式場の見学予約は来館日が2週間以上先なら中間に1通送る
見学やブライダルフェアの予約が2週間以上先の日になっているとき、予約確認のメールと前日のリマインドの間に、二人には何も届かない期間が丸々残ります。この期間を放っておくか、中間に1通だけ足すか。今回はその判断の話です。
結論から書きます。予約日から来館日までが2週間以上あく予約には、来館の1週間前に中間の1通を足したほうがいいと僕は考えています。前日のリマインドは残したまま、です。中間の1通で来館率が何ポイント上がるかは式場ごとに違うので、この記事では前提を置いた計算で「どこまで上がれば元が取れるか」を示し、自社のデータで確かめる手順まで書きます。
先に断っておくと、今回は出典のある統計を使いません。見学予約から来館までの日数別の来館率を出している公開調査を、僕は見つけられていないからです。数字は全部、想定だと分かる形で書きます。
空白の2週間に起きていること
予約した瞬間、二人の気持ちはいちばん高いところにいます。フェアのページを見て、日程を選んで、名前を入れて送信した。この時点では、その式場が候補の上位にいます。
そこから来館日までの間に、二人は別のことをします。他の式場のフェアにも申し込む。口コミを読む。親に話す。インスタで別の会場の写真を見る。予約した式場のことは、予約完了の画面とメールが届いた時点で一度頭の外に出て、前日のリマインドで思い出される、という流れが普通だと思います。
予約が3日後なら、この空白はほとんど問題になりません。3日の間に気持ちが大きく変わることは少ないからです。問題になるのは2週間、3週間と先の日を選んだ予約です。人気の土日は埋まりやすく、希望の日に取ろうとすると先の日付になりがちなので、実は少なくない割合がここに入ります。
空白の間に起きる変化は大きく三つあります。
一つ目は、同じ週末に別の式場の予約が入ることです。二人は2〜3か所を回る人が多いので、予約日を決めた時点では空いていた週末に、あとから別の式場のフェアを入れます。そのときに日程がぶつかると、どちらかを諦めます。諦められるのは、印象の薄いほうです。
二つ目は、予約したこと自体を忘れることです。悪気はなく、ただ忘れます。前日のリマインドで思い出しても、その時点ではもう別の予定が入っていて、断る側に回る人が出てきます。
三つ目は、最初に見たときの熱が冷めることです。予約した日にはワクワクしていたのに、2週間たつと「まあ、一応行くか」に変わります。行く動機が弱くなっているので、雨が降った、疲れた、というちょっとした理由で来館が消えます。
この三つは、式場の側から手を打てます。二人が忘れていても、熱が冷めていても、式場から「この日を楽しみにしています」と具体的な中身つきで届けば、思い出すきっかけになるからです。
中間の1通を入れる基準
全部の予約に中間の1通を入れる必要はありません。入れる基準は、予約日から来館日までの日数で切るのが現実的です。
僕の考えでは、基準は次の二つです。
- 予約日から来館日までが14日以上ある
- 来館日が土日祝などの人気日である(他の式場と日程が重なりやすいため)
14日という線は、僕が決めた仮の線です。根拠のある統計があるわけではありません。式場の予約の入り方によっては、10日で切ったほうが合うことも、3週間で切ったほうが合うこともあります。この線は、後で書く自社データの確認で動かすものです。
人気日かどうかを加えたのは、平日の夜の見学のように競合が少ない時間帯は、日程がぶつかる確率が低いからです。逆に、同じ日の午前に別の式場の予約を入れやすい土日は、空白の間に重なりが起きやすくなります。
送るタイミングと手段
送る日は、来館日の7日前が最初の候補です。5日前でも6日前でも大きな違いはありません。大事なのは、前日のリマインドと間隔が離れていることです。前日の連絡と近い日に送ると、同じ内容を二度送られたと感じさせてしまいます。
手段は、予約を受けたときの連絡手段に合わせます。予約フォームから入ってメールで確認を返しているなら、メールで送る。LINEで予約を受けていれば、LINEで送る。二人が連絡先として渡してくれた手段を、途中で変えないのが基本です。
