ブライダルフェアの満席表示は、次に空いている日を同じ画面に置く
ブライダルフェアの予約ページで、二人が選んだ日に「満席」と出る。式場の側から見れば、うれしい表示です。人気の日に枠が埋まっている、という意味だからです。
結論から書きます。満席の表示は、うれしい知らせであると同時に、予約を取りこぼす場所でもあります。「満席です」と出して画面を止める式場より、同じ画面に「近い日で空いているのはこの3日です」と並べる式場のほうが、取りこぼしは小さくなると僕は考えています。満席を見た二人に必要なのは、満席だという事実の確認ではなく、次にどうすればいいかの案内だからです。
この記事に出典のある統計は出てきません。満席表示を見た二人のうち、何割が次の日に進み、何割が離れるかを示す調査を、僕は見つけられていません。数字は全部、僕が置いた前提です。自分の会場の数字に入れ替えて読んでください。
満席の画面は、二人が一番迷う画面です
予約ページの動きを、二人の側から追ってみます。
二人は、仕事の休みを確かめて、見学したい日を決めます。ブライダルフェアの一覧を開き、その日のフェアを選びます。ここまでで、二人はすでに一度、予定の調整をしています。
選んだ日が「満席」だったとき、二人にはいくつかの道があります。別の日を探す。別の式場を見る。後で考えると言って閉じる。
この三つのうち、別の日を探すには、また予定を考え直す必要があります。一覧に戻って、日付を一つずつ開いて、空きを確かめる。空いている日を見つけても、二人の予定に合うかは分かりません。合わなければ、もう一度戻ります。
その手間をかけるより、別の式場を見るほうが楽です。式場の予約サイトは、ほかにも並んでいるからです。
つまり、満席の画面は、二人が「この式場のために、もう一度調整するか」を決める場面です。調整の手間が小さければ続けてくれて、大きければ離れていきます。
「満席」で止める画面の何が悪いのか
満席の表示で、よく見るのは次の二つです。
- 日付の横に「満席」とだけ出て、押せない
- 押すと「この日は満席です」というメッセージだけが出る
どちらも、事実を伝えている点では正しいです。ただし、二人にとっては行き止まりです。行き止まりに着いた人は、戻る道を自分で探さなければなりません。
式場の側にも、行き止まりにしている意識はあまりありません。満席は事実で、それ以上の案内は、予約が埋まった側の問題ではないと考えがちです。しかし、予約ページは、二人が式場に初めて触れる接客の場面です。接客の場面で、行き止まりを作ってしまうのは、来館した二人に「満席です」とだけ言って背を向けるのと同じです。
同じ画面に置く3つのもの
満席の画面に何を置くか。僕は、次の三つを考えています。
- 近い日の空き
- 空きの並べ方の理由
- 満席の日に入れない理由
近い日の空きを、3つまで
最初に置くのは、満席の日に近い日で、予約を取れる日です。
選び方の型は、次のとおりです。
- 満席の日の前後の同じ曜日(前の週と次の週)
- 同じ週の別の曜日(土曜が満席なら日曜)
- 同じ日の別の時間帯(午前が満席なら午後)
この三つを順に当てはめ、空いている日を3つまで出します。3つにするのは、選ぶ仕事を軽く保つためです。10日分の空きを並べると、二人はまた選ぶ手間を抱えます。4つ以上並べるときは、二人の予定が分かっていないのだから、多いほうが当たるという考え方もあります。ここは自分の会場で、3つと5つを試して、予約までの進み方を比べる価値があります。
画面に置く言葉は短くします。たとえば「この日は満席です。近い日で空いているのは、こちらです」のようにします。丁寧さを足しすぎると、画面が説明で埋まります。
空きの並べ方を、予定が合いやすい順にする
3つの日を、どの順で並べるか。僕は、満席の日に近い順をすすめます。
二人が満席の日を選んだのは、その日に予定が空いていたからです。同じ週や、同じ曜日は、二人の予定とも合う確率が高いと考えられます。遠い日は、予定を考え直す必要が出てきます。
並べ方に、特典や限定感を入れるのはやめます。「この日は特典が多い」「残りわずか」のような言葉を満席の画面に混ぜると、満席で気落ちした二人に、追い立てるような印象を与えます。予約は、二人が自分の予定から選ぶものです。
満席の日に入れない理由を、一言だけ
ブライダルフェアが満席になる理由は、二人にとって意外ではありません。人気の週末で、見学の枠が限られているからです。
ただ、「定員に達しました」とだけ書くと、冷たく見えます。「ご覧いただける枠を限っているため」と、枠を限る理由を一言添えると、断られた印象が軽くなります。枠を限っている理由は、一組ずつ丁寧に案内するため、という場合が多いはずです。ほかの理由があるなら、それを書きます。理由が実際と違うことは書きません。
近い日に空きが無いとき
満席が続く時期、たとえば秋の連休や、大安の週末が重なる時期は、近い日にも空きが無いことがあります。
このときは、二つの道を並べます。
- 少し先でも空いている日を、2つだけ出す
- 個別見学の入口を一つ出す
フェアがすべて埋まっていても、個別見学の枠は別に持っている式場があります。フェアに出ない二人でも、見学だけは先に済ませられるなら、個別見学の案内は離脱を減らします。ただし、個別見学の枠をフェアと同じ画面に置くなら、それぞれの違い(試食があるかどうか、所要時間はどれくらいか)を一行で添えます。違いが分からないと、二人は選べません。
