土日の大安は、年によって11日から22日まで揺れる。2027年は半分しかないので、仮の式場なら13組があふれる
土曜の大安は埋まる。これは、どの会場でも知られている話です。ただ、土日の大安が一年に何日あるかを、年ごとに数えている会場は、あまり見かけません。
数えてみると、土曜と日曜に当たる大安は、2026年が21日、2027年は11日、2029年は22日です。日曜が何曜日に当たるかと同じで、六曜は毎年ずれます。2027年は2026年のほぼ半分です。
しかも2027年の挙式は、もう契約が始まっています。この記事では、土日の大安の数を2025年から2031年まで数え、大安を重視する二人の割合と合わせて、枠があふれる年に何が起きるかを、前提つきの計算で置きます。
土日の大安は、年に何日あるのか
六曜は、旧暦の月と日を足して6で割った余りで決まります。余りが0なら大安、1なら赤口、2なら先勝、3なら友引、4なら先負、5なら仏滅です。旧暦の1月1日は先勝、2月1日は友引と、月が替わるたびに出発点が1つずつずれていきます。
新暦の日付とはずれていくので、毎年の並びは変わります。大安だけを見ても、年に60日前後あるうち、土日に当たる日数は年ごとにかなり違います。
僕が Python の旧暦ライブラリ(lunardate)で数えた、土曜と日曜の六曜別の日数が次の表です。土日の合計は、2028年が106日、ほかは104日です。祝日は含めていません。
| 年 | 大安 | 赤口 | 先勝 | 友引 | 先負 | 仏滅 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2025 | 20 | 18 | 17 | 13 | 15 | 21 |
| 2026 | 21 | 22 | 20 | 14 | 10 | 17 |
| 2027 | 11 | 17 | 21 | 24 | 21 | 10 |
| 2028 | 14 | 17 | 21 | 17 | 19 | 18 |
| 2029 | 22 | 20 | 13 | 12 | 17 | 20 |
| 2030 | 15 | 16 | 22 | 21 | 15 | 15 |
大安の土日は、2025年の20日、2026年の21日から、2027年は11日に落ちます。2028年は14日、2029年は22日です。2027年は土曜が7日、日曜が4日で、日曜の大安は年に4日しかありません。
見てほしいのは、大安だけが動くわけではない点です。2027年は仏滅の土日も10日しかなく、そのぶん友引の24日、先勝の21日、先負の21日に寄っています。大安が少ない年は、仏滅も少ない。値付けの上で両端の日がどちらも細る年です。
計算の方法と、検算のしかた
この数字は、僕が旧暦の変換ライブラリで計算したものです。国立天文台が出している暦要項や市販の暦で、検算してもらうのが確実だと思います。
確かめられた点は2つあります。旧暦の元日にあたる2026年2月17日と2027年2月6日が、どちらも先勝になること。そして、六曜の並びが旧暦の月替わりでしか途切れないことです。旧暦に閏月がある年は、閏月の前の月と同じ月数として数える、という決まりも、このライブラリは守っています。
表の数字は、手元の暦で一つ検算をしておくのが安全です。会場の営業カレンダーに六曜が載っているなら、そこから土日の大安を数えるのは、10分もかからない作業です。
大安を重視する二人は、約半数
次に、大安に挙げたい二人がどれくらいいるかです。リクルート ブライダル総研の「ゼクシィ結婚トレンド調査2024」では、首都圏で挙式の日取りを決めるときに暦(六輝)を重視した人は、重視した人とやや重視した人を合わせて49.0%でした。2018年の51.1%から、ほぼ横ばいです。
ただし、重視する二人が全員、大安の土日を取りにくるわけではありません。重視していても、友引や先勝で納得する人もいます。仏滅や赤口を避ければよい、という人もいるでしょう。日取りは、暦だけでなく、休みの取りやすさ、遠方のゲストの都合、会場の空きでも決まります。
この調査は、大安に挙げた割合を聞いたものではありません。そこで以下の計算では、大安の土日を取りにくる二人の割合を、前提として置きます。
仮の式場の前提
実在の会場ではなく、計算のための想定です。
- 年間120組が挙式する
- 1組あたりの粗利は140万円(総額340万円、前提は過去の記事と同じ)
- 大安の土日に、昼と夕方の2組を入れられる。1日あたり2枠
- 大安の土日を取りにくる二人は、年120組のうち首都圏の重視度49.0%の6割として、約35組。実際は会場の地域や客層で変わるので、自分の数字に置き換えてください
- 大安の枠があふれた二人のうち、4割は友引や先勝の土日に移り、6割は他の会場に流れる(これも想定)
1日2枠なら、大安の土日の枠は、2026年が42枠、2027年が22枠、2029年が44枠です。需要の35組と並べると、年ごとの状態が見えます。
| 年 | 土日の大安 | 枠(1日2組) | 需要35組に対して |
|---|---|---|---|
| 2026 | 21日 | 42枠 | 7枠余る |
| 2027 | 11日 | 22枠 | 13組あふれる |
| 2028 | 14日 | 28枠 | 7組あふれる |
| 2029 | 22日 | 44枠 | 9枠余る |
| 2030 | 15日 | 30枠 | 5組あふれる |
