雨の日の式場見学は、雨の日の会場写真と濡れない動線を先に見せる
庭やガラス張りのチャペルを売りにしている式場で、見学の日がたまたま雨だった。こういう日に、案内の中身を晴れの日と同じにしていないでしょうか。
結論から書きます。雨の日の見学で式場がやることは、天気を言い訳することではなく、「挙式当日が雨だったらこうなります」を、二人が自分の目で確かめられる形で先に見せることです。見せるものは2つ。雨の日に撮った会場の写真と、駐車場や最寄り駅から会場まで濡れずに行ける動線です。
この記事では、屋外や採光が売りの会場で、雨の日の見学をどう組み替えるかを整理します。成約への効き方は、僕が置いた仮の数字でモデル計算します。実在の式場の実績ではないので、自分の会場の数字に入れ替えて読んでください。
雨の日に二人が見ているのは、当日の雨のほうです
見学に来た二人にとって、雨の日の会場は「今日の天気」であると同時に「挙式当日の天気の予行演習」でもあります。
晴れの日なら、庭は明るくて、チャペルの光も一番きれいに見えます。式場の写真もその状態で撮られています。ところが雨の日に来ると、庭には入れない、ガラスの向こうは灰色、足元は濡れている、という状態をそのまま見ることになります。ここで二人の頭に浮かぶのは「当日、雨だったらこうなるのか」です。
そして、その疑問を式場から先に出さないと、二人は黙って自分で結論を出します。「写真と違った」「雨の日はやっぱり厳しそう」と思っても、案内してくれる人に面と向かっては言いません。見学のアンケートにも「特になし」と書いて、帰ってから他の式場と比べて決めます。
ゼクシィの「会場見学&フェアのための最強チェックリスト」は、卒花嫁182人の声をもとに作ったとされる記事です。その中に、雨の日に関する項目がいくつか出てきます。
- ガラス張りのチャペルは、晴れの日と雨の日で雰囲気が異なるため、心配な人は会場の人に写真を見せてもらうと安心、と書かれている
- アクセスの項目に「雨天時における会場までの行き方」があり、雨の日でもゲストに苦労をかけないかを確かめる、とされている。友人の式で雨に濡れて不便を感じた花嫁が、地下から行けるルートがあるかを確認した、という例も載っている
- 屋外の演出を考えるなら、雨天時の対応をあらかじめ聞いておくことが大きな安心材料になる、と書かれている
つまり、二人には「雨の日の写真を見せてもらう」「雨の日の行き方を確かめる」「雨天時の対応を聞く」という確認の型が、すでに共有されています。読んでいる二人もいれば、読んでいない二人もいますが、気にしている人は式場に聞く前に答えを探しています。
この記事は特定の媒体の宣伝ではなく、「二人側の確認項目に雨の日が入っている」という確認のために引きました。1つの媒体のチェックリストなので、全国の二人が同じように見ているとまでは言えません。ただ、少なくとも「聞かれる前提で準備しておく」理由にはなります。
雨の日に見せるものは、写真・動線・代替案の3つ
雨の日の見学で、案内の中に入れるものを3つに絞ります。
1. 雨の日に撮った会場の写真
晴れの日の写真しか置いていない会場は多いと思います。雨の日の写真は、いざ撮ろうとすると雨の日にしか撮れないので、後回しになりがちです。
撮るものは次の4種類で足ります。
- 雨の日のチャペルの内側から見た窓の外(ガラス張りなら特に)
- 傘をさした新郎新婦が屋根のある通路を歩く場面
- 雨の日の披露宴会場への入り口(傘立てやタオルの用意がわかるもの)
- 雨の日の庭(水滴がついた緑や、濡れた石畳)
最後の「雨の日の庭」を入れるのは、雨が降っていてもきれいに見える場面を、会場側が自分で選んで見せるためです。灰色の空だけを撮ると、二人は暗い印象を持ちます。逆に、雨粒がついた緑や、傘を差した写真には、晴れの日にはない良さがあります。
見せる側の姿勢としては、雨の日が悪くない、と言い張る必要はありません。「雨だと、こう見えます」を隠さずに出すだけで、写真を見た二人は「想像より悪くない」「この程度なら大丈夫」と自分で判断できます。
2. 駐車場や最寄り駅から会場まで濡れずに行ける動線
雨の日の不安は、二人だけの話ではありません。親や祖父母、小さな子どものいる友人が、傘をさして歩く距離です。
見学の案内では、次の3点を、実際に歩きながら見せます。
- 車寄せから玄関まで、屋根がある距離(歩数か、メートルで)
- 最寄り駅やバス停から会場までの道のり。送迎バスがあるなら、雨の日の運行の有無
- 車いすやベビーカーの人が、雨の日に使えるルートがあるか
数字は式場自身が測れます。1回測って紙に書いておけば、案内の担当者全員が同じ言葉で説明できます。「雨でも大丈夫です」と言う代わりに、「車寄せから玄関まで屋根があって、歩くのは約15mです」と言えるようになります。これが、同じ「大丈夫です」でも、二人の受け取り方が変わる点です。
3. 雨天時の代替案と、そのときの費用
3つ目は、屋外挙式やガーデン演出を売りにしている会場に限った話です。雨の日に、挙式や演出をどう替えるのか。そのとき追加の費用はかかるのか。ここも、聞かれる前に紙で渡しておきます。
屋外挙式の雨天対応の費用負担は、会場ごとにルールが違います。ここでは、費用の決め方は扱いません。扱うのは、見学中に、二人が「雨だったらどうなりますか」と聞けずに帰ってしまうことを防ぐ、という点です。
案内の途中で、次の1枚を渡します。
- 雨の日は、挙式をどこで行うか(屋内のどの会場か)
