集客

式場のインスタは、ハイライトを見学前の疑問の順に並べる

式場のInstagramを開くと、プロフィールのすぐ下に丸いアイコンが横に並んでいます。ハイライトです。投稿は新しいものから順に流れていきますが、ハイライトは消えずに残るので、プロフィールを開いた人がいちばん先に目にする場所になります。

結論から書きます。このハイライトは、挙式実例やスタッフの日常で埋めるより、見学に行く前の二人が持っている疑問に答える並びにしたほうが、見学の予約につながりやすいと僕は考えています。実例の写真は投稿に任せて、ハイライトには「料金」「アクセス」「試食」「見学の流れ」「予約」のように、検討中の二人が次に知りたいことを置く。そして並べる順番は、決めた人の好みではなく、閲覧数を見て入れ替える。この記事ではその考え方と手順を整理します。

先にお断りしておくと、ハイライトの閲覧数から予約件数への換算に使える、公開された調査は見つかっていません。以下の数字は、検討のために僕が置いた仮の記録です。実在の式場の実績ではありません。自分の会場のインサイトに入れ替えて読んでください。

ハイライトを見ている場面

ハイライトの話をする前に、二人がどういう状態でプロフィールを開くのかを確認しておきます。

ハナユメが2020年2月に公表した調査では、挙式した人のうち8割以上が、結婚式の情報収集にInstagramを使っていました。調査の対象はHanayumeの利用者358名で、調査から数年たっていますし、元の報告書ではなく検索結果に出た要約で確認した数字です。そのため、割合をそのまま今の検索行動に当てはめるのは避けます。ただ、同じ要約には、メインとは別に「プレ花嫁用」のアカウントを作った人が約39%いた、という記載もありました。式場探しのためにアカウントを分けて、写真を集めて見る人が一定数いる、という行動は読み取れます。

その二人が式場のアカウントを見つけたとき、何をするでしょうか。投稿の一覧を開く前に、プロフィール文を読み、ハイライトの丸を見て、気になるものをタップする。僕の周りで見ている範囲では、そういう順番の人が多いです。ただし、これは観察であって、調査の結果ではありません。

この場面で、ハイライトに挙式実例のアルバムが並んでいると、何が起きるか。二人は「きれいな式場だな」とは思います。でも、見学の予約を入れるかどうかを決めるには、足りない情報がいくつもあります。

  • 総額はどのくらいなのか
  • 駅からどうやって行くのか
  • 試食はできるのか、何を食べられるのか
  • 見学は何分かかって、何をするのか
  • どこから予約すればいいのか

投稿を遡れば、どこかに書いてあるかもしれません。でも、遡る手間を払ってくれる二人は、すでに気持ちが強い人です。まだ候補の一つでしかない段階の二人は、探してもすぐ出てこなければ、別の式場のアカウントに移ります。

置く5つと並べる順番

見学前の疑問を5つに絞って、ハイライトの案を作ります。並べる順番にも理由があるので、そこまで書きます。

1つ目は料金

二人が最初に知りたいのは、おそらく総額です。ここは公式サイトの料金ページとは別に、ハイライトでも1枚で見せます。

見せ方は、公式サイトの料金表示と同じ考え方でそろえます。最安値だけを大きく出して、実際の見積もりと開きがあると、見学に来た二人が戸惑います。ハイライトでは「このくらいの人数で、この内容なら、総額はこの幅に収まる例が多い」と、幅と条件を添えて書きます。数字は自社の見積もりから出したものだけを使ってください。

2つ目はアクセス

料金の次は、行けるかどうかです。駅からの道順、駐車場、送迎バスの有無、所要時間。写真と短い文字で、歩いて向かう様子が分かるようにします。

アクセスをこの位置に置くのは、結婚式場の見学が、休日の半日をつぶす行動だからです。遠い、停めにくいと分かった時点で脱落する二人がいます。脱落を早めに確かめられるほうが、お互いに時間を無駄にしません。

