式場の口コミに担当者名が出たら、返信に名前を出す前に本人へ聞く
式場の口コミを読んでいると、担当者の名前が書かれているものにときどき出会います。「担当のAさんが本当に親身だった」という褒める口コミもあれば、「Bさんの説明が足りなかった」という苦情もあります。
返信を書く側は、ここで一度手が止まるはずです。褒められているなら、名前を出してお礼を言いたい。苦情なら、名前を出していいのか、出さないほうがいいのか。
この記事では、口コミに担当者の名前が出たとき、返信にその名前を書くかどうかを、どう決めるかを整理します。結論を先に言うと、僕は「返信に名前を出す前に、本人に聞く」を手順の最初に置くのがいいと考えています。見学前の二人が口コミと返信を読んで式場を選ぶ以上、名前の扱いは集客の話でもあります。
出典のある統計はこの記事では使いません。口コミ返信の現場で起きやすいことを、仕組みとして考えられる範囲で書きます。数字を使う箇所は、仮の前提を置いた計算だと分かるようにしてあります。
名前入りの口コミは見学前の二人に強く届く
口コミのなかで、担当者の名前が入っているものは、読む二人にとって具体的です。「親身だった」だけだと誰にでも言えます。「Aさんが、契約前の僕たちの予算の話を最後まで聞いてくれた」と書いてあれば、見学に行ったら誰が出てくるのかを想像できます。
ここが集客と直結するところです。見学の予約を入れるかどうか迷っている二人は、式場の設備より先に、誰と話すことになるのかを気にしている場合があると僕は見ています。名前の入った口コミは、その不安に答える材料になります。
逆に、名前入りの苦情は、同じ強さで逆に働きます。「Bさんの説明が足りなかった」という口コミを読んだ二人は、Bさんに当たったらどうしようと考えます。見学予約の段階で、担当を指名できるのかを確認したくなるかもしれません。
だから返信の側も、名前が出ている口コミは、名前が出ていない口コミと同じ扱いにしないほうがいいと思います。
褒める口コミには名前を繰り返してよい、ただし条件が1つある
まず褒める口コミから考えます。
投稿者が「Aさん」と書いているのですから、返信で「Aも大変喜んでおります」と書くのは、自然な流れに見えます。見学前の二人が読めば、名前の入った口コミに、式場がちゃんと反応していると分かります。
ただ、ここで確かめておきたいことが1つあります。Aさん本人が、自分の名前が式場の公式な返信に載ることを、いやがらないかどうかです。
接客業の人は、顔や名前が表に出ることに慣れている人も、そうでない人もいます。口コミサイトに書いたのは投稿者であって、Aさんが自分で名前を出したわけではありません。式場が返信でその名前を繰り返せば、公式の発言として、名前が検索に残り続けます。
退職した後の問題もあります。Aさんがその式場を離れたあとも、返信に書かれた名前は残ります。見学予約を入れた二人が「Aさんをお願いします」と言ってきたとき、もういないという状況が生まれます。これは、返信で名前を出す側が、先に考えておくことです。
褒める口コミの返信は、次の順で決めるのがいいと思います。
- 本人に口コミを見せて、返信に名前を出していいか聞く
- 出していいと言われたら、名前を出す。苗字だけか、下の名前だけか、本人に選んでもらう
- 出さないと言われたら、「担当した者」と書いて、中身には具体的に触れる
3の「中身に触れる」が大事です。名前を出さなくても、「予算の話を最後まで聞いてほしい」という投稿者の言葉を拾って、「そこを大事にしている」と書けば、見学前の二人に届きます。名前が出ていないことより、何に答えたかが見える返信のほうが、読む側には役に立ちます。
苦情の口コミには、原則として名前を出さない
次に苦情です。
投稿者が「Bさんの説明が足りなかった」と書いているとき、返信に「Bには厳しく指導いたします」と書く式場がときどきあります。僕はこれを、避けたほうがいいと考えています。理由は2つです。
1つめは、見学前の二人が読んだときの印象です。返信に担当者の名前が出て、しかも指導という言葉が添えられていると、この式場は口コミが来ると担当者を責める会社なのだ、と読まれる可能性があります。投稿者に向けて書いたつもりが、見学前の二人には、社内の空気の話として届きます。
2つめは、担当者本人のことです。その返信は公開されます。Bさんが自分の名前を指導の対象として公式に書かれたと知れば、気持ちよく働き続けられるとは思えません。仮にBさん本人に問題があったとしても、それは社内で扱うことで、口コミの返信に載せることではないはずです。
苦情に返信するときは、名前を出さず、「ご案内した者」「担当いたしました者」と書き、中身の側に降りるのがいいと思います。
たとえば「説明が足りなかった」という口コミなら、何の説明が足りなかったのかを、投稿者の文章から拾います。見積もりの内訳なのか、キャンセルの条件なのか。そこを「お伝えしきれていなかった」と認めて、今はこう確認する運用にしている、と書けば、名前を出さずに、直したことが伝わります。
返信の前に本人へ聞く3つのこと
ここまでの話を、返信を書く前の確認にまとめます。担当者本人に聞くのは、3つです。
