新郎新婦のリアル

招待状の未返信ゲストへの連絡を、式場が1回だけ代行すると、仮の式場では余る料理が年238万円から95万円に減る。手間は年13万円

招待状の返信期限を過ぎても、返事の来ないゲストがいる。二人が自分で連絡するものだと決めて、式場は何もしない。多くの式場がそうしていると思います。僕は、ここに式場が1回だけ入ったほうがいいと考えています。理由は、式場の側にも金額で見える損が出ているからです。

結論から書きます。仮の式場で試算すると、未返信の連絡を二人に任せきりにした場合、人数確定の時点で出欠がはっきりしないゲストが1組あたり3.3人残ります。このうち3割が実は欠席だと仮定すると、年200組で、余る料理は年238万円です。式場が1回だけ連絡を代行すると、残るのは1.3人になり、余る料理は年95万円。差は143万円です。代行の手間は、プランナーの時間で年13万円。差し引きで年130万円ほど、式場の側に残る計算になります。

先に断っておくと、この記事に出典はありません。未返信が12%、連絡で半分が戻る、といった数字は、僕が置いた仮の数字です。実在の式場の実績でも、どこかの調査の結果でもありません。自分の会場の数字は、記事の最後に書く方法で確かめてください。

もう1つ先に書いておきます。この記事の本題は、金額よりも「どこまで式場が触ってよいか」の線引きです。金額は、線を引く価値があるかどうかを確かめるために計算します。

仮の式場の前提

計算に使う前提を並べます。

  • 年間の挙式は200組
  • 披露宴の招待客は平均55人。招待状は二人が発送し、返信は二人に戻る(式場には戻らない)
  • 返信期限までに返事が来ないゲストは、全体の12%。1組あたり6.6人
  • 二人が自分で連絡する場合、そのうち半分が人数確定の時点まで未定のまま残る
  • 人数確定の時点で未定のゲストは、式場の側では「出席」として料理を発注する。実際には、そのうち3割が欠席する
  • 料理の原価は1人1.2万円。欠席した分は、確定後なので返らない
  • プランナーの時間は1時間2,000円で換算する
  • 未返信ゲストへの連絡は、1人あたり3分

この前提の置き方には、疑いを持ってほしい点がいくつかあります。まず、12%という未返信の割合です。僕は、期限どおりに出欠を返す人が大半で、1割強が遅れる、というくらいの感覚で置きました。ただ、これは感覚で、根拠はありません。次に、3割が欠席という点です。返事をくれない人は、行けないから返事がしにくい人と、単に忘れている人の両方を含んでいます。行けない人の割合を3割と置くのは、仮置きの中でもかなり粗い数字です。

粗いので、記事の後半で、この数字を動かしたときに結論が変わるかも見ます。

3つの連絡の仕方

未返信ゲストへの連絡の仕方を、式場の関わり方で3つに分けます。

連絡の仕方 誰が連絡するか 人数確定の時点で未定のまま残る割合(仮)
A. 二人に任せる 二人 50%
B. 式場が1回代行する 式場が文面を整え、二人の名前で1回送る 20%
C. 式場が直接2回連絡する 式場がゲストに直接 10%

Aは、いまの標準です。式場は何もしません。二人が自分でLINEや電話で追います。

Bは、式場が文面の下書きと未返信者の一覧を用意し、二人の名前で、あるいは二人の了承を得たうえで1回だけ送る方法です。送る手段は、Web招待状の機能やメッセージの一斉送信など、式場が持っている道具を使います。

Cは、式場がゲスト本人に直接連絡して、出欠を聞く方法です。1回目で返事がなければ2回目も連絡します。

この3つの違いは、手間よりも「ゲストの連絡先を式場が持つかどうか」と「二人の人間関係に式場が入るかどうか」にあります。この話は後の節で書きます。先に金額を計算します。

