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式場の検索広告の文面は、クリック率でなく見学予約率で勝ち負けを決める

式場の検索広告で、文面を2本出して比べたことはありますか。管理画面には、表示回数、クリック数、クリック率が並びます。クリック率が高いほうを残し、低いほうを止める。多くの運用が、この形で回っています。

僕の提案は、勝ち負けを決める数字を、クリック率から見学の予約率に替えることです。クリックされる文面と、見学の予約につながる文面は、同じとは限りません。むしろ逆になる場面があります。この記事では、仮の数字でその逆転を計算し、何件の予約がたまれば勝ち負けを決めてよいか、文面をどう作ればクリックの質が上がるかを整理します。数字は出典のあるものではなく、説明のために僕が置いた仮の前提です。

クリック率が高い文面は、見学の予約を減らすことがある

仮の前提を置きます。同じ検索語に、2本の文面を同じ期間、同じ条件で出しました。

  • 文面A:「人気のチャペルで挙式。今なら来館特典あり」
  • 文面B:「平日の見学なら、総額の目安を最初にお渡しします」

表示1万回あたりで、次の結果になったとします。

  • 文面A:クリック率6%、クリックから見学予約まで進む割合が2%
  • 文面B:クリック率3%、クリックから見学予約まで進む割合が5%

計算すると、文面Aは600クリックで、見学予約が12件です。文面Bは300クリックで、見学予約が15件です。クリック率はAの倍ですが、予約はBのほうが多くなります。

次に、費用です。1クリックが120円で同じだとすると、Aは600クリックで7万2,000円、Bは300クリックで3万6,000円です。予約1件あたりに直すと、Aが6,000円、Bが2,400円です。

つまり、クリック率で選ぶとAが残り、予約1件あたりの費用はBの2.5倍になります。クリックは、広告を見た二人が「見てみよう」と思った回数にすぎません。見学の予約は、「ここに行こう」と決めた回数です。広告の仕事は、後者を増やすことです。

なぜ逆転するのか

逆転が起きるのは、文面が二人に約束することと、予約ページが答えることが、食い違っているからです。

文面Aの「今なら来館特典」は、特典が気になる二人を引き寄せます。クリックは増えます。ただ、特典が目当ての二人は、他の式場の特典とも比べます。予約ページに着いても、特典の中身を確かめて離れる二人が増えます。

文面Bは、クリックする二人を絞ります。総額の目安を知りたい二人だけが押します。押した時点で、予約ページに求めるものがはっきりしているので、予約まで進みやすくなります。

文面は、クリックを増やす道具ではなく、押してほしい二人を選ぶ道具です。そう考えると、クリック率が低いことは、悪いことではありません。押してほしくない二人を、広告の段階で断れているからです。

文面を作るときに、決める3つのこと

では、押してほしい二人に届く文面は、どう作るか。僕が決めるのは3つです。

1. 誰の、どの疑問に答える文面か

検索語から、その二人の疑問を想像します。「結婚式場 総額」で探している二人は、総額が知りたいのです。「結婚式場 少人数」なら、人数の少ない式の進め方が知りたい。同じ式場の広告でも、検索語ごとに答える疑問が違います。

文面の最初の一行に、その疑問への答えを置きます。式場の紹介文から始めない。二人が知りたいことから始める。それだけで、押す二人の質が変わります。

2. 約束したことを、予約ページの最初に出せるか

文面で「総額の目安をお渡しします」と約束したなら、飛び先のページの最初の画面に、その目安に触れる言葉を置きます。文面と飛び先がずれると、二人は「違うページに来た」と感じて戻ります。

文面を替えるときは、飛び先のページの見出しも、あわせて見直します。文面だけを替えて、飛び先がそのままだと、文面の良し悪しを正しく比べられません。

3. 押す二人に、見学に来る意思があるか

特典や割引を前面に出すと、押す二人が増えます。ただ、特典だけを目当てに押した二人は、見学に来ても契約まで進まないことがあります。文面で約束するのは、特典より、見学で得られるものです。何が分かるか、何を持ち帰れるか。そのほうが、見学に来る意思のある二人を選べます。

何件の予約がたまれば、勝ち負けを決めてよいか

予約率で比べるとなると、気になるのは件数です。予約は、クリックより件数がずっと少ない。少ない件数で勝ち負けを決めると、偶然に振り回されます。

仮の例で考えます。2本の文面に、実は差がないとします。それでも、見学の予約が合計10件たまったとき、片方が6件以上になる確率は、計算すると約38%です。つまり、10件で6対4になっても、差があるとは言えません。偶然に、3回に1回以上は起きる結果です。

合計40件で、片方が26件(65%)になったらどうか。差がないのに、26件以上になる確率は約4%です。これなら、差がある可能性が高いと言えます。同じ65%でも、24件(60%)なら、差がなくても約13%で起きます。

ここから言えるのは、2本の差を決めるのに、合計で数十件の予約が要るということです。月の予約が少ない式場では、1か月で決まらないことが多いです。その場合、次のようにします。

