来館・成約

式場の2回目の見学は、初回をなぞらず確かめたい1つを聞いて組む

結婚式場で2回目の見学に来る二人は、初回の案内をもう一度聞きに来ているわけではありません。初回で決めきれなかった理由を1つ持っていて、それを確かめに来ています。

結論から書きます。2回目の見学は、初回と同じ流れで会場を回らず、予約を受けた時点で「今回、いちばん確かめたいことは何ですか」を聞いて、その1つに時間の大半を使う組み方にしたほうが、成約につながりやすいと僕は考えています。会場の良さは、初回で一度伝えています。2回目に足りないのは、二人が決めるための最後の材料です。

この記事に出てくる数字は、出典のある調査の数字ではありません。僕が置いた仮の式場の前提で計算したものです。自分の会場の数字に入れ替えて読んでください。

2回目に来る二人は、何を持って来ているか

初回の見学のあと、二人は帰り道や家で話し合います。そこで「ここに決めよう」とならなかったのは、たいてい会場への不満ではなく、判断に足りない材料があったからです。2回目の予約が入ったということは、その材料を取りに来ると言い換えられます。

足りなかった材料は、大きく分けると4種類に収まります。

  • 金額:見積もりの総額が予算に収まるのか、どこまで上がりうるのかが分からない
  • 現物:料理の量、衣裳の雰囲気、会場の広さや明るさを、写真ではなく実物で確かめたい
  • 家族:親や兄弟など、初回に来ていない人に見せて意見をもらいたい
  • 比較:ほかの式場と並べて、決め手になる違いが見つからない

どれも、初回の案内をもう一度聞いても埋まりません。埋まらないまま帰った二人は、また家で話し合い、決め手のないまま別の式場に流れます。金額が不安な二人に、チャペルの歴史をもう一度話しても、不安は動きません。家族に見せたい二人に、見積もりの細かい説明をしても、家族が知りたい「食事は美味しいのか、親族の控室はどこか」には届きません。

2回目の見学が弱くなる典型は、担当者が親切に、初回と同じ順番で会場を全部案内してしまうことです。丁寧なぶん、二人が確かめに来た1つに使える時間が、残りの20分や30分に押し込まれます。

予約を受けた時点で「確かめたいこと」を聞く

では、確かめたいことをどう知るか。見学の当日に聞くのでは遅いので、予約を受けた時点で聞きます。

聞き方は、自由記述ではなく選択肢にします。自由記述だと、二人は「全体的にもう一度見たいです」と書きがちで、そこから何も絞れないからです。次のような形にします。

前回のご見学のあと、もう一度確かめたいことに近いものはどれですか。

  1. 金額(総額・上がる項目)
  2. 料理や衣裳など、実物で確かめたいもの
  3. ご家族に見ていただく
  4. ほかの式場との違い
  5. まだ分からない・全体

ポイントは「5. まだ分からない」を必ず入れることです。無理に選ばせると、二人は適当な項目を選び、あとで当日に別の話が出てきます。分からない二人には、当日の冒頭で聞き直す前提で、最初の10分を使います。

この質問は、予約フォームの項目として置いても、予約確認のメールに「このメールに番号で返信してください」と添えても構いません。大事なのは、担当者が当日の前日までに答えを持っていることです。

4つの答えごとに、当日の組み方を変える

答えが分かれば、当日の組み方は決まります。時間配分の目安を、見学全体が90分の場合で書きます。これは僕の置いた配分で、式場の規模や動線で変わります。

1. 金額が不安な二人

見積書を机の上に出して、最初に総額が上がりうる項目から話します。人数が増えたとき、料理のグレードを上げたとき、衣裳を替えたとき、それぞれで総額がどれだけ動くかを、前日までに用意した試算で見せます。会場の見学は短くして、90分のうち45分を金額の話に使います。

金額が不安な二人の多くは、高いこと自体より、見えない上がり幅を気にしています。上がりうる項目と幅を先に出すほうが、「あとで足されるのでは」という不安が減ります。

2. 実物で確かめたい二人

試食と試着を中心に組みます。確かめたいのが料理なら、披露宴で出す量に近いコースを出せるかどうかを前日までに厨房と詰めます。衣裳なら、初回に言っていた好みのテイストを3着に絞って、先に用意します。会場の説明は、実物の確認の合間に挟む程度にします。

3. 家族に見せたい二人

同席する人に合わせて組み替えます。親が来るなら、親が気にしやすい席次や控室、駐車場、足の不自由な親族への配慮を、先に見せます。二人が何度も聞いた説明は、家族の前で繰り返すのではなく、二人に「ここは前回お話ししたとおりです」と短く確認する程度で通します。家族の前で二人が置いてきぼりにならないよう、主役は二人に向けたまま、説明は家族にも届く速度で話します。

4. ほかの式場との違いを探している二人

この場合は、会場の良さを足して説明するのではなく、二人が比べている軸を聞くことから始めます。「どんなところで迷っていますか」と聞くだけで、迷っている式場名が出ることもあります。比べる軸が分かれば、その軸の1点だけ、ほかと違う根拠を見せます。ほかの式場を悪く言う必要はありません。二人が見たい軸の中で、自分の会場が得意な点を見せれば足ります。

