式場名の検索候補に「後悔」が出たら、公式サイトで先に答える
自社の式場名を、検索窓に入れてみてください。名前のあとに半角スペースを1つ打つと、候補が何個か出ます。そこに「口コミ」「料金」「アクセス」が並んでいれば普通です。「後悔」「やめた方がいい」「高い」が混ざっていたら、少し立ち止まる必要があります。
結論から書きます。検索候補は、式場が消そうとして消せるものではありません。ただ、候補の言葉は「二人がその式場に抱いた疑問」の一覧でもあります。そこに公式サイトが先に答えておくと、二人は口コミのまとめや匿名の書き込みに行く前に、式場自身の説明を読むことになります。消す作業ではなく、答える作業に切り替える。この記事はその話です。
この記事に出典のある統計は出てきません。数字はすべて、僕が置いた仮の前提です。自社の数字に置き換えて読んでください。
候補が並ぶ仕組みは、式場が決めていない
まず、仕組みを確認します。検索候補(サジェスト)は、多くの人がその言葉に続けて実際に検索した内容をもとに、検索サービス側が自動で並べているものです。式場が申請して順番を変えたり、好きな言葉を入れたりする仕組みはありません。個人情報の掲載や明らかな規約違反のような限られたケースを除き、削除を依頼して通るものでもない、というのが一般的な理解です。細かい基準は変わることがあるので、ここでは断定しません。
大事なのは、この仕組みが式場にとって不利でも有利でもないことです。候補は、二人の行動の写しにすぎません。「後悔」が出ているなら、後悔という言葉を足して検索する二人が一定数いる、というだけです。
業者の中には、候補を操作できると説明するところもあります。ただ、候補の操作を目的に大量に検索をかけるような手段は、検索サービスの規約に反する可能性があります。見つかったときのリスクを式場が負うことになるので、僕は勧めません。この記事では、公式サイトの中身だけで対応する方法を書きます。
候補の言葉は4種類に分けて読む
候補に出た言葉は、全部をひとまとめに扱うと対応が決まりません。僕は4種類に分けて読みます。
- 事実の確認:「料金」「アクセス」「駐車場」「人数」。答えが一つに決まる疑問です
- 比較のための言葉:「他の式場との違い」「ホテルとどっち」。二人が候補を並べている途中です
- 不安の言葉:「後悔」「失敗」「追加料金」「高い」。契約した後に困りたくない、という気持ちです
- 評判の確認:「口コミ」「評判」。他の人がどう感じたかを知りたい段階です
1と2は、公式サイトに普通に書けば答えになります。手を入れるのが難しいのは3と4です。
特に3の不安の言葉は、二人がまだ式場に会う前に出てくる点が重要です。見学に来た二人は、担当者に直接「追加料金は出ますか」と聞けます。見学に来る前の二人は、聞く相手がいないので検索窓に打ちます。つまり3は、見学に来る前に離れていく二人の声を、式場が拾える数少ない場所です。
「後悔」に答えるページは、反論ではなく条件で書く
「後悔」と検索する二人に、公式サイトが「後悔する方はいません」と書いたらどうなるでしょうか。読んだ二人は、むしろ疑います。反論や否定では、不安は消えません。
僕は、後悔が起きる条件を、式場の側から先に書くのがいちばん効くと考えています。たとえば次のような構成です。
- 「こんな二人は、うちの式場で後悔しやすい」を3つ書く
- それぞれに、見学や打ち合わせのどの時点で確認できるかを書く
- 「こういう二人には、別の選択肢のほうが合うかもしれません」と言い切る
向かない条件を書く記事は、すでにこのメディアでも書いています。ここでの違いは、見出しや文言を二人が打った検索の言葉に合わせる点です。ページのタイトルや見出しに、実際に候補に出ている言葉(たとえば「追加料金」「後悔しやすい人」)をそのまま使います。二人が検索したとき、自分が打った言葉と同じ見出しが目に入ることが、クリックされる理由になります。
書いてはいけないのは、次の2つです。
- 実際に起きていない事例を作る(「以前、こんな後悔をされた方がいました」のような架空の話)
- 他の式場を名指しで下げる
どちらも、読んだ二人に見抜かれたときの傷のほうが大きいです。
「追加料金」の不安は、見積もりの構造で答える
3の不安の中で、数が多そうなのが「追加料金」「高い」だと僕は見ています。ここは、気持ちに寄り添う文章より、構造を見せるほうが答えになります。
見積もりの金額が増えるのは、だいたい三つの理由のどれかです。人数が増える、二人が選んだオプションが増える、最初の見積もりに入っていなかった項目が後から出てくる。三つ目だけが、二人が「聞いていない」と感じる原因になります。
だからページには、次の3点を置きます。
- 最初の見積もりに含まれているものと含まれていないものの一覧
- 含まれていないものの代表(衣装の追加、装花のグレード、写真の枚数など)が、いつ頃・どんな形で話に出てくるか
- 総額が変わる場面の例(人数が10名増えたときに何が動くか)
