来館・成約

神社で挙式する二人の披露宴探しには、神社を出る時刻を聞いて開宴を返す

「神社で挙式をして、そのあとの披露宴だけをお願いできる会場を探しています」。こういう問い合わせは、チャペルや神殿を持つ式場にはあまり届かず、レストランウエディングや会食の会場に届きやすい種類の相談です。式場側はつい、料理と人数と料金の話から返しがちです。

僕の考えは、この問い合わせへの最初の返信で、神社の名前と挙式の終了予定時刻を聞き、それをもとに「何時に乾杯できるか」を返す、というものです。二人が会場に求めている最初の条件は、広さでも料理でもなく、挙式と披露宴のあいだの時間がきれいにつながるかどうかだからです。この記事では、なぜそうなるのかを仕組みで説明し、前提を置いた計算で、聞いてから返す段取りの中身を確かめます。

先に断っておくと、時間の数字は僕が置いた仮の前提と、そこからの計算です。神社の所要時間も移動時間も地域や神社ごとに違うので、自分の式場の周りの神社に置き換えて読んでください。

神社挙式の二人は、披露宴会場を「あと半分」として探している

挙式と披露宴を同じ式場で行う二人は、一日の流れを式場が組んでくれると考えています。ところが神社で挙式する二人は、一日の前半をすでに自分たちで決めています。神社の予約が先に取れていて、日取りも時刻も動かしにくい。そこに「あとから合わせられる会場」を探しています。

ここが、通常の見学前の問い合わせと違うところです。普通の二人は「この式場で何をしたいか」から考えますが、神社挙式の二人は「この神社の挙式が終わったあと、この会場で乾杯までたどり着けるか」から考えます。会場を選ぶ基準の先頭に、時間の接続が来ています。

ゼクシィの解説でも、神社と披露宴会場を別々に選ぶ場合の注意として、会場が神社から遠いと送迎バスやタクシーの手配が必要になること、それぞれで打ち合わせが必要になること、衣裳の持ち込みに制限がある可能性があることが挙げられています。二人の側にも、別々に選ぶと段取りが増えるという認識があります。この不安に最初に答えた式場が、候補に残ります。

最初に聞く3つの時刻

返信の最初に聞くのは、料理でも人数でもなく、時刻です。聞くのは次の3つです。

神社の挙式は何時から何時までか

挙式の開始時刻だけでなく、終了の予定時刻まで聞きます。神社によっては、挙式のあとに集合写真や、親族だけの参進、お祓いのあとの控室での時間が入ることがあります。二人も正確な終了時刻をまだ知らないことが多いので、そのときは神社に確認してもらう前提で、「確認できたら教えてください」と一言添えます。

神社から会場まで、どの手段で何分かかるか

距離ではなく、手段と所要時間で聞きます。ゲストが自家用車で動くのか、タクシーや送迎バスを使うのか、電車なのかで、会場に着く時刻の揃い方がまったく変わります。二人がまだ決めていなければ、決めていないと答えてもらってかまいません。決めていないこと自体が、式場が提案できる余地になります。

衣裳を着替えるか、そのまま会場に入るか

白無垢や紋付で神社を出て、そのまま会場に入るのか。会場で洋装に着替えるのか。着替えるなら、支度の部屋と時間が必要です。ここは式場の側の条件がいちばん効く場所で、二人は着替えの部屋を借りられるかどうかを、問い合わせの時点では聞いてこないことも多いです。聞かれる前に式場から確かめておくと、「分かっている式場」に見えます。

返す「開宴の目安」を、前提つきで計算してみる

聞いた時刻から、「一番早く乾杯できる時刻」を返します。計算の仕組みは単純で、挙式の終了から、いくつかの区間を足していくだけです。仮に、次の前提を置きます。

  • 挙式の開始は11時、神社での所要は30分(仮)
  • 神社を出る前の集合写真が20分(仮)
  • 神社から会場までの移動が20分(仮)
  • 会場に着いてから、受付とゲストの着席までが15分(仮)

この前提で、挙式の開始から乾杯までの最短の時間を足し算します。

kishiki = 30   # 神社での挙式
photo = 20     # 集合写真
move = 20      # 移動
seat = 15      # 受付と着席
total = kishiki + photo + move + seat
print(total)   # 85分
start = 11 * 60
t = start + total
print(f"{t // 60}時{t % 60:02d}分")  # 12時25分

結果は85分で、11時に始まる挙式なら、一番早い乾杯は12時25分ごろです。実際には余裕を持たせるので、二人に返す開宴は「12時30分から12時45分」のように幅を持たせた時刻になります。着替えが入るなら、仮に30分を足して13時前後です。

この数字を問い合わせの返信に書くと、二人は初めて「この会場に決めたら一日がどう流れるか」を具体的に想像できます。料金表より先に、一日の時刻表を見せたことになります。

ここで大事なのは、この計算を式場の側が先にやって返すことです。二人は神社と式場の両方の時刻を自分で足し合わせる作業を、頭の中でしたくありません。足し算を代わりにやって返してくれる式場は、それだけで段取りに強い会場として見えます。

