式場の返信メールは件名の前半で誰への何の連絡かを伝える
式場からの返信メールは、二人の受信箱で何と並んでいるでしょうか。通販の発送通知、ポイントの案内、会社のメール、他の式場からの返信です。ブライダルフェアの予約を入れた直後は、同じ週に何件もの式場から似た件名のメールが届きます。
その中で、あなたの式場の返信が開かれるかどうかは、件名の最初の十数文字でほぼ決まります。本文をどれだけ丁寧に書いても、開かれなければ、二人の目には入りません。
この記事の結論は一つです。返信メールの件名は、前半に「誰への、何の連絡か」を置く。会場名や飾りの言葉は後ろに回す。
数字の出典はありません。ここから先は、メールの仕組みと、式場の現場で起きやすい形を材料にした整理です。「この件名にすれば開封が何割増える」とは言いません。かわりに、自社の数字で確かめる手順まで書きます。
件名の前半しか見えない場面が、いちばん多い
メールの件名は、受信箱の一覧では途中で切れます。切れる位置は、端末とメールアプリの種類、文字の大きさの設定で変わります。パソコンの広い画面なら長く見えますし、スマホでは短く切れる。どこで切れるかは、僕は特定の数字を確認していません。確かなのは、機種によって違い、前半は必ず見えるということだけです。
二人が式場の返信を読む場面を考えると、スマホが中心です。仕事の合間や、帰りの電車で受信箱を流し読みする。そのとき見えているのは、差出人の名前と、件名の頭の部分です。
ここで、式場からの返信にありがちな件名を並べてみます。
- 【〇〇ガーデン】ブライダルフェアのご予約ありがとうございます
- 〇〇ガーデン ウエディングサロンより大切なお知らせ
- Re: お問い合わせの件
- 【自動返信】資料請求を承りました
どれも、会場名や飾りの括弧が先頭に来ています。前半の十数文字を使って伝えているのは「〇〇ガーデンからのメールです」だけです。これは差出人の欄にすでに出ている情報なので、件名の頭で繰り返す意味が薄いです。
同じ週に三つの式場から返信が届くと、受信箱はこうなります。
- 【A会場】ブライダルフェアのご予約ありがとうござ…
- 【B会場】ブライダルフェアのご予約ありがとうござ…
- 【C会場】ブライダルフェアのご予約ありがとうござ…
違いが会場名の数文字しかありません。二人が「どれがどの式場だったか」を思い出すところから始めないと、開く理由が生まれません。
件名の前半に置くのは、宛名と用件の2つ
前半に置くものは、2つに絞れます。
- 宛名:誰への連絡か。「〇〇様」と二人の名字を入れると、自分宛てだと一目で分かる。一斉配信ではなく、自分に向けた連絡だと伝わります
- 用件:何の連絡か。「見学の日程のご案内」「ご質問へのお返事」のように、開いたら何が分かるのかを書く
たとえば、先ほどの件名を直すとこうなります。
- 〇〇様、10月26日の見学のご案内(〇〇ガーデン)
- 〇〇様、ご質問へのお返事です(〇〇ガーデン)
- 〇〇様、資料のご請求を受け付けました(〇〇ガーデン)
会場名は後ろに回しています。差出人の欄に会場名が出ているので、件名の末尾にあれば足ります。後ろが切れても、困らない位置です。
ここで一点だけ、注意があります。宛名の差し込みは、名字の入力ミスや、フォームに書かれた名前の形をそのまま使うリスクがあります。フォームに「たろう」とだけ書く人もいれば、旧姓や、ふたりの連名で入れる人もいます。差し込みが怪しいときは、宛名を外して「見学のご案内:10月26日(日)」のように、用件と日付だけで前半を作るほうが安全です。名前を間違えた件名は、無いよりも悪いからです。
用件は、二人が次にすることが分かる言葉にする
用件の言葉選びで、よく起きる失敗があります。式場側の事務の言葉をそのまま件名にしてしまうことです。
- 「ご予約確認」「受付完了」「お問い合わせ受付のご連絡」
これらは、式場が「受け付けた」という事実を伝えています。二人にとって、受け付けられたことは分かっている。知りたいのは、次に自分が何をするのか、あるいは何もしなくてよいのかです。
用件の言葉は、二人の次の行動が分かるものに寄せます。
| 式場側の言葉 | 二人の次の行動が分かる言葉 |
|---|---|
| ご予約確認 | 10月26日(日)14時にお待ちしています |
| 受付完了 | 資料は3日以内に届きます |
| お問い合わせ受付 | ご質問への回答を、明日の午前までにお送りします |
| 日程のご案内 | 見学日を、次の3つから選んでください |
右の列は、件名だけで用が済む場合もあります。「10月26日14時にお待ちしています」であれば、本文を開かなくても、予約が取れていることと日時が分かる。それでも本文を開く人は、最寄り駅や持ち物を見に来た人で、それは件名が役に立った結果です。
用件が件名で伝わるほど、開封だけで測る数字は落ちる可能性があります。ここが大事なところで、件名の目的は開封を増やすことではありません。二人が必要な行動を、迷わず取れる状態にすることです。 開封率だけを追うと、思わせぶりな件名に寄っていきます。それは次の節で外します。
思わせぶりな件名は、返信の用途に向かない
メールマガジンの世界では、続きが気になる件名がよく使われます。「実は、見学の前に知っておいてほしいことが」のような件名です。
