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式場のリール動画は、再生数でなく見学予約の一問で続けるか決める

式場のInstagramで、リール動画を撮り始めたものの、続けるべきか迷っている。そういう式場は多いのではないでしょうか。再生数はそれなりに出ている。でも、見学の予約が増えた実感はない。担当者は忙しい中で撮影と編集をしていて、止める理由も続ける理由もはっきりしない。

この記事は、その迷いを「再生数」ではなく「見学予約のフォームに入れる一問」で決める話です。リールが予約につながっているかどうかは、動画の出来より、数え方で見え方が変わります。

先に言っておくと、今回は出典のある統計を使いません。式場のリール動画と見学予約の関係について、全国で通用する公開の数字を、僕は見つけていないからです。そのかわり、仕組みの説明と、前提を明示した仮の計算で書きます。数字はすべて想定だと分かる形にしています。

再生数は、予約に近い人だけを数えていない

リールの再生数は、動画を見た人の数です。ここに入っているのは、結婚式を考えている二人だけではありません。

  • 式場のある地域に住んでいない人
  • すでに結婚式を終えた人
  • 同業の式場やプランナー、ブライダル関連の会社の人
  • 結婚の予定はないが、きれいな映像が好きで見ている人

仕組みとして、動画がおすすめに乗って広く届くほど、こうした「見学に来ない人」の割合は増えやすくなります。再生数が伸びた動画ほど、予約と無関係な人が混ざる、ということです。

逆に、再生数が少ない動画が、予約に近い二人にだけ届いていることもあります。たとえば「見学の日、最初の30分で何をするか」を見せた動画は、近い将来に見学を考えている二人しか興味を持たないはずです。再生数は少なくても、見た人の中の予約に近い人の割合は高い。

だから、再生数の多い動画と、見学予約につながる動画は、同じとは限りません。再生数だけで続けるか止めるかを決めると、見学予約につながる動画を止めて、予約と関係のない動画を増やすことが起こりえます。

見学予約までの道は、途中で切れる

もう一つ、数えにくい理由があります。リールを見てから見学を予約するまでの道が、途中で何回も切れることです。

二人がリールを見て、気になったとします。そこから見学予約までには、たとえば次のような動きがあります。

  1. 動画を見て、式場のアカウントを開く
  2. プロフィールのリンクから、公式サイトを開く
  3. 公式サイトで、料金や会場の写真を見る
  4. 見学予約のフォームに入る

この道は一直線とは限りません。動画を見た日にはアカウントを保存するだけで、数日後に式場名で検索して公式サイトに来ることもあります。結婚情報サイトで同じ式場を見つけて、そちらから予約することもあります。

こうなると、予約フォームには「検索」や「媒体」から来たと記録されます。リールは、きっかけを作ったのに、数字には出てきません。

つまり、リールの成果は、アクセス解析のような機械の計測だけでは取りこぼします。そこで、二人に直接聞く一問が要ります。

見学予約フォームに入れる、一問の作り方

見学予約のフォームに、次のような一問を入れます。

「この式場を知ったきっかけに近いものを、すべて選んでください」

選択肢の例は次のとおりです。

  • 結婚情報サイト・雑誌
  • Instagramの動画(リール)
  • Instagramの写真投稿
  • 友人・家族の紹介
  • 検索(Google、Yahoo!など)
  • 結婚式に参列したとき
  • その他

ポイントは三つあります。

一つ目は、リールと写真投稿を分けることです。「Instagram」とひとまとめにすると、どちらが効いているのか分かりません。動画に手間をかけるかどうかの判断なので、動画だけを独立した選択肢にします。

二つ目は、複数選べるようにすることです。道が途中で切れる以上、二人の頭の中でも、きっかけは一つとは限りません。「サイトで知って、リールで気になった」という二人は多いはずです。複数選択にすると、リールは「最初のきっかけ」としてだけでなく、「背中を押したもの」としても数えられます。

三つ目は、必須にしないことです。入力が増えると、予約フォームの途中で離れる人が出ます。任意にして、答えない人がいる前提で数えます。

もう一つ、見学の冒頭で聞く方法があります。「今日はどんなところで、うちを知っていただいたんですか」と、会話の中で聞くやり方です。フォームより答えが正直に返ってきやすい反面、担当者によって聞き方が違うと数がそろいません。フォームの一問を基本にして、冒頭の会話は補助にするのが、続けやすいと思います。

プロフィールのアクセス数は、予約の手前の目印

フォームの一問は、予約に至った人しか数えません。予約までの手前の動きは、Instagramのインサイトで見られる数字で補います。

見るのは、リールごとの数字のうち、次の三つです。

  • 再生数(広く届いたか)
  • 保存数(後で見返したいと思われたか)
  • そのリールをきっかけにしたプロフィールへのアクセス数(式場に興味を持たれたか)

見る順番は、再生数ではなく、プロフィールへのアクセス数と保存数からです。再生数は、予約と関係のない人も含めた入口の広さです。保存数とプロフィールへのアクセスは、「もっと知りたい」と一歩進んだ人の数です。

ただし、インサイトの項目名や見える範囲は、アプリの更新で変わることがあります。実際に使うときは、自分のアカウントで今見られる項目を確かめてから、何を月次で記録するか決めてください。ここに書いた三つは、あくまで考え方の例です。

