集客

式場の事実と違う口コミは、削除を求める前に返信で事実を1つ置く

口コミサイトやGoogleマップに、事実と違うことが書かれていた。そんなとき、最初に浮かぶのは「削除してもらえないか」だと思います。気持ちは分かります。ただ、削除は式場の側では決められません。決めるのは、サイトの運営側です。

僕の結論を先に書きます。事実と違う口コミは、削除を申請する前に、返信で「確かめられる事実」を1つだけ置いておくのがいいと考えています。削除の申請は並行してやって構いませんが、通るかどうかは待つしかありません。待っている間も、その口コミは、これから見学を決める二人に読まれ続けます。

この記事に出典つきの数字はありません。口コミを読んだ二人が、返信でどれだけ印象を変えるのかを、僕は確かめられていません。各サイトの削除基準の細かい中身も、サイトごとに違い、更新もされるので、ここでは断定しません。書くのは、判断の分かれ目と手順です。

削除が通るのは「事実と違う」ではなく「規約に反する」とき

まず、削除の仕組みを整理しておきます。

式場の人から見ると、「うちはそんなことを言っていない」「その日は定休日だった」という口コミは、明らかに間違いです。だから消してもらえるはずだ、と考えます。

けれど、サイトの運営側から見ると、状況が違います。運営側は、その場にいませんでした。式場の言い分と投稿者の言い分のどちらが正しいかを、第三者として確かめる手段をほとんど持っていません。

そのため、削除の判断は、多くの場合、事実かどうかではなく、サイトが決めている投稿のルールに反しているかどうかで行われます。たとえば、次のような区別です。

  • 規約に反している可能性が高いもの:個人名の特定、他者の連絡先の掲載、明らかな宣伝、会場に来ていない人の投稿、投稿の内容と無関係な書き込み、暴力的・差別的な表現
  • 規約に反しているとは言いにくいもの:料金の説明が違った、接客が悪かった、対応が遅かった、約束と違った、という体験の感想

ここで大事なのは、2つめです。「説明が違った」という口コミが、実は式場側の記録とずれていたとしても、投稿者が「自分はそう受け取った」と書いている限り、規約違反とは扱われにくいはずです。僕はそう見ています。

つまり、事実と違う、という式場の確信は、削除の理由としては弱い場合があります。削除を待つ計画だけで動くと、動けない期間が長くなります。

待っている間、見学前の二人は何を読んでいるか

削除申請の結果が出るまでの時間を、仮に考えてみます。ここでの数字は、考え方を示すための仮の前提です。実際の日数は、サイトによって、また申請の内容によって違います。

仮に、申請から結果が出るまで2週間かかるとします。その間に、口コミページを見る二人がいます。式場の名前を検索して、口コミの一覧を開く二人です。

この二人は、口コミを上から順に全部読むとは限りません。新しい順、評価の低い順、あるいは目立つ位置に出ている数件だけを読む二人もいると思います。事実と違う口コミが上のほうにあれば、その2週間のあいだ、二人の目に入る確率は高くなります。

ここで返信がなければ、読む二人にとって判断材料は、その口コミ1つになります。返信があれば、式場側の見方が横に並びます。読む二人が欲しいのは、どちらが正しいかの断定ではなく、確かめる方法が示されているかどうかだと、僕は考えています。

返信で置くのは「確かめられる事実」を1つだけ

では、返信に何を書くか。僕がいいと思うのは、見学前の二人が自分で確かめられる事実を、1つだけ書くことです。

「事実と違います」と書いても、読む二人には、式場の主張にしか見えません。口コミと返信の、言い分と言い分の並びになってしまいます。

一方、「料金は公式サイトの料金ページに掲載しています」「定休日は毎週水曜日で、公式サイトのカレンダーにも載せています」のように、読む二人が自分で開いて確かめられる場所を示すと、受け取り方が変わります。式場を信じるかどうかの話から、自分で確認できる話に移るからです。

置く事実の選び方

置く事実は、次の条件を満たすものから選びます。

  • 読む二人が、公式サイトや見学の場で、自分で確かめられる
  • 口コミの内容に直接つながる(話題がずれない)
  • 式場の記録と、現在の運用が一致していて、あとから訂正する必要がない
  • 1つに絞れる(3つも4つも並べると、反論の羅列に見える)

たとえば、口コミに「見積もりに入っていなかった費用が後から出てきた」と書かれていたとします。式場の記録では、初回の見積もりに「別途」と明記してあった、とします。

このとき、返信に「初回見積もりの別途項目は、見積書の最終ページと公式サイトの料金ページに記載しています」と書きます。投稿者の記憶が間違っているとは書きません。読む二人が、自分で見積書の最終ページを探せるようにするだけです。

書かないこと

反対に、返信に書かないほうがいいことも決めておきます。

  • 投稿者の記憶や人柄を疑う書き方(「勘違いされているようです」「そのような事実はありません」)
  • 契約内容や個人が特定できる情報(来館日、担当者名、打ち合わせ内容の細部)
  • 感情の強い言葉(「遺憾です」「心外です」)
  • 返信を長くして、反論を並べること