どちらの道も取れない時期は、「次の空きが出たらお知らせします」という連絡先の登録を置く手があります。登録の入力は最小限にします。メールアドレスだけ、あるいはLINEの登録だけです。キャンセル待ちの考え方は、人気日の仮押さえの記事と合わせて、別のところで扱います。ここでは、満席の画面に何も置かないよりは、登録の入口が一つでもあるほうがいい、というところまでにしておきます。
仮置きモデルで、差を見積もる
数字を仮に置いて、取りこぼしの大きさを見積もります。以下はすべて僕の仮置きです。
- 月に、満席の日を選んで画面に着く二人:200組
- 行き止まりの画面で、そのあと別の日の予約まで進む割合:10%
- 近い日の空きを3つ並べた画面で、別の日の予約まで進む割合:35%
- 予約した組のうち、実際に来館する割合:80%
- 来館した組の成約率:25%
行き止まりの画面では、200組 × 10% = 20組が予約に進みます。近い日を並べた画面では、200組 × 35% = 70組です。差は月に50組です。
来館率と成約率を掛けると、50組 × 80% × 25% = 10組。月に10組の成約差になります。
ただし、この計算の数字は、とても大きく見えます。実際にこんな差が出るかは分かりません。10%と35%という差は、僕が置いた前提です。差がずっと小さくても、たとえば10%と15%なら、200組 × 5% = 10組、来館8組、成約2組です。それでも、画面の文言と並べ方を変えるだけで、年に20組を超える成約差が出る計算になります。
画面の変更は、広告費をかけずにできます。このため、差が小さくても、試す価値は十分にあります。
自分の会場で数える項目
仮置きを自分の数字に入れ替えるために、数える項目は三つです。
- 満席の日を選んだ二人の人数(満席の画面の表示回数)
- そのうち、別の日の予約を完了した人数
- 画面の形(行き止まり、近い日を並べた)
予約システムが満席の画面を計測できない場合は、満席を選んだあとのクリックや、同じ端末からの再訪問で代用します。計測の手間が大きいなら、まず2週間だけ、画面の形を変えて、予約の総数の動きを見るのでも構いません。
画面を変えるときに決めておくこと
満席の画面を変えるときは、画面のデザインより先に、決めておくことがあります。
空きの数字は最新に保つ
「近い日で空いているのは、こちらです」と出した日が、二人が押した時点で埋まっていたら、かえって信用を失います。空きの表示は、予約システムの在庫と同じ情報から出します。手で更新する掲示にすると、必ずずれが出ます。
在庫と自動で連動できない予約システムなら、「近い日の空きを並べる」ことはやめて、「空いている日の一覧に戻るボタン」を、満席のメッセージの近くに置くだけにします。ずれた情報を並べるより、誠実です。
人気日の枠を、むやみに増やさない
満席が続くと、枠を増やしたくなります。ただ、枠を増やすと、一組あたりの案内時間が減ります。案内の質が落ちれば、成約率が下がります。開催日を増やす損益については、既存の記事で月80組の仮の式場を計算しています。満席を見た二人に次の日を案内する画面は、枠を増やさずに取りこぼしを減らす手です。
満席表示の最終確認は、自分で押してみる
画面を変えたら、必ず自分でスマホから押してみます。満席の日を選び、出てきた画面から別の日へ進み、予約を完了するところまで通します。画面が崩れていないか、押した先の日付が合っているかを確かめます。
予約ページは、PCで作って、スマホで崩れることがよくあります。二人の多くはスマホで予約します。
やらないほうがいいこと
- 満席の画面に、特典や残りわずかのような言葉を混ぜない
- 満席の日の予約を、強引にほかの日に誘導しない
- 空いていない日を、空いているかのように出さない
どれも、二人の信用に直接かかわります。満席は、式場にとって悪い知らせではありません。ただし、満席の扱い方次第で、悪い知らせにも、信頼を作る場面にもなります。
今日からできる三つの手順
- 予約ページの満席の画面を、自分のスマホで開いて、何が書いてあるかを確かめる
- 近い日の空きを3つ並べる型(同じ曜日の前後、同じ週の別の曜日、同じ日の別の時間帯)を決める
- 満席の画面の表示回数と、そのあとの予約数を、2週間数える
この三つは、広告費も新しい設備もいりません。変えるのは、画面一つです。
まとめ
- 満席の画面は、二人が「この式場のために、もう一度予定を調整するか」を決める場面。行き止まりにすると離れやすい
- 同じ画面に、近い日の空きを3つまで置く。満席の日に近い順に並べ、特典や限定感の言葉は混ぜない
- 近い日に空きが無いときは、少し先の日と個別見学の入口を一つ。どちらも無いなら、メールかLINEの登録の入口を置く
- 月200組が満席の画面に着き、予約に進む割合が10%から35%になるという仮置きでは、月に約10組の成約差。10%から15%でも月2組。前提は全部仮置きなので、自分の会場で数える
- 空きの表示は予約システムの在庫と連動させる。連動できないなら、並べずに一覧への戻りボタンだけ置く
- 画面を変えたら、自分のスマホで満席の日から予約の完了まで通して押す
