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式場の検索広告は、予算が昼に尽きる日を数えてから増額する

検索広告の費用は、月の予算をどこで締めるかだけで決まるものではありません。予算が足りなくて、見学を探している二人に広告が出ていない時間があるかどうか。ここを数えずに「これ以上は増やさない」と決めると、いちばん成約に近い検索を取りこぼしたまま、広告は費用対効果が悪いという結論になりがちです。

結論から書きます。検索広告の予算を増やすか据え置くかは、予算が理由で配信が止まった日と時間帯を数えてから決める。数えた結果、止まっていないなら、増額は要りません。止まっているなら、増額した分で何組の見学予約が増えるかを、いまの1件あたりの単価と比べます。この記事ではその数え方と、比べ方を書きます。

出典のある数字は、Google広告のヘルプにある予算の仕組みだけです。結婚式場の検索広告で、予算切れによってどれだけ予約を逃しているかを調べた統計は、僕は見つけられていません。損得の計算は、全部こちらで置いた仮の前提です。クリック単価も予約率も、自分の会場の数字に入れ替えて読んでください。

「1日の予算」は1日の上限ではない

最初に、Google広告の予算の仕組みを押さえておきます。Google広告のヘルプ「1 日の平均予算について」には、次のことが書かれています。

  • 特定の1日の費用には上限があり、ほとんどのキャンペーンでは、1日の平均予算の2倍まで
  • 特定の月の費用にも上限があり、ほとんどのキャンペーンでは、1日の平均予算の30.4倍まで

つまり、1日の予算を1万円に設定した場合、その日に最大で2万円まで使われることがあります。そのかわり、月の合計は30.4万円までに収まります。検索が少ない日は予算を使い切らず、検索が多い日に多めに使う。1か月でならして、設定した金額に合わせる。これが「平均予算」の意味です。

ここから、式場にとって大事な点が2つ出てきます。

1つ目は、予算を使い切って配信が止まるのは、平均の2倍を超えるほど検索が集まった日だということです。土曜と日曜に探す二人が多い式場なら、止まるのは多くの場合、週末です。平日は検索が少なくて、予算が余っている。週末は検索が多くて、2倍でも足りない。この形になっている会場は、実際に多いと思います。

2つ目は、月の合計が予算の範囲に収まっていても、安心できないということです。月の合計は上限の30.4倍の手前にいます。でも、その月の費用が上限より低いのは、平日が余っているからです。週末に取りこぼした分を、平日の余りでは取り戻せません。見学を探す二人が検索する時間は、広告の都合では動かないからです。

なお、予算を日ごとに変えたり、キャンペーンを一時停止したりした場合の上限の扱いは、条件がヘルプに細かく書かれています。実際に運用するときは、自分のアカウントで該当のヘルプを確認してください。この記事の計算は、「平均予算を固定して使う」前提で置いています。

止まった日を数える:見る場所は3つ

管理画面で、予算が理由の取りこぼしを確かめる方法は、大きく3つあります。名称は画面の更新で変わることがあるので、各項目の名前は自分の画面で探してください。

  1. キャンペーンの状況表示:「予算の制限あり」のような表示が出ているか。出ていれば、直近で予算が足りない日があったということです
  2. インプレッションシェアの損失率(予算):本来広告が出せたはずの検索のうち、予算が足りずに出せなかった割合。曜日別に分けて見ると、止まっているのが週末なのか、月末なのかが分かります
  3. 時間帯別・曜日別のレポート:クリック数と費用が、どの時間帯で急に途切れているか。たとえば土曜の午前10時に費用が頭打ちになっていれば、午後の検索には広告が出ていません

3つのうち、最初に見るのは2番目です。損失率が1割以下なら、予算は足りています。2割、3割と大きい場合は、取りこぼしが無視できません。ここで大事なのは、月の平均で見ないことです。平日の余りと週末の不足が混ざって、月平均では損失率が低く見えることがあります。曜日別に分けてから数えます。