金額を計算する

1組あたりの未返信ゲストは55人×12%で6.6人です。

人数確定の時点で未定のまま残る人数

  • A:6.6人×50%=3.3人
  • B:6.6人×20%=1.3人
  • C:6.6人×10%=0.7人

余る料理

未定のまま残った人のうち3割が欠席して、料理が余ります。1人1.2万円で計算します。

  • A:3.3人×30%×1.2万円=1.19万円(1組あたり)。年200組で238万円
  • B:1.3人×30%×1.2万円=0.48万円。年95万円
  • C:0.7人×30%×1.2万円=0.24万円。年48万円

式場の手間

  • A:0時間
  • B:6.6人×3分=約20分。年200組で約66時間。1時間2,000円で、年13万円
  • C:6.6人×6分(2回分)=約40分。年132時間で、年26万円

差し引き

  • AからBに替えると、余る料理が年143万円減り、手間は年13万円増えます。差し引きで年130万円
  • BからCに替えると、余る料理がさらに年48万円減り、手間は年13万円増えます。差し引きで年35万円

数字だけを見れば、Cがいちばん得です。ただ、僕は、Bで止めるほうがいいと考えています。理由は、金額の外にあります。

金額の外にあるもの

二人の人間関係に式場が入る

出欠の返事が遅れているゲストは、二人にとって「連絡しにくい人」であることが多いと思います。目上の親戚、少し距離のある友人、返事が遅れる理由が分からない相手です。

式場が直接連絡すると、二人が連絡を控えていた理由を、式場が知らずに踏み抜くことがあります。たとえば、二人が意図して「返事がなければ欠席として扱う」と考えている相手に、式場が催促を送る。あるいは、二人が事前に口頭で話を済ませているのに、式場から文書が届く。どちらも、二人にとっては、余計な気づかいが増えることになります。

Bは、二人の名前で、二人が見たうえで送ります。二人が「この人は式場から連絡しなくていい」と外せます。この一手間が、Cとの大きな違いです。

ゲストの連絡先を式場が持つ

Cをやるには、ゲストの連絡先を式場が受け取る必要があります。二人の側からすれば、親戚や友人の電話番号やメールアドレスを、式場に渡すことになります。ゲストの側からすれば、知らない式場から連絡が来ます。

式場が個人情報を扱うための手続きや同意の取り方は、別の記事で整理しました。ここでは繰り返しませんが、Cは、その手前に「二人がゲストの連絡先を式場に渡してよいか」という確認が入ります。これが、二人にもゲストにも重いです。Bなら、連絡先を持つのは二人のままで、式場は未返信者の「名前」と「出欠が未定である」という事実だけを扱います。

催促の強さ

返事が来ていない相手に対する催促の言葉遣いは、関係性によって変わります。二人が自分で書けば、相手に合わせた文面になります。式場の文面は、どうしても均一になります。

Bは、式場が下書きを用意して、二人が一言足して送れる形にします。均一な文面のまま送らないことが条件です。ここを省くと、Bの利点が消えます。

Bをやるときの段取り

Bをやるなら、次の順番で組み立てます。

  1. 返信期限の日に、未返信者の一覧を二人に渡す。二人が出欠を持っている場合は、一覧の更新を二人に頼む
  2. 一覧のうち「式場から連絡して大丈夫か」を、二人が3つに分ける。二人が自分で連絡する人、式場の文面で連絡してよい人、連絡しなくてよい人(欠席として扱う人)
  3. 式場の文面で連絡してよい人には、二人の名前で下書きを送る。二人が内容を確認して送る
  4. 返信期限の1週間後に、もう一度一覧を見る。残った人は、人数確定の日まで「未定」として数える
  5. 人数確定の日に、未定の人を出席として扱うか、欠席として扱うか、二人と決める

2の「3つに分ける」が、この方法の核心です。二人が自分で連絡する人を残すことで、二人の人間関係を式場が壊さないようにします。

数字を動かしたときに、結論は変わるか

仮置きの数字が外れていたら、結論はどう変わるかを見ます。

未返信の割合が6%なら

未返信が1組あたり3.3人になります。余る料理は、Aで年119万円、Bで年48万円。差は71万円です。手間は年6.6万円に下がります。差し引きは年64万円で、半分になりますが、まだ手間より大きいです。

