集客

結婚式場の検索広告は、除外キーワードを検索語句の実績から決める

結婚式場の検索広告で、広告費のうち何割が、式場を探していない人のクリックに使われているか。答えられる会場は、意外と少ないです。広告の管理画面には「検索語句」の一覧があるのに、開いたことがないという話をよく聞きます。

結論から書きます。除外キーワードは、思いつく語を並べて入れるものではありません。検索語句の実績を見て、予約につながらなかった語だけを月1回ずつ足していくものです。そして、外す語より先に、外してはいけない語を決めておきます。この順番を間違えると、広告費は減っても、来館も一緒に減ります。

この記事の数字は、計算も含めてすべて僕が置いた仮のものです。業界の平均値ではありません。自分の会場の管理画面の数字に置き換えて読んでください。

除外キーワードが働く場所

検索広告は、二人が検索した語に合わせて広告を出す仕組みです。「地域名 結婚式場」で検索した二人に出るのは当然として、登録したキーワードに近い意味の語でも、広告が出ることがあります。この「近い語にも出る」部分が、広告費の漏れ口になります。

除外キーワードは、この漏れ口をふさぐ設定です。登録した語が検索に含まれるとき、広告を出さないようにします。管理画面で「検索語句」のレポートを開くと、実際に広告が表示されてクリックされた検索語が、クリック数と費用つきで並びます。除外キーワードの材料は、ここにしかありません。

思いつきで語を入れる運用が危ない理由は、結婚式という領域の特徴にあります。結婚式の検索には、式場を選ぶ二人以外が、同じ言葉を使って入ってきます。

  • 招待された側のゲストが、ご祝儀の相場や服装を調べる
  • 式場で働きたい人が、求人や仕事内容を調べる
  • ドレスや引出物、ムービー制作などの関連商品を探す人が、式場名の周辺語で入る
  • 他県や遠方の人が、会場の所在地とは関係なく地名で検索する
  • 結婚式を挙げた人が、過去の式場の口コミや、キャンセルの手続きを調べる

どれも「結婚式」という語は含みます。ただ、これから会場を決めようとする二人ではありません。クリックされれば費用は発生し、予約にはなりません。

仮の数字で、漏れの大きさを見る

どれくらい効くのかを、仮の数字で確かめます。置く前提は次のとおりです。

  • 月の広告費は60万円
  • 1クリックの単価は200円
  • 式場を探している二人のクリックは、予約ページで2%が予約になる
  • 検索語句のうち25%は、式場を探していない人のクリック(予約にならない)

月の広告費60万円 ÷ 200円で、クリックは3,000回です。25%の750回が、式場を探していない人です。費用にすると15万円になります。

残りの2,250回が2%で予約になると、月45件です。予約1件あたりの広告費は、60万円 ÷ 45件で約13,300円です。

では、この750回をふさげたらどうなるか。ふさいだ分の予算が、式場を探している二人への表示にそのまま回れば、3,000回すべてが探している二人のクリックになります。予約は月60件、1件あたりは1万円です。

ただし、ここには条件があります。ふさいだ予算が、そのまま探している二人に回るとは限りません。地域の検索数には上限があるからです。仮に、回る分が6割だとします。750回のうち450回が探している二人に回り、予約は(2,250 + 450)× 2% = 54件。1件あたりは約11,100円です。

整理すると、次のようになります。

  • 何もしない: 月45件、1件あたり約13,300円
  • 6割が回る: 月54件、1件あたり約11,100円
  • すべて回る: 月60件、1件あたり1万円
  • 回らず、ふさいだ分を使わない: 予約は月45件のまま、広告費だけ15万円減る

最後の行も、立派な結果です。予約を減らさずに、月15万円を別の施策に回せます。ここは、予約1件の価値が高い結婚式場で、見落とされやすい点だと思います。

外す語を決める前に、守る語を決める

除外キーワードの運用で、いちばん怖いのは外しすぎです。外した語に、本当は予約になる検索が混ざっていた場合、その検索は二度と広告に出ません。しかも、出なくなったことは、管理画面を見ても気づきにくいです。

たとえば「ドレス」を除外したとします。ドレスの購入を探す人は外せます。一方で、「ドレス 持ち込み 式場」「ドレス 選べる 結婚式場」と検索する二人も、外れます。この二人は、会場を探している二人です。

仮に、「ドレス」を含む検索で、探している二人のクリックが月100回あったとします。2%で予約になるなら、月2件です。外して浮く広告費は100回 × 200円で2万円。一方で失うのは予約2件で、そのうち成約まで進む組の粗利は数十万円になりえます。除外キーワードは、浮く広告費と、失う予約の数の両方で見ます。

だから、外す前に「守る語」を決めておきます。会場が受け入れる条件に関わる語です。

  • 持ち込み(ドレス、カメラマン、引出物、ワイン)
  • 少人数、家族婚、会費制といった挙式スタイル
  • 会場の売りに関わる語(ガーデン、チャペル、貸切、和装、神前)
  • 費用の聞き方(安い、費用、見積もり、相場)

これらは、一見すると関連商品の語にも見えますが、会場を選ぶ二人が実際に使う語です。除外の候補に上がったとき、この一覧と照らして、含まれていれば単語単位では外さないと決めておきます。

