文面に替えたときの返信率を25%とする(仮置き)
  • 返信をもらえた二人のうち、見学の予約に進む割合を50%とする(仮置き)
  • 見学した二人のうち、成約する割合を30%とする(仮置き)

この前提で計算すると、次のようになります。

返信が戻る組 見学予約に進む組 成約する組
催促の文面 2.4組 1.2組 0.36組
二択の文面 6.0組 3.0組 0.9組

差は、月に約0.5組です。月0.5組は、年に6組ほどになります。

この数字は仮置きで、実際の値は式場ごとに違います。ただ、構造は変わりません。止まった二人の数(24組)が大きいほど、そして、返信率の差が開くほど、効きます。逆に、止まる二人がほとんどいない式場では、効果は小さくなります。

自分の会場で試すときは、次の3つを数えると、前提を実測に置き換えられます。

  • 月に、LINEで始まった会話の数
  • そのうち、3日以上止まった会話の数
  • 止まった後に、二人から返信が戻った数

文面を替えるのは、数か月に1度で構いません。替える前と後を、同じ指標で並べて見ます。

二択を使わない方がいい場面

二択に向かない場面もあります。

  • 二人が、はっきり「検討中なので連絡は不要」と書いてきたとき。この場合は、連絡を止めて、約束した時期にだけ送ります
  • クレームや不満を含む返事で止まったとき。二択ではなく、担当者から電話や丁寧な文面で、まず受け止めます
  • 契約後の二人。契約後の連絡は、決めることが決まっているので、二択でなく確認の形で送ります

二択は、「見学前後で、返信が止まった二人」のための型です。何にでも使える型ではありません。

担当者が替わっても同じ品質にするために

二択の文面は、個人の文章力に頼ると、担当者ごとの差が出ます。式場の側で、用意しておくといいものは、次の3つです。

  1. 前の質問ごとに、使える二択の文面を3〜5本、ひな形として持つ
  2. ひな形にない二択は、「どちらを選んでも次の案内が決まっているか」で担当者が自分でチェックする
  3. 返信が戻った率を、文面ごとに月に1回見て、戻りにくい文面は入れ替える

ひな形は、式場の側の案内の都合でなく、二人の迷い方に合わせて作ります。「写真で見たい/総額を知りたい」「平日/土日」「雰囲気だけ/見積もりまで」のように、二人がよく迷う分かれ目が、そのまま二択になります。

まとめ

  • 返信が止まった理由は、気持ちが消えたからとは限らず、質問の重さにあることが多い
  • 「ご検討状況はいかがですか」は、答えにくい質問で、「また連絡します」を呼びやすい
  • 止まった二人には、5秒で答えられる二択を1つだけ送る
  • 二択の条件は、どちらを選んでも次の一歩になること、予定の確認がいらないこと、LINEをしている一人で答えられること
  • 文面は、お礼、質問が1つだと伝える一言、二択を1行ずつ、逃げ道の順で作る
  • 送るタイミングは、止まった日数でなく、前の質問の重さで決める
  • 二択にも返事が無ければ、LINEを重ねず、別の入口に切り替える
  • 何通まで送るか、別の入口は何か、いつ閉じるかを、式場として先に決めておく
  • 効果は、LINEで始まった会話の数、止まった数、戻った数の3つで、自分の会場の数字に置き換えて見る