2026年や2029年のように枠が余る年は、人気日の割増やキャンセル待ちを気にする必要は、大安についてはあまりありません。問題は2027年、2028年、2030年のように、枠が需要より少ない年です。
枠があふれる年の損
2027年は、大安の土日が22枠で、需要が35組です。13組があふれます。
あふれた13組のうち、4割の5.2組は友引や先勝の土日に移り、粗利140万円を残してくれます。残りの6割、7.8組は他の会場に行きます。7.8組に140万円を掛けると、1,092万円です。
何もしなければ、2027年は暦だけで、粗利が約1,092万円、2026年より少ない年になります。営業力や価格の問題ではありません。週末の大安が減っただけです。
2028年は7組があふれます。同じ計算で、他の会場に流れるのは4.2組、粗利588万円です。2030年は5組で、3組が流れて420万円です。
この損は、決算のあとで気づくと原因が見えません。成約率の低下や、フェアの集客の問題に見えてしまうからです。営業の会議で、先に暦の表を見ておくと、同じ数字を別の説明で読めます。
割増をかけても、枠は増えない
枠が足りない年は、人気日の料金を上げたくなります。大安の土日に10%の上乗せをして34万円なら、2027年に入る22組で748万円です。
ただし、上乗せは枠そのものを増やしません。あふれた13組は、上乗せがあってもなくても、大安の土日には入れません。値上げは、入れる22組から取る額を増やす策で、あふれた分を拾う策ではありません。
加えて、上乗せで離れる二人がいれば、その分の枠は空きます。ここは人気日の割増の損益分岐と同じで、離れる割合の見立て次第です。
枠が足りない年にできるのは、需要を別の日に移す策です。
平日の大安に誘導して、元が取れる条件
大安を重視する二人の中には、土日にこだわらない人もいます。2027年の平日の大安は、同じ計算で48日あります。平日の大安を、大安を重視する二人向けの日として売り出す案が考えられます。
仮に、平日大安の挙式に30万円の特典(料理のグレードアップや、衣装の割引など)をつけるとします。その二人の粗利は、140万円から30万円を引いた110万円です。
何もしなければ、あふれた13組のうち5.2組(4割)が友引や先勝に移って、粗利は5.2組×140万円=728万円です。平日大安の特典を出す案で、あふれた13組のうちの何割を残せれば、728万円と並ぶでしょうか。
13組に110万円を掛けると1,430万円で、728万円を1,430万円で割ると、約51%です。あふれた13組の半分強が平日の大安を選べば、特典の30万円を出しても、何もしない場合を上回ります。
| 平日大安に移る割合 | 粗利(110万円/組) | 何もしない場合との差 |
|---|---|---|
| 50%(6.5組) | 715万円 | -13万円 |
| 51%(6.6組) | 728万円 | ほぼ同じ |
| 60%(7.8組) | 858万円 | +130万円 |
| 70%(9.1組) | 1,001万円 | +273万円 |
特典を20万円に抑えると、損益分岐は約47%まで下がります。特典の中身を安くできる会場ほど、この案は組みやすくなります。逆に、平日の大安に出られない二人が多い地域や客層なら、51%は高いハードルです。
注意したいのは、この計算には、特典を受ける二人のうち、もともと友引や先勝で納得していた人が含まれる点です。そこは上の表のとおり、移る割合を見立てる側の問題です。特典を出す相手を、土日の大安が取れなかった二人に限ると、無駄が減ります。
契約の時点で、暦はもう決まっている
もう1つ見ておきたいのは、時間です。ゼクシィ結婚トレンド調査2024(首都圏)では、会場を決めた時期は挙式の平均8.5か月前、6か月前までに79%が決まっていました。
2027年の春の大安は、今から数か月のうちに契約が入ります。2027年の秋の大安も、2027年の春には、ほとんど決まります。つまり、2027年の土日の大安が11日しかないことは、いま営業している契約の中で、もう効いています。
枠があふれる前に打てる手は限られています。
- 土日の大安の問い合わせが、いつの日付に集まっているかを、いま数える
- 22枠のうち、すでに何枠が埋まっているかを確かめる
- 平日大安や、大安に近い友引の案内を、枠が埋まる前に見学で出しておく
案内が遅れて、枠が埋まってから平日大安を出すと、断られた二人に別の日を勧める形になり、印象が悪くなります。
まとめ
- 土曜と日曜に当たる大安は、2026年が21日、2027年が11日、2029年が22日と、年によって倍違う
- 大安が少ない年は仏滅も少なく、友引・先勝・先負に土日が寄る
- ゼクシィ結婚トレンド調査2024(首都圏)で、暦を重視した人は49.0%。大安を取りにくる二人の数は、会場ごとに見立てが要る
- 年120組の仮の式場では、2027年に13組が大安の土日からあふれ、他の会場に流れる粗利は約1,092万円になる
- 割増は枠を増やさない。枠が足りない年にできるのは、需要を平日大安などに移す策
- 平日大安に30万円の特典をつける案は、あふれた二人の約51%が移れば元が取れる
- 会場を決めるのは挙式の平均8.5か月前。2027年の暦は、いまの契約にもう効いている
暦の表は、毎年10月に翌々年まで出しておく。僕はそれが、いちばん安い備えだと思っています。