送る時刻は、平日の夜か土日の昼に寄せるのが無難だと思います。仕事中に届くと見られないまま流れてしまうので、読む時間のある時間帯に合わせたほうがいいからです。これも僕の推測で、自社で時刻別の開封率が取れるなら、それを優先してください。
書く中身は3つに絞る
中間の1通で書くのは、「もうすぐです」という挨拶ではありません。二人が来館する理由を思い出して、来館の準備ができて、予定が変わったときの出口が見えること。この三つに絞ります。
1. 当日の見どころを、予約した二人向けに1つだけ書く
予約確認のメールは、日時と場所と持ち物の案内が中心になりがちです。中間の1通では、その日に見られるものを具体的に1つだけ書き直します。「当日は、実際の披露宴と同じ設営のお部屋で、お料理の試食をしていただけます」のような、写真が頭に浮かぶ一文です。複数並べると読まれなくなるので、1つに絞ります。
2. 当日の流れと所要時間を書く
「何時から何時まで、どの順番で回るか」が書いてあると、二人は自分の予定に組み込めます。他の式場の予約と重なるかどうかも、ここで確認できます。所要時間が書かれていないと、午前に別の見学を入れてしまい、時間が足りなくなる二人がいます。
3. 日程を変えたいときの入口を、見える場所に置く
ここがいちばん大事だと思っています。変更の入口があるかどうかで、来館しない二人の行動が変わるからです。
入口がないと、予定が合わなくなった二人は何も言わずに来なくなります。入口があれば、「その日は難しくなったので別の日にしたい」と連絡をくれる人が出てきます。式場にとって、無断の欠席と、連絡ありの日程変更では、重さがまったく違います。後者は枠を空けて他の予約を入れ直せますし、二人との接点も切れません。
この入口は、フォームへのリンクか、返信すれば変更できる旨の一文で十分です。「ご都合が合わなくなった場合は、このメッセージに返信してください。別の日程をご案内します」と書いておくだけでも、変わります。
逆に書かないほうがいいこと
中間の1通で、やってはいけないことも書いておきます。
まず、来館を迫る書き方です。「ご来館をお待ちしています」を繰り返すだけでは、圧になります。二人が欲しいのは、行く理由と、行けなくなったときの逃げ道です。
次に、特典や割引の予告です。「当日来館の方に特典あり」のような一文を足したくなりますが、期限や条件のある特典を中間の連絡で出すと、景品表示のルールにも触れやすくなります。前日の連絡と合わせて特典の見せ方が二重になるのも避けたい点です。
最後に、予約した日が遠いことを、式場の都合で変更するように誘導することです。「早い日が空いたので、前倒ししませんか」という提案は、二人の側から頼まれたときにだけ出すのが筋です。式場の空き枠を埋めるために先に差し出すと、二人は「自分たちの予定を軽く見られた」と感じることがあります。
前提を置いて、元が取れるかを計算する
ここからの数字は、全部、僕が置いた仮の数字です。実在の式場のデータではありません。
次の前提で計算します。
- 月の見学予約が60件
- そのうち予約日から来館日まで14日以上あく予約が3割(18件)
- 中間の1通がない場合の来館率が70%
- 来館した二人の成約率が25%
- 1組の成約で式場に残る粗利が150万円
中間の1通を入れたとき、来館率が何ポイント上がるかを3パターンで見てみます。
| 来館率の上がり方 | 追加で来館する組(月) | 追加で成約する組(月) | 粗利の増加(月) |
|---|---|---|---|
| 70%→73%(+3pt) | 約0.5組 | 約0.14組 | 約20万円 |
| 70%→76%(+6pt) | 約1.1組 | 約0.27組 | 約40万円 |
| 70%→80%(+10pt) | 約1.8組 | 約0.45組 | 約68万円 |
