来館・成約

見学後に止まった二人へ再び連絡してよいのは、相手の条件が変わったとき

見学のあと返事が止まった二人に、数か月たってからもう一度連絡してよいのか。迷っている会場は多いと思います。送れば押しつけになりそうだし、送らなければ、あのとき気に入ってくれていた二人を静かに手放すことになる。

僕の結論は、連絡してよいのは、相手が見学のときに口にした条件に合う変化が、会場側に起きたときだけ、です。変化が無いのに「その後いかがですか」と送るのは、止めたほうがいい。逆に、変化があるのに送らないのは、もったいない。

この記事に出典はありません。数字は僕が置いた仮のもので、業界の平均値ではありません。判断の条件と段取りが中心なので、数字は自分の会場のものに置き換えて読んでください。

追客と再連絡は、別の仕事です

見学後の追客を何通まで送るか、という話は別の記事で書きました。そこでの結論は、止め時は回数でなく、その通で二人に新しく渡せる材料があるかどうか、でした。

今回扱うのは、その先です。追客をいったん止めた二人、あるいは最初から返事の無かった二人に、時間をおいてもう一度連絡するかどうか。追客が「検討の途中にいる二人を支える連絡」だとすると、再連絡は「いったん終わった話を、条件が変わったから開き直す連絡」です。

扱いが違う理由は、受け取る側の状態にあります。追客の相手は、まだ検討が続いているかもしれない二人です。再連絡の相手は、他の会場に決めたか、挙式そのものを先送りにしたかのどちらかであることが多い。つまり多くの場合、二人の頭の中ではもう閉じた話です。

閉じた話を開き直す連絡は、理由が弱いと迷惑になります。理由が強ければ、助かる連絡になります。その線をどこに引くかが、この記事の中身です。

再連絡の理由になるのは、会場側に起きた4つの変化

「二人の条件に合う変化」を、4つに分けて考えます。どれも、見学のときに二人が口にしたことと結びついている点が共通です。

希望の日が空いた

いちばん強い理由です。見学のとき、二人は挙式したい時期や日取りを言っています。「来年の10月の土曜が理想だけれど、もう埋まっていると聞きました」という会話は、見学ではよくあるはずです。

その日がキャンセルで空いたとき、あるいは仮押さえの期限が切れて戻ってきたとき、連絡する理由が生まれます。二人にとっては、諦めていた条件が戻ってきた知らせです。他の会場に決めていたとしても、決めた理由が日取りだったなら、揺れる可能性があります。

断られた条件が通るようになった

見学のときに、予算や人数、持ち込みの可否で「それは難しいですね」と答えた場面があったかもしれません。その後、料金の改定や新しいプランで、答えが変わることがあります。

たとえば、少人数のプランを新しく作った。持ち込みの料金を見直した。こういうときは、断った二人に連絡する理由になります。ただし条件は、見学の記録に残っている二人だけに絞ります。全員に「新プランができました」と送るのは、再連絡ではなく、ただの宣伝です。

見られなかった場所が見られるようになった

見学のとき、工事中だった、別の披露宴が入っていて入れなかった、という場所は意外に多いものです。その場所が見られるようになったとき、見学が不完全だった二人には、もう一度来る理由ができます。

この場合の連絡は、「前回は見られなかったあの場所を、見に来られます」と、一文で足ります。

挙式を考える時期に入った

見学のとき、二人が「入籍してから考える」「子どもが生まれてから」と言っていたなら、その時期が来たことが理由になります。これは会場側の変化ではなく、二人側の変化ですが、見学のときに二人が自分で時期を口にしている点が大事です。

ここは扱いに注意が要ります。二人の私生活の予定は、会場が覚えていて当然の情報ではありません。連絡するなら、「以前、半年後に改めて考えるとおっしゃっていたので、ご連絡しました」と、見学のときの言葉をそのまま引くのがいいと思います。

