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口コミの依頼は、挙式の当日・翌日・2週間後のどれに送るか。仮の式場では、投稿が年16件から30件まで動き、追加の14件は成約0.03組で元が取れる

卒花嫁への口コミ依頼は、いつ送るのが正解なのか。式場の方に聞くと、答えがはっきり割れる話です。「感動が残っている当日の帰り際がいちばん」という式場もあれば、「写真が届いてからでないと書けない」という式場もあります。

結論から書きます。僕は、送る日を1つに決める前に、送る日の違いが年に何件の口コミを動かすのかを数字で置いたほうがいいと考えています。仮の式場で試算すると、投稿率が8%の送り方なら年16件、15%の送り方なら年30件です。差は14件。この14件を取りに行くために増える費用は年3.4万円で、成約が0.03組増えれば元が取れます。つまり、タイミングの選択そのものは、大きな金額の勝負ではありません。勝負になるのは、送る日が違うと「誰が書いてくれるか」と「何を書いてくれるか」が変わる点です。

先に断っておくと、この記事に出典はありません。「当日に送ると8%が書く」といった投稿率は、僕が置いた仮の数字です。実在の式場の実績でも、どこかの調査の結果でもありません。自分の会場で何%になるかは、記事の最後に書く方法で確かめてください。

仮の式場の前提

計算に使う前提を並べます。

  • 年間の挙式は200組
  • 契約1組あたりの売上は350万円、粗利率は30%(粗利は1組あたり105万円)
  • 口コミの依頼は、挙式を終えた二人全員に1回だけ送る
  • 送り方の費用は、当日の帰り際に渡すQRカードが1組30円(年0.6万円)、メールで送る場合は文面づくりと設定の手間を合わせて年4万円とする
  • 口コミが1件増えると、成約の確率がわずかに上がる。その上がり幅を「口コミ1件あたり成約0.002組」のように置いて、損益分岐を逆算する

口コミが何件あれば成約が何組増える、という関係は、僕は知りません。測った人も多くないと思います。だから、この記事では「何組増えれば元が取れるか」を計算するだけにして、実際にいくつ増えるかは断定しません。

4つのタイミングと、仮に置いた投稿率

送る日を4つに分けます。それぞれに仮の投稿率を置きます。

送る日 仮の投稿率 年の投稿数 年の費用
当日の帰り際(QRカード) 8% 16件 0.6万円
翌日(お礼メール) 12% 24件 4万円
2週間後(写真納品と同時) 15% 30件 4万円
2か月後 5% 10件 4万円

この投稿率の並びには、僕なりの理屈があります。ただ、理屈は理屈で、数字は仮置きです。

当日が低いのは、帰り際の二人が両手に荷物を持っていて、ゲストの見送りで疲れているからだと考えています。QRカードをもらっても、家に帰ってスマホを開く頃には、カードは紙袋の底です。翌日が少し上がるのは、メールなら文字を打つ余裕があるからです。2週間後が最大なのは、写真が手元に届いて、式の場面を思い出しながら書けるからだと思っています。2か月後に落ちるのは、新婚旅行や新生活の忙しさで、式場のことが頭から押し出されるからです。

ここまでを読んで、「当日に渡すカードのほうが安いのに、なぜ翌日以降を選ぶのか」と思う方がいるかもしれません。次の節で、費用の差を計算します。

費用の差は、成約0.03組で埋まる

当日のQRカードと、2週間後のメールを比べます。

投稿は年16件と年30件で、差は14件です。費用は年0.6万円と年4万円で、差は3.4万円です。粗利が1組105万円なので、3.4万円を取り返すには、成約が3.4 ÷ 105 = 0.032組増えればいい計算になります。

14件の追加投稿で0.032組。1件あたりに直すと、0.0023組です。つまり、口コミ1件が成約の確率を0.23%動かせば、元は取れます。1,000人が口コミを読んで、そのうち2〜3人が見学の予約に動けば足りる水準です。

僕は、この水準なら「2週間後に送る」を試す価値は十分にあると思います。ただし、成約は年200組の式場でも、口コミ14件の増加がもたらす成約は多くて1組前後です。年に1組増えるかどうかの話を、毎月の売上で見分けるのは難しいです。ここで「効いたかどうか」を成約数で判断しようとすると、判断がつかないまま終わります。

判断の材料は3つ

送る日の違いが動かすものは、投稿率だけではありません。僕は3つあると考えています。

二人の気持ちの温度

当日に近いほど、感情は強いままです。「最高の1日でした」という短い文が多く出る一方で、具体的な内容は薄くなります。何がよかったのか、誰が何をしてくれたのかが書かれにくいです。

時間がたつと、温度は下がります。そのかわり、「担当の方が、両家の席順で悩んだときに3案を出してくれた」のような、場面の描写が増えます。見学を検討している人が読みたいのは、実はこちらです。星の数よりも、そこに書かれた場面のほうが、読む側の判断に使われると僕は見ています。

手元に何があるか

写真と動画が届く前は、二人の手元にあるのは記憶だけです。届いたあとは、画像を見ながら書けます。写真の納品が式の約2週間後の式場なら、依頼を納品メールに同梱するのがいちばん自然です。納品を30日から14日に縮める話は別の記事で計算しましたが、ここでも納品の早さが効いてきます。納品が遅い式場は、納品と依頼を同時にすると、依頼が1か月後になるからです。