続けるかどうかを、仮の数字で計算する

次に、リールを続けるのに必要な成果を、計算で出します。次の前提はすべて想定で、実在のデータではありません。

  • リールは月8本。1本あたり、企画・撮影・編集で3時間かかる
  • 担当者の1時間あたりの人件費を2,000円と置く
  • 見学予約のうち、成約に至る割合は30%
  • 成約1組あたりの粗利は50万円

月の工数は、8本 × 3時間 = 24時間です。人件費に直すと、24時間 × 2,000円 = 月4万8,000円になります。3か月続けると、14万4,000円です。

14万4,000円を粗利50万円で割ると、0.288組です。つまり、3か月で、リールがきっかけの成約が0.3組あれば、人件費は取り返せる計算になります。

成約率30%なら、成約0.288組には、見学予約が約1件(0.288 ÷ 0.3 ≒ 0.96)必要です。

結論はこうなります。この前提では、3か月続けて、リールがきっかけの見学予約が1件あれば、工数は取り返せる。1件もなければ、少なくとも3か月続けた時点で、続ける理由を別に探す必要があります。

ここで注意が二つあります。

一つ目は、この計算に撮影機材や外注費を入れていないことです。外注や機材があるなら、その分、必要な見学予約の件数は増えます。同じ式で、自分の式場の数字に置き換えてください。

二つ目は、「1件あれば元が取れる」は、続ける線ではあっても、成功の線ではないことです。1件の予約が偶然かもしれないからです。続けるかどうかの判断は、次の「3か月後に見る数字」で、もう少し丁寧にします。

3か月後に見る数字と、続ける線・止める線

3か月分のデータがそろったら、次の順に見ます。

  1. フォームの一問で「リール」を選んだ見学予約の件数
  2. そのうち、実際に来館した件数と、成約した件数
  3. リールごとのプロフィールアクセス数と保存数の、上位と下位

判断の目安は、次のように置けます。

  • 続ける: リールを選んだ予約が、3か月で2件以上ある。または1件でも、そのうち成約した
  • やり方を変えて続ける: 予約は0〜1件だが、保存数とプロフィールアクセスが、特定の題材のリールに偏っている。その題材に絞って、本数を減らす
  • 止める: 予約が0件で、保存数もプロフィールアクセスも、どのリールでも伸びていない。工数を別の施策に回す

この目安の「2件以上」は、僕が置いた線です。見学予約の件数が月に数件の式場と、月に数十件ある式場では、同じ線にはなりません。大事なのは、始める前に線を決めておくことです。線を決めずに始めると、数字が出ても、続ける理由と止める理由のどちらにも読めてしまいます。

止めたときは、「止める」で終わりにせず、浮いた24時間を何に使うかも決めます。たとえば、見学予約後の連絡、見学の冒頭の聞き方、公式サイトの最初の画面など、すでに予約を持っている人に効く施策に回す手があります。

題材は、見学前の疑問に近いものから試す

続けると決めたら、次に題材です。ここで一つ仮説を置きます。

会場の雰囲気を見せる動画より、見学前の二人が気にしていることに答える動画のほうが、予約に近い人に届きやすい。

これは、僕の見立てで、検証された事実ではありません。ただ、仕組みの面では筋が通ります。会場の雰囲気の動画は、結婚式を考えていない人にも楽しめる。見学前の疑問に答える動画は、見学を考えている人にしか価値がない。後者のほうが、予約と関係のない人の割合は低いはずです。

見学前の疑問になりやすい題材には、たとえば次のものがあります。

  • 見学の日の流れ(何時間かかるか、何を見るか)
  • 見積もりの見方(最初の金額に何が入っていて、何が入っていないか)
  • 服装や持ち物など、見学に行く前の不安
  • 家族を連れて行くときの注意点

ただ、これを「正しい」と決めつけないでください。3か月のうち、最初の1か月は題材を2〜3種類に分けて、同じ条件で出し、プロフィールアクセスと保存数を比べます。式場によって、効く題材は違うはずです。比べた結果、会場の雰囲気の動画のほうが保存されていたなら、そちらを増やせばいいだけです。

比べるときは、同じ週に出す、同じ長さにする、同じ時間帯に出す、といった条件をそろえます。条件が違うと、題材の差なのか、出した曜日の差なのか分かりません。

数え方を決めておくチェックリスト

最後に、始める前に決めておくことをまとめます。

  • 見学予約フォームに、リールを独立させた一問を入れたか(複数選択・任意)
  • 見学の冒頭で、知ったきっかけを聞く言葉を、担当者でそろえたか
  • 月次で記録する数字(予約件数・プロフィールアクセス・保存数)を決めたか
  • 3か月後に、続ける線・変える線・止める線を、数字で書いたか
  • 止めたときに、浮いた工数を回す先を決めたか

どれも、動画を1本撮る前にできることです。撮影の技術より、数え方のほうが、続けるか止めるかの判断に効きます。

まとめ

  • リールの再生数には、見学に来ない人も混ざる。再生数の多い動画が、予約につながる動画とは限らない
  • 見学予約までの道は途中で切れるので、アクセス解析だけでは、リールの成果を取りこぼす
  • 見学予約のフォームに、リールを独立させた複数選択・任意の一問を入れる
  • 手前の目印は、リールごとのプロフィールアクセスと保存数。項目はアプリの更新で変わるので、使う前に確かめる
  • 仮の計算では、月24時間(月4.8万円)の工数を3か月続けて、リール経由の見学予約が約1件あれば元が取れる。自分の数字に置き換えて使う
  • 続ける線・変える線・止める線を、始める前に数字で決めておく
  • 動画の出来を磨く前に、数え方を決める。続けるか止めるかは、それで判断できる