- 口コミの内容に覚えがあるか。 褒められていても、苦情でも、本人の記憶と、投稿者の書いていることが合っているかを先に確かめます。合っていなければ、返信を書く前に、記録を見直す必要があります
- 名前を返信に出していいか。 褒める口コミでは出す前提、苦情では出さない前提ですが、褒める場合でも本人が出さないと言えば出しません
- 同じ場面を、次にどうするか。 苦情の場合に、返信へ「今はこうしている」と1行書くための材料になります。本人が何をするつもりかを聞くのは、返信のためだけではなく、同じ苦情を減らすためでもあります
この3つを聞く時間は、1件あたり5分ほどあれば足りると思います。口コミが月に何件来るのか、名前入りが何件あるのかは、式場によって違います。仮に月に30件の口コミが来て、そのうち名前入りが3分の1だとすると、10件です。1件5分で計算すると、月に50分です。この計算は考え方を示すための仮の前提です。それでも、毎月1時間足らずで済むなら、聞かずに返信する理由は弱いと僕は思います。
名前入りの口コミが、特定の人に偏るとき
もう1つ、運用で起きやすいことがあります。名前入りの口コミが、特定の担当者ばかりに集まる場合です。
褒める口コミで、Aさんの名前だけが何件も出ていると、見学前の二人は「Aさんがいい」と思います。見学予約のとき、Aさんの指名が増えます。Aさんの予定が埋まれば、指名できない二人が出てきます。
ここで式場が考えるのは、2つのことです。
1つは、指名を受けるかどうかの方針です。指名を受けて、Aさんの枠を優先して案内するのか。それとも指名は受けず、空いている担当者に割り振るのか。どちらを選んでもいいのですが、決めずに運用すると、Aさんに頼る形になります。
もう1つは、他の担当者の口コミに、名前が出てこない理由です。名前が出ないのは、接客が悪いからとは限りません。口コミの依頼を送る時点で、担当者の名前がメールに入っていないだけかもしれません。依頼のメールに担当者の名前を入れているかどうかは、見直す価値があると思います。
名前を入れたい、でも名前の偏りは避けたい、という場合は、口コミの依頼メールで「担当者の名前を書いていただけると、本人が励みになります」と、少し添えるくらいが、無理のない形だと思います。
名前の出ている口コミを、見学の場で使う
返信とは別に、名前入りの口コミは、見学の場でも使えます。
見学の当日、二人が「口コミでAさんの名前を見ました」と言ってくれることがあります。そのとき、受け付けた人がAさんでなければ、「Aですね、少しお待ちください」とつなぐ段取りがあるか。ここが整っていないと、口コミで期待した二人が、最初の接客でがっかりします。
つなぐ段取りがあるなら、見学の案内メールに「担当を指名したい場合はお知らせください」と書いておくのも一つです。名前入りの口コミが増えてくる式場ほど、この一行が効いてくると思います。
反対に、指名を受けない方針なら、そのことを予約の時点で伝えておくほうが、当日の失望を減らせます。「担当は当日の空き状況で決まります」と書いておけば、二人はAさんに当たらなくても、約束と違うとは感じにくくなります。
口コミの返信を、担当者本人が書く場合の注意
小さな式場では、口コミの返信を、担当者本人が書くことがあります。この場合、褒められている本人が「ありがとうございます、Aです」と返信するのは、見学前の二人には好意的に読まれやすいはずです。
ただし、苦情に本人が返信する場合は、気をつけたい点があります。本人は、苦情を自分への攻撃と受け取りやすいからです。投稿者に反論するような書き方になったり、事情の説明が長くなったりします。見学前の二人は、返信の長さと温度も読んでいます。
苦情に本人が返信してもいいのですが、公開する前に、別の人が読む段取りを置くのがいいと思います。店長でも、同僚でも構いません。読む人の役目は、文面を直すことより、「これは投稿者に向けて書かれているか、自分を守るために書かれているか」を見ることです。
今日決めておくこと
口コミに名前が出てくるのは、式場にとって扱いの難しい場面です。ただ、型が決まっていれば、毎回迷わずに返信できます。
決めておくことは、次の3つです。
- 褒める口コミは、本人に聞いてから名前を出す。出さない場合も、中身に触れる
- 苦情の口コミは、名前を出さず、中身の側に降りる
- 指名を受けるかどうかの方針を、見学の案内メールに一行で書いておく
これを決めてあれば、口コミを開いたとき、名前を見て手が止まることはなくなります。
まとめ
- 名前入りの口コミは、見学前の二人に具体的に届く。褒めでも苦情でも、同じ強さで効く
- 褒める口コミの返信は、本人に聞いてから名前を出す。退職後も返信は残る
- 名前を出さない場合も、投稿者の言葉を拾って中身に触れれば、見学前の二人に伝わる
- 苦情の返信では担当者の名前を出さない。「指導します」と書くと、社内の空気の話として読まれる
- 返信の前に本人へ聞くのは、覚えがあるか、名前を出していいか、次にどうするかの3つ
- 名前の偏りが出てきたら、指名を受ける方針を決めて、予約の時点で伝える