  • 期間を延ばして、合計の予約が数十件に届いてから決める
  • 届かない間は、クリック率の差ではなく、予約までの途中の数字(予約ページを開いた数、フォームを開始した数)を補助に使う
  • 補助の数字で差が大きく出たときだけ、仮の勝ちとして先に進み、予約が増えたら確かめ直す

補助の数字は、予約より件数が多いので、傾向が早く出ます。ただ、あくまで途中の数字なので、最後は予約で確かめます。

同時に変えず、1回に1か所だけ替える

もう1つ、比べ方の約束があります。文面を比べるとき、1回に替える場所は1つにします。

見出しと説明文と飛び先を同時に替えると、予約が増えても、何が効いたのか分かりません。見出しだけ。次に説明文だけ。飛び先だけ。1回ごとに替える場所を絞れば、効いた理由が積み上がります。

また、比べる期間の中に、フェアの開催日や、連休、季節の変わり目が入ると、二人の動きが変わります。2本を同じ期間に同時に出して、条件をそろえます。先月と今月の文面を比べると、季節の差まで混ざってしまいます。

検索語ごとに、文面の最初の一行を変えてみる

3つのことを決めたあとは、検索語ごとに最初の一行を書き分けます。考え方の例を挙げます。

  • 「結婚式場 総額」で探している二人には、総額の目安をどの時点で渡すかを書く。「見学の最初に、人数別の総額の目安をお渡しします」のように、約束が具体的なほど、押す二人が絞られます
  • 「結婚式場 少人数」で探している二人には、人数の少ない式でも会場が広すぎないかを書く。「20名の式でも、会場が広すぎない配置を見学で確かめられます」
  • 「結婚式場 平日」で探している二人には、平日に見学や挙式をする利点を書く。「平日の見学は、他の組と重ならず、質問の時間がとれます」
  • 式場名で検索している二人には、すでに式場を知っているので、次の一歩の軽さを書く。「見学の所要時間と、当日の流れを先にお知らせします」

どれも、式場のよさを語る文ではありません。検索した二人の疑問に、見学へ来れば答えますと約束する文です。約束できないことは書きません。たとえば、総額の目安を渡さない式場が、総額の約束を文面に書くと、見学に来た二人が失望し、口コミにも響きます。文面で約束していいのは、見学の当日に実際に渡せるものだけです。

数えるために、予約の入口を整えておく

予約率で比べるには、どの文面から来た予約かを、数えられなければなりません。広告の管理画面で、予約が完了したことを成果として登録できているか。登録の仕組みがなければ、クリック率でしか比べられません。

また、電話の予約も数えます。広告から電話をかけた二人が、予約まで進んだ数を、台帳につけておきます。管理画面の数字だけで見ると、電話で予約した二人が抜けて、ウェブ予約の多い文面が有利に見えます。

負けた文面から、読み取れること

予約1件あたりの費用が高かった文面は、捨てて終わりにしません。負けた理由を考えると、次の文面の材料になります。

クリックは多いのに予約が少ないなら、文面の約束と飛び先のずれを疑います。クリックも予約も少ないなら、その検索語に出す文面として、疑問に答えていない可能性があります。クリックが少なく、予約の割合が高いなら、文面が二人を絞り込めています。表示される機会を増やせば伸びるかもしれないので、入札や配信の条件を確かめます。

3つのうちどれに当てはまるかで、次の手が変わります。数字を見て終わるのではなく、二人が何を期待してクリックし、何に失望して離れたかを、画面を開いて想像します。広告の文面を比べる作業は、二人の頭の中を知る作業でもあります。

勝ち負けの記録を残す

比べた結果は、文面ごとに記録します。どの検索語に、どの文面を出し、何件の予約が入り、1予約あたりいくらだったか。結果と一緒に、なぜそうなったと考えたかも、一行残します。

記録がないと、半年後に同じ文面を試して、同じ負けをくり返します。担当者が替わったときに、積み上げた判断が消えます。文面の勝ち負けは、式場が二人の疑問について学んだ記録です。

まとめ

  • 検索広告の文面は、クリック率でなく見学予約率で勝ち負けを決める
  • 仮の数字では、クリック率が倍の文面のほうが、予約1件あたりの費用が約2.5倍になった
  • 文面はクリックを増やす道具ではなく、押してほしい二人を選ぶ道具。クリック率が低いのは、悪いことではない
  • 文面を作るときは、誰のどの疑問に答えるか、約束したことを予約ページの最初に出せるか、特典より見学で得られるものを約束するかの3つを決める
  • 偶然に振り回されないために、勝ち負けの判断には合計で数十件の予約が要る。仮の例では10件で6対4は約38%の確率で偶然に起きる
  • 件数が足りない間は、予約ページを開いた数などの途中の数字を補助にして、最後は予約で確かめる
  • 1回に替えるのは1か所だけにして、2本は同じ期間に同時に出す。電話の予約も数えて、結果は記録に残す