来館・成約

雨の日のフェア予約は前日夜に式場から連絡して振替先を出す

雨予報の週末に、ブライダルフェアの予約者が減る。これは多くの式場で見かける動きだと思います。ただ、減る理由を「雨だから仕方ない」で片づけると、取り戻せる組まで一緒に捨てることになります。

雨の日に来ない二人の多くは、断っているわけではありません。「この雨でも行っていいのかな」「行ったら濡れるし、やっぱり今日はやめようか」と迷って、式場に聞くのも面倒で、そのまま行かないだけです。迷っている状態の二人に、式場から先に答えを渡せるかどうか。この記事は、その連絡を前日の夜に送るかどうかの判断の話です。

今回は出典のある統計は使いません。雨の日の来館率について、全国で通用する公開の数字を僕は見つけていないからです。そのかわり、仮の数字を置いたモデル計算と、連絡を送る側の判断基準で書きます。数字は全部、想定だと分かる形で書きます。

雨の日に起きていること

予約した二人が来なくなるまでの流れを、二人の側から追います。

前日の夜、天気予報を見る。翌日は雨。ここまでは誰でも同じです。その先で、迷いが三つ重なります。

一つ目は、天気そのものです。傘をさして歩く、電車が遅れるかもしれない、髪が崩れる、靴が濡れる。式場の見学は、写真を撮ったり衣装を試したりする日でもあります。気分が乗らない日は、どうしても「今日じゃなくてもいい」に傾きます。

二つ目は、式場が開いているのかが分からないことです。ブライダルフェアは、屋外の庭やガーデンを見せる式場もあります。雨で庭が見られないなら行く意味が薄いのでは、と二人は考えます。実際には屋内で十分に見学できる式場でも、予約ページにそう書いていなければ、二人は想像で判断します。

三つ目は、行かなかったときの損が見えないことです。次の候補日がすぐ取れるのか、取れなければ人気日が埋まるのか。二人は他にも式場を回っていて、今日行かなければ別の式場に時間を割くだけです。

この三つは、すべて式場の側から答えを出せます。天気は動かせませんが、「開いているか」と「振替はどこか」は式場が決めていることだからです。

何もしない場合と、先に送る場合

選択肢は大きく三つあります。

A. 何も送らない。通常のリマインドだけで、雨でも天気には触れない。

B. 前日の夜に「雨予報ですが、予定どおり開催します」と送る。

C. Bに加えて、「ご都合が悪ければ、この日とこの日に振り替えられます」と候補日つきで送る。

Aは手間がかかりません。ただ、迷っている二人は迷ったまま当日を迎えます。Bは来る人を減らさない効果を狙います。Cは来ない人を、別の日の来館に変える効果を狙います。BとCの差は、候補日を出すかどうかだけです。

前提を置いて計算する

ここからは、全部が仮の数字です。式場ごとに値は違うので、自社の数字に置き換えて読んでください。

前提は次のとおりです。

  • 週末のフェアに12組が予約している
  • 晴れの日は、10組が来館する(2組は欠席)
  • 雨予報の日は、何も送らないと6組しか来ない(欠席が6組)
  • 来館した組が成約する確率は25%

何も送らない場合、来館は6組、成約は1.5組です。晴れの日の10組、2.5組と比べて、雨の日は4組、成約にして1組分が減ります。

次に、Bで当日の来館が1〜3組戻るとします。雨でも開催と分かって、迷いが一つ消える分です。

戻る組数 来館 成約(25%)
0組(何もしない) 6組 1.5組
1組 7組 1.75組
2組 8組 2.0組
3組 9組 2.25組

戻る組数が1組増えるごとに、成約は0.25組増えます。仮に2組戻れば、1週末で0.5組の差になります。

Cの振替は別に数えます。前提のうち「晴れなら来館するはずだった4組」が、当日は来られないとします。この4組のうち、振替の候補日を見て後日来館する組の割合を、25%、50%、75%の三つに置いてみます。

振替で来館する割合 来館 成約(25%)
25% 1組 0.25組
50% 2組 0.5組
75% 3組 0.75組

振替の割合は誰にも分からない数字です。ここで見てほしいのは、振替の割合が50%でも、成約は0.5組分積み上がることです。BとCを足せば、1回の雨の週末で、Bの0.5組とCの0.5組で、成約1組分に近づきます。

仮の話なので、実際にこれだけ取り戻せるとは言いません。言えるのは、前日の1通で動かせる範囲は、成約数にして0.5〜1組の桁かもしれない、というところまでです。1通の連絡にかかる手間と比べて、割に合うかどうかは、自社の成約単価を掛ければ出ます。

送る基準を先に決めておく

前日の夜に「送るか、送らないか」を毎回考えていると、担当者の負担になります。基準を先に決めて、貼り付けられる文面を用意しておくのが現実的です。

基準の候補は、天気予報の降水確率、警報の有無、公共交通機関の運行情報の三つです。

降水確率だけで決めると、送る日が多すぎて、連絡が普通のリマインドになります。送りすぎると、二人は「また天気の連絡か」と読み飛ばします。逆に、警報が出てからだと遅すぎます。

