来館・成約

子連れ再婚の二人の問い合わせには、お子さんの役割を先に返す

「子どもがいるのですが、結婚式はできますか」。こういう問い合わせが届いたとき、式場はどう返しているでしょうか。「できます」とだけ返す式場もあれば、「お子さまの人数と年齢を教えてください」と聞き返す式場もあります。

先に結論を書きます。子連れ再婚の二人への最初の返信は、可否のあとに、お子さんの出番を2つか3つ並べて返す。それだけで、二人が式場に抱く印象が変わります。理由は、二人がこの問い合わせで本当に知りたいのが「できるか」ではなく、「子どもが置いていかれないか」だからです。

この記事に出典はありません。数字は僕が置いた仮の数字で、式場ごとに違います。判断の条件と段取りを中心に、どこを自分の会場の事情に替えればよいかが分かるように書きます。

二人が聞いているのは「できるか」ではない

子連れで再婚する二人の多くは、結婚式をするかどうかを、お子さんの気持ちとセットで悩んでいます。自分たちは式を挙げたい。でも子どもにとっては、親が別の人と家族になる日です。その日を人前で祝われることを、子どもがどう受け取るか。二人は問い合わせを書く前に、そこをさんざん考えています。

だから、問い合わせの一文はこう読めます。

  • 子どもがいても、式場で嫌な顔をされないか
  • 子どもが「付き添いの人」ではなく、式の当事者として扱われるか
  • 初婚の二人向けに作られた流れの中で、子どもの居場所があるか

ここで「お子さまがいらっしゃっても問題なく挙式できます」と返すと、1つ目にだけ答えたことになります。2つ目と3つ目は答えていません。二人は返信を読んで、「このあたりは分かっていない式場かもしれない」と感じ、別の式場の返信を待つことになりやすい。

可否は、返信の最初の一行で終わらせてかまいません。大事なのは、その次の行です。

返信は「可否、役割、聞くこと」の3段にする

返信の型を3段にします。

1段目は可否です。「お子さまとご一緒の挙式は、ふだんからお受けしています」のように、短く言い切ります。ここで「ふだんから」と書けるかどうかは、式場の実態によります。受けたことがなければ「お受けできます」にとどめます。実績を盛らないことが、後の信頼に効きます。

2段目は役割です。お子さんが式のどこに出られるかを、2つか3つ具体的に並べます。たとえば次のようなものです。

  • 入場のときに、二人のどちらかと一緒に歩く
  • 指輪を運ぶ役、花を撒く役のように、手元で動ける役を持つ
  • 立会人として、誓いの場面で二人の近くに立つ
  • 披露宴の最初に、二人と一緒に乾杯の側に立つ

並べる数は2つか3つで十分です。全部並べると、式場が演出を売り込んでいるように見えます。二人が知りたいのは、選択肢の多さより「この式場は、子どもの出番を考えたことがある」という感触です。

3段目は聞くことです。ここでは1つだけ聞きます。「お子さんは、おいくつくらいでしょうか」。年齢が分かれば、出番の提案が具体的になります。人数や、お子さんが結婚に賛成かどうかのような、踏み込んだことは最初の返信では聞きません。

この3段で書いた返信は、長くなりません。可否が1文、役割が3項目、質問が1文。本文は200字前後に収まります。

お子さんの年齢で、出番の渡し方が変わる

2段目の「役割」は、お子さんの年齢で中身が変わります。年齢の区切りは式場ごとの事情でかまいませんが、考え方は3つに分けると整理しやすいです。

未就学のお子さん。 長く立っていることも、決まった動きを覚えることも難しい年齢です。ここでは「出番」より「居場所」を先に考えます。たとえば、挙式の間は二人の祖父母の隣の席に座り、そのあと入退場だけ一緒に歩く。ぐずったときに出られる席と、控室の場所を事前に決めておく。出番は短く、失敗しても進行が崩れない作りにします。

小学生のお子さん。 役割を渡せる年齢です。リング、花、サイン、乾杯など、手元で完結する役が向きます。ただし、小学生には「やらされている」と感じる子もいます。役を渡すときは、二人から「やってくれる?」と聞く形にして、断ってもよい余地を残す。式場側は、役が断られた場合の代わりの段取りを持っておきます。

中学生以上のお子さん。 ここが最も繊細です。目立つ役を渡されることが、負担になる子は少なくありません。出番を大きくするより、座る場所を二人の近くにして、式の最中に目が合う距離を作る。誓いの場面で立会人として名前を呼ぶかどうかは、二人とお子さんで事前に決めてもらう。式場の提案としては「出ない」という選択肢も、普通の選択肢として並べます。

どの年齢でも共通するのは、お子さんの出番を式場が決めないことです。式場が出すのは選択肢で、決めるのは二人とお子さんです。この距離感が返信の文面に出ていると、二人は安心して次の連絡をくれます。

見学の席は、お子さんの分を最初から作る

問い合わせが見学の予約に進んだら、次に起きるのは「お子さんも一緒に来るか」という問題です。

予約フォームに同伴者を聞く欄があれば、そこで分かります。なければ、予約確認の連絡で一言聞きます。「当日、お子さまもご一緒でしょうか。席とお飲み物をご用意します」。聞く理由を一緒に書くのがコツです。理由が書いてあれば、二人は「来てもいいのだ」と受け取ります。