欠席の割合が15%なら

未定の人のうち欠席する割合が3割から15%に下がると、余る料理が半分になります。Aで年119万円、Bで年48万円。差は71万円で、手間は年13万円のままなので、差し引きは年58万円です。

両方が半分なら

未返信が6%、欠席が15%のとき、余る料理は、Aで年59万円、Bで年24万円。差は35万円です。手間は年6.6万円。差し引きは年29万円です。

どの組み合わせでも、差し引きはプラスです。ただし、最後の組み合わせでは、年29万円まで小さくなります。この規模なら、プランナーの手間が仮の時間より増えると、差し引きが消える可能性があります。

僕は、これを「やる価値があるかどうかは、自社の未返信率と、人数確定時点で欠席に変わる割合で決まる」と読みます。式場が把握していない数字は、この2つです。

自社の数字で確かめる方法

仮の数字のまま決めるのは危ないので、確かめる方法を書きます。

  1. 直近の20組について、返信期限の日の未返信者の数を数える。招待状の返信が式場に戻らない形なら、二人から聞く
  2. 同じ20組について、人数確定の日に「未定」だった人数と、挙式当日に実際に欠席した人数を数える
  3. 欠席した人数を、未定だった人数で割る。これが「未定のうち欠席する割合」

20組では揺れが大きいので、できれば40組まで見ます。人数確定の日に未定の人が1組あたり平均で何人いて、そのうち何割が欠席したか。この2つの数字があれば、この記事の計算は、自社の数字に置き換えられます。

記録がない場合は、これからの20組で数えます。Bを試すのは、数えたあとです。数える前に始めると、始めた効果と、もともとの数字の揺れを区別できません。

やらないほうがいい場合

Bが合わない式場もあります。

  • 招待状が全員Web招待状で、出欠が式場のシステムにそのまま入る式場。未返信者の一覧は、すでに式場の手元にあります。この場合は、一覧を二人に渡す手間だけで済みます
  • 招待客が少ない式場。10人未満のプランでは、未返信が1組に1人いるかどうかで、一覧を作る手間のほうが大きいです
  • 二人が親族間の調整を、式場に見せたくない場合。親族の出欠は、二人の家同士の話に絡むことがあります。式場が入らないほうが、うまくいくことがあります

僕は、Bは「式場が標準で提案するメニュー」にして、二人が断れる形にするのがいいと思います。全組に強制しない形です。

判断をまとめる

  • 返信期限の日に、未返信者の一覧を二人に渡す手間は、プランナーの時間で1組20分ほど。仮の式場では、これで余る料理が年143万円減る
  • 式場が直接ゲストに連絡する方法(C)は、金額の上ではさらに得だが、二人の人間関係とゲストの連絡先の扱いに式場が入る。Bで止める
  • Bをやるなら、二人が連絡先を3つに分ける段取りを入れる。ここを省くと、二人の人間関係を式場が壊す
  • 数字が外れていても、差し引きがプラスの範囲は広い。ただし、未返信率と、未定のうち欠席する割合の2つは、自社で数えてから決める

まとめ

  • 招待状の未返信ゲストへの連絡を、二人任せ、式場が1回代行、式場が直接2回、の3つで比べた。仮の式場では、余る料理が年238万円、95万円、48万円
  • 式場が1回代行するときの手間は、1組あたり約20分、年13万円。差し引きで年130万円。数字はすべて仮置き
  • 式場が直接連絡する方法は、金額では得でも、二人の人間関係とゲストの連絡先の扱いに式場が入るため、僕はやらない側に置く
  • 代行をやるなら、未返信者を「二人が自分で連絡する人」「式場の文面で連絡してよい人」「連絡しなくてよい人」の3つに二人が分ける
  • 未返信率と、未定のうち欠席する割合は、自社の直近20〜40組で数えてから始める。数えずに始めると、効果と揺れの区別がつかない
  • 招待客が10人未満の少人数プランや、出欠がすでにシステムに入る式場では、代行の価値は小さい