式場の検索広告をトップページに飛ばすと予約を取りこぼすのはなぜか
式場の検索広告の飛び先は、どこになっていますか。広告の文面や入札の話は丁寧に詰めるのに、クリックした先は公式サイトのトップページのまま、という式場は少なくありません。設定が一度で済み、更新もいらないので、そのまま続けてしまいます。
僕の提案は、検索広告の飛び先を、検索された言葉に答えるページに替えることです。トップページは、式場のすべてを見せるために作られたページです。一方、検索した二人は、その瞬間に1つのことを知りたくて来ています。知りたいことの答えが見えないと、二人はトップページのメニューを探し始め、探している間に戻るボタンを押します。この記事では、なぜ取りこぼしが起きるのかを整理し、仮の数字で差を計算し、飛び先をどの順番で作り、どう比べるかを書きます。数字は出典のあるものではなく、説明のために僕が置いた仮の前提です。
検索した言葉で、二人の知りたいことは違う
検索広告は、二人が打った言葉に合わせて出ます。つまり、広告を押した時点で、二人が何を知りたいかはある程度分かっています。たとえば、次のような言葉が考えられます。
- 「〇〇市 結婚式場 見学」:見学の日程と、申し込みの方法を知りたい
- 「〇〇市 結婚式場 費用」:総額の目安と、何が含まれるかを知りたい
- 「結婚式 少人数 〇〇市」:少人数で挙げられるか、料金はどう変わるかを知りたい
- 「〇〇 チャペル 雨」:天気が悪い日の挙式がどうなるかを知りたい
- 「式場名 口コミ」:実際に挙げた人がどう感じたかを知りたい
同じ「式場を探している二人」でも、1つ目は予約の直前に近く、2つ目は費用の不安を先に解いてほしい段階です。この5つを同じトップページに飛ばすと、5つの疑問に対して同じ答えを返すことになります。トップページの1番上にあるのは、たいてい式場の雰囲気を伝える大きな写真と、キャッチコピーです。費用を知りたい二人にも、雨の日を知りたい二人にも、同じ写真が見えます。
検索した二人は、その写真を眺めに来たわけではありません。答えが見つかるまでの距離が長いほど、探すのをやめて戻る二人が増えます。
トップページに飛ばすと、何が起きるか
トップページには、たくさんの入口があります。会場紹介、料理、ドレス、フェア、アクセス、よくある質問、ブログ、採用情報。入口が多いのは、いろいろな目的で来る人に対応するためです。ただ、検索広告から来た二人にとっては、選択肢が多いことが負担になります。
起きることを、順に書きます。
- 二人が広告を押し、トップページが開く
- 大きな写真が見える。知りたいことの答えは見えない
- メニューを開く。どれを押せば答えがあるか迷う
- 候補のページを1つ開く。違えば戻って別のページを開く
- 数回で見つからなければ、検索結果に戻る。次の式場のページを開く
5まで進むと、広告費は払われ、予約は取れていません。しかも、検索結果に戻った二人の前には、他の式場の広告や公式サイトが並んでいます。迷っている間に、比べられる側に回ります。
さらに、見学の予約ボタンがどこにあるかも問題です。トップページでは、ボタンが画面の右上の小さな表示だけ、ということがあります。検索した言葉が「見学」でも、押すべき場所を探すところから始まります。
仮の数字で、飛び先を替えた差を計算する
ここから仮の前提を置いて、飛び先の差を計算します。実績ではなく、考え方を見るための数字です。
- 月のクリック数:1,000回
- 1クリックあたりの費用:150円(月の広告費は15万円)
- 来館率(見学予約のうち実際に来館する割合):70%
- 成約率(来館のうち契約になる割合):30%
- 来館率と成約率は、飛び先を替えても変わらないものとする
トップページに飛ばしたとき、クリックから見学予約に進む割合が1.5%だったとします。専用ページに替えたら、3%になったとします。この倍率は仮の置き方で、実際に倍になるとは限りません。