3つ目は試食

ブライダルフェアで試食を受けられるかどうかは、二人にとって見学に行く理由の大きな一つです。ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、フェアで役に立った内容として、会場見学と試食がともに8割台で並んでいます。数字はリクルートの一次PDFで確認したものです。

ハイライトでは、実際に出す料理の写真と、試食の条件(無料か有料か、予約が要るか、人数)を並べます。条件が書いていないと、二人は「無料のはず」と思い込んで来て、有料と知って気まずくなります。

4つ目は見学の流れ

見学が何分で、誰が案内して、何をするのか。これが分かっていると、予約を入れる不安が小さくなります。フェア予約ページで所要時間を幅と内訳で書くのと同じ考え方を、ここでは写真付きの短い手順にします。

  • 受付で名前を伝える
  • 担当者が会場を案内する(所要はおよそ何分)
  • 試食をする
  • 見積もりの説明を受ける(希望者のみ)
  • 帰る

「見積もりの説明は希望者のみ」のような一言は、売り込まれる不安を持った二人に効きます。実際の運用と食い違わない範囲で、書ける会場は書いておくといいです。

5つ目は予約

最後に、予約への入口です。プロフィールのリンクと同じ先(フェア予約ページ)に飛べるように、予約の取り方を示します。ここは丸の名前を「予約」だけにせず、「見学予約はこちら」のように、押すと何が起きるかが分かる名前にします。

この5つは、料金、アクセス、試食、流れ、予約の順で、二人が検討を進める順番にそろえてあります。丸の左から右へ読んでいくと、「いくらで、どこにあって、何を食べられて、何をして、どう申し込むか」が一通りたどれる。順番の理屈はそれだけです。

仮の記録で見る入れ替え

並べ方の案ができたら、そのまま固定せず、閲覧数で入れ替えます。ハイライトの閲覧数はInstagramのインサイトで、投稿者本人なら見られます。ここでは、僕が置いた仮の記録で、入れ替えの判断を練習します。

Python で小さく計算しました。

views = {"料金": 360, "アクセス": 240, "試食": 300, "見学の流れ": 180, "予約": 120}
total = sum(views.values())
for name, n in views.items():
    print(name, n, f"{n/total:.0%}")
print("合計", total)

結果は次のとおりです。

ハイライト 月の閲覧(仮) 全体に占める割合
料金 360 30%
試食 300 25%
アクセス 240 20%
見学の流れ 180 15%
予約 120 10%
合計 1,200 100%

この仮の記録で目につくのは、「予約」の閲覧が最も少ないことです。理由は、見ればすぐ分かります。ハイライトを先頭から順に見た二人は、料金で離れ、アクセスで離れ、試食で離れ、最後まで届いた人だけが予約に着く。当たり前ですが、並びの最後は閲覧が減ります。

ここで入れ替えの判断が2つあります。

1つ目は、閲覧が多い料金と試食を、左側に寄せたままにすること。多くの人が見ているところに、予約への入口を足す手もあります。たとえば、料金の最後のコマに「見学予約はこちら」のリンクスタンプを置く。予約の丸まで届かない二人も、料金を見た直後に申し込める。5つの丸の中身を増やすより、閲覧の多い丸に出口を作るほうが、やることが少なくて済みます。

2つ目は、閲覧が少ない丸を疑うことです。「予約」が少ないのは並びのせいで、中身が悪いわけではないかもしれません。「見学の流れ」が15%なのは、中身が弱いのか、二人にとって優先度が低いのか。これは数字だけでは分かりません。丸の名前と最初のコマの写真を替えて、1か月置いて、閲覧が増えるかを見ます。それでも動かなければ、その丸は外して、別の疑問(たとえば「ドレス・衣装の持ち込み」「両親の同席」)に入れ替える。

どちらの判断も、仮の数字で練習しているので、実際の割合は式場ごとに変わります。形だけ覚えておいてください。閲覧が多いところに出口を足す。少ないところは、名前と最初のコマを替えて1か月見る。それでも動かなければ入れ替える。