3ポイントしか上がらなくても、前提どおりなら月に約20万円の粗利が増える計算です。一方で、中間の1通にかかる費用は、自動配信にしてしまえば手間は最初の文面づくりだけで、毎月の費用はほとんどかかりません。手動で送るとしても、1件3分、月18件なら54分です。
つまり、このモデルでは「1通足して来館率が3ポイント動けば、手間に見合う」という結論になります。反対に、来館率が1ポイントも動かなければ、やめていい施策でもあります。
この計算の弱い点も書いておきます。成約率を25%に置いていますが、遠い日の予約で来館した二人の成約率が、近い日の予約と同じとは限りません。気持ちが冷めかけていた二人を引き戻した分は、成約率が少し低いかもしれません。その場合、表の粗利は小さくなります。逆に、日程変更の入口を使って別の日に来てくれた二人は、もう一度やる気を示してくれた分、成約率が高い可能性もあります。どちらに動くかは、自社のデータで確かめるしかありません。
自社のデータで確かめる手順
この施策は、全部を一度に切り替えず、確かめながら入れるのがおすすめです。手順は次のとおりです。
1. 今の来館率を、予約から来館までの日数で分けて出す
予約管理の表に、予約を受けた日と来館予定日が入っていれば、差の日数が出せます。これを「7日以内」「8〜13日」「14日以上」の3つに分けて、それぞれの来館率を出します。
多くの式場では、遠い予約ほど来館率が下がっている可能性があると僕は想像しています。ただし、これは確かめていない仮説です。もし日数による差がほとんどなければ、この施策は不要です。ここで止まっていい、という判断も正解です。
2. 差があったら、14日以上の予約だけに中間の1通を入れる
差が見えたときだけ、14日以上の予約に絞って試します。全員に入れず、一部の予約から始めるのは、効果を見分けるためです。
方法は二つあります。週ごとに入れる週と入れない週を交互にする、あるいは、予約の受付番号が奇数か偶数かで分ける。どちらでも、同じ時期の予約を比べられます。時期をずらして比べると、季節やキャンペーンの影響が混ざってしまうからです。
3. 1〜2か月たったら、来館率と日程変更の件数を比べる
見るのは二つです。
- 来館率が上がったか
- 連絡ありの日程変更が増えたか(無断欠席が減って、その分が変更に回ったか)
来館率が横ばいでも、無断欠席が連絡ありの変更に変わっていれば、枠の埋め直しができる分、効果はあります。来館率だけで判断しないでください。
4. 件数が少ないうちは、結論を急がない
14日以上の予約が月18件のような規模だと、1〜2か月では十数件ずつの比較にしかなりません。数ポイントの差は、偶然でも動く範囲です。差がはっきり出ないときは、そのまま3か月ほど続けて、件数が溜まってから判断するほうが安全です。
この施策が向かない式場
向かない式場もあります。
- 見学予約のほとんどが1週間以内の直近で入っている式場(そもそも空白が短い)
- 予約の管理を紙の台帳だけでしていて、来館予定日と受付日の差を後から出せない式場
- すでに、予約の1週間前にプランナーが電話をかけている式場
最後の電話の件は、中間の1通と役目が重なっています。電話のほうが、二人の事情を聞けるぶん強いので、電話が回っているなら足す必要はありません。ただ、電話は担当の時間を使うので、件数が増えて回らなくなってきたら、メッセージに置き換える選択肢が出てきます。
まとめ
- 予約日から来館日までが14日以上ある予約は、前日のリマインドだけだと空白が長く、他の式場との日程の重なりや、熱の冷めに無防備になる
- 中間の1通は、来館の7日前を目安に送る。前日の連絡と間隔を空ける
- 書くのは、当日の見どころを1つ、当日の流れと所要時間、日程を変えたいときの入口の3つ
- 特典の予告や、来館を迫る言い方、式場の都合の前倒し提案は入れない
- 仮の数字では、来館率が3ポイント動けば手間に見合う。ただし成約率の前提は自社データで確かめる
- まず予約から来館までの日数別に来館率を分けて出し、差が見えなければ、この施策は入れなくていい
- 効果は来館率だけでなく、無断欠席が連絡ありの日程変更に変わった分も含めて見る
