お見送りのプチギフトに予備を3個持つと、仮の式場では年7.2万円。不足の後日郵送で済ませるほうが安いのは、足りなくなる組が3割未満のときだ
お見送りのプチギフトで二人が悩むのは、たいてい種類です。ところが式場の現場で揉めるのは、種類ではなく数のほうです。出口で配り始めたら、1個足りない。逆に、段ボールの底に20個余っている。どちらも、人数確定のあとに起きます。
この記事では、プチギフトの予備を何個持つかを、仮の式場で計算します。結論から書くと、予備3個は年7.2万円。ただし「足りなければ後日郵送する」と決めている会場では、足りなくなる組が3割未満なら、予備を持たないほうが安いです。それでも予備を持つ会場があるのは、金額の外に理由があるからです。順番に見ていきます。
人数確定のあとに、数は動く
プチギフトの数は、人数確定の時点で決まります。会場によって締めの日は違いますが、料理や席次の締めと同じタイミングで、ギフトの発注数も確定させる運用が多いです。
ところが、確定のあとにも、出口に立つ人数は動きます。動き方は、たいてい次の4つです。
- 欠席が出る。体調不良や仕事の都合で、当日に来られない人が出る。この場合は余りが増える
- 子どもが増える。確定時は「大人のみ」だったのに、当日は子どもを連れてくるゲストがいる
- 当日の駆けつけが出る。招待の枠外から、顔を出したいという人が現れる。ご祝儀を預けに来るだけの人にも、帰りに渡したくなる
- 数える対象が広がる。両家の親族、友人の配偶者、スタッフに渡したい二人の気持ち、受付の手伝いを頼んだ人
余りが出る向きは1つだけで、足りなくなる向きは3つあります。確定数ぴったりで発注すると、ずれはほぼ不足側に出る、というのがこの構造です。
欠席は、人数確定の時点でほとんど織り込み済みです。確定のあとに出る欠席は、数少ない例外で、余りを大きく増やすものではありません。
仮の式場の前提
数字は、前提を置いて計算します。仮の式場の前提は次のとおりです。
- 年間の披露宴は120組
- 1組の招待客は52人。ゼクシィ結婚トレンド調査2024の平均52.0人に合わせます
- プチギフトは1人あたり288円。同じ調査の平均費用です
- 式場が手配する場合の仕入れ原価は、1個200円と置きます。売値288円に対して、粗利が3割ほどになる水準です
- 予備は、二人に請求せず、式場が持ちます
原価の200円は、会場ごとに違います。自分の会場の仕入れ値に置き換えてください。
予備3個の年間コスト
52人の5%は2.6個です。切り上げて、予備は3個とします。
1組あたりの予備のコストは、3個×200円で600円。年120組で、7万2,000円です。予備を2個にすれば4万8,000円、5個にすれば12万円。個数に比例して増えるだけの、単純な計算です。
この7.2万円は、余りが二人の手元に渡るか、式場で処分するかで、中身が変わります。
- 余りを二人に渡す。二人が持ち帰って、後日、友人に渡す。式場の負担は原価の600円のまま
- 余りを式場で処分する。原価の600円を、そのまま捨てることになる
- 仕入れ先が返品に応じる。返品できるなら、コストはほぼゼロに近づく。ただし二人が選んだ一点もののギフトは、返品できないことが多い
返品が効くかどうかは、仕入れ先との取引条件で決まります。記事の計算では、返品が効かない前提にしておきます。
予備を持たない場合の損
予備を持たなければ、タダになるのでしょうか。足りなくなる組が出るので、そうはなりません。
足りなくなったとき、会場が取れる手はおおむね3つです。
- 出口で「後日お送りします」と伝え、足りない分を二人に代わって郵送する
- 厨房や売店にある別の品で、その場をつなぐ
- 足りないゲストが出たまま、見送りを終える
3つ目は、会場側の対応として選ぶ話ではありません。2つ目も、二人が選んだものと違うものを渡すことになり、二人の意向を外します。実際に使える手は、1つ目の郵送です。
郵送の手間を、仮に1件2,000円と置きます。送料と、ギフトの手配、住所を二人に確認する連絡の手間を合わせた額です。手間のかかり方は会場によって違うので、これも置き換えてください。
足りなくなる組の割合を q とすると、郵送の年間コストは、120組×q×2,000円です。
| 足りなくなる組の割合 | 郵送の年間コスト | 予備3個(年7.2万円)との差 |
|---|---|---|
| 1割(12組) | 2.4万円 | 郵送のほうが4.8万円安い |
| 2割(24組) | 4.8万円 | 郵送のほうが2.4万円安い |
| 3割(36組) | 7.2万円 | 同じ |
| 4割(48組) | 9.6万円 | 予備のほうが2.4万円安い |
分かれ目は、足りなくなる組の割合が3割です。7万2,000円を、120組×2,000円の24万円で割ると、ちょうど0.3になります。
3割は、高いか低いか
この3割は、自分の会場の数字がないと答えが出ません。仮の式場の前提では、足りなくなる組が何割か、分かっていないからです。
見る場所は、過去の進行表と当日の出席の記録です。人数確定の時点の数と、当日の出口で実際に渡した数を、直近1年分の披露宴で並べます。確定数より多く渡した組を数えれば、それが q です。
並べるのに、特別な集計はいりません。当日の記録に、出口で渡した数が書いてあれば足ります。書いていないなら、これから書き始めるのが最初の一歩です。3か月分でも、割合のおおよその見当はつきます。