お子さんが来ると決まったら、準備は3つです。

  1. 席は、二人の間か隣に作る。式場側のプランナーが向かいに座る配置では、お子さんだけが話の外に出てしまう
  2. 手元に置けるものを用意する。塗り絵や折り紙のような、座ったまま静かにできるもの。式場の備品の中から出せるもので足ります
  3. 説明のなかで、お子さんの名前を呼べる場面を1回作る。「〇〇くんは、ここを歩くことになりそうです」のように、会場を案内しながら話しかける

3つ目が最も効きます。見学の最中、お子さんは大人の話を聞き流しているように見えて、自分の名前が出る場面はよく聞いています。そしてお子さんの反応は、親にとっては式場を決める材料になります。子どもが「ここ、いいね」と言った式場は、親が比較表で並べた条件より強い決め手になることがあります。

逆に、見学の間ずっとお子さんが放っておかれると、二人は「この式場で当日、子どもが同じ扱いになるのだろう」と想像します。その想像のほうが、料理や写真の印象より長く残ります。

見積もりには、お子さんの分の項目を最初から入れる

見積もりを出す段階で、よく起きる取りこぼしがあります。お子さんが参加者に数えられていない、という見積もりです。

初婚の二人向けの見積書は、新郎新婦とゲストの人数で組まれています。そこに子連れの二人が来ると、お子さんは「新郎新婦の家族として座る人」なのか「ゲストの子ども」なのかが曖昧になります。曖昧なまま出された見積書は、あとで金額が動きます。

最初の見積もりで決めておくことは、次の3つです。

  • お子さんの席は、料理が必要か、子ども用の食事か、席だけか
  • お子さんの衣装は、二人が用意するか、式場で貸すか。貸す場合の料金は見積もりのどこに入るか
  • お子さんが役を持つ場合に、必要な小物(リングピロー、花かご)の費用は無料か有料か

この3つを最初から見積書に書いておくと、二人は「ここまで考えてくれた」と受け取ります。書いていない場合は、見積もりの打ち合わせで二人から聞かれるまで出てきません。聞かれてから答えると、式場が後から費用を足しているような印象になります。

仮の例で考えます。お子さんが2人いて、衣装を借りる場合を想定します。衣装代が1人あたり数万円と置くと、お子さんの分だけで、全体の見積もりに数万円から十数万円が上乗せされることになります。この金額が最初の見積書に入っていれば、二人は納得した上で比較できます。後から足されれば、「他の式場より高くなった」ではなく、「増えた」と感じます。同じ金額でも、受け取り方が違います。(金額はあくまで仮置きで、実際の衣装代は式場ごとに違います)

「再婚向けプラン」は作らなくていい

ここまで読んで、「子連れ再婚向けのプランを作ればいいのでは」と考える経営者もいると思います。僕は、最初は作らなくていいと考えています。

理由は2つあります。

1つ目は、二人が「再婚向け」と名のついたものを選びたいとは限らないからです。子連れの二人の中には、自分たちを特別な枠に入れられることを、避けたい人もいます。サイトに「再婚の方へ」というページを作ると、見つけてもらいやすくなる反面、そこから先の流れが特別な枠の中に閉じてしまう面があります。

2つ目は、必要なのが新しい商品ではなく、既存の流れの中でお子さんに居場所を作る段取りだからです。返信文、見学の席、見積もりの3項目。この3つは、既存のプランを変えずに整えられます。新しいプランを作るのは、この3つを整えて、実際に子連れの二人を何組か受けてからで遅くありません。

先にプランを作ってしまうと、受けた経験がないまま「対応します」と書くことになります。できると書いてあるのに、現場で対応が追いつかない。この落差は、二人の信頼をいちばん傷つけます。

今日からできる3つの準備

最後に、この記事の内容を自社に当てはめる手順を書きます。

1. 返信のひな形を、3段の型で1本作る。 可否、役割2〜3つ、年齢を聞く一文。プランナーの誰が返しても同じ型になるように、共有のフォルダに置きます。

2. 過去1年の問い合わせの文面を見返す。 「子ども」「子連れ」「連れ子」といった言葉が入った問い合わせが、何件あったかを数えます。件数が少なければ、そもそも見つけてもらえていない可能性があります。件数が多いのに、見学や成約に進んだ割合が低ければ、返信か見学のどこかで落ちています。どちらの場合も、自社の数字を見てから、手を入れる場所を決めます。

3. 見積書の雛形に、お子さんの項目を足す。 席、衣装、小物の3行。使わない二人には「なし」と書いて消せば足ります。

この3つは、広告費も、新しいプランも要りません。問い合わせのうち、お子さんのいる二人だけに向けた小さな整え方です。件数が少ない式場ほど、取りこぼしの影響は目立たず、気づかれないまま続きます。

まとめ

  • 子連れ再婚の二人が問い合わせで知りたいのは、できるかどうかより、お子さんが置いていかれないかどうか
  • 最初の返信は、可否、お子さんの出番2〜3つ、年齢を聞く一文の3段にする。200字前後で足りる
  • お子さんの出番は年齢で渡し方を変える。未就学は居場所、小学生は手元の役、中学生以上は選択肢の一つとして出番なしも並べる
  • 出番を決めるのは式場ではなく二人とお子さん。式場は選択肢を出す側にとどまる
  • 見学では、お子さんの席を最初から作り、名前を呼べる場面を1回入れる
  • 見積もりには、席・衣装・小物の3項目を最初から書いておく。後から足すと「増えた」と感じさせる
  • 再婚向けプランは、受けた経験がたまってから作る。先に作ると、対応が追いつかないリスクがある