特に、個人が特定できる情報は、事実を示すつもりでも、書かないでください。見学前の二人が読むのは、事実の中身より、「この式場は口コミにどう向き合うか」という姿勢のほうが大きいと僕は見ています。返信の字数は、短いほうが姿勢が出ます。

返信の骨組み

返信の骨組みを、僕なら次の3文で作ります。

  1. 口コミを書いてもらったことへの短いお礼(1文)
  2. 確かめられる事実を1つ、置く場所つきで(1文)
  3. 個別の事情を伺う窓口があること(1文)

3つめの窓口は、投稿者が個別の事情を伝えられる場所を、1文だけ書いておくものです。返信は、投稿者本人にも届くからです。窓口が書いてあれば、読む二人にも、式場が個別に聞く姿勢を持っていることが伝わります。

ただし、窓口を書いても、そこへの連絡を促す言い方(同じ誘いを重ねる)は避けます。1文で、事実として置くだけです。

削除を申請してよい線引き

返信を置いたうえで、削除の申請を並行して考えます。申請してよい線引きを、僕は次の順番で見ます。

  1. サイトの投稿ルールを、まず読む。式場側が自分の言葉で「これは違反だ」と言える箇所が、ルールの中に見つかるか
  2. 見つからなければ、申請は見送り、返信だけで対応する
  3. 見つかれば、違反している箇所を、口コミの文言を引いて、1点だけ具体的に書いて申請する(「事実と違う」と書かず、ルールのどの項目に反するかを書く)

ここでのコツは、申請の文面に「事実と違う」を主役にしないことです。運営側が判断できるのは、ルールとの照合だけです。ルールのどの項目に、口コミのどの部分が当たるのかを書くほうが、読む運営側にとって判断しやすくなります。

また、申請と返信は、どちらかを選ぶものではありません。申請が通れば、口コミと一緒に返信も見えなくなる場合があります。通らなければ、返信が残ります。どちらに転んでも、見学前の二人に向けた説明が1つは残る状態にしておけば、待つ時間が無駄になりません。

判断の分かれ目を表にする

ここまでを、口コミの種類ごとに、取る動きの違いで並べます。

口コミの中身 規約違反の可能性 返信 削除申請
来館していない人の投稿と思われる 高い 事実を1つ置く する
個人名や連絡先が載っている 高い 短く置く(個人の話は書かない) する
料金・日程の説明が違った 低い 確かめられる事実を1つ置く 見送る
接客の印象が悪かった 低い 短いお礼と窓口の1文 見送る
内容が実際の式場の話と混ざっている 中 事実を1つ置く ルールを読んで決める

この表は、僕が考えた整理です。サイトの運営側が同じ判断をするとは限りません。使い方としては、削除申請をする前の、頭の整理に使ってください。

事実を置いたあとに、公式サイト側でやっておくこと

返信で「公式サイトに載っています」と書いたら、その場所が、本当に見つかる状態になっているか確かめます。

見学前の二人が返信を読んで、公式サイトを開いたのに、該当の項目が見つからなければ、返信が逆効果になります。返信で示した場所には、次のことを確かめておきます。

  • 示した項目が、スマホで開いてもすぐ見つかる位置にある
  • 更新日が古くなっていない
  • 口コミで問題になった内容に、直接つながる書き方になっている

これらは、一度整えておけば、以後の口コミ返信で、同じ場所を何度も示せます。返信のたびに、事実を新しく探す手間が減ります。返信で使う事実の置き場所を、料金・日程・定休日・見積もりの別途項目などの形で、数か所だけ決めておくといいです。

返信を出すまでの社内の動き

最後に、返信を出すまでの社内の動きにも触れておきます。事実と違う口コミは、読んだ人の感情が動きやすいので、返信を急ぐと、反論の形になりやすいです。

僕なら、次の順番にします。

  1. 口コミを読んだ人は、返信を書かずに、まず式場の記録(見積もり、予約の履歴、案内文)を確認する
  2. 記録と口コミが食い違う点を、1つだけ選ぶ
  3. 返信の下書きを書き、別の1人が、反論に見えないかを読む
  4. 返信を出す

この2人目の確認は、時間がかかるように見えて、返信の1文を直すだけで終わることが多いと思います。反論に見える言い回しは、書いた本人には気づきにくいからです。

まとめ

  • 事実と違う口コミの削除は、式場ではなく、サイトの運営側が決める。判断はサイトの規約との照合で行われる
  • 「事実と違う」は、削除の理由としては弱い場合がある。待つ計画だけで動かない
  • 待っている間も、その口コミは見学前の二人に読まれる。返信が、式場側の見方を横に並べる
  • 返信で置くのは、見学前の二人が自分で確かめられる事実を1つだけ。投稿者を疑う書き方や、個人が特定される情報は書かない
  • 削除の申請は、規約のどの項目に当たるかを書いて行う。「事実と違う」だけを主役にしない
  • 返信で示した場所は、公式サイトで本当に見つかる状態にしておく
  • 返信と申請は、どちらかを選ぶものではない。並行して、待つ時間を無駄にしない