- トップページ:予約15件、1予約あたり1万円、来館10.5組、成約約3.2組。1成約あたりの広告費は約4万8千円
- 専用ページ:予約30件、1予約あたり5千円、来館21組、成約6.3組。1成約あたりの広告費は約2万4千円
広告費は同じ15万円です。予約が15件増えると、同じ費用で1成約あたりの広告費が半分になります。ここで見てほしいのは、広告の入札も文面も変えていないことです。クリックした後のページだけを替えています。
ただし、専用ページを作る費用がかかります。仮に1ページの制作に5万円かかるなら、月に成約が3組増える計算なので、回収は早いです。逆に、予約率が1.5%から1.6%にしか上がらないなら、専用ページを増やしても回収に時間がかかります。倍になる前提を信じるのではなく、「どれだけ上がれば元が取れるか」を先に計算するのがよいです。
専用ページの元が取れる予約率の上がり幅は、次のように求められます。
- 1ページの制作費(5万円)を、半年(6か月)で回収したい
- 1か月あたりの回収額は、約8千円強
- 1予約あたりの広告費を5千円分下げられれば、月に2件弱の予約増で足りる
月に1,000クリックあるなら、予約率が0.2ポイント上がれば足りる計算です。トップページより専用ページのほうが、予約率が0.2ポイントも上がらない、と考えるのは、多くの場合かなり慎重な見方です。もちろん、ページの質によります。
飛び先ページに置くもの
専用ページといっても、新しい大きなサイトを作る必要はありません。次の4つがそろえば足ります。
1. 検索した言葉の答えを、画面の最初に置く
「費用」で来た二人には、費用の目安を最初に見せます。大きな写真は、答えのあとです。「雨」で来た二人には、雨の日の挙式の流れと、写真を最初に見せます。画面を開いたときに見えるところに、検索した言葉への答えがあるかどうかを確かめます。
答えといっても、全部を書く必要はありません。「総額の目安」であれば、何人でいくらからという入口の数字と、含まれるものを短く書きます。詳しい見積もりは、見学のときに出すとして、その橋渡しを置きます。
2. 次の行動は1つに絞る
専用ページの目的は、見学の予約です。ページの中に、資料請求、LINE登録、フェア一覧、ブログへのリンクを並べると、トップページと同じことが起きます。広告から来た二人に、次の行動を1つだけ見せます。
見学の予約に絞るなら、予約ボタンは画面を開いたところと、答えを読み終えるところの2か所に置きます。ボタンの文言は「見学を予約する」のように、押したら何が起きるかを書きます。「お問い合わせ」だと、押したあとに何が起きるか分かりません。
3. 予約ページまで、押す回数を減らす
専用ページから予約ページまでが2回、3回の遷移になると、そこでも二人が減ります。専用ページから、予約の日程選択に直接つながるのが理想です。予約システムの都合で直接つなげないなら、せめて専用ページに日程の空きを数日分見せておきます。
4. 迷った二人に、戻る先を1つ残す
答えを読んで、ほかのことも知りたくなる二人もいます。その二人のために、ページの最後に「ほかの疑問」への入口を短く置きます。目立たせすぎない位置です。メニュー全体を出す必要はありません。「費用」の次は「見学の流れ」、「雨」の次は「会場の写真」のように、次に知りたくなりそうなものを1つか2つだけ置きます。
どの検索語から作るか
検索語は無数にあります。全部に専用ページを作る必要はありません。順番を決めます。
- 広告管理画面で、直近3か月のクリック数が多い検索語を上位10個書き出す
- 10個を、知りたいことで3つか4つの群に分ける。たとえば「見学・予約」「費用」「会場タイプ(少人数・チャペル・ガーデンなど)」「不安(雨・アクセス・口コミ)」
- 群ごとのクリック数を足し、多い群から専用ページを作る
- 群に入らない検索語は、いままでの飛び先のままにしておく
