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式場の口コミが閑散月に途切れるのを、依頼の配り方で防ぐ

口コミの件数は、多くの式場が気にして数えています。一方で、口コミの「投稿日」がどう並んでいるかを、毎月見ている式場は少ないと思います。件数は同じでも、投稿が秋と春に固まって、夏と冬にほとんど入っていない式場があります。見学前の二人がその欄を開くと、先頭の日付が3か月前、ということが起きます。

この記事では、挙式が繁忙期に偏る式場で、口コミの空白月がどのくらいの確率で生まれるのかを、前提を置いた計算で確かめます。そのうえで、口コミ依頼を「挙式の後に自動で送る」形から「月ごとに配り直す」形に変えるときの段取りを整理します。先に結論を書くと、空白月は運で生まれているのではなく、挙式数の偏りから計算どおりに生まれています。なので、依頼の配り方で小さくできます。

口コミ欄の先頭の日付は、見学前の二人が最初に目にする情報のひとつ

口コミ媒体の画面は、サービスによって新しい順、おすすめ順、評価順など並び方が違います。ただ、投稿日は各口コミの横に必ず出ています。二人が式場を比べているとき、星の平均と件数に加えて、「最近の書き込みか」を見ている可能性は高いと僕は考えています。結婚式のように、半年から1年先の予約をする買い物では、「今もちゃんとやっている式場か」という確認が入りやすいからです。

ここで言い切れることと、言い切れないことを分けておきます。

言い切れること:投稿日は画面に出ているので、二人の目に入る条件はそろっています。言い切れないこと:「空白が何か月を超えると離脱が増える」という境目です。僕はこの数字の出典を持っていません。なので、この記事では境目を決めつけず、自分の式場の画面を見て自分で決める手順に寄せて書きます。

口コミの返信が見学前の二人にどう読まれるかは、別の記事で書きました。ここで扱うのは返信ではなく、投稿そのものが月ごとに途切れる問題です。

挙式が偏ると、投稿は計算どおりに偏る

式場の挙式は、季節で偏ります。秋と春に集まり、真夏と真冬は少ない、という会場は多いはずです。口コミの投稿は挙式の後に出るので、挙式が偏れば投稿も偏ります。ここまでは当たり前ですが、偏りが「空白月の確率」にどう効くかは、計算しないと見えません。

次の前提を置きます。これは実在の式場のデータではなく、考え方を見るための想定です。

  • 年間の挙式数:120組
  • 繁忙の4か月に6割(72組)が集まり、残り8か月に4割(48組)
  • 繁忙月は月18組、閑散月は月6組
  • 口コミを書いてくれる割合(回答率):10%、20%、30% の3通りで見る
  • 投稿は挙式の月か、その翌月に出るものとして、月ごとの投稿数はランダムに散らばると見なす(ポアソン分布で計算)

計算の結果です。「その月に口コミが1件も入らない確率」を並べます。

回答率 閑散月の平均投稿数 閑散月に0件の確率 繁忙月の平均投稿数 繁忙月に0件の確率
10% 0.6件 約55% 1.8件 約17%
20% 1.2件 約30% 3.6件 約3%
30% 1.8件 約17% 5.4件 約0.5%

回答率が20%でも、閑散月の約3割は0件になります。年に8回ある閑散月のうち、2〜3回は何も入らない計算です。2か月続けて0件になる確率も、同じ前提で出すと、回答率10%で約30%、20%で約9%、30%で約3%です。

この計算でいちばん大事なのは、年間の口コミ件数が同じでも、閑散月に偏った式場の空白は消えない、という点です。年に24件(120組×20%)入る式場は、月平均では2件です。月2件なら途切れないように見えますが、実際は繁忙月に3.6件、閑散月に1.2件と偏るので、閑散月は3割の確率で空白になります。件数だけを見て「うちは年24件あるから十分」と考えると、この偏りを見落とします。

空白を減らす方法は、書いてもらう人を増やすだけではない

空白月を減らすには、大きく2つの方向があります。回答率を上げるか、投稿の月を散らすかです。

回答率を上げる方向は、特典で釣る形になりやすく、ステマ規制や満足した人だけに依頼する問題と隣り合います。この方向は別の記事で損益を書いたので、ここでは触れません。

この記事で扱うのは、もうひとつの方向です。回答率はそのままで、依頼を送る月を散らす。繁忙月に挙式した二人の一部には、依頼を閑散月に送ります。

仕組みはこうです。依頼を挙式の2週間後に自動で送っていると、投稿は挙式の月に引きずられます。繁忙月に挙式した18組の依頼を、全員同じ月に送らず、半分は当月、残りは1〜3か月後に分けて送る。すると、閑散月に当たる月にも、前に挙式した二人からの投稿が入る余地が生まれます。

同じ前提で、散らし方のモデルも計算します。繁忙月に挙式した72組のうち、4割にあたる約29組の依頼を、挙式後の閑散月に回したとします。閑散月8か月に均等に配ると、1か月あたり約3.6組。回答率20%なら、閑散月の平均投稿数は 1.2件 から 1.9件 に増えます。計算すると、0件の確率は約30%から約15%まで下がります。

