来館・成約

式場サイトのスマホ固定ボタンに電話を足す条件|取れない電話が分かれ目

式場の公式サイトをスマホで開くと、画面の下に「フェア予約」のボタンが付いてきます。スクロールしても消えない、あの固定ボタンです。ここに「電話する」ボタンを並べるかどうかで、悩む式場は多いと思います。

結論から書きます。電話ボタンを足すかどうかは、電話で相談したい人がどれだけいるかよりも、かかってきた電話を取れるかどうかで決まります。取れる時間だけ出す。取れない時間は出さない。この線引きができるなら、2つ並べて損はしにくいです。できないなら、予約ボタン1つのほうが取りこぼしは少なくなります。

この記事では、仮の数字で分かれ目を計算し、電話ボタンを出す時間帯の決め方、ボタンの文言、測り方まで整理します。

先に断っておく数字の扱い

この記事の数字は、訪問数も、電話を好む人の割合も、取れない電話の割合も、すべて僕が置いた仮のものです。業界の平均ではありません。「スマホの固定ボタンに電話を足すと予約が何%増える」という調査を、僕は見つけられていません。だから出典のある数字としては書かず、「仮にこうだとすると」の計算にしています。

読み方としては、数字の大きさではなく、式の組み立てを持ち帰ってください。自分の会場のアクセス解析と着信ログに置き換えれば、同じ式で自社の分かれ目が出ます。

固定ボタンが1つのときに起きること

固定ボタンが「フェア予約」だけの状態を考えます。サイトを見て、見学に行きたいと思った人は、そのボタンを押して予約フォームに進みます。フォームに入力して送る人は、予約までたどり着きます。

ここで抜けるのが、電話で済ませたい人です。たとえば次のような人たちです。

  • 日程が決まっていなくて、空いている日を口頭で相談したい人
  • 親世代など、フォームの入力より電話のほうが話しやすい人
  • 車の中や外出先で、今すぐ確認したいことがある人
  • 子連れや遠方で、事情を伝えたうえで予約したい人

こうした人は、固定ボタンが予約だけだと、画面のどこかにある電話番号を探すことになります。スマホでは、番号を探して、タップして、という手順が1つ増えます。探してもらえればいいのですが、見つからなければ、そのまま他の式場のページに移ってしまうかもしれません。これも仮の話ですが、電話派の人の半分が、フォームに移るか、探すのをやめて離脱すると置いて計算します。

仮の数字で、電話ボタンを足した場合を比べる

置いた前提は次のとおりです。

  • 1か月に、見学を考えて固定ボタンまで目が行く訪問が3,000あり、そのうち4%が「問い合わせたい」と思う。つまり月に120人
  • 120人のうち、電話で済ませたい人の割合を10%、20%、30%の3通りで置く
  • ボタンが予約1つのとき、電話派の半分はフォームに移り、残りの半分は離脱する
  • ボタンが2つ(予約と電話)のとき、電話派は電話をかける。予約派の5%も、迷って電話のほうを押す
  • かかってきた電話のうち、取れない割合を「取り逃し率」と呼ぶ。取れなかった電話の3割は、あとでフォームから予約してくれて、残りの7割は失われる

この前提で、2つ並べたときの問い合わせ数から、1つだけのときの問い合わせ数を引くと、次の表のようになります。単位は人です。

電話派の割合 取り逃し率10% 30% 50% 70%
10% +4.8 +2.3 -0.1 -2.5
20% +10.0 +6.0 +1.9 -2.1
30% +15.2 +9.6 +3.9 -1.7

表の見方です。プラスなら、電話ボタンを足したほうが問い合わせが増える。マイナスなら、足したことで減る。この前提では、取り逃し率が5割から6割を超えたあたりで、符号が逆になります。電話派が10%なら約49%、20%なら約59%、30%なら約63%が分かれ目です。

ここから分かることが2つあります。

1つ目は、電話派の割合が違っても、分かれ目の取り逃し率はあまり動かないことです。電話派が3倍になっても、分かれ目は49%から63%に動くだけです。つまり、この判断で効いているのは、電話派の多さより、取り逃し率の高さのほうです。

2つ目は、取り逃し率が高い会場は、電話派が多いほど、電話ボタンを足したときの損が大きくなることです。ボタンが電話に流す人数が増えるのに、受け皿が取れないからです。電話派が多い会場ほど、先に電話の受け皿を整えるべきだと言えます。

取り逃し率は、見学の接客と重なる時間で上がる

式場の電話は、見学の接客と重なる時間に取れなくなります。プランナーが全員、土曜の午前に見学の対応に入っていれば、事務所の電話は鳴り続けます。しかも、ブライダルフェアの当日は、サイトを見て「今日これから行けるか」と電話で聞く人がいる時間でもあります。

自分の会場の取り逃し率は、着信ログがあれば出せます。電話機やクラウド電話の履歴で、1か月分の着信数と、応答できなかった数を、曜日と時間帯で分けて数えます。ここで見るのは、全体の平均ではなく、時間帯ごとの数字です。たとえば次のように分けます。