実績の見方は、クリックより予約を先に

月1回、検索語句のレポートを開いたら、見る順番を決めておきます。

  1. 費用の大きい順に並べる。費用が少ない語は、判断するにはクリックが足りません
  2. 予約ページにたどり着いたか、予約が入ったかを横に並べる
  3. 予約が0で、費用が一定を超えている語を、除外の候補にする
  4. 候補の語を、守る語の一覧と照らす
  5. 照らしても残った語だけを、除外に足す

3の「一定」は、会場ごとに決める数字です。僕なら、予約1件にかける広告費の2倍を目安にします。たとえば1件あたり1万円と見積もっているなら、2万円使って予約が0の語は、候補にします。2万円は、予約が1件入るはずの額の2倍です。確率の面で、2倍使って0なら、その語の予約率は低いと見ていいと考えるからです。

予約が入らなかった語を、全部外すわけではありません。「1回だけ使って0だった語」を外すと、偶然で落ちた語まで外します。ここで、費用の下限を置く意味が出ます。

除外のかけ方で、効き目と危険が変わる

除外キーワードには、一致の種類があります。管理画面では、部分一致、フレーズ一致、完全一致のような名前で出てきます。選び方で、外れる範囲が大きく変わります。

  • 部分一致で除外すると、その語を含む検索の多くが外れます。効き目が広い反面、外しすぎやすい設定です
  • フレーズ一致は、決まった並びで含む検索が外れます。「求人 ブライダル」と入れておけば、その並びの検索だけが外れます
  • 完全一致は、その検索語句そのものだけが外れます。いちばん安全で、いちばん効き目が狭い設定です

月1回の運用では、まず完全一致やフレーズ一致で足すのが安全だと思います。たとえば「結婚式 ご祝儀 相場」という検索語句が実績に出たなら、完全一致で入れます。次の月に似た語「結婚式 ご祝儀 金額」が出たら、そのとき足します。ここで「ご祝儀」を部分一致で入れてしまえば、早く片づきますが、「ご祝儀 返し 式場 料理」のような、会場の料理を比べる検索まで巻き込む恐れがあります。

ただし、手間を減らしたい語もあります。「求人」「アルバイト」「採用」「派遣」のように、式場を探す二人が使う理由がほとんど無い語です。これらは、最初の月から部分一致で入れて、守る語と衝突しないかを見る程度で足ります。「ゲスト向け」に偏る語(「ご祝儀」「服装」「二次会 幹事」)も、会場の検索語と衝突しにくいので、同じ扱いにできます。

逆に、地名はこの運用に向きません。他県の地名を外すと、遠方から来る二人を逃すことになります。遠方からの来館をどう扱うかは、会場の商圏の考え方で変わるので、除外ではなく、配信の地域設定で決めるほうが筋が通ります。

月1回の作業を、30分に収める

運用が続かない理由は、たいてい作業が重いことです。月1回、30分に収める段取りを書いておきます。

  1. 先月の検索語句を、費用の大きい順に並べる(5分)
  2. 予約0で費用がしきい値を超えた語に印をつける(5分)
  3. 印をつけた語を、守る語の一覧と照らす(10分)
  4. 残った語を、一致の種類を選んで除外に足す(5分)
  5. 足した語と日付を、メモに残す(5分)

5のメモが、意外に大事です。除外した理由を残しておかないと、半年後に予約が減ったとき、原因を探せません。メモに「何を、いつ、なぜ外したか」が残っていれば、その月の前後で予約数を比べられます。疑わしい語は、除外を外して様子を見ることもできます。

もう1つ、記録しておきたいのは、除外に足した月の広告費と予約数です。除外の前後で、1件あたりの広告費が下がったかを見ます。下がっていなければ、外した語が本当は予約に貢献していたか、そもそも漏れが小さかったということです。どちらなのかが分かれば、次の月の判断が楽になります。

除外が効きにくい会場もある

最後に、この運用が向かない会場の条件を書いておきます。

月の広告費が数万円の会場では、検索語句の費用が小さすぎて、予約0の語が偶然なのか、本当に効かないのかを判断できません。この規模では、月1回ではなく、数か月分をまとめて見るほうが判断しやすくなります。そもそもの話として、広告費が小さいうちは、漏れの総額も小さいです。仮に25%が漏れていても、月数万円なら15万円の話より小さく、手間のほうが重くなりえます。

また、広告の設定を代理店に任せている会場では、除外キーワードの追加が運用者の裁量になっていることがあります。この場合は、自分で管理画面を見るかどうかの前に、検索語句のレポートを月1回もらえる契約になっているかを確認するのが先です。レポートが出ない契約なら、除外の判断材料がそもそも手元にありません。

まとめ

  • 検索広告の漏れは、式場を探していない人のクリックです。ゲスト、求人、関連商品、他県の人が混ざります
  • 仮に月60万円・25%が漏れなら、月15万円が予約にならないクリックに使われる計算です
  • ふさいだ予算が探している二人に回るかは、地域の検索数の上限で変わります。回らなくても、その分の広告費は別に使えます
  • 外す前に、守る語(持ち込み、少人数、会場の売り、費用の聞き方)を決めておきます
  • 除外の候補は、費用が一定を超えて予約が0の語だけにします。しきい値は予約1件の広告費の2倍が目安です
  • 一致の種類は、迷ったら完全一致かフレーズ一致から始めます。求人系の語だけは、部分一致で最初から入れても大きな害はありません
  • 月1回30分、足した語と理由をメモに残し、前後の1件あたり広告費を比べます