僕なら、送る基準は二段にします。

一段目は、翌日の降水確率が高めの予報になっていること。この段階では、B(予定どおり開催と、屋内で見られる中身の案内)を送ります。

二段目は、大雨や強風の警報、公共交通機関の乱れが見込まれること。この段階ではC(振替の候補日つき)を送って、当日の無断欠席を「連絡あり」の欠席に変えます。

降水確率の閾値は、式場の立地で変わります。駅から遠く車で来る式場と、駅直結の式場では、雨の影響の出方が違います。自社の過去のフェアで、雨の日の欠席を数えて、閾値を決めてください。

文面に入れる3つの情報

連絡の文面は短くします。長い文面は読まれません。入れる情報は三つです。

  1. 開催するか、中止か。予定どおりなら、そう書く。「雨でも屋内でご案内できます」と、見られるものを一言添える。
  2. 雨の日の来館で、二人が困ることへの先回り。最寄りの駅からの経路、屋根のある入口、傘を置く場所、駐車場から玄関までの距離。数行で足ります。
  3. 都合が悪い場合の振替先。「別の日に変更する場合は、このリンクから2日分の空きを選べます」と、候補日を2つ見せる。

3つ目は、ボタン一つで予約が変えられる形にします。電話に誘導すると、迷っている二人は電話をかけません。

ここで書かないほうがいいことも決めておきます。「雨の日限定の特典」で来館を誘うのは、やめたほうがいいと僕は考えます。特典の期限や条件の表示は、景品表示法の面でも気をつけたい部分です。天気の連絡は、二人の迷いを減らす連絡にとどめます。

送る手段と時刻

手段は、予約のときに二人が選んだ連絡先に合わせます。LINEで予約を受けている式場ならLINE、メールだけならメールです。メールは見られるのが翌朝になることがあるので、前日の夜に出すなら、当日の朝にもう一度、短い一行を送る手もあります。ただし、同じ内容を何度も送ると、通常のリマインドと見分けがつかなくなります。朝の一通は、予報が変わったときだけにします。

時刻は、二人が翌日の支度を考え始める夜の早い時間がいいと考えています。夜遅くに届くと、読まれるのは翌朝で、振替の判断も間に合いません。前日の18時から20時のあいだに、予約管理の画面から一斉に送れる形にしておくと、担当者が毎回悩まずに済みます。

雨の日に来た二人に、式場ができること

連絡の次は、実際に来た二人への対応です。雨の日に来館する二人は、傘をさして濡れながら来ています。その状態で最初に受けるのが、説明ではなく、タオルや傘の置き場や、足元の案内であるほうが、印象は良くなります。

雨の日は、来館数が少なくなる分、1組にかけられる時間が増えます。見学の順路で屋外に出る場面を、屋内の別の見せ方に替えられるかどうか、雨の日の順路を一本、決めておきます。庭のかわりに、窓越しに見える景色と、晴れの日に撮った写真を、同じ場所で見せる。それだけで、屋外が見られなかった物足りなさは減ります。

雨の日に来てくれた組は、天気を押してまで来たわけで、検討の本気度は高い組だと考えています。これは仮説で、数字では確かめていません。ただ、自社の過去のフェアで、雨の日の来館者の成約率を、晴れの日と並べて見てみる価値はあります。もし雨の日のほうが高ければ、欠席を減らす連絡の価値は、さきほどの計算よりも大きくなります。

自社で測るもの

効果があったかどうかは、次の三つだけ数えれば分かります。

  • 雨予報の日の予約組数と、実際の来館組数
  • 前日の連絡を送った日と送らなかった日の、欠席率の差
  • 振替リンクから、後日の予約に変わった組数

送った日と送らなかった日を比べるには、最初の何回かは、予約者を半分ずつに分けて、片方にだけ送る方法もあります。ただ、予約者の数が少ない式場では、組数が少なすぎて差がはっきり出ません。数か月分の雨の日をまとめて見るほうが、現実的です。

見るときに気をつけたいのは、雨の日の欠席が、本当に雨のせいかどうかです。連絡を送っても来なかった二人の理由を、後から聞ける形にしておくと、次の判断に使えます。振替リンクに「今回は見送る」の選択肢を置いて、理由を一つ選んでもらうだけでも、材料になります。

まとめ

  • 雨の日の欠席は、断りではなく迷いであることが多い。迷いのうち「開いているか」と「振替はどこか」は、式場が前日の夜に答えを出せる
  • 前提を置いた計算では、1回の雨の週末で成約0.5〜1組分の差になりうる。仮の数字なので、自社の成約単価で置き換えて判断する
  • 送る基準は二段にする。降水確率が高めなら「予定どおり開催」、警報や交通の乱れが見込まれるなら「振替の候補日つき」
  • 文面は短くして、開催の有無、先回りの案内、振替先の3つだけを入れる。振替はボタン一つで変えられる形にする
  • 雨の日に来た二人には、濡れた状態への気配りと、屋外のかわりの見せ方を用意する
  • 測るのは、雨予報の日の予約数と来館数、連絡あり・なしの欠席率、振替リンクからの再予約の3つ