見せ方の決まり

中身が決まったら、見せ方で3つ気をつけます。

  • 丸の名前は短くする。長い名前は、プロフィールに並んだときに途中で切れて表示されます。「料金」「アクセス」「試食」「流れ」「予約」のように、1語か2語で済ませます
  • 最初のコマで中身が分かるようにする。丸をタップしたとき、最初の1枚で何の話か分かる写真と一言が出れば、続きを見てもらえます。凝った演出より、読める文字の大きさを優先します
  • 古い情報を残さない。料金や試食の内容は、変わります。ハイライトは消えずに残る分、古いまま放置されやすいです。更新する日を決めておきます。たとえば、料金表を改定した月と、ブライダルフェアの内容を変えた月に、必ず見直す

3つ目は、写真の掲載許諾ともつながります。実例の写真をハイライトに使うなら、掲載の許諾が取れているものだけにします。許諾の範囲が「公式サイトまで」で、SNSが含まれていない契約書は、現場ではまだ見かけます。

挙式実例のハイライトは要らないのか

ここまで読んで、「実例のハイライトは置かないのか」と思った方がいるかもしれません。置いて構いません。ただし、5つの疑問に答える丸の右側、つまり後ろに置きます。

実例の写真が果たす役割は、見学したい気持ちを育てることです。でも、その役割は、投稿一覧に流れる写真がすでに担っています。ハイライトまで同じ役割に使うと、料金やアクセスのような「見学の予約を決める材料」を置く場所がなくなります。

役割を分ける、と考えると整理しやすいです。投稿は、見つけてもらう場所。ハイライトは、見学に行く不安を片づける場所。前者は新しさが大事で、後者は答えが書いてあることが大事です。

もう一つ、反対の意見も想定しておきます。「ハイライトに料金を出すと、安さで比べられて、他社に負けるのではないか」という懸念です。これはもっともで、公式サイトの料金掲載と同じ議論になります。料金を出すかどうかは、公式サイトに料金を載せるかどうかの判断の延長で決めてください。ここで言えるのは、載せないと決めたなら、ハイライトの1つ目は料金ではなく、アクセスか試食にずらせばいい、ということだけです。並べ方の理屈(検討を進める順にそろえる)は変わりません。

測る数字

ハイライトを入れ替えたあとに、何を見るか。見る数字は3つにしぼります。

  1. ハイライトごとの閲覧数。月に1回、インサイトから拾って、表に残します。表は5行で足ります
  2. プロフィールのリンクのタップ数。ハイライトを整えたあとに、増えたかを見ます。リンクの末尾に、どこから来たかの印(UTMパラメータ)を付けておけば、予約まで追えます
  3. Instagram経由のフェア予約の件数。最終的に見るのはここです。閲覧が増えても予約が増えなければ、丸の中身がまだ弱いのだと判断します

注意点が1つあります。ハイライトを整えた月に、投稿の内容やキャンペーンも一緒に変えると、何が効いたのか分からなくなります。変えるのは1か月に1つだけにして、前後の数字を並べます。

また、閲覧数がそのまま見学予約の件数になるわけではありません。ハイライトを見て予約した二人は、経由が「Instagram」ではなく、あとで検索して予約した「検索」に混ざることがあります。きれいには分けられないので、予約フォームの「何を見て知りましたか」の回答も、併せて見るのが現実的です。

まとめ

  • 式場のInstagramでは、ハイライトはプロフィールを開いた二人が最初に見る場所になる。投稿とは役割を分ける
  • ハイライトに置くのは、見学前の疑問に答える5つ。料金、アクセス、試食、見学の流れ、予約の順に、検討が進む順番でそろえる
  • 並びは固定せず、月1回、ハイライトごとの閲覧数で見直す。閲覧の多い丸には予約への出口を足し、少ない丸は名前と最初のコマを替えて1か月見る
  • 閲覧数から予約件数への換算に使える公開調査は見つかっていない。この記事の数字は仮置きで、自社のインサイトの数字に入れ替えて判断する
  • 挙式実例のハイライトは、疑問に答える丸の後ろに置く。許諾の範囲にSNSが入っているかも確かめる
  • ハイライトを整える月は、ほかの施策を重ねない。変えるのは1か月に1つ