数字を載せるなら、自社の実績の範囲で構いません。載せられないなら、構造だけでも十分です。「いつ話に出るか」を書いてあるだけで、「後から出てくる」という印象は薄れます。
「口コミ」「評判」は、公式サイトで答えず、置き場所を整える
4の評判の確認は、公式サイトが答えにくい領域です。式場が自分で「評判がよいです」と書いても信用されません。ここでは二人が口コミを読む場所の品質を整えるほうに回ります。
- Googleマップの口コミには、返信を続ける。批判的な内容にも、事実の確認と今後の対応を短く返す
- 口コミ依頼の配り方を、満足した人だけに偏らせない(偏りは、読む側に気づかれます)
- 公式サイトの「お客様の声」には、満足の感想より、迷った理由とその決め手を載せる
どれも、すでに他の記事で扱ったやり方です。ここでは、その順番だけを付け加えます。評判の確認に答えるのは、公式サイトではなく、第三者の場所に載った自社の対応の履歴です。
仮の前提で、効果を見積もる
では、この対応にどれだけ価値があるのか。出典のある数字は無いので、仮に置いて計算します。
仮に、次のような式場を考えます。
- 式場名の月間検索が 400 回ある
- そのうち、候補の言葉(後悔・追加料金など)を選んで検索する二人が 5% の 20 人
- その 20 人のうち、公式サイトの該当ページまでたどり着いて読む二人が半数の 10 人
- 読んだ二人のうち、見学の予約まで進む二人が 1 割の 1 人
この前提だと、月に1組が増える計算です。見学から成約までの率を、仮に 3 割とすると、月 0.3 組、年に 3〜4 組になります。
この数字は、前提の置き方で大きく変わります。たとえば候補を選ぶ二人が 5% ではなく 2% なら、半分以下になります。逆に、式場の地域に競合が少なく、式場名の検索が 1,000 回ある場合は、2倍以上です。ここで言いたいのは、大きく効く対策ではないが、ページ1枚で済む対策だということです。広告のように毎月の費用がかかりません。
見積もりがずれる最大の場所は、「候補を選ぶ二人の割合」です。ここだけは、自社で確かめられます。
自社で確かめる手順
次の順番で、30分ほどで見られます。
- 式場名の後ろに半角スペースを入れ、候補を全部書き出す(パソコンとスマホで見え方が違うことがあります。ログインしていない状態でも確認します)
- 地域名や「結婚式場」を足したパターンでも、候補を書き出す
- 書き出した言葉を、4種類のどれかに分ける
- 公式サイトの中で、その言葉に答えているページがあるかを確認する(サイト内検索ではなく、検索サービスで「その言葉+式場名」を実際に打つ)
- 答えるページが無い言葉だけ、ページを作る
ここで、Search Console が使えるなら、自社の名前を含む検索語の一覧が見られます。表示回数が多い順に並べて、候補の言葉が入った検索語があれば、その表示回数が先ほどの仮の「5%」に当たる数字です。仮の値のまま判断せず、自社の数字に置き換えます。
候補の言葉が変わっても、見るのは同じ場所
最後に、運用の話をします。候補は、時期によって変わります。口コミが増えれば評判系の言葉が増え、新しいプランを出せば料金系の言葉が増えます。
だから、これは1回やって終わる作業ではありません。ただ、毎週見る必要もありません。僕は、四半期に1回、候補を書き出して前回と比べる程度で足りると考えています。変わったのは、新しい言葉が入った・消えた、順番が上がった・下がった、の3つだけを見ます。
見て新しい不安の言葉が出ていたら、そのときにページを足します。出ていなければ、何もしなくて構いません。
候補に出ない不安は、見学の最初の5分で拾う
もう一つ、書いておきたいことがあります。検索候補に出るのは、検索する二人の不安だけです。検索しない二人の不安は、候補には出ません。
見学の冒頭で「他の式場も見られていますか」「いちばん気になっていることはありますか」と聞く方法は、すでに別の記事で書きました。候補の言葉と、見学で出てくる言葉が違うことは、よくあります。その差が、公式サイトに足りないものです。見学で聞いた不安の言葉をメモし、同じ言葉をサイトのどこにも書いていなければ、次に作るページの種になります。
検索候補は、二人の疑問を式場が知るための、無料の資料のひとつです。消すものとして向き合うより、読むものとして向き合ったほうが、手に入る情報は多くなります。
まとめ
- 検索候補は式場が編集できない。消すより、候補の言葉に公式サイトが答える
- 候補は「事実」「比較」「不安」「評判」の4種類に分けて読む
- 「後悔」には反論せず、後悔が起きる条件を式場の側から先に書く
- 「追加料金」には、含まれるもの・含まれないもの・話に出る時期を見せる
- 「口コミ」「評判」は、第三者の場所に載る自社の対応の履歴で答える
- 効果は大きくないが、ページ1枚で済み、毎月の費用がかからない
- 確認は四半期に1回、候補を書き出して前回と比べる