3群に分けると、1群あたりのクリックは月に300〜400回ほどになります。仮の前提では、予約率が3%なら、1群あたり月に10件前後の予約です。ここは次の「比べ方」で効いてくるので、先に押さえておきます。
最初は1群だけです。いちばんクリックの多い群の専用ページを1つ作り、様子を見ます。同時に3つ作ると、効いたのがどれか分からなくなります。
比べ方:予約率を、同じ期間に並べる
専用ページを作ったら、いままでの飛び先と、専用ページを、同じ期間、同じ検索語で半分ずつ出して比べます。広告の管理画面には、飛び先を2つ設定して配分する機能があります。なければ、広告を2本に分けて同じ予算にします。
比べる数字は、見学の予約率です。クリックしてから予約が完了した割合を見ます。滞在時間や、ページを何枚見たかは、補助の数字です。専用ページの滞在が短くても、すぐ予約が入るなら、それがよいページです。
予約の件数が少ないうちは、差が偶然かどうか分かりません。目安として、2つ合わせて数十件の予約がたまるまで待ちます。月に10件前後しか入らない群なら、2か月から3か月かかります。待っている間に飛び先を何度も替えると、比べられなくなるので、決めた期間は替えません。
この方法は、同じ期間の2本を比べるので、先月と今月を比べるより正確です。フェアの開催や連休、季節の影響が、2本に同じように入ります。
来館以降の数字も、あとで確かめる
予約率が上がっても、来館が減っては意味がありません。専用ページで「無料」「特典」を強く出して予約を増やした結果、来館しない二人が増えることがあります。予約が増えたら、1〜2か月後に、その予約から何組が来館し、何組が成約したかを見ます。
この確認は、広告管理画面だけでは足りません。予約の受付に、どの広告のどの飛び先から来たかを残しておく必要があります。予約フォームの項目に流入元の記録を入れるか、予約管理の表に、広告経由の予約を印として付けておきます。来館のときに、接客担当が聞き取って記録する方法でも構いません。
専用ページが向かないとき
専用ページを作らないほうがよい場面もあります。
- 月の広告クリックが数百回に満たない:群ごとに分けると、予約の件数が少なすぎて、比べられません。まず1ページだけを作り、数か月見ます
- トップページの冒頭がすでに予約の入口になっている:検索語に答える工夫は、トップページの冒頭を直すだけで足りることもあります
- 広告を止める予定がある:作っても使う期間が短くなります
また、専用ページは、広告のためだけに作ったページに見えてはいけません。公式サイトの他のページと、言っていることが食い違わないようにします。費用の目安や、含まれるものの書き方が、広告用ページと公式サイトで違っていると、見学のときに「ホームページと違う」という話になります。専用ページの内容は、月に1回、公式サイトの料金ページや、フェアの案内と読み比べます。
まとめ
- 検索広告の飛び先がトップページのままだと、二人は答えを探してメニューを回り、見つからなければ検索結果に戻ります
- 検索した言葉で、二人が知りたいことは違います。飛び先も、言葉に合わせて答えを最初に置きます
- 仮の前提(月1,000クリック、150円、予約率1.5%が3%)では、同じ15万円で、1成約あたりの広告費がおよそ半分になります。倍になるかは分からないので、元が取れる予約率の上がり幅から先に考えます
- 専用ページは、検索語の答えを最初に、次の行動を見学予約の1つに、予約ページまでの遷移を少なく、戻る先は1つか2つだけ置きます
- 作る順番は、クリックの多い検索語の群から1つだけ。3か月分の検索語を3〜4群に分けて、多い群から始めます
- 比べるときは、同じ期間に半分ずつ出して、見学予約率で見ます。予約が数十件たまるまで替えません
- 予約率が上がったら、来館と成約まで追って、予約だけが増えていないかを確かめます