依頼の出し方 閑散月の平均投稿数 閑散月に0件の確率
挙式の2週間後に自動送信 1.2件 約30%
繁忙月の挙式分の4割を閑散月に配り直す 約1.9件 約15%

半分に減りますが、ゼロにはなりません。確率で動く以上、ゼロにする方法はありません。減らせる幅を知っておくことが大事です。

配り直しで気をつけること

依頼を後ろにずらすと、副作用がいくつかあります。

1. 記憶の鮮度が落ちる

挙式から3か月たつと、細かい印象は薄れます。口コミの具体性が下がる可能性があります。ただ、これを裏づける数字を僕は持っていません。なので、「ずらすほど書いてもらえなくなる」と決めつけず、自分の式場で、挙式後1か月で送った分と3か月後に送った分の回答率を比べてください。比較は、半年分の記録があれば足ります。

2. 依頼の中身は変えない

特典をつけて回答率を上げる形にしないことです。時期をずらすことと、特典をつけることは別の話です。依頼文は、これまでの文面のまま、送る月だけを動かします。

3. 閑散月に入れるために、投稿を寝かせない

依頼が届いて、書く気になった二人が、書けない状態にしてはいけません。「閑散月まで待ってください」と伝えるのは違います。ずらすのは式場側の送信タイミングであって、二人に待たせる形ではありません。

4. 閑散月が来る前に、その年の分を決めておく

閑散月が来てから慌てて依頼を探しても、送る相手がいません。年のはじめに、「繁忙月の挙式分のうち何割を、どの閑散月に送るか」を決めておきます。決めておけば、あとは送信の日付を設定するだけです。

毎月やることは、先頭の日付を見る1回だけ

配り直しの仕組みを作る前に、まず今の状態を確認します。やることは軽いものです。

  1. 口コミを載せている媒体とGoogleマップで、新しい順に並べたときの先頭の投稿日を見る
  2. 過去12か月について、月ごとの投稿件数を表にする
  3. 0件の月が何回あったか数える

この3つで、今の式場が「閑散月に途切れている」のかどうかが分かります。数えて0件の月が1回もなければ、この記事の配り直しは要りません。0件の月が2〜3回あるなら、先ほどの計算とほぼ同じ状態です。

月ごとの表を作ると、もうひとつ分かることがあります。投稿が多い月と挙式の多い月が、どれだけ重なっているか。重なりが強いなら、依頼の送信が挙式日に紐づいていることの表れです。

月別の表は、4列あれば足ります

表の作り方も書いておきます。列は4つで足ります。

  • 月(過去12か月)
  • その月の挙式組数(予約管理の記録から)
  • その月に入った口コミの件数(媒体ごとに分けず、合計で)
  • 口コミ依頼を送った組数

挙式組数と口コミ件数を並べると、閑散月に0件が出ているかが一目で分かります。依頼を送った組数の列は、依頼が挙式の月に固まっているかどうかを見るためのものです。ここが挙式の組数とほぼ同じ形で動いているなら、送信が挙式日に紐づいている証拠です。

媒体が複数あるときは、合計の表を先に作ってください。媒体ごとの偏りは、合計で空白月が見つかってから確かめれば間に合います。最初から媒体別に分けると、表が重くなって、月1回の確認が続かなくなります。

判断の分かれ目

配り直しをやるかどうかは、次の条件で決めてください。

  • 過去12か月で、口コミが0件の月が3回以上ある:配り直す価値は高いです。まず繁忙月の分の4割を閑散月に回す形から試せます
  • 0件の月は1〜2回で、偏りは小さい:配り直さず、先頭の日付の確認を毎月続けるだけで足ります
  • 0件の月がない、または年間の挙式数が少なく月ごとの偏りを計算できない:この記事の話は当てはまりません。件数を増やす別の施策を優先してください
  • 依頼を送る相手が、そもそも足りない:配り直しの前に、成約者名簿の整理が先です

どの場合でも、閑散月の0件確率は、年間の件数が増えるほど下がります。件数が少ない式場ほど、一件一件の投稿日が目立ちます。

まとめ

  • 口コミ欄には各投稿の日付が出ています。見学前の二人が先頭の日付を見ている可能性があり、件数と同じくらい投稿の月の並びが効くかもしれません
  • 挙式が繁忙期に偏る式場は、口コミも偏ります。年120組・回答率20%という想定では、閑散月の約3割が0件になる計算です
  • 年間の件数が同じでも、偏りがあれば空白月はなくなりません。件数だけで十分と判断するのは危険です
  • 繁忙月の挙式分の4割を閑散月に配り直すと、同じ想定で0件の確率は約30%から約15%に下がります。ゼロにはなりません
  • 特典は足さず、送る月だけをずらします。二人に待たせることはしません
  • まず過去12か月の月別の投稿件数を表にして、0件の月を数えます。3回以上あれば、配り直す価値は高いです
  • 口コミ欄は、件数の多さだけでなく、毎月動いていることでも見られています。ここまでは僕の推測ですが、確かめる方法は自分の式場の数字の中にあります