理由が無い再連絡は、いつ送っても同じです

逆に、再連絡の理由にならないものも並べます。

  • 季節の挨拶
  • 「その後、式場探しは進んでいますか」という近況の確認
  • 全員向けのフェア案内
  • 会場の新しい写真ができた、という会場側だけの知らせ

どれも、二人の見学での発言と結びついていません。誰に送っても同じ文面になるので、受け取る二人からすると、リストの一人として扱われているだけです。

一斉配信が悪いと言いたいのではありません。フェアの案内を、希望した人に送るのは普通の運用です。ここで言っているのは、それを再連絡の代わりに使わない、ということです。再連絡は、一人ひとりの見学の記録から出てきた理由がある連絡で、一斉配信とは仕事の種類が違います。

仮置きの計算で、量の感覚をつかみます

どのくらいの量になるのか、仮の数字で見てみます。前提は次のとおりです。すべて、実在のデータではなく、考えるために置いた数字です。

  • 見学後に返事が止まっている二人が、リストに250組いる
  • 1年間に、希望の日が空くことが24回ある
  • 1回空くごとに、その日を希望していた止まった二人が、平均1.5組いる
  • 再連絡1通を作る手間は5分
  • 再連絡1通から成約になる確率を5%と置く
  • 1成約の粗利は80万円

この前提だと、1年間に送る再連絡は 24 × 1.5 = 36通です。手間は 36 × 5分 = 180分、3時間です。成約は 36 × 0.05 = 1.8組、粗利にして 1.8 × 80万 = 144万円になります。

比べるために、理由の無い一斉配信を置きます。250組に月1回、年12回送ると 250 × 12 = 3,000通です。1通5分のつもりで作ると 250時間ですが、実際は同じ文面を送るので手間はもっと小さいでしょう。ここで比べたいのは手間ではなく、受け取る側の数です。再連絡は年に36通で、受け取る二人は、自分に関係のある知らせだけを受け取ります。一斉配信は3,000通で、そのほとんどが、受け取る二人にとって関係のない知らせです。

5%という確率は、僕が置いただけで、根拠はありません。大事なのは確率の高さではなく、再連絡の量が、手作業で回せる数に収まるということです。年に36通なら、担当者が一通ずつ見学の記録を読んで書けます。この「一通ずつ書ける量」が、再連絡の理由を保つ条件でもあります。

書き方は、見学の記録を一行引くところから始めます

再連絡の文面は、長くなくていいと思います。入れるのは4つです。

  1. 見学のときの二人の言葉を、一行引く
  2. その言葉に関係する変化を、一文で伝える
  3. 返事は要らないと書く
  4. 詳細を見られる場所を、一つだけ置く

たとえば、希望日が空いた場合の骨組みはこうなります。

「見学のとき、来年10月の土曜を希望されていたと記録にあります。その週の土曜に空きが出ましたので、お知らせだけします。ご返信は不要です。日程の詳細は、予約ページに出ています。」

ここで効いているのは、3つ目の「返事は要らない」です。閉じた話を開き直された二人にとって、いちばん重いのは、返事をしなければならない気持ちです。他の会場に決めた二人は、断る言葉を探すことになります。返事は要らないと先に書いておけば、その負担が消えます。

もう一つ、「記録にあります」と書くのは、会場側が覚えていることを隠さない、という意味です。見学のときに話した内容を、会場が記録していて、それを使って連絡している。これは、きちんと伝えたほうが安心されると僕は考えます。記録を隠して偶然のように装うと、あとで不気味さが残ります。

年に送る回数の上限を、先に決めておきます

再連絡には、上限が要ります。理由があるから何度送ってもいい、とはなりません。

目安として、一組の二人に対して、年に2通までを置いてはどうでしょうか。これも僕が置いた数字で、根拠はありません。2通を超えて送りたくなったときは、その連絡の理由が本当に二人の条件と結びついているかを、もう一度確かめるための線です。

上限を決める意味は、数字そのものより、送る前に立ち止まる場所ができることです。担当者が「今回も送りたい」と思ったときに、「この二人には今年すでに2通送った」と見える状態にしておく。見学の記録に、再連絡の日付と理由を一行足すだけで、それができます。