  • 平日の日中:事務作業が中心で、電話に出られることが多い
  • 平日の夕方から夜:営業時間内でも、接客や片付けで出られないことがある
  • 土日の午前から午後:見学の接客が重なり、取り逃しが最も多くなりやすい
  • 営業時間外:そもそも応答できない

全体の平均が40%でも、平日の日中は10%、土日の昼は70%ということがありえます。この場合、固定ボタンに電話を並べるのは、平日の日中だけが得で、土日の昼は損、という計算になります。平均だけを見て決めると、この差が消えます。

電話ボタンを出す時間帯を絞る

取り逃し率が時間帯で大きく違うなら、電話ボタンを常に出す必要はありません。取れる時間だけ、電話ボタンを出します。出さない時間は、予約ボタンの隣に「受付時間外はこちら」といった別の入口を置くか、予約ボタンだけにします。

時間帯で出し分ける方法は、いくつかあります。

  • サイト側のスクリプトで、曜日と時刻を見てボタンの表示を切り替える。制作会社に頼むと、数時間の作業で済むことが多い
  • ボタンの横に「電話受付:平日10時〜17時」と時間を書く。切り替えは作らず、時間を見せるだけにする
  • 電話ボタンを「電話で予約する」ではなく「折り返しの電話を依頼する」に変える。電話がつながらなくても、折り返しを約束できる

3つ目は、取り逃しそのものを減らす考え方です。電話を取れない時間があるのは仕方がないとして、取れなかった電話を折り返すルールがあれば、取り逃しの7割が失われるという前提を、もっと小さくできます。折り返しのルールは、別の記事で、誰がいつ折り返すかを整理しました。固定ボタンの設計と、折り返しの担当決めは、セットで考えるほうが筋が通ります。

ボタンの文言と並べ方

電話ボタンを足すと決めたら、文言と並べ方で、予約ボタンを食わないようにします。

予約を主、電話を従にする。 固定ボタンの幅を、予約6割、電話4割くらいで分けて、色も予約を目立たせます。同じ強さで並べると、予約派が迷って電話に流れ、取れない電話が増えます。仮の計算で「予約派の5%が電話に流れる」と置いたのは、この迷いのコストです。電話を目立たせすぎると、この5%が10%に増えて、表の分かれ目が下がります。

文言に、電話の用途を書く。 「電話する」だけだと、何の電話か分かりません。「日程の相談は電話で」のように、フォームで済まない相談だと分かる言葉にすると、予約派が間違って押す数が減ります。

電話ボタンを押したあとの画面を考える。 スマホでは、電話ボタンを押すと、確認の画面が出て、そのまま発信されます。つながらなかったときに、サイトに戻ってきてフォームに進める導線があれば、取れなかった電話のうち、あとでフォームに来る人の割合(仮に3割と置いた数字)を、少し引き上げられます。

測り方:押された回数と、つながった回数を並べる

固定ボタンの判断は、実際の数字で見直せます。必要なのは次の3つです。

  1. 電話ボタンが押された回数。アクセス解析のイベントで、ボタンのタップを数えます
  2. 電話の着信数のうち、応答できた数と、できなかった数。電話機の履歴から出します
  3. 予約ボタンが押された回数と、フォームの送信数

この3つを、電話ボタンを足す前後の1か月ずつで比べます。見るのは、電話の応答できた数と、フォームの送信数の合計が増えたかどうかです。ボタンの押された回数だけを見ても、電話に流れた人が応答できずに消えていれば、成果にはつながりません。

比べるときは、季節の影響を外します。ブライダルフェアの予約は、時期で大きく動くので、前の月と比べると間違えます。前年の同じ月と比べるか、可能なら、日替わりで表示を切り替えて、同じ期間の中で比べるほうが確かです。この記事の計算も、仮の数字による見取り図にすぎません。自社の数字で置き換えて、はじめて判断の材料になります。

電話ボタンを足さない会場の選び方

ここまで読むと、電話ボタンを足すのが正解のように見えるかもしれません。ですが、取り逃し率が高く、改善の見込みもない会場は、足さないほうが筋が通ります。たとえば、少人数のプランナーが土日の接客で全員埋まり、事務の担当もいない会場です。この場合は、予約ボタンを1つに絞り、日程の相談もフォームの備考欄で受けられるようにします。電話派の人には少し不親切になりますが、取れない電話を増やして、押した人の期待を裏切るよりは、ましです。

まとめ

  • スマホの固定ボタンに電話を足すかどうかは、電話派の多さより、かかってきた電話を取れるかどうかで決まる
  • 仮の計算では、取り逃し率が5割から6割を超えると、電話ボタンを足したほうが問い合わせが減った。電話派が3倍になっても、この分かれ目は49%から63%に動くだけだった
  • 取り逃し率は平均でなく、曜日と時間帯で見る。見学の接客と重なる土日の昼は上がりやすい
  • 取れる時間だけ電話ボタンを出すか、受付時間を書くか、折り返し依頼のボタンにする
  • 予約を主、電話を従にし、文言には電話の用途を書く
  • 電話ボタンの押された回数ではなく、応答できた数とフォーム送信数の合計を、前年の同じ月と比べて見る