数えた結果を、次の形でメモしておきます。

  • 直近8週のうち、予算が理由で止まった日は何日か
  • 止まった日は、どの曜日で、何時ごろまでに予算が尽きたか
  • 止まった日の時点で、その月の合計費用は上限のどのくらいか

この3行が埋まれば、増額を決める材料が揃います。

モデル計算:週末に検索が集まる式場の場合

ここからは、僕が置いた仮の前提での計算です。実在の会場の数字ではありません。

前提は次のとおりです。

  • 1日の平均予算:1万円(月の上限は30.4万円)
  • クリック単価:200円(仮置き)
  • 1か月は30日で、平日22日・土日8日とする
  • 検索から広告をクリックしてくる二人の数(広告を出せれば取れるクリック数):平日は1日30クリック、土日は1日150クリック
  • 見学予約につながる率:平日クリックは2%、土日クリックは3%(どちらも仮置き)

土日の需要が平日の5倍あるのは極端に見えるかもしれません。ただ、式場を探す二人の動きは、休日に偏りやすいと考えるのが自然です。倍率は自分の会場のクリック数で置き直してください。

まず、いまの設定で何が起きるかを計算します。

  • 平日は30クリック。費用は6,000円。予算(1万円)の範囲に収まります
  • 土日は、予算の2倍の2万円までしか使えません。2万円÷200円で100クリックが上限です。需要の150クリックのうち、50クリックを取りこぼします
  • 1か月の需要は、30クリック×22日+150クリック×8日で1,860クリック。取れたのは、660+800で1,460クリック。取りこぼしは400クリックです
  • 費用は1,460クリック×200円で29.2万円。月の上限30.4万円の手前です
  • 見学予約は、平日22日×30クリック×2%=13.2件、土日8日×100クリック×3%=24件。合計37.2件
  • 1件あたりの費用は、29.2万円÷37.2件で、約7,850円

この月の合計費用は上限より低く、「予算は余っている」ように見えます。ところが、取りこぼした400クリックを予約率3%で見ると、12件分の見学予約が出ていないことになります。

次に、土日の取りこぼしをなくすため、1日の平均予算を1万5,000円に上げた場合を計算します。

  • 土日は上限が3万円になり、150クリック(3万円)まで取れます
  • 平日は変わらず6,000円
  • 1か月の費用は、1,860クリック×200円で37.2万円。月の上限(15,000円×30.4=45.6万円)には収まります
  • 見学予約は、13.2件+8日×150クリック×3%=36件で、合計49.2件
  • 1件あたりの費用は、37.2万円÷49.2件で、約7,560円

増額したことで、費用は29.2万円から37.2万円へ、8万円増えます。見学予約は37.2件から49.2件へ、12件増えます。増えた分だけで見ると、8万円で12件なので、1件あたり約6,670円です。全体の単価(約7,850円)より安く増やせています。

これが、止まっていた日を数えてから増額する理由です。取りこぼした検索は、もともと予約率の高い週末の検索でした。そこを埋める増額は、平均より安く見学予約を増やせます。

逆の場合も同じ式で確かめられます。もし土日の需要が90クリックだったら、予算が2倍の100クリック分あるので、取りこぼしはゼロです。この場合の増額は、効果がありません。「検索広告の予算を増やすべきか」の答えは、広告の質の問題ではなく、需要の曜日の偏りと、予算の上限との関係で決まります。

増額する前に確かめる3つのこと

モデル計算で増額が割に合う形になっていても、そのまま増額はしません。次の3つを確かめます。

1. 取りこぼしているのは、狙っている検索か

予算が尽きた日に取れなかったクリックが、「結婚式場 地域名」「ブライダルフェア 地域名」のような、式場を探している二人の検索とは限りません。関係の薄い検索語に費用が使われて、肝心の検索が後ろに回っていることもあります。検索語句のレポートで、予算が尽きる前に何の検索語に費用が使われたかを見ます。無駄な検索語があれば、増額の前に除外します。除外キーワードの考え方は、別の記事にまとめています。