問い合わせへの返信には、これが向きません。理由は2つあります。
- 二人は、自分が出した問い合わせへの答えを待っている。待っている人に焦らす件名を出すと、返事が遅れたような印象になる
- 他の式場の返信と並んだとき、用件が書いてある件名のほうが開かれやすい。思わせぶりな件名は、営業メールと同じ棚に分類されることがある
加えて、「今だけ」「限定」「お急ぎください」のような期限で追う言葉は、そもそも使わないほうがいい。景品表示法の観点で、期限の表示は事実に合っている必要もあります。件名は検索結果や通知にも出るので、短い言葉ほど、誤解されると影響が大きいです。
返信は、問い合わせへの答えです。件名は、答えがあることと、その中身の見出しで足ります。
自動返信と人の返信で、件名の役割は違う
件名を考えるとき、自動返信と、人が書く返信を分けて設計したほうが、迷いません。
自動返信は、二人が送信した直後に届きます。役割は、問い合わせが届いたことの確認と、次に何が起きるかの予告です。件名には、受け付けたことと、予約があれば日時を入れます。人が書いていないことは、本文の冒頭で隠さずに言うほうが、後で誤解されません。
人の返信は、質問への回答や、日程の調整、見学後のお礼のように、内容がそれぞれ違います。ここでは、件名に担当者の名前を入れる方法もあります。「担当の△△より、10月26日の見学のご案内」のようにすると、人が書いたことが伝わる。担当者名を出す条件は別の記事で扱いました。
どちらの場合も、同じ型に当てはめる必要はありません。型は、前半に宛名か日時、用件を置くという一点だけで足ります。
自分のスマホで、受信箱を見る
自社の返信メールの件名がどう見えているかは、自分で確かめられます。手間はほとんどかかりません。
- 自社のフォームから、テストの問い合わせを送る。自分の個人アドレスを使う
- 自動返信と、人が返す通常の返信を、それぞれ受け取る
- スマホ2〜3台で、受信箱の一覧を開く。機種とメールアプリが違うものを選ぶ(iPhoneの標準メール、Gmailアプリなど)
- 件名がどこで切れるかを見る。切れた位置より前に、宛名か用件があるかを確かめる
この4つを、1回やれば十分です。担当者が代わる、フォームの文面を変えた、といったタイミングで、もう一度やります。
もし、切れた位置より前に会場名と飾りしか見えなかったら、直す理由になります。
開封率でなく、見学予約までの返信率で見る
件名を変えたら、効いたかどうかをどう測るか。開封率を見るメールの仕組みもありますが、問い合わせへの返信では、開封率だけでは足りません。
理由は、開封の数字が信頼しにくいことです。メールを開いたかどうかは、画像の読み込みで推定されます。画像を読み込まない設定の端末や、メールアプリ側の機能で、開いていないのに開いたと数えられる、あるいはその逆になることがあります。数字の精度は、環境で変わります。
測るなら、次の2つのほうが実態に近いです。
- 返信メールを送ってから、見学の予約が確定するまでの日数。件名が分かりやすければ、短くなる可能性がある
- 日程の案内メールを送った二人のうち、何割が返事をくれたか。これは、予約台帳と受信メールで数えられる
仮に、日程案内メールを2か月で50件送っているとします。件名を変える前の2か月は返事が来たのが32件、変えたあとの2か月は36件だったとします。比率で見れば64%から72%ですが、母数が50件ずつでは、この差は偶然の範囲かもしれません。数字は仮の計算です。 実際の式場では、母数がこの程度なら、結論を出さず、同じ件名で2〜3か月見続けるほうが安全です。
大事なのは、件名を変えた日をメモすることです。変更日が分からないと、あとで数字を見ても、何が効いたのか分からなくなります。
件名を決める手順
最後に、手順に落とします。
- 返信メールの種類を数える。自動返信、日程案内、質問への回答、見学後のお礼、見積もりの送付など。多くの式場は、5〜6種類のはずです
- それぞれについて、件名の前半に「宛名か日時」と「用件」が入っているかを確かめる
- 会場名や括弧の飾りは、後ろに回す。差出人の欄に出ているので、前半では繰り返さない
- 名前の差し込みが怪しいものは、宛名を外して、日時と用件を前半にする
- 自分のスマホ2〜3台で、切れた位置を確かめる
- 変更日をメモして、見学予約までの日数と、日程案内への返事率を2〜3か月見る
件名は、メールの文面の中で最も短い部分です。短いのに、最も多くの人の目に入る。直す手間が小さい割に、二人の受信箱の中での扱いが変わる場所です。
まとめ
- 式場の返信メールは、同じ週に複数の式場の返信と並ぶ。件名の前半が、見分けるための唯一の材料になる
- 会場名と飾りの括弧は、差出人の欄とかぶる。前半には、宛名か日時と、用件を置く
- 用件は、式場の事務の言葉でなく、二人の次の行動が分かる言葉にする。「受付完了」より「資料は3日以内に届きます」
- 思わせぶりな件名や、期限で追う言葉は、問い合わせへの返信に向かない
- 名前の差し込みが怪しいときは、宛名を外す。間違った名前は、無いより悪い
- 自分のスマホ2〜3台で、件名が切れる位置を確かめる。切れた位置より前に用件があるかを見る
- 効果は開封率でなく、見学予約までの日数と、日程案内への返事率で見る。母数が小さいうちは、結論を急がない