返信が一度も無かった二人については、もう少し厳しく見ます。1通送って返信も反応も無ければ、同じ年にもう一通送る理由は、よほど強くない限りありません。

同意と配信停止は、見学のときに取っておく

最後に、守る側の話を書きます。

広告や宣伝の電子メールを送るときは、特定電子メール法で、原則として相手の事前の同意が要ります。総務省の資料でも、2008年の改正でこの仕組み(オプトイン)が入り、同意を得た相手にだけ送る形になったと説明されています。同意の記録を残すこと、送信者の名称と受信拒否の連絡先を示すことも求められます。出典は総務省の特定電子メール法に関する資料です。

再連絡の文面が広告宣伝にあたるかどうかは、中身によって変わります。希望日が空いたという個別の知らせでも、最終的に来館や契約を促す内容なら、宣伝として扱われる可能性があります。例外の範囲(取引関係にある相手など)は細かく決まっていて、僕はここで線を引ける立場にいません。実際に運用を決めるときは、総務省と消費者庁が出している最新のガイドラインを見るか、専門家に確かめてください。

ここで言えることは、運用の側でできる準備です。

  • 見学予約のフォームに、「見学後に空き日程や新しいプランの案内を受け取る」の同意を、チェック式で別に置く
  • 同意した日時と、二人が見た文言を、記録に残す
  • 再連絡のすべてに、受け取りたくない場合の連絡先を書く
  • 配信を止めたいという連絡があった二人は、その場でリストから外す

見学のときに取った連絡先が、見学の連絡のためだけに取ったものなら、数か月後の再連絡は、使う目的が違ってくる可能性があります。個人情報保護法は、あらかじめ特定した利用目的の範囲で個人情報を扱うことを求めています。だから、予約フォームの段階で「見学後のご案内」まで目的に入れておくと、あとの運用が楽になります。

同意を取る欄を増やすと、フォームが長くなると感じるかもしれません。ただ、チェックを一つ足す程度の長さです。取れなかった二人には再連絡を送れなくなりますが、その二人に送って嫌われるより、送らないほうが会場には安全だと僕は思います。

試すなら、3か月の記録から始めます

いきなり再連絡を始めなくてもいいと思います。最初の3か月は、送らずに記録だけ取る方法があります。

  1. 見学の記録に、二人が口にした条件(希望日、予算、人数、見られなかった場所、考え始める時期)を一行で書く欄を作る
  2. 会場側に変化が起きたとき(日が空いた、プランを変えた、工事が終わった)、その変化に合う二人を記録から探す
  3. 送れる二人が、1回あたり何組いたかを数える

この数え方ができるようになると、さきほどの計算の「24回」「1.5組」が、自分の会場の数字に置き換わります。記録を取っているのに、合う二人がほとんど見つからないなら、見学のときに条件を聞けていない、ということです。それは再連絡の問題ではなく、見学の聞き方の問題だと分かります。

数えた結果、合う二人が月に数組いるなら、そこから再連絡を始めればいい。ほとんどいないなら、始めなくていい。始める前に、始めるかどうかを自分の数字で決められます。

まとめ

  • 見学後に返事が止まった二人へ再び連絡してよいのは、見学で口にした条件に合う変化が会場側に起きたときだけ
  • 理由になる変化は、希望日が空いた、断った条件が通るようになった、見られなかった場所が見られるようになった、考え始める時期が来た、の4つ
  • 季節の挨拶や近況確認、全員向けの案内は、再連絡の代わりにならない
  • 文面は、見学の言葉を一行引き、変化を一文で伝え、返事は要らないと書き、見る場所を一つ置く
  • 一組あたり年2通までなど上限を先に決め、記録に日付と理由を残す
  • 広告宣伝にあたる連絡は事前の同意が原則なので、見学予約のフォームで同意の取得と配信停止の手順を用意しておく
  • 始める前に3か月、見学の条件を記録し、再連絡の対象が何組いるかを数える