二人の忙しさ

挙式の直後は、新婚旅行、ご祝儀の整理、お礼状、名義変更と、二人にやることが集中する時期です。翌日から1週間は、口コミを書く気力が最も残っていない期間かもしれません。一方で、2か月を過ぎると、書く動機そのものが薄れます。この間のどこに依頼を置くかが、投稿率を決めるいちばん大きな要素だと、僕は仮定しています。

当日は予告だけ、2週間後に依頼する、という手

ここまでの話から、もう1つの選び方が出てきます。当日と2週間後を組み合わせる方法です。

当日に、口コミを依頼するのではなく、「後日、写真と一緒に改めてご案内します」と一言伝えておきます。QRカードは渡さず、口頭だけです。そして2週間後の納品メールで、依頼を送ります。

この方法の費用は、納品メールへの文面追加だけです。当日のカードを廃止するので、年0.6万円は不要になります。事前に予告があるぶん、メールを開いたときの二人は「あの件だ」と思い出せます。投稿率が上がるかどうかは、僕には分かりません。ただ、依頼は1回しか送らないので催促にならず、しかも予告があるので唐突にも感じられません。そこが利点だと思っています。

注意したいのは、依頼を2回送ることと予告を1回して依頼を1回送ることは、別物だという点です。依頼を同じ二人に2回送ると、1回目に書いた二人にまで催促が届きます。それは避けたほうがいいです。書いた二人を除外する設定ができない仕組みなら、依頼は1回に絞るほうが安全です。

低評価の二人に、いつ届くか

もう1つ、見落としやすい点があります。依頼を全員に送る場合、不満を持っている二人にも届きます。

当日に送ると、不満がまだ言葉になっていない二人にも届きます。2週間後に送ると、不満が整理された二人に届きます。どちらが式場にとって有利かは、一概には言えません。当日なら低評価になりにくいかもしれませんし、2週間後なら、整理された具体的な指摘が書かれるかもしれません。

僕は、これを「有利不利」で考えないほうがいいと思っています。低評価を避けるために送るタイミングを動かすのは、口コミの意味を損ないます。それに、依頼の送り方を二人の満足度で選り分けるのは、手間も増えます。式場がやるべきは、低評価が来たときに返信する体制を作ることで、送り方で低評価を減らそうとすることではない、というのが僕の立場です。口コミの返信については、別の記事で数字を出したとおり、返信の有無が離脱に関わると言われています。

自社の数字で確かめる方法

仮の数字のまま決めるのは危ないので、確かめる方法を書きます。

  1. 月ごとに送り方を変える。奇数月は当日のQRカード、偶数月は2週間後のメールにする
  2. 3か月分で、送った人数と、実際に口コミが投稿された件数を数える
  3. 投稿された件数を送った人数で割って、投稿率を出す

年200組の式場なら、月に約17組です。3か月で50組。投稿率が8%と15%なら、50組のうち4件と7.5件。差は3.5件です。これでは、偶然の揺れと区別がつきません。

そこで、半年続けます。奇数月と偶数月で、それぞれ100組ずつ。投稿率が8%なら8件、15%なら15件。差は7件です。この規模になると、ようやく「違いがありそうだ」と言える差になります。僕は、半年は見たほうがいいと思います。1か月、2か月で決めると、たまたま結果がよかった月に引っ張られます。

比べる数字は、成約数ではなく、投稿件数にします。口コミが成約に与える影響は、年200組の規模では測れないからです。測れるのは「送ったら何件書かれたか」までです。その先は、前の節で出した「1件あたり0.23%動けば元が取れる」という水準を、判断の目安にします。

判断をまとめる

仮の前提で整理すると、次のようになります。

  • 写真の納品が式の約2週間後で、納品メールを出している式場は、依頼を納品に同梱するのがいちばん手間がかからない
  • 納品メールの仕組みが無い式場は、翌日のお礼メールが次点
  • 当日のQRカードは費用が最も安いが、投稿率は低いと仮定している。費用を抑えたいだけなら残してよい
  • 2か月以降は、投稿率が落ちると仮定している。後回しにしていた式場は、早めたほうがいい

どれを選んでも、費用の差は年数万円です。この記事の試算では、成約が0.03組増えれば元が取れます。決めるのに悩み続けるほうが、悩んでいる時間の人件費のほうが高くつきます。

まとめ

  • 口コミ依頼を送る日は、当日、翌日、2週間後、2か月後で、仮の式場だと年10件から30件まで動く。数字はすべて仮置き
  • 当日のQRカードと2週間後のメールの費用差は年3.4万円。成約が0.03組、口コミ1件あたり0.23%の押し上げがあれば元が取れる
  • 判断の材料は3つ。二人の気持ちの温度、手元に写真があるか、二人の忙しさ
  • 依頼は同じ二人に2回送らない。予告と依頼を分けるのは、1回の依頼を嫌がられにくくする工夫として使える
  • 自社の数字は、奇数月と偶数月で送り方を変え、半年見て投稿件数で比べる。成約数で比べない
  • 低評価を避けるために送る日を動かさない。低評価への返信の体制のほうに手間をかける