返信の文面は、時刻の確認と、仮の開宴を1通にまとめる

聞き返しだけの返信は、二人にとっては質問が返ってきただけで、前に進んだ感じがしません。聞くことと、仮の答えを同じ返信に入れます。

文面の骨組みは次のとおりです。

  1. 神社で挙式されるとのこと、披露宴の会場として検討いただきありがとうございます、と受ける
  2. 開宴の時刻は、挙式の終了時刻と移動の手段で決まるので、3つを教えてほしいと書く(挙式の時間帯、神社から会場までの手段、衣裳を着替えるか)
  3. 仮に11時挙式、車で20分、着替えなしなら、12時半ごろから乾杯できます、という例を1つ置く
  4. 着替えがある場合は、支度の部屋の使い方が変わるので、そのときの流れも用意できると伝える
  5. 見学の日程候補を2つ置く

3番の例は、二人の状況とぴったり合っていなくてかまいません。例を見ると、二人は自分の場合に置き換えて、足りない情報を自分から書いてくれます。

候補から外されるときの、よくある3つの返信

逆に、この種の問い合わせで候補から外れやすい返信があります。

「披露宴のみのプランは○○円からです」だけ返す

料金の帯は必要ですが、これを最初に返すと、二人は他の式場の料金と並べる作業に入ります。時刻の話が一つもないので、二人が一番気にしている「神社のあとに間に合うか」に答えていません。

「神社との調整はお客様でお願いします」と書く

事実としては正しいことが多いのですが、二人が不安に思っているのは、まさにその調整の部分です。調整は二人がやるとしても、式場が見る範囲と、二人に頼む範囲を分けて書くと印象が変わります。例えば、会場側で見る範囲は「会場到着から先」、二人に確認してもらう範囲は「神社を出る時刻まで」と分けておくだけで足ります。

当日の時刻を決めないまま、見学に誘う

「まずは一度ご見学ください」は間違いではありません。ただ、神社挙式の二人は、時刻が合わなければ見学に行く意味がないと考えています。見学の前に、時刻が合う見込みがあることだけは先に伝えておくほうが、予約に進みやすくなります。

公式サイトには、神社から来る日の流れを1つ置いておく

問い合わせの返信を整えたら、公式サイトにも同じ内容を1つだけ置いておきます。「神社で挙式される方へ」という見出しで、先ほどの仮の時刻表を載せ、近隣の神社から会場までの移動時間の目安を書くページです。

ここで書くのは、確認できた範囲だけです。近隣の神社の名前と、そこから会場までの所要時間は、式場の側が実際に測って書けます。測っていない神社の時間は書きません。「車で約20分」は、自社のスタッフが一度走って測った数字だけを載せます。

この1枚があると、二人が検索で「神社 挙式 披露宴 会場 別」のような言葉を調べたときに、自分の状況に近いページとして見つかりやすくなります。そして問い合わせの文面が、最初から時刻の情報を含んだ形で届くようになり、返信の手間も減ります。

雨の日と遅れの日は、先に1行だけ書いておく

神社挙式の二人は、屋外の参進や移動がある分、天気の影響を受けやすいです。雨の日に傘を差して歩く時間が増えれば、神社を出る時刻が数分から十数分ずれることも、仕組みとして十分ありえます。

そこで、開宴の目安を返すときに、遅れた場合の扱いも1行だけ添えておきます。たとえば「神社の都合で出発が遅れた場合は、乾杯を後ろにずらして、料理の出し始めを調整します」といった一文です。実際にどこまで調整できるかは式場ごとに違うので、自分の厨房と相談して、できる範囲だけを書きます。できないことを書かないのは、確認していない数字を書かないのと同じ理由です。

この1行があるだけで、二人は「当日、神社側で何かあっても、会場が待ってくれるか」という不安を、見学の前に1つ減らせます。時刻表を返す式場は多くても、遅れた日のことまで先に書く式場は少なく、書いてあれば、それだけで違いになります。

手間と効果は、足し算で比べる

最後に、この段取りが割に合うかを、仮の数字で確かめます。仮に、次のとおりとします。

  • この種の問い合わせが月に4件届く(仮)
  • 時刻を聞いて仮の開宴を返す文面の作成に、1件あたり10分かかる(仮)
  • 返信のしかたを変えたことで、見学の予約に進む組が、4件のうち1組から2組に増える(仮)

月に40分の手間で、見学が1組増える計算です。1組の見学が成約に至る確率が3割(仮)なら、月に0.3組の成約が増えることになります。披露宴だけの契約の単価が仮に100万円なら、月に30万円相当です。この数字は全部仮置きなので、実際の式場では、自分の問い合わせ件数と成約率で置き換えて計算してください。ただ、手間が月に1時間足らずの作業ですから、1組でも見学が増えれば元は取れる構造になっています。

まとめ

  • 神社で挙式する二人は、披露宴会場を「挙式のあと、乾杯までつながるか」で選んでいる
  • 最初の返信では、挙式の時間帯、神社から会場までの手段と所要時間、衣裳を着替えるかの3つを聞く
  • 聞いた時刻から、一番早く乾杯できる時刻を式場が足し算して返す
  • 返信には、質問と、仮の開宴時刻の例を同じ1通に入れる
  • 料金だけ返す、調整は二人でと書く、時刻を決めないまま見学に誘う、の3つは外れやすい
  • 公式サイトには、近隣の神社から来る日の流れを、実際に測れた時間だけで1つ置く
  • 手間は1件10分ほど。見学が月に1組増えれば元は取れる、という見方ができる