初回のメモを、次の担当者に引き継げる形にする

2回目の見学で一番起こりやすい失敗は、担当者が変わったり、初回の記憶が曖昧だったりして、二人が同じ質問をもう一度聞かれることです。「前も話したのに」と二人が感じた瞬間に、2回目の見学の価値は大きく下がります。

これを防ぐには、初回の見学が終わった直後に、次の4行だけを必ず残します。

  • 二人が一番反応した場所または話
  • 二人が迷っている理由として、本人が口にしたこと
  • 同席者と、次に誰を連れて来たいと言っていたか
  • 予算について、本人が口にした数字(そのまま、言い換えずに)

長いメモは誰も読み返しません。4行なら、前日の夜に読めます。2回目の予約が入った時点で、この4行を担当者の手元に出すしくみにしておくと、冒頭の「前回のお話を少し振り返らせてください」が、確認から始まる会話になります。

初回の帰り際に、2回目の目的を先に置いておく

2回目の見学は、二人が自分から「もう一度見たい」と言い出すのを待つと、予約が入るまでに間が空きます。間が空くと、二人の記憶は薄れ、ほかの式場の印象が上書きされます。

そこで、初回の帰り際に、次の一言を添えます。「今日決めきれなかった点があれば、次回はそこだけを確かめる時間にできますよ」。次回の予約を迫る言い方ではありません。迷っていることを持ち帰ってもいい、という許可を渡す言い方です。

この一言には、2つの効果があります。一つは、二人が帰り道に「何が引っかかっていたか」を言葉にしやすくなること。もう一つは、2回目の予約を入れるとき、二人がすでに確かめたいことを一つ持っていることです。予約時の質問に答えるのが楽になり、当日の組み方も外れにくくなります。

迷いを言葉にできた二人は、2回目の見学に来る理由がはっきりしています。逆に、理由がはっきりしないまま2回目に来た二人は、当日になっても決め手が見つからず、3回目に進まないことがあります。2回目の目的を置いておくことは、二人のためでもあり、式場の時間を守ることでもあります。

仮の式場で、効果を計算してみる

2回目の見学の組み方を変えると、どれくらい数字が動くか。次の仮の前提で計算します。

  • 2回目の見学が月に12組
  • 今のやり方では、そのうち40%の5組弱が契約する
  • 契約額は平均350万円
  • 組み替えたあとの成約率は、45%・50%・55%の3通りを置く

差は次のとおりです。

組み替え後の成約率 月あたりの増加 年間の売上差
45% 0.6組 約2,520万円
50% 1.2組 約5,040万円
55% 1.8組 約7,560万円

どれも仮の数字です。45%に届かない可能性もあります。それでも、月0.6組の差で年間の売上が2,500万円動くなら、組み替えにかける手間は、予約確認で1問を足すことと、初回後のメモ4行です。手間に対して動く金額が大きいので、僕なら先に試します。

ただし、この計算は成約率が40%から上がる前提で、下がる場合を含んでいません。組み替えて成約率が変わらなかったら、手間の分だけ損なので、3か月続けて、2回目の成約率が動かなければやめる、という引き返し方も決めておきます。

2回目の見学を設計するうえでの注意

僕が見てきた範囲で、外しやすい点を書きます。

確かめたいことを聞いたのに、当日に違う話をしてしまう。 二人が「金額」と答えたのに、会場の新しい演出の話に時間を使うと、聞いたこと自体が意味を失います。答えたとおりの話から始めます。

2回目の見学で、初回にない新しい割引を出して決めさせようとする。 初回で決められなかった理由が材料不足なら、割引では埋まりません。期限つきの特典で背中を押すと、二人は「急がされた」と感じて、ほかの式場の見学を前倒しすることがあります。特典の期限の置き方は、別の記事で書いたとおり、持ち帰った二人が戻る日数で決めるほうが安全です。

2回目の見学が決まったことを、もう成約したも同然と扱う。 2回目は決めるための見学ですが、決まるとは限りません。2回目の見学で決まらなかった二人にも、帰り際に次の確認事項を一つ聞いておけば、3回目の予約が入る確率が上がります。

まとめ

  • 2回目に来る二人は、初回で決めきれなかった理由を1つ持っている。初回の案内をなぞっても、その1つには触れられない
  • 予約を受けた時点で、確かめたいことを選択肢で聞く。「まだ分からない」を必ず入れる
  • 答えは、金額・現物・家族・比較の4つに収まる。それぞれ、当日の時間配分を変える
  • 初回の直後に4行のメモを残し、2回目の担当者が前日の夜に読めるようにする
  • 仮の前提では、成約率が5〜15ポイント動くと年間の売上差は数千万円になる。3か月続けて動かなければやめる
  • 2回目の見学は、会場の魅力を足す場ではなく、判断の最後の材料を渡す場として組む