2. 見学予約の質は、土日と平日で同じか

モデル計算では、土日の予約率を3%、平日を2%に置きました。予約率が高くても、来館につながる率や成約率が低ければ、増額した分は無駄になります。見学予約の件数だけでなく、来館した組と成約した組まで追えているかを確かめます。広告の成果を「予約完了」ではなく「来館」で数える考え方は、以前の記事で触れました。

3. 月の上限に近い月はないか

増額した予算は、検索が増える繁忙期に、月の上限へ近づきます。繁忙期の月に、予算が足りなくなる日が連続しないかを見ます。逆に、閑散期は予算が余ります。増額した月は、翌月の予算を元の水準に戻す日をあらかじめ決めておきます。戻す日が決まっていないと、増やした予算がそのまま居座ります。

増額以外の選択肢:予算を動かさずに止まりを減らす

予算の総額を増やさずに、取りこぼしを減らすやり方もあります。

  • 平日の配信を絞って、週末に回す:平日の予約率が低い時間帯(たとえば深夜)の配信を止めて、その分を週末に回します。夜間の配信の止め方は、別の記事に書きました
  • クリック単価を抑える:週末の入札を上げすぎると、予算が早く尽きます。入札を少し下げて、1日全体にクリックを散らす方法です。ただし、順位が下がると予約率も下がる可能性があります
  • 配信エリアを絞る:来館者の住所を移動時間で見て、遠方のクリックを減らします。取りこぼしているのが遠方からのクリックなら、予算を足すより、先にここを直します

どの方法でも、効果を確かめる方法は同じです。変えた週の、予算が尽きた時刻と、見学予約の件数を前の週と比べます。1週間で結論を出すと、フェアの開催日や天気の影響を受けます。2〜4週間は同じ設定で回してから、判断します。

「予算が足りない」を理由に媒体を替える前に

検索広告の成果が出ないという相談で、よくある形があります。広告費を増やさず、広告そのものを見直す方向に進んでしまう形です。しかし、予算が尽きて週末に出ていなければ、広告の質を直しても、成果は上がりません。出ていない広告は、評価のしようがないからです。

逆に、予算が余っていて、止まっていない日がほとんどなのに、予約が増えないなら、問題は予算ではありません。広告文、誘導先のページ、予約フォームのほうを疑います。

この順番が逆になると、時間と費用がかかります。まず止まっているかどうか。次に、止まっているなら増額か、配分の見直しか。最後に、止まっていないなら、広告文やページの見直し。この順番で見れば、検索広告が悪いのか、予算の設定が悪いのかを、切り分けられます。

月1回の点検に入れる

毎月の広告レポートを見るときに、次の3行を足しておけば、止まりを見逃しません。

  • 予算が理由で止まった日の数と曜日
  • 止まった日の、予算が尽きた時刻
  • 止まった日の見学予約の件数と、止まっていない同じ曜日の件数

3行目は、止まった日の予約が実際に少なかったかを確かめるための行です。止まっていても予約が減っていなければ、止まった後の時間帯に、もともと検索が少なかったということです。その場合は、増額の必要はありません。

まとめ

  • 検索広告の1日の予算は、特定の日には平均の2倍まで、月では平均の30.4倍までが上限(Google広告ヘルプ)
  • 月の合計費用が上限に届いていなくても、週末に予算が尽きて、予約の入りやすい検索を取りこぼしていることがある
  • 増額の前に、予算が理由で止まった日・曜日・時刻を数える。月平均でなく、曜日別に見る
  • 仮置きのモデルでは、土日の取りこぼしを埋める8万円の増額で、見学予約が12件増え、増えた分の単価は約6,670円。全体の約7,850円より安かった
  • 増額の前に、検索語の中身、来館・成約までの質、繁忙期以外の戻し時を確かめる
  • 予算が止まっていないのに予約が増えないなら、疑うのは広告文・誘導先のページ・予約フォーム
  • 成果が出ないとき、広告が悪いのか予算の止まり方が悪いのかは、止まる時刻を見れば切り分けられる