- 雨の日に変わる演出と、変わらない演出
- 雨の日の追加費用の有無
- 雨と判断する時刻(何時までに決めるか)
この1枚を見学の日に持ち帰ってもらえば、二人は家で「雨になったらこうなる」を、他の式場の同じ条件と並べて比べられます。式場が先に出さなければ、比べる材料がないので、他の式場のほうが「雨でも安心」と言っているように見えてしまいます。
雨の日の見学で、避けたほうがいい案内
逆に、やらないほうがいい案内もあります。
- 雨の日だから庭を見せない:見せないのは不安を隠しているように見えます。傘を貸して、屋根のある範囲だけでも歩いてもらいます。足元の悪い場所は、そこを避ける道を先に伝えます
- 「今日は残念な天気ですみません」と最初に謝る:謝られると、二人は「やっぱり雨はダメなんだ」と受け取ります。天気を話題にするなら、「雨の日の見え方もふだんとの違いを見ていきましょう」と、見るものとして出します
- 晴れの日の写真を見せて「当日はこの感じです」と言う:雨が降る可能性があるなら、当日の天気は選べません。晴れの写真だけを見せるのは、二人が後から気づいたときに、不信につながります
- 雨の日のフェアの特別特典で来館の不満を埋める:特典は、会場を見て感じた不安への答えにはなりません
仮の数字で、効き方を見積もる
ここからは、僕が置いた前提で計算します。
- 屋外挙式や庭が売りの式場で、月の見学は120組
- 雨の日の見学は、その4分の1にあたる30組と仮定
- 晴れの日の成約率は25%、雨の日は18%と仮定。7ポイントの差は、天気の悪さに対する二人の迷いから生まれる、とします
- 成約1組あたりの売上は350万円と仮定
晴れの日の成約率25%を雨の日にそのまま当てはめた場合、成約は7.5組になります。実際は18%なので5.4組。差は月2.1組です。
雨の日の写真・動線・代替案の3点セットで、この差の半分が戻ったとします。戻る分は月に約1.05組、年に約12.6組です。成約1組が350万円なので、年間の売上で約4,400万円になります。
この「半分が戻る」は、僕が置いた仮の数字です。実際に半分戻る保証はありません。ただ、全く戻らなくても、費用は次の程度で済みます。
- 雨の日の写真を撮る:雨の日に半日、スマホで撮れば足りる
- 動線の歩数や距離を測る:1回で終わる
- 代替案の1枚を作る:社内で1時間
費用が少ない手の割に、年間の売上の動きが大きい。だから「半分戻る」が1割でも、手間の元は取れると考えます。
この計算で注意したいのは、7ポイントの差が本当に天気の悪さから来ているのか、という点です。雨の日は、他の理由で成約率が下がっていることもあります。たとえば、雨の日に来る二人は、予約を取り直す余裕のない人が多く、そもそも検討の度合いが低い、という可能性もあります。
だから、実際に始めるときは、次の2つを記録します。
- 見学した日の天気(晴れ・曇り・雨)
- 見学後30日以内の成約の有無
半年ほど記録すれば、自分の会場の雨の日と晴れの日の成約率の差が、仮ではなく実績の数字で出ます。差が小さければ、この対策は優先度が低い。差が大きければ、写真と動線を最優先で整える。判断の材料になります。
どんな会場ほど、雨の日の見学に手を入れるべきか
全ての会場が同じ重さで取り組む必要はありません。優先度が高いのは、次のような会場です。
- 屋外挙式や庭での演出が、売りの中心にある
- ガラス張りや吹き抜けなど、採光が売りのチャペルがある
- 駐車場や駅から会場まで、傘が必要な距離がある
- 高齢のゲストや、小さな子どもを連れたゲストが多い層を狙っている
反対に、屋内で完結していて、車寄せから玄関まで屋根があり、チャペルが採光に頼っていない会場なら、雨の日の見学を特別扱いする理由は小さくなります。その場合は、「雨の日でも濡れずに来られる」ことを、公式サイトのアクセスのところに先に書くだけでも十分です。
雨の日の写真は、公式サイトにも置く
見学の日だけでなく、見学の前にも使えます。
二人は、見学を予約する前に、会場の写真を見比べます。そのとき、晴れの日の写真だけが並んでいると、「雨の日はどうなんだろう」と疑問が出ます。疑問が出たまま、他の式場と比べて、雨の日の情報がある会場のほうに予約が入ります。
公式サイトの会場ページに、雨の日の写真と、車寄せから玄関までの距離を1つずつ載せておく。たったそれだけで、見学の予約前の迷いが減ります。見学の日に雨が降ったときも、案内の担当者は「ホームページにも載せている写真ですね」と、同じ言葉で話せます。
まとめ
- 雨の日の見学は、二人にとって挙式当日の天気の予行演習になる。式場から先に雨の日の見え方を見せないと、二人は黙って「写真と違う」と判断して帰る
- 見せるものは、雨の日に撮った会場の写真、濡れずに行ける動線、雨天時の代替案の3つ
- 動線は「雨でも大丈夫」ではなく、歩数かメートルで言える形にして、案内の担当者全員が同じ言葉で話す
- 雨の日だから庭を見せない、冒頭で天気を謝る、晴れの日の写真だけで「当日はこの感じです」と言う、は避ける
- 仮の数字では、雨の日の成約率の差が月2.1組、半分戻れば年約12.6組。実際の効果は、見学日の天気と30日以内の成約を半年記録して確かめる
- 優先して手を入れるのは、屋外や採光が売りで、雨の日に傘が必要な距離がある会場。屋内で完結する会場は、公式サイトのアクセスに一文書けば足りる
雨の日の見学は、会場を一番正直に見せられる日でもあります。