数が取れないうちは、予備を1個から始める方法もあります。1個なら、年2.4万円です。1個では足りない組を数えて、2個に増やすかを決めます。
金額に出ない理由
ここまでの計算は、金額だけです。それでも予備を持つ会場がある理由は、足りなくなる瞬間が、披露宴の最後だからです。
プチギフトは、お見送りの場で渡します。披露宴の最後に、二人が一人ひとりに手渡す場面です。その場面で、最後の数人に渡す分がない。二人は、慌てて謝ることになります。郵送で後日リカバーできても、その場の気まずさは残ります。
この気まずさは、郵送のコスト2,000円には入っていません。二人が口コミに書くかどうかは分かりません。ただ、書かれる可能性のある場面は、数ある中でも、披露宴の最後にある1つです。
予備を持つかどうかの判断は、金額の分かれ目(3割)と、この気まずさを避けたいかどうかの、2つで決まります。僕は、q が2割を超えるなら予備を持つほうに倒します。金額では郵送が安くても、残る差が2.4万円だからです。
二人が手配するときは、搬入で数える
プチギフトを二人が手配して、会場に持ち込む場合は、話が変わります。数を決めるのは二人で、会場は数を管理できないからです。
この場合に、会場が持っておきたい運用は2つあります。
1つ目は、搬入のときに数えて、書面に残すことです。二人から預かった箱を、開けて数える。数と日付を、受け取りの控えに書く。後日「足りなかった」「余っていた」となったとき、会場の責任の範囲がはっきりします。
2つ目は、二人に「確定人数に対して何個で手配したか」を聞くことです。確定と同数で手配している二人には、「当日、増えることがあるので、数個多めがおすすめです」と伝えます。これは、会場の予備を持つ話を、二人の手配にも使う形です。
二人の手配の予備分は、二人の負担です。会場が持つ予備と、二人が持つ予備の、どちらが二人にとって楽かは、会場の方針と、持ち込み料の有無で決まります。
余りを、二人にどう返すか
予備が余ったとき、どう扱うかも決めておきます。決めていないと、二人に聞かれたときに、担当者ごとに答えが変わります。
選べる扱いは、次の3つです。
- 余りは二人に渡す。持ち帰ってもらう。二人が選んだものなので、これが最も自然
- 余りは会場で預かり、後日の受け取りを待つ。ただし、保管の手間と期限を決める必要がある
- 余りは会場で処分する。二人から、処分の許可を契約書や打合せで取っておく
おすすめは1つ目です。二人が持ち帰って、友人に渡せるからです。ただし、予備を二人に請求していない場合、予備の分まで渡すと「請求されるのでは」と思われることがあります。予備は会場が持っています、と最初に言っておくのが、誤解を防ぎます。
反対に、予備を二人に請求する方式もあります。たとえば、予備3個分を二人に請求すると、1組あたり864円。この方式なら、会場のコストは消えます。ただし二人から見ると、「数を余計に請求された」と映る可能性があります。請求の理由を、契約前に説明できるかどうかが、この方式を選ぶ条件です。
当日の運用で、数は守れる
予備を持つだけでは、数は守れません。当日の運用に、3つ置きます。
1つ目は、出口に立つスタッフが、残数を知っていることです。箱の数ではなく、残りの個数です。残りが10個を切ったときに、スタッフが声をかけ合える。そこから、誰に渡して誰に渡していないかを、確認できます。
2つ目は、渡す順番を決めておくことです。主賓や親族、子ども連れのゲストを先にして、友人は後に回す。ゲストの顔ぶれが分かる担当者が、順番を決めます。足りなくなる最後の数人が、遠方から来た親戚になるのは避けたい、という考え方です。
3つ目は、数え終わったあとに、記録を残すことです。確定数、予備を含めた発注数、渡した数、余った数。この4つを、当日の進行表の端に書くだけで足ります。1年分たまれば、q が分かります。記録は、予備の個数を決める根拠になります。
自分の会場で試す手順
順番を書きます。
- 直近1年の披露宴で、人数確定の数と、出口で渡した数を並べる
- 確定数より多く渡した組を数えて、q を出す
- 郵送などの後日対応にかかる手間を、実際の作業で1件いくらか測る
- 予備を持つ場合の年間コストを、「予備の個数×仕入れ原価×年間組数」で出す
- 3で測った手間と、4を比べる。分かれ目の割合を出す
- 余りの扱い(二人に渡す、預かる、処分)を、1つに決める
- 持ち込みの二人向けに、搬入で数えて控えを残す手順を作る
- 3か月後に、q と余りの数を見直す
1番と2番は、数字がないと進みません。数字がない会場は、先に記録を取り始めます。
まとめ
- プチギフトで揉めるのは、種類より数です。人数確定のあとに、子どもの追加、駆けつけ、数える対象の広がりで、不足の向きに動きやすい
- 仮の式場(年120組、招待客52人、プチギフト1個の原価200円)では、予備3個は年7.2万円です
- 足りない分を後日郵送する運用(1件2,000円と置く)なら、足りなくなる組が3割未満のとき、郵送のほうが安くなります
- 金額に出ないのは、披露宴の最後に、最後の数人へ渡せない気まずさです。僕は、q が2割を超えるなら予備を持つほうに倒します
- 二人が手配する場合は、搬入のときに数えて、控えを残します
- 余りの扱いは、二人に渡す、預かる、処分する、のどれかを決めておきます
- 当日は、残数を知るスタッフ、渡す順番、確定数・発注数・渡した数・余りの4つの記録で、数を守ります
